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第二章 初陣
43 ウイニングコート
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『ゴーーーーーーーーーーーーーール!
そしてここでタイムアップ!
6-5! この試合は……オグレスの勝利ーーーー!!!!!』
「「「「「…………」」」」」
「「「「「や、やったーー!!!!」」」」」
試合終了! 勝った! 俺たちは……勝ったんだ!!!!!
俺は全力で叫び、勝利の喜びを噛み締める。
勝てた。嬉しい。そしてやっぱり……サッカーは楽しい!
一通り喜び終えた俺は、次に今回の勝利の立役者のところへ向かう。
「ブラド! すげぇよお前! ……ないす!!!」
「ガハハハハ! 当然だぜ! なんてったって! 俺様のパワーは最きょょょ」
力を使い果たしたのか、ブラドがその場に倒れ込む。それでも、そんな彼の顔は晴れ晴れとした素晴らしい笑顔だった。
「ブラド、認めたくはねえけどほんとに凄かったせ! まさかあのガロを吹き飛ばすとは……。火事場の馬鹿力ってやつか?」
「本当に助かった。ありがとうブラド」
「ブラドさん! 凄かったです。ほんとに……ほんとに……」
駆け寄ってきたクレや将人、ネイトも思い思いの言葉を口にする。それに対して笑いながら言葉を返すブラド。なんとも平和な光景だ。
「龍也くん。少し話があるのですが」
ブラドたちと話している最中、こちらに来たアランに呼びかけられる。
「どうした? アラン」
「どう思います? ブラドくんのこと」
「え? どうって、すごい活躍だったなぁって」
「……そうですか。なら大丈夫です」
もう用は無いといった雰囲気で去っていくアラン。勝利の後とは思えないような深刻な顔をしていたのが気になった。
***
「うぇーい! 勝ったぜ! ミアちゃん! アリスちゃーん! 未来ちゃん!」
「わぁ~めでたい~」
「ないすプレーでした先輩っ!」
「くう! 2人共! その棒読みが心に染みるぜ!」
「ふんっ、あんたそんなに活躍してないじゃん! ……って言いたいところだけど、今回だけは褒めてあげるわ。お! つ! か! れ!」
「「……!?
ミアちゃんがデレた!?」」
レオとアリスは顔を見合わせて驚く。
「何よ! 私だってマネージャーとしてちょっとくらい労わってあげようと思っただけよ! 悪い!?」
「それよりさー、レオ。試合見てて思ったけどお前もしかして……」
すると、何かを察したのか、ペペの口を塞ぎベンチから遠ざかるレオ。
「しーっ! しーっ!」
「えー? やっぱりそうなのかー。
なに? 女子にバレたくないとかそういう系かー?
時間の問題だと思うけどなー」
「だとしても! だろ?」
「うーん、別に広めるつもりはないけどさー。
キャプテンとかには話しといた方がよくね?」
「やーっぱそうだよなぁ」
はあ。と、レオは深いため息をつく。
***
「ヘンディ先輩! 勝ったっスよ! いぇーい!」
喜びを抑えきれないザシャがヘンドリックに駆け寄る。
「お、おう。そ、そうだな。か、勝ったんだよな……」
「……! い、いや! 大丈夫っスよ! 勝ったんスから!」
「勝っ、勝っつ、勝、勝、勝っ、勝っ、勝たたたたたたた」
「ヘンディ先輩! 大丈夫っスか!? ヘンディ先輩、ヘンディ先輩ーーーーーーーー!!!!!!」
***
思い思いの言葉を掛け合うオグレス代表の選手たち、しかしその輪から外れた選手が1人、フィールドの端の方で佇んでいた。そしてその選手に近づく影が1つ。
「ヒルくん、大丈夫?」
「あ? なにが」
「相手のキャプテンと派手に接触してたし、その後も少し辛そうにしてたから。
わかるんだよね、僕たちも身体弱くてよく怪我するし」
ファクタが自分たちの体質を元にヒルの心配をする。しかし、その心配はヒルには伝わらず……
「別に関係ないだろ」
「関係あるよ。僕たちは仲間だ。
僕は地球について詳しくない、君がなんで他のみんなを避けているのかもわからない。
けど、試合に勝った今くらいはもう少し心を開いてもいいんじゃないかな?」
「……お前は何もわかっちゃいねえ。
オグレス星、大勢の人が応援に来て、温かい言葉を投げかける。さぞ平和な星なんだろうなあ。
なあファクタ、俺はお前のことも嫌いだ。話しかけてくるな」
ファクタを突き放し去っていくヒル。
優しく、友好関係を結ぶのが得意なファクタ。そんなファクタでもヒルの心を溶かすことは叶わなかった。
***
「おい、おい、おい、オラァ!」
鬼のような形相でこちらに近づいてくる集団……ゴザたちだ。
「なんだよ」
「なんだよじゃねえよ? なぁ? おい。
イカサマで勝っただけのクズどもがなに1丁前に満足気な顔してんだよ!? あぁん!?」
やはりゴザたちは受け入れられていない様子。
俺たちだってブラドのパワーには驚いた、気持ちが全くわからないわけではない。だが……
「今回の勝利はブラドの努力の成果だ。当然イカサマじゃな――」
「イカサマじゃないわけないだろうがよう!?」
……ダメだ。聞く耳を持たない。しかし、だからといって引き下がるわけにはいかない。ブラドの努力がイカサマ扱いされるなんてこれ以上ない侮辱だ。どうにかして訂正させたいと思っていると……
「やめろ、ギガデスの戦士が見苦しい姿を晒すな」
「……ガロさん。
いや……だって、おかしいじゃないっすか!? 俺たちはともかく……ガロさんが負けるなんてありえないっす!」
「……私の鍛錬が足りなかった。ただそれだけの話だ。
オグレスの諸君、部下の非礼を詫びよう。すまなかった」
「ガ、ガロさん……」
「案ずるなゴザ。何も諦めたわけではない。
確かに今回は敗北を喫した。だが、点差はわずか1点。残りの試合次第で本戦に進むことは可能だ」
「ガ、ガロさん……!」
そしてガロは俺たちの方へ振り返り、こう告げる。
「貴様らも我々に勝ったからといって油断しないことだ。我々はいつでも逆転の機会を狙っている」
「……はい、心に留めておきます」
ガロからの言葉を受け止める俺。だが、そのガロの言動に少し違和感を感じてしまったのは何故だろう。
「では諸君、今すぐギガデスに帰還する。次の試合に向けて今日からまた訓練だ」
「「「了解!」」」
去っていくギガデス代表を見つめながらネイトが言葉を漏らす。
「なんか、凄い人でしたね……」
「確かにな。少し残虐なところもあるみてえだが、司令官として、軍人として超一流なのは伝わってくるぜ」
ガロを評価するネイトと将人、しかしその評価にブラドが口を挟む。
「はっ、どうだかな。
あの野郎、口では敗北を認めるだの言っていやがったが、内心どうだかわからねえぞ?」
「あ? どうしてんなこと言いきれるんだ」
「そりゃ簡単な話だ。あの野郎、話してる最中俺様と全く目を合わせようとしなかったからな! 吹っ飛ばされたこと気にしてやがんだろ! 気分がいいぜ! ガハハハハ」
先程から感じていた違和感の正体はこれだったのか。あのガロといえども、真正面からの敗北は簡単に消化できない、か。
「そうだったのか。ならギガデスは厳しいだろうな。部下たちがあれじゃあ、ガロが崩れるだけで終わりだ」
「そうだな。せめて1人、ガロを支えられる人がいれば違うのかもしれないけどな……」
***
試合に勝利し、ラーラは喜びを分かち合おうと凛のところへ向かう。しかし、その凛はギガデスのある人物と話をしていた。
「なんで……なんで……」
「…………」
悔しさに涙を流すギャズ。そんなギャズを凛は隣で黙って見つめていた。
「あんたはいいよね。女の子らしい体付きで、顔も可愛く、髪も綺麗。それで試合にも勝てるんだから。
あたしは……女を捨てて……それでも……」
「…………」
「なら……って思うかい? 無理なんだよ、あたしの星だと力が全て。もちろん可愛かったら別だけど、あたしは見ての通り。
だから……こうするしか満足に生きる術は無かった!」
「……別に、敵に対してどうこう言う義理も無いけどさ。今回の試合、最終的にはパワー勝負だったかもしれないけど、それだけじゃなかったじゃん。細かなテクニックや作戦がパワーを上回ることはあった。だから……その……えっと……諦めるのは……早いんじゃないの。
少なくともあんたは、能無しの兵隊として飼われているには勿体ない人材だとボクは思ったけどね」
「そんな……でも……今更……。
それに、今回の負けでギガデスは滅びに近づいたわけだし……」
「……別に、これはボクが言い出した事じゃないんだけど、ボクたち、ゼラを倒して全ての星を救うつもりだから」
「……え?」
「……だから……諦めなかったらいい事あるかもよ」
それだけを言い残し、凛はその場を後にする。
その後、ギャズはギガデスのメンバーを引き連れて去っていく。彼女もまたこの試合で成長したのかもしれない。
「凛ちゃん!」
「うわっ、びっくりした。ラーラ、お疲れ様」
「凛ちゃんこそ! それより何話してたの? 何か変なこと言われてない?」
「別に何も言われてないから大丈夫。さ、戻ろ。監督のとこにみんな集まってる」
***
「ほっほ、全員揃ったようじゃな。
改めて勝利おめでとさん。見事な戦いっぷりじゃったわい」
「もーう! ほんとみんなお疲れー! ヒルくん以外に怪我してる子いない? ちょっとでも痛かったらすぐに言ってね!」
「……だから、俺は大丈夫だって言ってるだろ」
「ダーメ! 思いっきり腫れてるじゃない! 次からはすぐにベンチに戻りなさい!」
ヒルはあの接触で怪我をしていたようだ。何か少し揉めたらしいが今はフィロさんに捕まって大人しく治療を受けているようで安心した。
「というわけでこのまま宿舎で勝利記念パーティーをやるぞい!
豪華な食事が待っとるから楽しみにしとくのじゃぞ~」
「「「やったー!!!」」」
たくさんの笑顔が視界に映る。これによって、俺は改めて勝利を実感する。
まだまだ先は長いが、少し距離の縮まったこの仲間と共にこれからも戦っていきたい。
そしてまずは、宿舎でのパーティーで勝利の余韻に浸ろうと思う!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
はじめまして、作者の山中カエルです。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
続きの第三章に関してお知らせです。
既に大体は書き終えているのですが、まだ細かいところの表現など一部書き終えられていない箇所がございます。
ですので、少しだけ日を開けさせていただき、2月の中旬頃から更新を再開させていただく予定です。
ご迷惑をおかけしますが、これからも『グローリー・リーグ』をよろしくお願い致します。
そしてここでタイムアップ!
6-5! この試合は……オグレスの勝利ーーーー!!!!!』
「「「「「…………」」」」」
「「「「「や、やったーー!!!!」」」」」
試合終了! 勝った! 俺たちは……勝ったんだ!!!!!
俺は全力で叫び、勝利の喜びを噛み締める。
勝てた。嬉しい。そしてやっぱり……サッカーは楽しい!
一通り喜び終えた俺は、次に今回の勝利の立役者のところへ向かう。
「ブラド! すげぇよお前! ……ないす!!!」
「ガハハハハ! 当然だぜ! なんてったって! 俺様のパワーは最きょょょ」
力を使い果たしたのか、ブラドがその場に倒れ込む。それでも、そんな彼の顔は晴れ晴れとした素晴らしい笑顔だった。
「ブラド、認めたくはねえけどほんとに凄かったせ! まさかあのガロを吹き飛ばすとは……。火事場の馬鹿力ってやつか?」
「本当に助かった。ありがとうブラド」
「ブラドさん! 凄かったです。ほんとに……ほんとに……」
駆け寄ってきたクレや将人、ネイトも思い思いの言葉を口にする。それに対して笑いながら言葉を返すブラド。なんとも平和な光景だ。
「龍也くん。少し話があるのですが」
ブラドたちと話している最中、こちらに来たアランに呼びかけられる。
「どうした? アラン」
「どう思います? ブラドくんのこと」
「え? どうって、すごい活躍だったなぁって」
「……そうですか。なら大丈夫です」
もう用は無いといった雰囲気で去っていくアラン。勝利の後とは思えないような深刻な顔をしていたのが気になった。
***
「うぇーい! 勝ったぜ! ミアちゃん! アリスちゃーん! 未来ちゃん!」
「わぁ~めでたい~」
「ないすプレーでした先輩っ!」
「くう! 2人共! その棒読みが心に染みるぜ!」
「ふんっ、あんたそんなに活躍してないじゃん! ……って言いたいところだけど、今回だけは褒めてあげるわ。お! つ! か! れ!」
「「……!?
ミアちゃんがデレた!?」」
レオとアリスは顔を見合わせて驚く。
「何よ! 私だってマネージャーとしてちょっとくらい労わってあげようと思っただけよ! 悪い!?」
「それよりさー、レオ。試合見てて思ったけどお前もしかして……」
すると、何かを察したのか、ペペの口を塞ぎベンチから遠ざかるレオ。
「しーっ! しーっ!」
「えー? やっぱりそうなのかー。
なに? 女子にバレたくないとかそういう系かー?
時間の問題だと思うけどなー」
「だとしても! だろ?」
「うーん、別に広めるつもりはないけどさー。
キャプテンとかには話しといた方がよくね?」
「やーっぱそうだよなぁ」
はあ。と、レオは深いため息をつく。
***
「ヘンディ先輩! 勝ったっスよ! いぇーい!」
喜びを抑えきれないザシャがヘンドリックに駆け寄る。
「お、おう。そ、そうだな。か、勝ったんだよな……」
「……! い、いや! 大丈夫っスよ! 勝ったんスから!」
「勝っ、勝っつ、勝、勝、勝っ、勝っ、勝たたたたたたた」
「ヘンディ先輩! 大丈夫っスか!? ヘンディ先輩、ヘンディ先輩ーーーーーーーー!!!!!!」
***
思い思いの言葉を掛け合うオグレス代表の選手たち、しかしその輪から外れた選手が1人、フィールドの端の方で佇んでいた。そしてその選手に近づく影が1つ。
「ヒルくん、大丈夫?」
「あ? なにが」
「相手のキャプテンと派手に接触してたし、その後も少し辛そうにしてたから。
わかるんだよね、僕たちも身体弱くてよく怪我するし」
ファクタが自分たちの体質を元にヒルの心配をする。しかし、その心配はヒルには伝わらず……
「別に関係ないだろ」
「関係あるよ。僕たちは仲間だ。
僕は地球について詳しくない、君がなんで他のみんなを避けているのかもわからない。
けど、試合に勝った今くらいはもう少し心を開いてもいいんじゃないかな?」
「……お前は何もわかっちゃいねえ。
オグレス星、大勢の人が応援に来て、温かい言葉を投げかける。さぞ平和な星なんだろうなあ。
なあファクタ、俺はお前のことも嫌いだ。話しかけてくるな」
ファクタを突き放し去っていくヒル。
優しく、友好関係を結ぶのが得意なファクタ。そんなファクタでもヒルの心を溶かすことは叶わなかった。
***
「おい、おい、おい、オラァ!」
鬼のような形相でこちらに近づいてくる集団……ゴザたちだ。
「なんだよ」
「なんだよじゃねえよ? なぁ? おい。
イカサマで勝っただけのクズどもがなに1丁前に満足気な顔してんだよ!? あぁん!?」
やはりゴザたちは受け入れられていない様子。
俺たちだってブラドのパワーには驚いた、気持ちが全くわからないわけではない。だが……
「今回の勝利はブラドの努力の成果だ。当然イカサマじゃな――」
「イカサマじゃないわけないだろうがよう!?」
……ダメだ。聞く耳を持たない。しかし、だからといって引き下がるわけにはいかない。ブラドの努力がイカサマ扱いされるなんてこれ以上ない侮辱だ。どうにかして訂正させたいと思っていると……
「やめろ、ギガデスの戦士が見苦しい姿を晒すな」
「……ガロさん。
いや……だって、おかしいじゃないっすか!? 俺たちはともかく……ガロさんが負けるなんてありえないっす!」
「……私の鍛錬が足りなかった。ただそれだけの話だ。
オグレスの諸君、部下の非礼を詫びよう。すまなかった」
「ガ、ガロさん……」
「案ずるなゴザ。何も諦めたわけではない。
確かに今回は敗北を喫した。だが、点差はわずか1点。残りの試合次第で本戦に進むことは可能だ」
「ガ、ガロさん……!」
そしてガロは俺たちの方へ振り返り、こう告げる。
「貴様らも我々に勝ったからといって油断しないことだ。我々はいつでも逆転の機会を狙っている」
「……はい、心に留めておきます」
ガロからの言葉を受け止める俺。だが、そのガロの言動に少し違和感を感じてしまったのは何故だろう。
「では諸君、今すぐギガデスに帰還する。次の試合に向けて今日からまた訓練だ」
「「「了解!」」」
去っていくギガデス代表を見つめながらネイトが言葉を漏らす。
「なんか、凄い人でしたね……」
「確かにな。少し残虐なところもあるみてえだが、司令官として、軍人として超一流なのは伝わってくるぜ」
ガロを評価するネイトと将人、しかしその評価にブラドが口を挟む。
「はっ、どうだかな。
あの野郎、口では敗北を認めるだの言っていやがったが、内心どうだかわからねえぞ?」
「あ? どうしてんなこと言いきれるんだ」
「そりゃ簡単な話だ。あの野郎、話してる最中俺様と全く目を合わせようとしなかったからな! 吹っ飛ばされたこと気にしてやがんだろ! 気分がいいぜ! ガハハハハ」
先程から感じていた違和感の正体はこれだったのか。あのガロといえども、真正面からの敗北は簡単に消化できない、か。
「そうだったのか。ならギガデスは厳しいだろうな。部下たちがあれじゃあ、ガロが崩れるだけで終わりだ」
「そうだな。せめて1人、ガロを支えられる人がいれば違うのかもしれないけどな……」
***
試合に勝利し、ラーラは喜びを分かち合おうと凛のところへ向かう。しかし、その凛はギガデスのある人物と話をしていた。
「なんで……なんで……」
「…………」
悔しさに涙を流すギャズ。そんなギャズを凛は隣で黙って見つめていた。
「あんたはいいよね。女の子らしい体付きで、顔も可愛く、髪も綺麗。それで試合にも勝てるんだから。
あたしは……女を捨てて……それでも……」
「…………」
「なら……って思うかい? 無理なんだよ、あたしの星だと力が全て。もちろん可愛かったら別だけど、あたしは見ての通り。
だから……こうするしか満足に生きる術は無かった!」
「……別に、敵に対してどうこう言う義理も無いけどさ。今回の試合、最終的にはパワー勝負だったかもしれないけど、それだけじゃなかったじゃん。細かなテクニックや作戦がパワーを上回ることはあった。だから……その……えっと……諦めるのは……早いんじゃないの。
少なくともあんたは、能無しの兵隊として飼われているには勿体ない人材だとボクは思ったけどね」
「そんな……でも……今更……。
それに、今回の負けでギガデスは滅びに近づいたわけだし……」
「……別に、これはボクが言い出した事じゃないんだけど、ボクたち、ゼラを倒して全ての星を救うつもりだから」
「……え?」
「……だから……諦めなかったらいい事あるかもよ」
それだけを言い残し、凛はその場を後にする。
その後、ギャズはギガデスのメンバーを引き連れて去っていく。彼女もまたこの試合で成長したのかもしれない。
「凛ちゃん!」
「うわっ、びっくりした。ラーラ、お疲れ様」
「凛ちゃんこそ! それより何話してたの? 何か変なこと言われてない?」
「別に何も言われてないから大丈夫。さ、戻ろ。監督のとこにみんな集まってる」
***
「ほっほ、全員揃ったようじゃな。
改めて勝利おめでとさん。見事な戦いっぷりじゃったわい」
「もーう! ほんとみんなお疲れー! ヒルくん以外に怪我してる子いない? ちょっとでも痛かったらすぐに言ってね!」
「……だから、俺は大丈夫だって言ってるだろ」
「ダーメ! 思いっきり腫れてるじゃない! 次からはすぐにベンチに戻りなさい!」
ヒルはあの接触で怪我をしていたようだ。何か少し揉めたらしいが今はフィロさんに捕まって大人しく治療を受けているようで安心した。
「というわけでこのまま宿舎で勝利記念パーティーをやるぞい!
豪華な食事が待っとるから楽しみにしとくのじゃぞ~」
「「「やったー!!!」」」
たくさんの笑顔が視界に映る。これによって、俺は改めて勝利を実感する。
まだまだ先は長いが、少し距離の縮まったこの仲間と共にこれからも戦っていきたい。
そしてまずは、宿舎でのパーティーで勝利の余韻に浸ろうと思う!
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はじめまして、作者の山中カエルです。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
続きの第三章に関してお知らせです。
既に大体は書き終えているのですが、まだ細かいところの表現など一部書き終えられていない箇所がございます。
ですので、少しだけ日を開けさせていただき、2月の中旬頃から更新を再開させていただく予定です。
ご迷惑をおかけしますが、これからも『グローリー・リーグ』をよろしくお願い致します。
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