6 / 48
第6話
しおりを挟む
「わあ、やっぱり新しいし、豪華かも」
「まあ、ウィンザーと張り合おうというくらいだからな」
足元には磨き抜かれたマーブルが敷き詰められ、二階まで吹き抜けとなった天井からは巨大なシャンデリアが下がり虹色の光を降り撒いている。右手のロビーには本革張りのソファとロウテーブルが幾つも置かれ、向こうにはガラス張りのカフェテリアがあった。
ロビーもカフェテリアも過ごす人々のうち、男性の半数以上がタキシード着用で、熱帯魚の如く色鮮やかな裳裾を揺らす女性陣を引き立てている。
左側のカウンターに待機したフロントマンたちから微笑みを投げられつつ、二人は歩を進めてエレベーターホールに向かった。宿泊者以外でも利用可能なエレベーターの一基に乗ると、ホテルマンに霧島が「白藤経済振興会の定例会だ」と告げる。
だがホテルマンがボタンを押す寸前に、新たな客たちがエレベーター内に滑り込んできた。新たな客は男五名に女一名の大所帯だったが、エレベーターは広くて息苦しくは感じない。
しかしパウダーピンクのイブニングドレスに毛皮のショートコートを着た女性の香水が濃く匂って、嗅覚の異常に鋭い京哉は鼻呼吸を一時中断する。
目的地のパーティー会場は最上階のひとつ下の階にあった。
どやどやと六名が先に降り、そのあとを追うように霧島と京哉も降りる。そこで六名のうち四名の男たちが残りの男女二名を囲んで素早く鋭い視線を周囲に走らせた。その様子を眺めながら京哉はふいに気付いて霧島に囁く。
「忍さん、あの人たち、ジャケットの下に銃吊ってます!」
「分かっている。囲まれている男は指定暴力団・柏仁会の会長だからな」
「えっ、本当ですか? それにしては若いかも」
上品な紺のオーダーメイドスーツに身を固めた男は、まだ三十代中盤のように京哉には見えた。それに同伴している女性は更に若く、二十二、三かと思われる。
「じゃあ、あれは柏仁会会長の愛人ってことですか?」
「パーティーには本妻を同伴することが多いだろうが、柏仁会の会長は未だ独身だ」
「ふうん。あんなに若くて綺麗なのに、ヤクザの愛人だなんて勿体ない」
そんな京哉の呟きを聞きつけ、霧島は涼しい表情の眉間に僅かな不機嫌を溜めた。単純に女性を褒めたのが気に食わなかっただけである。自分と違って京哉は元々女性がだめではない。異性愛者なのに霧島自身がこちら側に引っ張り込んだのだ。
お蔭でこれまで何度嫉妬に駆られてきたことか。だが年上のプライドで口には出さない。
「通報したいところだが、ここで銃撃戦をする訳にもいかん。時間だ、行くぞ」
「あ、はい。国会議員先生や企業の社長・会長も目白押しですもんね」
エレベーターの真ん前にパーティー会場の大ホール『真珠の間』はあった。その手前のクロークでコートを預け、次に並んだ係の女性たちの前で出席簿に記帳する。すると係の女性三人が目を輝かせ、声まで裏返して殆ど叫ぶように言った。
「霧島カンパニーの霧島忍さまと鳴海京哉さまですね!」
それを聞いて今度は京哉が少々気を悪くした。黄色い声で辺りの皆が振り向き注目を浴びたからだ。我ながら大人げないと思うが、京哉は年上の愛し人が皆に見られるのが気に食わない。
会場に入った途端、シャンパングラスを手にするのもそこそこに人々から囲まれた挙げ句、自分の知らない人間とフレンドリーに握手するのを目にしては尚更だ。
だが仕方ない。京哉を助けた一件で当時の県警本部長が暗殺肯定派だったこともあり、霧島は機捜を勝手に動かした責任を問われ厳しい懲戒処分を食らっていた。
その停職中に京哉との密会を週刊誌にスクープされたのを皮切りに警察の記者会見や霧島カンパニー絡みでもメディアにたびたび露出している。
それ故、霧島自身は知らずとも相手が霧島を知っているというパターンが多いのだ。
おまけに霧島カンパニー次期本社社長なる噂も名高い上、人目を惹くルックスである。これで周囲に放っておいて貰えると思う方が間違いだろう。
いつの間にか始まっていたパーティーの中、霧島に一言挨拶しようという人々が既に列を成し、アイドルの握手会さながらの様相を呈していた。
だからといって京哉も他人事ではなく、霧島と同伴している以上、曖昧な微笑みを浮かべながら、指紋が擦り減るほどの握手に応えなければならない。
そうして一時間ほどを過ごすとやっと握手会の列も捌けた。そこで今がチャンスだとばかりに会場の壁際に設置されたテーブルまで移動し、霧島と共に腹ごしらえをする。
ボーイのワゴンから京哉は赤ワインを貰い、マナーも完璧な霧島を見習いつつ、オマールエビだの鴨肉だのといった自宅ではあまり食せないものを中心に味わった。
だが霧島と一緒に三皿目を平らげて、気付くと周囲は溢れるような色の洪水になっている。壇上で小編成のオーケストラがワルツを奏で始め、会場の真ん中にダンスエリアが作られていて、つまりはダンスタイムに霧島と踊ろうという女性陣が押しかけたのだった。
「忍さん、踊ってきてもいいですよ。僕は一服してきますから」
「何を言っている、最初に踊る相手は妻と相場が決まっているだろう」
「この上、まだ目立つ行動を取るんですか?」
「私だけを晒し者にするな。では、一曲お相手をお願い致します」
皿とグラスをテーブルに置いた霧島が、京哉に対して何処の貴族かと思うような優雅な礼をとる。ここまできたら諦めるしかない。京哉も皿とグラスをテーブルに置き、礼を返した。囲んだ女性陣が「きゃあっ!」と騒ぐ中、その場で二人は踊り始めた。
BGMはくるみ割り人形から『花のワルツ』だ。狭い場所ながら霧島は見事にリードしつつ京哉をターンさせる。そうして数分の短い曲を踊り切ると、女性陣から割れんばかりの拍手が湧き起こって大ホールの皆が振り向いた。
それからは女性陣が次々と霧島にダンスパートナーを申し出て、もう踊らなければ収拾がつかないほどの騒ぎとなる。ボルテージを上げた女性陣を前に、自分は女性役だと植え付けることに成功した京哉は、霧島に手を振ってその場を離脱した。
目的地は隣のスモーキングルームだ。だが人の輪を抜け出た所でふいにスーツの裾を掴まれる。振り向くとパウダーピンクのイブニングドレスを着た柏仁会会長の愛人が小首を傾げて京哉を見ていた。本人ではなく隣に立った柏仁会会長が苦笑しながら口を利く。
「うちのがキミを気に入ったらしい。踊ってやってくれないか?」
「あ、ええ……いえ、はい」
一瞬ためらった京哉だが断る理由も見当たらず、パウダーピンクのドレスの女の手を取った。男役の踊りも一応覚えている。上手くリードする域には達していないので流すように踊った。それでも相手は満足だったらしく、スモーキングルームまでついてくる。
インテリアが茶系のスモーキングルームは派手な装飾もなく、落ち着ける空間だった。三人掛けソファに収まると京哉はボーイにコーヒーを貰い、隣に腰掛けた柏仁会の女は紅茶を貰った。
京哉が煙草を咥えると女も細巻きを咥え、細身のガスライターで火まで点けてくれる。どうやら話し相手も務めなければならないらしかった。
「あたし、綾香よ。深山綾香っていうの」
「はあ。僕は――」
「知ってる。鳴海京哉さん、警察官よね。夫に聞いたの」
名前を憶えられていても嬉しくなかった。確かにこれまで京哉たちは柏仁会のシノギを何度も潰してきた。だがそれは特別任務の付録のようなもので、二人で直接柏仁会を叩いた訳ではない。故に個人名まで柏仁会に売れているとは思ってもみなかったのである。
まさかここで弾かれるかと疑念が湧いて辺りに視線を走らせた。綾香の情夫である会長はスモーキングルームにまでついてこず、ガードらしい男が一人、スモーキングルームの出入り口に立っているのみである。僅かにホッとして煙草を味わいコーヒーを飲んだ。
ニコチンを補給して少々余裕の生まれた京哉は、過去に柏仁会の絡んでいた特別任務を数え上げてみる。しかしシノギは潰せても検挙されたのは手下とも言えないチンピラばかりで、柏仁会の会長たる槙原省吾には捜査の手すら及んでいないことも思い出す。
そんなことを考えていたために綾香が小さな赤い紙包みから、ほんの僅かな粉を京哉のコーヒーに投入したことなど全く気が付かずにいた。
「で、僕に何の用でしょうか?」
「用だなんて。あたし、貴方が気に入ったの。それだけじゃいけないの?」
てっきり京哉は綾香が槙原省吾からメッセージでも預かって自分に近づいたのだと思い込んでいたのだ。機捜に異動する前に所属していた真城署では『幽霊署員』とまで言われていたこの自分を気に入るとは、余程綾香は目が悪いのかと心配までしそうになる。
「そうですか。でも貴女は一応旦那さんもいる身ですし……」
「あたしの浮気心なんて、槙原はもう慣れてるわ」
「だからって浮気の相手はただでは済まないでしょう?」
「さあ、そこまであたしは知らないし、興味もないもの」
無責任極まりない科白を吐いて綾香は三人掛けソファで京哉に身を寄せてきた。最初からソファの端に座っていた京哉はそれ以上後退することもできず、煙草とコーヒーに集中しているふりをする。そして一本吸い終えるとコーヒーを半分以上残して立ち上がった。
「すみません。つれが待っているので失礼します」
「霧島カンパニーの霧島忍さんね、警察官で警視の」
「はあ、よくご存じですね。では」
「まあ、ウィンザーと張り合おうというくらいだからな」
足元には磨き抜かれたマーブルが敷き詰められ、二階まで吹き抜けとなった天井からは巨大なシャンデリアが下がり虹色の光を降り撒いている。右手のロビーには本革張りのソファとロウテーブルが幾つも置かれ、向こうにはガラス張りのカフェテリアがあった。
ロビーもカフェテリアも過ごす人々のうち、男性の半数以上がタキシード着用で、熱帯魚の如く色鮮やかな裳裾を揺らす女性陣を引き立てている。
左側のカウンターに待機したフロントマンたちから微笑みを投げられつつ、二人は歩を進めてエレベーターホールに向かった。宿泊者以外でも利用可能なエレベーターの一基に乗ると、ホテルマンに霧島が「白藤経済振興会の定例会だ」と告げる。
だがホテルマンがボタンを押す寸前に、新たな客たちがエレベーター内に滑り込んできた。新たな客は男五名に女一名の大所帯だったが、エレベーターは広くて息苦しくは感じない。
しかしパウダーピンクのイブニングドレスに毛皮のショートコートを着た女性の香水が濃く匂って、嗅覚の異常に鋭い京哉は鼻呼吸を一時中断する。
目的地のパーティー会場は最上階のひとつ下の階にあった。
どやどやと六名が先に降り、そのあとを追うように霧島と京哉も降りる。そこで六名のうち四名の男たちが残りの男女二名を囲んで素早く鋭い視線を周囲に走らせた。その様子を眺めながら京哉はふいに気付いて霧島に囁く。
「忍さん、あの人たち、ジャケットの下に銃吊ってます!」
「分かっている。囲まれている男は指定暴力団・柏仁会の会長だからな」
「えっ、本当ですか? それにしては若いかも」
上品な紺のオーダーメイドスーツに身を固めた男は、まだ三十代中盤のように京哉には見えた。それに同伴している女性は更に若く、二十二、三かと思われる。
「じゃあ、あれは柏仁会会長の愛人ってことですか?」
「パーティーには本妻を同伴することが多いだろうが、柏仁会の会長は未だ独身だ」
「ふうん。あんなに若くて綺麗なのに、ヤクザの愛人だなんて勿体ない」
そんな京哉の呟きを聞きつけ、霧島は涼しい表情の眉間に僅かな不機嫌を溜めた。単純に女性を褒めたのが気に食わなかっただけである。自分と違って京哉は元々女性がだめではない。異性愛者なのに霧島自身がこちら側に引っ張り込んだのだ。
お蔭でこれまで何度嫉妬に駆られてきたことか。だが年上のプライドで口には出さない。
「通報したいところだが、ここで銃撃戦をする訳にもいかん。時間だ、行くぞ」
「あ、はい。国会議員先生や企業の社長・会長も目白押しですもんね」
エレベーターの真ん前にパーティー会場の大ホール『真珠の間』はあった。その手前のクロークでコートを預け、次に並んだ係の女性たちの前で出席簿に記帳する。すると係の女性三人が目を輝かせ、声まで裏返して殆ど叫ぶように言った。
「霧島カンパニーの霧島忍さまと鳴海京哉さまですね!」
それを聞いて今度は京哉が少々気を悪くした。黄色い声で辺りの皆が振り向き注目を浴びたからだ。我ながら大人げないと思うが、京哉は年上の愛し人が皆に見られるのが気に食わない。
会場に入った途端、シャンパングラスを手にするのもそこそこに人々から囲まれた挙げ句、自分の知らない人間とフレンドリーに握手するのを目にしては尚更だ。
だが仕方ない。京哉を助けた一件で当時の県警本部長が暗殺肯定派だったこともあり、霧島は機捜を勝手に動かした責任を問われ厳しい懲戒処分を食らっていた。
その停職中に京哉との密会を週刊誌にスクープされたのを皮切りに警察の記者会見や霧島カンパニー絡みでもメディアにたびたび露出している。
それ故、霧島自身は知らずとも相手が霧島を知っているというパターンが多いのだ。
おまけに霧島カンパニー次期本社社長なる噂も名高い上、人目を惹くルックスである。これで周囲に放っておいて貰えると思う方が間違いだろう。
いつの間にか始まっていたパーティーの中、霧島に一言挨拶しようという人々が既に列を成し、アイドルの握手会さながらの様相を呈していた。
だからといって京哉も他人事ではなく、霧島と同伴している以上、曖昧な微笑みを浮かべながら、指紋が擦り減るほどの握手に応えなければならない。
そうして一時間ほどを過ごすとやっと握手会の列も捌けた。そこで今がチャンスだとばかりに会場の壁際に設置されたテーブルまで移動し、霧島と共に腹ごしらえをする。
ボーイのワゴンから京哉は赤ワインを貰い、マナーも完璧な霧島を見習いつつ、オマールエビだの鴨肉だのといった自宅ではあまり食せないものを中心に味わった。
だが霧島と一緒に三皿目を平らげて、気付くと周囲は溢れるような色の洪水になっている。壇上で小編成のオーケストラがワルツを奏で始め、会場の真ん中にダンスエリアが作られていて、つまりはダンスタイムに霧島と踊ろうという女性陣が押しかけたのだった。
「忍さん、踊ってきてもいいですよ。僕は一服してきますから」
「何を言っている、最初に踊る相手は妻と相場が決まっているだろう」
「この上、まだ目立つ行動を取るんですか?」
「私だけを晒し者にするな。では、一曲お相手をお願い致します」
皿とグラスをテーブルに置いた霧島が、京哉に対して何処の貴族かと思うような優雅な礼をとる。ここまできたら諦めるしかない。京哉も皿とグラスをテーブルに置き、礼を返した。囲んだ女性陣が「きゃあっ!」と騒ぐ中、その場で二人は踊り始めた。
BGMはくるみ割り人形から『花のワルツ』だ。狭い場所ながら霧島は見事にリードしつつ京哉をターンさせる。そうして数分の短い曲を踊り切ると、女性陣から割れんばかりの拍手が湧き起こって大ホールの皆が振り向いた。
それからは女性陣が次々と霧島にダンスパートナーを申し出て、もう踊らなければ収拾がつかないほどの騒ぎとなる。ボルテージを上げた女性陣を前に、自分は女性役だと植え付けることに成功した京哉は、霧島に手を振ってその場を離脱した。
目的地は隣のスモーキングルームだ。だが人の輪を抜け出た所でふいにスーツの裾を掴まれる。振り向くとパウダーピンクのイブニングドレスを着た柏仁会会長の愛人が小首を傾げて京哉を見ていた。本人ではなく隣に立った柏仁会会長が苦笑しながら口を利く。
「うちのがキミを気に入ったらしい。踊ってやってくれないか?」
「あ、ええ……いえ、はい」
一瞬ためらった京哉だが断る理由も見当たらず、パウダーピンクのドレスの女の手を取った。男役の踊りも一応覚えている。上手くリードする域には達していないので流すように踊った。それでも相手は満足だったらしく、スモーキングルームまでついてくる。
インテリアが茶系のスモーキングルームは派手な装飾もなく、落ち着ける空間だった。三人掛けソファに収まると京哉はボーイにコーヒーを貰い、隣に腰掛けた柏仁会の女は紅茶を貰った。
京哉が煙草を咥えると女も細巻きを咥え、細身のガスライターで火まで点けてくれる。どうやら話し相手も務めなければならないらしかった。
「あたし、綾香よ。深山綾香っていうの」
「はあ。僕は――」
「知ってる。鳴海京哉さん、警察官よね。夫に聞いたの」
名前を憶えられていても嬉しくなかった。確かにこれまで京哉たちは柏仁会のシノギを何度も潰してきた。だがそれは特別任務の付録のようなもので、二人で直接柏仁会を叩いた訳ではない。故に個人名まで柏仁会に売れているとは思ってもみなかったのである。
まさかここで弾かれるかと疑念が湧いて辺りに視線を走らせた。綾香の情夫である会長はスモーキングルームにまでついてこず、ガードらしい男が一人、スモーキングルームの出入り口に立っているのみである。僅かにホッとして煙草を味わいコーヒーを飲んだ。
ニコチンを補給して少々余裕の生まれた京哉は、過去に柏仁会の絡んでいた特別任務を数え上げてみる。しかしシノギは潰せても検挙されたのは手下とも言えないチンピラばかりで、柏仁会の会長たる槙原省吾には捜査の手すら及んでいないことも思い出す。
そんなことを考えていたために綾香が小さな赤い紙包みから、ほんの僅かな粉を京哉のコーヒーに投入したことなど全く気が付かずにいた。
「で、僕に何の用でしょうか?」
「用だなんて。あたし、貴方が気に入ったの。それだけじゃいけないの?」
てっきり京哉は綾香が槙原省吾からメッセージでも預かって自分に近づいたのだと思い込んでいたのだ。機捜に異動する前に所属していた真城署では『幽霊署員』とまで言われていたこの自分を気に入るとは、余程綾香は目が悪いのかと心配までしそうになる。
「そうですか。でも貴女は一応旦那さんもいる身ですし……」
「あたしの浮気心なんて、槙原はもう慣れてるわ」
「だからって浮気の相手はただでは済まないでしょう?」
「さあ、そこまであたしは知らないし、興味もないもの」
無責任極まりない科白を吐いて綾香は三人掛けソファで京哉に身を寄せてきた。最初からソファの端に座っていた京哉はそれ以上後退することもできず、煙草とコーヒーに集中しているふりをする。そして一本吸い終えるとコーヒーを半分以上残して立ち上がった。
「すみません。つれが待っているので失礼します」
「霧島カンパニーの霧島忍さんね、警察官で警視の」
「はあ、よくご存じですね。では」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる