Even[イーヴン]～楽園10～

第18話（BL特有シーン・回避可）

　互いに顔を近づけてキスをする。重ね合わせた唇を捩り、シドの舌がハイファの歯列を割った。柔らかな舌を捉え、絡め合わせて唾液ごと強く吸う。

「んんぅ……ン、んんっ……はあっ」

　ハイファを解放したシドは上体を起こし、背をヘッドボードに預けた。脚の間にハイファを座らせる。薄い背中と明るい金髪の頭を自分の胸に凭れさせた。
　長い髪を除けてうなじに口づけ、舌を這わせながらハイファのガウンの紐を解く。前をはだけた。白く滑らかな胸から腹を愛撫する。

　優しい手つきとうなじを辿る温かさにハイファは身を震わせた。

「……あっ、ふ……ぅうんっ」

　両方の胸の小さな尖りを摘むと指の腹でそっと擦って転がす。それだけでハイファが吐息を浅く速くするのが分かった。指先に感じる突起も硬く凝って感触が酷くそそる。

「ほら、こんなに赤い、硬くなったぜ」
「んっ……だって、あっ……はぁん」

　反応を愉しみながら慈しむようにポイントをシドは撫で上げてゆく。そのたびに躰の至る処に炎を灯されるようで、ハイファは喘ぎを洩らすのを止められない。
　露わにされた下半身に疼きが溜まり、もう成長させきってしまっているのが恥ずかしい。

「隠すなよ、俺だって」

　躰を揺らしたシドは薄いガウンを通し、自分のものをハイファの腰に擦りつけた。シド自身の形すら分かるまでに勃ち上がらせ硬くしている。
　堪らなくなったハイファが腰を動かして更にシドを擦った。初めから強く擦って想いをアピールする。

「う……くっ……ぁあ」

　思わず呻きを洩らしたシドは斜めにハイファを覗き込んで睨んだ。

「こら。人がせっかく優しくしようと思ってだな――」
「優しくなくていい、好きにして……愛してる」
「ったく、そんな色っぽい顔しやがって」

　素早くガウンを脱ぐとハイファの袖も抜かせた。素肌同士を強く擦り合う。伸ばした手がハイファの下半身をまさぐり熱く硬いものを握り込んだ。
　扱くと先端から透明の液体が溢れ出しシドの手を濡らす。ハイファは羞恥を覚えたが止められるものでもない。

「……はぁん……そんなにしたら、あんっ！」

　銃を扱う関節の張ったシドの手は幾度もハイファを追い上げては寸前で逸らした。翻弄されたハイファはぐったりとシドの胸に体重を預ける。
　嬉しいけれど文句を言った。

「意地悪、しないで……もう――」
「分かった、覚悟してろよ」

　二人の熱く硬いものから零れた蜜をシドは右手の指に絡めた。それを見せつけるように若草色の瞳の前で踊らせてから浮かせた細い腰の下を探る。一本目の指を挿し入れた。

「あっ、ぅうんっ……はうっ！」
「ハイファ、もう少し力抜け、傷つける」

　いつも深爪して整えている指が食いちぎらんばかりに締め付けられている。

「んんっ……無、理……いいから、奥まで……」

　羞恥を滲ませながらも素直に乞うたハイファにシドは深々と指を突き立てた。きつくも柔らかな内襞を擦り上げ、指が攣りそうなくらいに掻き回した。ほぐしつつ指を増やす。

「ああっ、あっ、ふ……ああんっ！」

　とめどなく喘ぎを洩らしながら背をしならせハイファは腰をうねらせる。太く硬いシドを受け入れる準備をさせられながら、強い快感は羞恥を塗り潰していつしかシーツに上体を預けて細い腰を高く掲げた、秘部も露わな淫ら極まりない姿態をとっていた。

　そんなハイファの乱れようにシドも堪らなくなり夢中でハイファを擦り続ける。

　内襞がぬるんでクチュクチュと音を立て出すとシドはそっと指を抜いた。快感が途切れて思わずハイファの躰が不満げに指を追う。そこにシドは己の滾ったものを押し当てた。

「入れるからな」
「うん……あっ、ああっ……はうっ！」

　なるべくハイファの呼吸に合わせてゆっくりと挿入し、白い躰に太いものが咥え込まれてゆく様を愉しみたかったシドだが、蠕動し絡みついて奥へと誘い込んでくる内襞の感触に堪えきれなくなる。途中から思い切り突き上げて、ハイファに悲鳴のような喘ぎを洩らさせた。

　心配になったシドは次には締め付けられて呻きを抑えるので精一杯となる。

　根元までをハイファに埋めて耳に綿でも詰めたようにシドは全てを遠くに感じた。きつく狭くも柔らかなハイファの中の居心地の良さに暫くは動けない。

「苦しくねぇか？」
「苦しい、くらい、シドでいっぱい……んんっ」

　指とは比べものにならない太さのものを受け入れて苦しさがない訳はないだろう。だがそれもすぐに快感に変わる。大きくシドが腰をスライドさせた。細い腰を両手で掴んで手繰り寄せるように突き上げる。途端に二人を思考が白く灼けるような鋭い快感が襲った。

「……あっ、あっ、シド、んっ……すご、い」
「ハイファ、っく……お前の躰、こんなに俺とひとつになってるぞ」
「ん、嬉しい……ああん、シド、太いよ……シド！」

　何度も細い躰を揺らす。シドを深く深く咥え込んで上気したハイファの躰は桜色に染まっていた。シーツを掴み締め、自分を貫くシドを全身で感じているようだ。

　奥深くをこねるように力強く突き上げると、ハイファも合わせて細い腰を波打たせる。先端のくびれ付近までをずるりと引き出しては激しく芯までを引き裂くように貫いた。

「んっ……シド、もう、だめ――」
「俺も……くっ、一緒に……ハイファ」

　シドの手がハイファの熱く硬いものを握る。更に速めた激しい突き上げと同調させて扱き上げる。叩き付けるように数度スライドした。手と体内で互いの予兆を知る。

「シド……ぅうん……んっ、はあんっ！」
「ぁあっ……ハイファ、くっ……あうっ！」

　ハイファはシドの手の中で、シドはハイファの芯に届かせて、二人は同時に爆ぜさせていた。幾度も躰を痙攣させて放つ。
　だが手を拭ったシドは未だ治まりを知らず、今度は力の抜けたハイファを仰向けにして脚を思い切り開かせる。

「いいか、ハイファ？」
「乗っかっておいて何を……あっ、あうっ！」

　勢いよく突かれてハイファは躰を跳ねさせた。潤んだ目から堰を切って涙が零れる。芯の奥まで貫かれ、こじ開けられては快感を抉り出されて喉から勝手に高い喘ぎが洩れた。

「……くっ、あ、ハイファ……ハイファ！」
「シド……ここに、いるから……はぅんっ！」

　飽くことなく自分の躰に没頭して身を埋め続けるシドの逞しい背に腕を回す。象牙色の肌を重ねたシドが白い胸に幾つもの赤い印を刻んだ。
　
　吸い上げられ、突き上げられるたびに、手は思わずシドの背に爪を立てる。
　容赦のないシドの攻めに瞑ることもできなくなった若草色の瞳と黒い目が合った。逸らさないままハイファは口を開く。

「はあっ……ごめんね、シド……あぅんっ！」
「何がだ？　俺こそ、こんなに……すまん、くっ！」