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第30話
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翌朝、二人は九時過ぎに起き出した。
夜の日で窓外は暗く、朝という実感が湧かないままに交代でリフレッシャを浴び、着替えて執銃する。その間ホロTVを点けてみたがローマン王暗殺は未だ伏せられているらしく、どの局のニュースもその話題に触れてはいなかった。
「で、キースをどうするってか?」
「お昼過ぎまで起きてこないんだから、こっちの用件だけでも済ませちゃおうよ」
置いていくのは多少心配でもあったが付き合って寝ている訳にもいかない。着替えて執銃すると一五〇七号室をあとにする。
一階に降りてフロントに外出を告げエントランスから出ると、少し歩いて目についたカフェテリアで朝食を摂った。ものの十分ほどで腹を満たしシドが煙草を一本灰にすると、さっさと外に出てタクシーに乗り込む。
二十分ほど走らせて停止し接地させたのは、昨日スナイプ前に立ち寄った公園の前だった。狙撃ポイントが近いためだろう、戦闘服の兵士たちの乗った軍用コイルが低速で何台か通り過ぎて行った。僅かに二人は緊張したが誰何されることはなかった。
「リモータ発振はしたのか?」
「うん、モーリンにね」
公園に足を踏み入れる。昨夜とは打って変わって空は晴れていた。都市の光害で星々は少なかったが、空気は清冽なまでに澄んでいる。半月のアトロが赤い。
白い息を吐き、ざくざくと雪を踏み締めて遊具の場所まで来た。モーリンからちゃんと伝わっていたようで、既に箱ブランコの傍には人影があった。
二人が近づくと人影は怪訝そうな顔を振り向ける。
「シドにハイファスだっけ、僕に何の用なんだよ?」
「ビル……ウィリアム=エヴァンズ。お前エヴァンズ商会の社長なんだってな」
シドの言葉にビルは大人ぶった仕草で肩を竦めた。
「何だって会社社長がブロッサムハウスにいるんだ?」
「父さんが死んで二年、母さんが死んで一年と少し。ブリジットがたった一人、母さん方の遠い親戚なんだ」
「それでお前は、お前の会社がやっている武器密輸のことを知っているのか?」
ビクリと少年の肩は揺れたが、黒い瞳の厳しさに隠せないと悟ったらしかった。
「……ブリジットがね、エヴァンズ商会のお金を使い込んじゃったんだ。ブロッサムハウスにお金が足りないって、このままじゃみんながバラバラになっちゃうって」
「まさかビル、それを穴埋めするために貴方が自分で密輸をしてたの?」
ハイファの問いに頷いた少年の横顔は酷く疲れ切った大人のようだった。
「母さんが社長のときにロニアの出張所から『儲け話がある』って言われてて、でも母さんはずっと無視してた。けれどブロッサムハウスにお金が要るようになって……端末を少し弄るだけで簡単に解決できちゃって、僕も吃驚したんだ」
「その武器でどれだけの人間が傷ついて死んだと――」
「分かってるさ! 父さんも母さんも武器で死んだんだからな! だけど僕たちにはお金が必要だったんだ!」
アンビヴァレントな感情に揺れ、激昂する少年にシドは静かに告げた。
「お前の夢、テラ本星にまで武器が流れてる。そんな所にみんなをつれて行きたいのか? それにこのままだとエヴァンズ商会にもテラ連邦議会が手を入れることになるぞ」
少年は二人に縋るような目を向ける。
「僕、死刑になるのかな?」
「僕らは犯人を捕らえるのが目的じゃない。今すぐ密輸をやめること、それだけだよ」
ややホッとした様子で少年は箱ブランコに積もった雪で雪玉を作った。ふたつ積み上げて小さな雪だるまを作りながら少年は囁くように呟いた。
「何で僕たちはテラ本星に生まれなかったのかな? 何で生まれたときから戦争やってるんだろう? どうして目の前で親を殺されなきゃならなかったのかな?」
シドとハイファを見上げた茶色い目は今にも泣き出しそうだった。
「僕は明日のパンと、ちょっぴりの夢のために武器を売った……何でだめなのかな?」
言葉に詰まったハイファの傍でシドは握り締めた雪をビルに投げつける。雪は茶色い髪の頭にクリーンヒットして割れ落ちた。
「痛ってーな、何すんだよ?」
「バカ野郎、駄目なモンは駄目なんだ、とっくに解ってるから自分がキツいんだろうが! 自分だけが理不尽な人生に振り回されてるみたいな顔してんじゃねぇよ!」
隻腕のイヴェントストライカと少年の雪合戦はいい勝負だった。
「本当に密輸はやめるって約束するんだな?」
「やめる、約束するよ。じゃあ、ジュリアたちが待ってるから」
全身から湯気を立て、笑顔で少年は手を振り帰って行った。
凍るような寒さの中でハイファはシドの額の汗をハンカチで拭う。
「お疲れ様でした」
「疲れちゃいねぇよ。けどあいつ、誰かに話してしまいたかったのかも知れねぇな」
「そうかもね。すごくすっきりしたみたいだったもん」
「ともかくやっと一件片付いたぜ」
「あとはロタール=クリューガーだけだね」
「そいつが最大の難関なんだがな。駐屯地には俺が行くからな」
「貴方は拙いって言ってるじゃない。僕が行くよ」
またも言い争いに決着はつかず、取り敢えず二人は公園前に停車したままだったタクシーに乗り込んだ。泊まっているホテルよりもかなり前で降りると、衣料品店で軍の放出品の戦闘服からブーツまでの一式を二揃い手に入れる。
大きなバッグにそれらを放り込んでハイファが担ぎ、ホテルの一五〇七号室に戻ると既に昼だった。もういいだろうと隣室のキースに発振する。
「おっかしいなあ、返事がこないよ」
「まだ寝てやがるのか、暢気な刺客もあったもんだぜ」
繰り返し発振しても何の返答もなく三十分が経ち、仕方なく二人はキースを叩き起こすべく一五〇八号室の前に立った。オートドア脇のパネル、音声素子が埋め込まれた辺りに声を掛ける。
「キース、もうお昼過ぎたよ。起きて!」
「いい加減に起きろ、起きてメシ食え! ダイエットには百万年早いぞコラ!」
ノックをしても返事がないのには、さすがに二人も拙いのではないかと思い始めた。
「強制執行だ。ハイファ、開けてくれ」
「アイ・サー」
リモータからリードを引き出してパネルに繋ぎコマンドを幾つか打ち込むと十秒ほどでキィロックが解ける。センサ感知して開いたドアから二人は室内に踏み入った。
「わあ、やられたかも」
狭い部屋のトイレやバスルームまで覗いたが、何処にもキースの姿は見当たらない。
「いつ起きて出て行ったんだろ?」
「起きるっつーより、眠った形跡もねぇぞ」
シングルのベッドは綺麗にメイクされたままで、シーツには腰掛けた程度の乱れしか残されてはいなかった。ということは昨夜ここに戻った直後にいなくなったのだ。
「まさか拉致られたとか?」
「テレポーターが、か?」
「だよねえ。じゃあ、やっぱり?」
「独りで中央駐屯地のロタール=クリューガーの寝込みを襲いに行ったんだろうな」
人を殺す難しさを学んだキースは、それを活かすべく実行したのに違いなかった。
だがもう九時間も経っている。離れていても届いている筈の発振にすら応答しない。
「とっくに殺されちゃったんじゃ……」
「いや。キースだとバレなきゃ簡単に殺されやしねぇし、キースだとバレたら余計に簡単に殺されやしねぇ、政治的取引になるだろ」
「それもそうだよね」
あっさりと納得した薄愛主義者の別室員は一五〇七号室に帰るべく踵を返した。そのとき部屋の中央の空間が揺らめいて人影が現れる。
「キース、帰って――」
「ハイファ、待てっ!」
シドの手はレールガンに伸びていた。同時に気付いたハイファもテミスコピーのグリップを握っている。目前に現れたのはキース一人ではなかった。濃緑の軍服を着た銀青色の髪の男はロタール=クリューガーその人である。
キースは敵軍総司令官の両腕に抱かれ、その身はぐったりと力を失くしていた。
夜の日で窓外は暗く、朝という実感が湧かないままに交代でリフレッシャを浴び、着替えて執銃する。その間ホロTVを点けてみたがローマン王暗殺は未だ伏せられているらしく、どの局のニュースもその話題に触れてはいなかった。
「で、キースをどうするってか?」
「お昼過ぎまで起きてこないんだから、こっちの用件だけでも済ませちゃおうよ」
置いていくのは多少心配でもあったが付き合って寝ている訳にもいかない。着替えて執銃すると一五〇七号室をあとにする。
一階に降りてフロントに外出を告げエントランスから出ると、少し歩いて目についたカフェテリアで朝食を摂った。ものの十分ほどで腹を満たしシドが煙草を一本灰にすると、さっさと外に出てタクシーに乗り込む。
二十分ほど走らせて停止し接地させたのは、昨日スナイプ前に立ち寄った公園の前だった。狙撃ポイントが近いためだろう、戦闘服の兵士たちの乗った軍用コイルが低速で何台か通り過ぎて行った。僅かに二人は緊張したが誰何されることはなかった。
「リモータ発振はしたのか?」
「うん、モーリンにね」
公園に足を踏み入れる。昨夜とは打って変わって空は晴れていた。都市の光害で星々は少なかったが、空気は清冽なまでに澄んでいる。半月のアトロが赤い。
白い息を吐き、ざくざくと雪を踏み締めて遊具の場所まで来た。モーリンからちゃんと伝わっていたようで、既に箱ブランコの傍には人影があった。
二人が近づくと人影は怪訝そうな顔を振り向ける。
「シドにハイファスだっけ、僕に何の用なんだよ?」
「ビル……ウィリアム=エヴァンズ。お前エヴァンズ商会の社長なんだってな」
シドの言葉にビルは大人ぶった仕草で肩を竦めた。
「何だって会社社長がブロッサムハウスにいるんだ?」
「父さんが死んで二年、母さんが死んで一年と少し。ブリジットがたった一人、母さん方の遠い親戚なんだ」
「それでお前は、お前の会社がやっている武器密輸のことを知っているのか?」
ビクリと少年の肩は揺れたが、黒い瞳の厳しさに隠せないと悟ったらしかった。
「……ブリジットがね、エヴァンズ商会のお金を使い込んじゃったんだ。ブロッサムハウスにお金が足りないって、このままじゃみんながバラバラになっちゃうって」
「まさかビル、それを穴埋めするために貴方が自分で密輸をしてたの?」
ハイファの問いに頷いた少年の横顔は酷く疲れ切った大人のようだった。
「母さんが社長のときにロニアの出張所から『儲け話がある』って言われてて、でも母さんはずっと無視してた。けれどブロッサムハウスにお金が要るようになって……端末を少し弄るだけで簡単に解決できちゃって、僕も吃驚したんだ」
「その武器でどれだけの人間が傷ついて死んだと――」
「分かってるさ! 父さんも母さんも武器で死んだんだからな! だけど僕たちにはお金が必要だったんだ!」
アンビヴァレントな感情に揺れ、激昂する少年にシドは静かに告げた。
「お前の夢、テラ本星にまで武器が流れてる。そんな所にみんなをつれて行きたいのか? それにこのままだとエヴァンズ商会にもテラ連邦議会が手を入れることになるぞ」
少年は二人に縋るような目を向ける。
「僕、死刑になるのかな?」
「僕らは犯人を捕らえるのが目的じゃない。今すぐ密輸をやめること、それだけだよ」
ややホッとした様子で少年は箱ブランコに積もった雪で雪玉を作った。ふたつ積み上げて小さな雪だるまを作りながら少年は囁くように呟いた。
「何で僕たちはテラ本星に生まれなかったのかな? 何で生まれたときから戦争やってるんだろう? どうして目の前で親を殺されなきゃならなかったのかな?」
シドとハイファを見上げた茶色い目は今にも泣き出しそうだった。
「僕は明日のパンと、ちょっぴりの夢のために武器を売った……何でだめなのかな?」
言葉に詰まったハイファの傍でシドは握り締めた雪をビルに投げつける。雪は茶色い髪の頭にクリーンヒットして割れ落ちた。
「痛ってーな、何すんだよ?」
「バカ野郎、駄目なモンは駄目なんだ、とっくに解ってるから自分がキツいんだろうが! 自分だけが理不尽な人生に振り回されてるみたいな顔してんじゃねぇよ!」
隻腕のイヴェントストライカと少年の雪合戦はいい勝負だった。
「本当に密輸はやめるって約束するんだな?」
「やめる、約束するよ。じゃあ、ジュリアたちが待ってるから」
全身から湯気を立て、笑顔で少年は手を振り帰って行った。
凍るような寒さの中でハイファはシドの額の汗をハンカチで拭う。
「お疲れ様でした」
「疲れちゃいねぇよ。けどあいつ、誰かに話してしまいたかったのかも知れねぇな」
「そうかもね。すごくすっきりしたみたいだったもん」
「ともかくやっと一件片付いたぜ」
「あとはロタール=クリューガーだけだね」
「そいつが最大の難関なんだがな。駐屯地には俺が行くからな」
「貴方は拙いって言ってるじゃない。僕が行くよ」
またも言い争いに決着はつかず、取り敢えず二人は公園前に停車したままだったタクシーに乗り込んだ。泊まっているホテルよりもかなり前で降りると、衣料品店で軍の放出品の戦闘服からブーツまでの一式を二揃い手に入れる。
大きなバッグにそれらを放り込んでハイファが担ぎ、ホテルの一五〇七号室に戻ると既に昼だった。もういいだろうと隣室のキースに発振する。
「おっかしいなあ、返事がこないよ」
「まだ寝てやがるのか、暢気な刺客もあったもんだぜ」
繰り返し発振しても何の返答もなく三十分が経ち、仕方なく二人はキースを叩き起こすべく一五〇八号室の前に立った。オートドア脇のパネル、音声素子が埋め込まれた辺りに声を掛ける。
「キース、もうお昼過ぎたよ。起きて!」
「いい加減に起きろ、起きてメシ食え! ダイエットには百万年早いぞコラ!」
ノックをしても返事がないのには、さすがに二人も拙いのではないかと思い始めた。
「強制執行だ。ハイファ、開けてくれ」
「アイ・サー」
リモータからリードを引き出してパネルに繋ぎコマンドを幾つか打ち込むと十秒ほどでキィロックが解ける。センサ感知して開いたドアから二人は室内に踏み入った。
「わあ、やられたかも」
狭い部屋のトイレやバスルームまで覗いたが、何処にもキースの姿は見当たらない。
「いつ起きて出て行ったんだろ?」
「起きるっつーより、眠った形跡もねぇぞ」
シングルのベッドは綺麗にメイクされたままで、シーツには腰掛けた程度の乱れしか残されてはいなかった。ということは昨夜ここに戻った直後にいなくなったのだ。
「まさか拉致られたとか?」
「テレポーターが、か?」
「だよねえ。じゃあ、やっぱり?」
「独りで中央駐屯地のロタール=クリューガーの寝込みを襲いに行ったんだろうな」
人を殺す難しさを学んだキースは、それを活かすべく実行したのに違いなかった。
だがもう九時間も経っている。離れていても届いている筈の発振にすら応答しない。
「とっくに殺されちゃったんじゃ……」
「いや。キースだとバレなきゃ簡単に殺されやしねぇし、キースだとバレたら余計に簡単に殺されやしねぇ、政治的取引になるだろ」
「それもそうだよね」
あっさりと納得した薄愛主義者の別室員は一五〇七号室に帰るべく踵を返した。そのとき部屋の中央の空間が揺らめいて人影が現れる。
「キース、帰って――」
「ハイファ、待てっ!」
シドの手はレールガンに伸びていた。同時に気付いたハイファもテミスコピーのグリップを握っている。目前に現れたのはキース一人ではなかった。濃緑の軍服を着た銀青色の髪の男はロタール=クリューガーその人である。
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