Pair[ペア]~楽園22~

志賀雅基

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第29話(BL特有シーン・回避可)

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 密やかに笑い合うと二人ともシャツと下着だけになってベッドに横になる。
 抱き合って上になったハイファは身を起こした。シドの大腿部に座って綿のシャツのボタンをゆっくりと外してゆく。袖を抜かせ、下着を取り去ると、自分も全てを脱いで晒した。

 滑らかな象牙色の肌を優しい手つきで愛撫する。引き締まった腹から逞しい胸を何度か撫で上げ、いきなり噛みつくかのように口づけていた。

「んっ……くっ、あっ、あ――」

 唇から首筋に、胸から腹に、肩に、ありとあらゆる処に舌を這わされ、シドは思わず上体を仰け反らせて喘ぐ。ハイファは飢えてでもいるかのように滑らかな肌を舐めねぶり、甘噛みしては唇で挟んできつく吸い上げた。

「シド……僕のシド、愛してる」
「あっ、く……ハイファ、んっ」

 互いに躰の中心は成長しきってシドのものはハイファの腹に、ハイファのものはシドの大腿部に熱く当たっている。擦られて甘く痛みシドは呻いた。

 軽いハイファの体重を受け止めながら眩暈がするような攻めにシドは堪え続ける。長時間に及ぶスナイプで張り詰めていた神経がハイファにこのような行為をさせているのを承知していて、自分の欲望を暫し抑えつけ、好きにさせた。

「ねえ、欲しいよ……シド」

 膝立ちでシドを跨ぐと、ハイファはいきなり太い屹立を自分の後ろにあてがう。そのまま腰を落とそうとするハイファにシドは焦った。

「ハイファ、それだとお前が――」
「いいの……つらくていい」

 再び透明の液体を零しているシドを掴み、先端を緩やかに動かしてぬめりを広げたのち体重を落としてゆく。ハイファが高く喘いだ。

「んっ……ああん……はぁん!」
「だめだ、ハイファ、傷つける……あうっ!」
「いい、シド……我慢できない、あっふ――」

 喘ぎながらもハイファはほぐされてもいないそこに、熱く滾ったシドをゆっくりと、だが確実に芯まで収めてしまう。だが自ら穿った太い楔に縫い止められたかのように、すぐには動けない。シドの上に座ったまま浅く速い呼吸を繰り返す。

 根元まで収められたシドも強く締めつけられ荒い息をついて耐えていた。

「ハイファ……うっ……きつ、い」
「ん、ご褒美、頂戴……」

 しなやかに背を反らせたハイファがそっと細い腰を浮かせては落とし始める。最初は浅く、徐々に深く、シドと離れてしまう寸前まで引き抜いては自身を貫いた。

 いつしかハイファは激しく腰を上下させている。仰け反った白い喉と揺れる長い髪が妖しいまでの美しさで、我慢できずにシドも下から腰を突き上げ出した。
 途端に苦痛が反転し、堪らない快感が二人を押し包む。

「くっ、あ……ハイファ、すっげえ気持ちいい」
「シド……いい、そこ……ああっ、はぅんっ!」

 細い躰を思いやる気持ちがある一方で、シドは腰が蕩けるような快感に酔い、妖艶なハイファを目茶苦茶に汚してしまいたい欲望に駆られる。蠕動して絡みつく内襞をちぎらんばかりに突き上げ貫いて芯を掻き回し、こね回して揺さぶった。

「あぅっ、シド、もう……だめ」
「俺も、ハイファ……一緒に――」

 ハイファがシドの右手を掴む。指を絡め、爪を深く食い込ませた。

「あっ、あっ……シド、ああっ!」
「うっ……ハイファ、くぅっ!」

 体内を熱く濡らされると同時にハイファはシドの腹から胸にかけて弾けさせていた。

 細い躰が頽れそうになった瞬間、素早くシドが上体を起こして抱き竦めている。躰はひとつに繋がったまま、シドはハイファの中でまだ熱く硬く充血させていた。愛しい躰を片腕でしっかりと抱き、シドは膝に載せたハイファを激しく揺さぶり続ける。

「……そんな、や、あ……ああんっ!」
「ハイファ……ハイファ、すまん、くっ!」

 美しくも淫らに乱れたハイファを目にして止めようのない情動の奔流がシドを支配していた。貫いた芯の、その奥まで突き立てて粘膜を擦り上げる。隙間なくハイファを自分で埋め尽くしてしまいたかった。

 深く穿たれたハイファは上下感覚も失くすほどに揺らされ、叫ぶような喘ぎを絶え間なく洩らす。意識さえ飛びそうな強烈な快感に溺れながらも求められるままに身を差し出し続けた。

「シド、はぁんっ! 僕の、シド……あぅんっ!」
「お前だけだ、ハイファ……俺の、ハイファ!」

 乱れた金髪に、涙が溢れ出したまぶたに、耳朶に、幾重にもキスを降らされながら、ハイファはシドの逞しい躰にしがみつく。

 やがて二人の体温で室温すら上がったかと思われた頃、荒い息をつくシドに注ぎ込まれながらハイファもシドの腹に白濁をぱたぱたとぶつけていた。

 そのまま心地良い眩暈に身を任せたハイファの躰から今度こそ全ての力が抜ける。

「――ハイファ?」

 抱いた細い躰をシドはそっと横にさせた。暫し息を詰めて見守ったが呼吸も表情も穏やかなのが分かって安堵する。気絶するように眠りに落ちたらしい。

 煌々と灯ったままの天井のライトパネルは二秒で諦め、毛布を被せて自分も横になった。
 短い左腕でハイファを腕枕すると右手で長い金髪を梳きながらシドも目を瞑る。
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