Shot~Barter.9~

志賀雅基

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第33話(注意・暴力描写を含む)

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 直後に服を掴まれ上体を持ち上げられた。唇をねっとりとしたもので塞がれ、それがニックスの唇だと気付くまでに数秒かかる。食い縛った歯列は意地でも割らない。

 息まで止めて更に数秒、唇が離れてから喘ぐように息を吸い込んだ。

「東洋のお嬢さんは根性があるな」
「ふざけるな、貴様こそ覚悟していろ!」

 いっそのこと受け入れて舌でも噛んでやるべきだったと思いつつ、喉を突かれて声帯でも傷ついたかひび割れた掠れ声で喚いたが男たちは嗤うばかりである。
 霧島は都合五人の男たちを順に睨みつけた。

「なるほど、堕とし甲斐がありそうだな」

 評したのはドン・ガーウィン、ドンはガードに顎で指示をした。捲られたままの腕に痛みが走り、またも注射針が突き立てられているのを知って暴れる。だがガードたちに押さえつけられて、たちまち三本分もの液体が体内に注入された。

 しかし射たれてたった数秒後、霧島の心からふいに焦りが消えた。それどころか柔らかな安堵のようなものが広がって脚の傷の痛みすら遠ざかる。縛めの樹脂バンドも断ち切られた。
 背筋を伸ばし座っていたつもりだが、そのまま眠りに就けそうな気分の良さだ。

「いい目に合わせるのが本意じゃないんだが」
「分かっている。先に自分の立場をよく知っておいて貰おう」

 ニックスとドン・ガーウィンが頷く。目の動きだけでドンから指示されたガードが霧島に銃口を向けた。撃たれると覚悟した刹那、放り出されてガードの一人に跨られる。
 ドレスシャツの前を開けられるに及んで霧島は急激に安堵から浮上し冷たい汗を全身から噴き出させた。

 ベルトに手をかけられ緩められて思い切り暴れる。他人の手の感触が吐き気を催すほど気色悪かった。幾ら同性愛者でも霧島は根っからの雄である。想定外の事態に思い切り焦った。

「やめろ、くそう……重い、退け!」

 日本人としては飛び抜けて身長こそ高い霧島だが、相手はこの国でもガードを職業とするガタイのいい男たちだ。ウェイト差のある男三人に押さえつけられて殆ど身動きもままならない。
 更には頭に銃口をねじ込まれていた。それでも諦めることを知らない防衛本能から暴れに暴れる。だがクスリの影響だろう、躰が妙に軽いのだ。

 蹴り飛ばそうとする足の動きも我ながら緩慢で、振り回す腕も簡単に押さえられ、自分でも本気で抵抗しているように見えない。その間に気味の悪いガードの舌が腹から胸を舐め上げる。総毛立ちながらも全力での抵抗は全てが軽く押さえ込まれたままだ。

「この野郎、退け! やめ……くっ!」

 掠れた声は声にならない。上衣を脱がされて象牙色の肌を舌が何度も行き来する。

 ニックス=イヴァンとドン・ガーウィンの粘っこい視線が霧島に向けられていた。抵抗を押さえ込むガードたちも舌舐めずりし、喉を鳴らしてショウのクライマックスを期待し目を輝かせている。東洋人の人質を貶め辱めて徹底的に堕とすショウだ。

 やがて下衣を引き剥がされ、押さえ付けられた自分の脚の間でガードがゆっくりとベルトを緩めて己のものを露出する。霧島は身動きもできぬまま冷や汗を流し続けるしかない。

 ガードのものが自分にあてがわれ、霧島は自身の躰から即座に心を切り離した。瞬時に霧島は京哉との行為の記憶に逃げ込む。そして扉を閉めた。

 直後、霧島はガードにものを強引に挿入され貫かれた。

「うぐっ……チク、ショウ、あうっ!」

 切り離し逃げ込んだ心は唯一人を想い映していた為に、護られている状態と云えた。だが躰は苦痛に対して正直だった。
 誰にも馴らされたことのないそこをガードは文字通り引き裂いていた。身を揺らされるたびに生温かい己の体温と同じ温度の液体が背の下に流れ込む。

 体内まで裂かれなければマシかと霧島は半ば冷静に思っていた。

 それをやられると症状が深ければ腹膜炎で死に至る。そういう重篤な事態に陥らなければ、こんなことでこの自分を貶めたり辱めたりできると考える方が浅はかだ。

 そう思いながらもこれまで経験したことのない種類の激痛と異物感はずっと続き、唐突に耐え切れなくなった霧島は顔を横に向けて吐く。胸も喉も酷く痛んだ。

「ゲホッ、くそう……やめろ、早く抜け、ゲホッ、ゴホッ!」

 吐くべきものもなく胃を絞るような苦痛に涙を滲ませる。もはや溢れた血を冷たく感じるほどの灼熱の痛みを覚えていた。
 何度も吐いて朦朧とし、嘔吐感と喉の激痛、それに嬲られている灼熱の痛みが綯い交ぜになって霧島は呼吸困難を起こしかける。

 心は逃がしても躰は現実の苦痛に晒され、更には貧血で酷い目眩が始まっていた。

「やめ、頼む……抜い、くっそう――」

 何度叫ぶも喉の潰れた霧島の声は掠れた囁きにしか聞こえない。数人掛かりで押さえつけられ、呼吸すらままならず血を吐きながら懇願しているうちに全身を貫くような激痛に眩暈、貧血から本格的に気が遠くなる。

「すごいな、いい具合だぜ」
「いいから、早く抜け……こっちは痛いんだ……うっく、あうっ!」

 現実から逃れるように霧島は意識を暗転させた。
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