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第33話
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飛び出すなり霧島は広い駐車場を見回し駆け出した。二人の部長と京哉に遅れること十数秒、最初に曲がった所で京哉たちを見つける。
まさに部長たちと京哉がシルバーのステーションワゴンに乗り込むところだった。
そこには既に二人の仲間、坂下と本木の姿もあった。坂下と本木が描いたシナリオ通りに部長二人は動いたに違いない。
二人の部長の銃が京哉の頭から逸れているのを見取って声を出す。
「待て! 西尾組の手下だな?」
当然ながら追っ手と思われて四つの銃口が一斉に霧島の方を向いた。それが火を噴く寸前に霧島は両手を挙げて足を留めている。ここでも刺激しないように抑えた声で持ち掛けてみた。
「ついでに私も人質にして貰えないだろうか?」
「ちょっ、忍さん! 何を言い出すんですか!」
ギョッとして京哉が食いつき、坂下と本木は不審そうな顔をする。値踏みする目で霧島を暫し窺っていたが、ぼそぼそと相談した挙げ句に人質が増えるのを了承した。横柄に「来い」と命じられた霧島は間違っても弾かれないようゆっくり歩を進める。
「忍さん、貴方どういうつもりですか!」
「大声を出して素人を刺激するな、京哉」
宥めるように低く囁いた霧島も覆面でステーションワゴンを尾行することを考えないではなかった。だが万が一、失尾してしまったら京哉一人を危険に晒してしまう。
前回の件で京哉は単独で暴力団に乗り込んだ挙げ句に暴行され、大きな傷を負わされて霧島が発見した時には血の海の中で息絶えているとさえ思ったのだ。
そんな京哉を二度と見たくない。何処とも知れない場所で生死も知れぬ京哉を思い彷徨うことには耐えられない。だから霧島には他の選択ができなかったのである。
喩え普段の冷静さを保っていたとしても、おそらく譲れなかっただろう。
京哉と並んで霧島もシルバーのステーションワゴンに押し込まれた。位置は三列シートの真ん中だ。あとから後部に二人の部長、霧島の隣に坂下が乗り込み、ドアが閉められて運転席に本木が座るとステーションワゴンはすぐさま走り出した。
左側と後部から三丁分の銃口をねじ込まれながらも人質二人はつつき合いだ。
「貴方まで人質になったら誰が助けに来てくれるんですか?」
「私はもうお前一人を危険な目に遭わせられん」
「だからってこれは極秘案件なんですよ。野坂室長が通報していても県警が動けるかどうか分からないのに、いったいどうするんです?」
「どうもこうもない、既に本部長とは喋った。全ては私一人に任されたんだ。任され決めた以上は誰にも文句は言わせん。お前を一人にはしない。分かってくれ」
「それは僕だって忍さんが一緒なら嬉しいですけど……」
「ならばお前も文句はないな。一蓮托生だ」
部長たちと取り立て屋も喋っている。どうやら部長たちが武器弾薬とヘロインを隠した残りがあるらしい。それらの全てを西尾組に渡す代わりに取り立て屋たちは部長たちの誘拐劇を手伝い、このあとの逃避行もお膳立てしてやる予定らしかった。
ステーションワゴンは淡々と白藤市内を走っている。まもなく市街地を抜けると郊外の倉庫が建ち並んだエリアに辿り着いた。小ぶりの倉庫前で停止する。原材料研究部長だけが降り、倉庫のドアロックを外して中に入って行った。
十分ほどで出てきた部長はボストンバッグを提げていた。大きさに比して重たそうで、中に武器弾薬やヘロインが入っているのは間違いないらしい。
再び部長が乗り込むと今度はバイパスに乗り、高速に乗り換えて向かったのは貝崎市と南で接する天根市方面だ。天根市に入ると繁華街に乗り入れやがて停まったのは小さなスナックの前だった。古びた看板にそっけなく『夕子』とある。
夜になってから息を吹き返す店舗ばかりの界隈で、スナック・夕子に京哉と霧島が押し込まれた際も目撃者はいないと思われた。
狭い店内の薄暗い空気は煙で満たされていた。三人の男がソファ席でパイプを吸っているのだ。いがらっぽい異臭に顔をしかめた京哉はそれが普通のパイプでないのに気が付いている。同時に霧島も鋭く京哉を見た。男たちはヘロインを炙った煙を吸引しているのだ。
胸騒ぎがして自らの心に踊らされないよう霧島は口先だけで坂下に訊いてみる。
「商売物に手を出すのは組でも御法度ではないのか?」
訊かれた坂下は霧島に「へっ」と嗤って吐き捨てるように言った。
「霧島さん、あんたらを誘拐した時点で俺たちはワッパかけられる運命だぜ?」
「今どき組に義理立てしても懲役食らって帰ってきたら拍手喝采で迎えて貰えるとは限らねぇ、組がなくなってることもあるんだ。その前に愉しませて貰うのさ」
本木も言って歪んだ嗤いを浮かべた。既にジョーカーを引かされたと察した取り立て屋の二人は仲間と一緒に愉しむだけ愉しんでから武器弾薬とヘロインを元手に国外にでも飛ぶ魂胆かも知れない。
京哉はいよいよ拙い気がしてくる。ヤクザの『愉しみ』が警察官の自分たちにとって快いものである筈がないからだ。
片や同じことを考えて胸騒ぎを確信に変えつつある霧島は、京哉本人を差し置いて華奢な身に向けられた坂下の粘っこい視線に気付いていた。
それは本気で霧島が殴り殺したくような視線で、アクションを起こすなら武装解除されていない今かと思う。ただ敵の全てが銃を持っているとすれば、幾ら霧島と京哉でも自殺行為に近い。
考えていると霧島と取り立て屋の話を聞いていた部長二人が目の色を変えて抗議し始めていた。西尾組の援助で逃亡する計画なのにまるで違ってきたのだ。
虎の子の武器弾薬とヘロインを差し出して自分たち二人分の命を買ったつもりだった部長らは、我を忘れて取り立て屋二人に掴み掛った。取り立て屋たちは部長たちに対し無造作に銃を向ける。
追い詰められて頭に血が上り切った部長二人は恐怖感もなかっただろう。
咄嗟に霧島は京哉に飛びつき覆い被さり伏せさせていた。そんな状態で京哉は二発の銃声を聞く。すぐに静けさが戻って霧島の下から這い出してみると、たった二発の銃弾によって狭い店内は惨憺たる状態に様変わりしていた。
煙で茶色く変色した壁には血飛沫が派手に花を咲かせ、その壁に凭れて会計部長が頽れている。原材料研究部長はカウンターに仰向けに乗っかっていて、辺り一面を血塗れにしていた。二人共に頭を割られて事切れているのはひとめで分かった。
「あー、くそう、生臭くて堪んねぇな。河岸を変えるとしようや」
「その前にこいつに一発射っておこうぜ」
まだ硝煙の立ち上る銃を京哉と霧島に向けながら坂下がヘロインを吸っていた三人に顎で指示する。ゆらりと立った三人は弛緩した顔つきで近づいてくると、ダウナーで沈静しているとは思えない力で霧島に掴み掛かった。ヘロインの作用か力のリミッタも吹き飛んでいるのだ。
霧島は何とか一人の腕を捻り上げるが、他の二人に押さえ込まれてしまう。
人間離れした三人の力に抗って霧島は殴りつけ蹴っては暴れた。だがそんな霧島の目前で銃を突き付けられた京哉は坂下に右腕の袖を捲られる。本木が注射器を手に嗤い針先を霧島に見せつけた。喉を震わせて霧島が叫ぶ。
「止めろ、京哉に何をする! 止めろ、やるなら私にしろ!」
喉から血が出るほどの霧島の制止する叫びも空しく、京哉は上腕を掴まれて消毒もしないまま注射針を静脈に突き立てられていた。
呆気にとられるほどあっさりと液体は京哉の体内に注入されている。
まさに部長たちと京哉がシルバーのステーションワゴンに乗り込むところだった。
そこには既に二人の仲間、坂下と本木の姿もあった。坂下と本木が描いたシナリオ通りに部長二人は動いたに違いない。
二人の部長の銃が京哉の頭から逸れているのを見取って声を出す。
「待て! 西尾組の手下だな?」
当然ながら追っ手と思われて四つの銃口が一斉に霧島の方を向いた。それが火を噴く寸前に霧島は両手を挙げて足を留めている。ここでも刺激しないように抑えた声で持ち掛けてみた。
「ついでに私も人質にして貰えないだろうか?」
「ちょっ、忍さん! 何を言い出すんですか!」
ギョッとして京哉が食いつき、坂下と本木は不審そうな顔をする。値踏みする目で霧島を暫し窺っていたが、ぼそぼそと相談した挙げ句に人質が増えるのを了承した。横柄に「来い」と命じられた霧島は間違っても弾かれないようゆっくり歩を進める。
「忍さん、貴方どういうつもりですか!」
「大声を出して素人を刺激するな、京哉」
宥めるように低く囁いた霧島も覆面でステーションワゴンを尾行することを考えないではなかった。だが万が一、失尾してしまったら京哉一人を危険に晒してしまう。
前回の件で京哉は単独で暴力団に乗り込んだ挙げ句に暴行され、大きな傷を負わされて霧島が発見した時には血の海の中で息絶えているとさえ思ったのだ。
そんな京哉を二度と見たくない。何処とも知れない場所で生死も知れぬ京哉を思い彷徨うことには耐えられない。だから霧島には他の選択ができなかったのである。
喩え普段の冷静さを保っていたとしても、おそらく譲れなかっただろう。
京哉と並んで霧島もシルバーのステーションワゴンに押し込まれた。位置は三列シートの真ん中だ。あとから後部に二人の部長、霧島の隣に坂下が乗り込み、ドアが閉められて運転席に本木が座るとステーションワゴンはすぐさま走り出した。
左側と後部から三丁分の銃口をねじ込まれながらも人質二人はつつき合いだ。
「貴方まで人質になったら誰が助けに来てくれるんですか?」
「私はもうお前一人を危険な目に遭わせられん」
「だからってこれは極秘案件なんですよ。野坂室長が通報していても県警が動けるかどうか分からないのに、いったいどうするんです?」
「どうもこうもない、既に本部長とは喋った。全ては私一人に任されたんだ。任され決めた以上は誰にも文句は言わせん。お前を一人にはしない。分かってくれ」
「それは僕だって忍さんが一緒なら嬉しいですけど……」
「ならばお前も文句はないな。一蓮托生だ」
部長たちと取り立て屋も喋っている。どうやら部長たちが武器弾薬とヘロインを隠した残りがあるらしい。それらの全てを西尾組に渡す代わりに取り立て屋たちは部長たちの誘拐劇を手伝い、このあとの逃避行もお膳立てしてやる予定らしかった。
ステーションワゴンは淡々と白藤市内を走っている。まもなく市街地を抜けると郊外の倉庫が建ち並んだエリアに辿り着いた。小ぶりの倉庫前で停止する。原材料研究部長だけが降り、倉庫のドアロックを外して中に入って行った。
十分ほどで出てきた部長はボストンバッグを提げていた。大きさに比して重たそうで、中に武器弾薬やヘロインが入っているのは間違いないらしい。
再び部長が乗り込むと今度はバイパスに乗り、高速に乗り換えて向かったのは貝崎市と南で接する天根市方面だ。天根市に入ると繁華街に乗り入れやがて停まったのは小さなスナックの前だった。古びた看板にそっけなく『夕子』とある。
夜になってから息を吹き返す店舗ばかりの界隈で、スナック・夕子に京哉と霧島が押し込まれた際も目撃者はいないと思われた。
狭い店内の薄暗い空気は煙で満たされていた。三人の男がソファ席でパイプを吸っているのだ。いがらっぽい異臭に顔をしかめた京哉はそれが普通のパイプでないのに気が付いている。同時に霧島も鋭く京哉を見た。男たちはヘロインを炙った煙を吸引しているのだ。
胸騒ぎがして自らの心に踊らされないよう霧島は口先だけで坂下に訊いてみる。
「商売物に手を出すのは組でも御法度ではないのか?」
訊かれた坂下は霧島に「へっ」と嗤って吐き捨てるように言った。
「霧島さん、あんたらを誘拐した時点で俺たちはワッパかけられる運命だぜ?」
「今どき組に義理立てしても懲役食らって帰ってきたら拍手喝采で迎えて貰えるとは限らねぇ、組がなくなってることもあるんだ。その前に愉しませて貰うのさ」
本木も言って歪んだ嗤いを浮かべた。既にジョーカーを引かされたと察した取り立て屋の二人は仲間と一緒に愉しむだけ愉しんでから武器弾薬とヘロインを元手に国外にでも飛ぶ魂胆かも知れない。
京哉はいよいよ拙い気がしてくる。ヤクザの『愉しみ』が警察官の自分たちにとって快いものである筈がないからだ。
片や同じことを考えて胸騒ぎを確信に変えつつある霧島は、京哉本人を差し置いて華奢な身に向けられた坂下の粘っこい視線に気付いていた。
それは本気で霧島が殴り殺したくような視線で、アクションを起こすなら武装解除されていない今かと思う。ただ敵の全てが銃を持っているとすれば、幾ら霧島と京哉でも自殺行為に近い。
考えていると霧島と取り立て屋の話を聞いていた部長二人が目の色を変えて抗議し始めていた。西尾組の援助で逃亡する計画なのにまるで違ってきたのだ。
虎の子の武器弾薬とヘロインを差し出して自分たち二人分の命を買ったつもりだった部長らは、我を忘れて取り立て屋二人に掴み掛った。取り立て屋たちは部長たちに対し無造作に銃を向ける。
追い詰められて頭に血が上り切った部長二人は恐怖感もなかっただろう。
咄嗟に霧島は京哉に飛びつき覆い被さり伏せさせていた。そんな状態で京哉は二発の銃声を聞く。すぐに静けさが戻って霧島の下から這い出してみると、たった二発の銃弾によって狭い店内は惨憺たる状態に様変わりしていた。
煙で茶色く変色した壁には血飛沫が派手に花を咲かせ、その壁に凭れて会計部長が頽れている。原材料研究部長はカウンターに仰向けに乗っかっていて、辺り一面を血塗れにしていた。二人共に頭を割られて事切れているのはひとめで分かった。
「あー、くそう、生臭くて堪んねぇな。河岸を変えるとしようや」
「その前にこいつに一発射っておこうぜ」
まだ硝煙の立ち上る銃を京哉と霧島に向けながら坂下がヘロインを吸っていた三人に顎で指示する。ゆらりと立った三人は弛緩した顔つきで近づいてくると、ダウナーで沈静しているとは思えない力で霧島に掴み掛かった。ヘロインの作用か力のリミッタも吹き飛んでいるのだ。
霧島は何とか一人の腕を捻り上げるが、他の二人に押さえ込まれてしまう。
人間離れした三人の力に抗って霧島は殴りつけ蹴っては暴れた。だがそんな霧島の目前で銃を突き付けられた京哉は坂下に右腕の袖を捲られる。本木が注射器を手に嗤い針先を霧島に見せつけた。喉を震わせて霧島が叫ぶ。
「止めろ、京哉に何をする! 止めろ、やるなら私にしろ!」
喉から血が出るほどの霧島の制止する叫びも空しく、京哉は上腕を掴まれて消毒もしないまま注射針を静脈に突き立てられていた。
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