9 / 59
第9話
しおりを挟む
色々と考えさせられているうちに霧島は腹が立ってきた。普段からウダウダ悩むタチでもないのに悩まされ、とっくに腹を括ったのに妙な罪悪感を意識させられて答えも出ないうちに追加で二件もそっくり同じヤクザ案件である。酷く損をした気分になったのだ。
腹が立つと腹が減る霧島はそれから三回もご飯をおかわりして京哉を心配させた。
綺麗に食し終えると男二人で食器を洗浄機に入れて片付け霧島がインスタントコーヒーを淹れる。京哉はコーヒー&煙草タイム、三本目で霧島の目を気にしつつ言う。
「忍さん、先にお風呂にどうぞ」
「ならば言葉に甘えて先に貰うぞ」
立ち上がって霧島はバスルームに向かう。見送って京哉はTVに見入った。アニメ映画の推理ものを結構面白く視聴する。内容は狙撃に関するストーリーで、実在の銃をきちんと描き分けた上に、銃弾の形で使用銃まで特定可能だったのは感心させられた。その狙撃シーンばかり何度も見ていると、十五分もしないうちに霧島がパジャマ姿で出てきた。
「髪から雫が垂れてますよ、忍さん。また寝グセがつきますからね」
「寝るまでには乾くからいい。それに明日は休日だ」
「ったく、風邪引かないで下さいよ」
頷きつつ霧島はリビングの二人掛けソファに腰掛け、ロウテーブルにノートパソコンを置いて起動する。何をするのかと京哉が眺めていると、またもオンラインゲームらしい。
「何それ、またハンターキラーですか?」
「……ん、ああ」
「結構やり込んじゃってるんでしょうか?」
「……ん、ああ」
もう異世界の住人となってしまった年上の愛し人に京哉は溜息だ。いつの間に手に入れたのか、霧島は専用のコントローラまで接続してのめり込んでしまっている。
そのコントローラが入っていた箱を取り上げて京哉は眺めた。製造元は国内でもかなり大手のリライ事務という会社である。事務と名がつくが扱うのは事務用品ばかりでなく、こういったゲーム関係の機器から兵器まで、手広く製造・販売しているので有名だった。
箱を置いてアニメ映画の来週分を録画セットし、立ち上がって宣言する。
「ゲームは三十分だけですからね。お風呂入ってきます」
もう返事もないのに再び溜息をつきながら京哉はバスルームに向かった。洗面所で眼鏡を外し、服を脱いでスラックス以外の衣服を洗濯乾燥機に入れる。スイッチを入れておいてバスルームでシャワーを浴びた。警察官にしては長めの髪を洗い、躰をボディソープで泡立てる。薄いヒゲも剃って一気に泡を流し、バスタブに溜めてあった湯に浸かった。
昨夜はこのバスルームで霧島に攻め抜かれて……などと思い出して独り赤くなり、湯あたりする前に上がる。バスタオルで拭いドライヤーで髪も丁寧に乾かすと寝室で下着とパジャマを身に着けた。パジャマは黒いシルクサテンで霧島とお揃いである。
リビングに出て行くと霧島はまだゲームに熱中していた。
キッチンでグラスにジンジャーエールを注いで半分ほど飲み、注ぎ足してリビングに戻るとロウテーブルに置いてやる。だが霧島はまるで気付かない。
一時間経過しても霧島は無言でピコピコやっていて、京哉は徐々に不機嫌になる。
ゲーム如きに嫉妬するのも大人げないと思って我慢していたが、二時間も経つともう抑えきれずに立ち上がって寝室に向かった。ダブルベッドにダイヴするとブルーの毛布を引き被って目を瞑る。すると幾らもしないうちに霧島が部屋に入ってきた。
だが気配を感じながら京哉は知らんふりだ。しかし毛布から出した右腕を取られ、人差し指を温かく柔らかなもので包まれると、さすがに無視できなくなる。
目を見開くと霧島は京哉の指を口に含んでいた。温かな口内に包まれ、舐めねぶられて京哉はごく官能的な感触に身を震わせる。それに霧島からは清潔感のある上質な香りがしていた。愛用のトワレはペンハリガンのブレナムブーケだ。京哉も大好きな香りなのだが、機捜隊長殿は『現場に匂いを残せない』という理由で滅多につけてくれない。
けれど行為の時だけは香らせてくれて、今では京哉が欲しいという無言の意志表示だと互いに認識し合っている。それでも京哉だって羞恥心くらい持ち合わせていた。
「ちょ、昨日もあんなにしたのに今日もですか?」
「昨日は昨日だ。京哉、私だけしか知らないお前を見せてくれ」
「ゲームで撃墜されたんですね」
「なあ、京哉……いいだろう?」
やっぱり撃墜されたらしい。霧島は甘えの混じった低い声で更に京哉に迫った。
「なあ、お前の中に入りたい。目茶苦茶に掻き回して思い切り濡らしたい」
ストレートなもの言いをされ切れ長の目に湛えられた情欲が揺らめくのを見せられては、もう京哉に拒否するすべはない。身を起こして毛布を足元に除けた。
その間に霧島は潔くパジャマと下着も脱ぎ捨てて素肌を晒し、ベッドに上がっている。京哉は自分を押し倒して跨った霧島を見上げ、僅かな苦みのある柑橘系の香りを吸い込んだ。既にこの自分を欲して雄となった霧島の匂いが混じり、京哉のモードも切り替わる。
「いいですよ。貴方のものだから、好きにして」
「ああ、今日も覚悟していてくれ」
腹が立つと腹が減る霧島はそれから三回もご飯をおかわりして京哉を心配させた。
綺麗に食し終えると男二人で食器を洗浄機に入れて片付け霧島がインスタントコーヒーを淹れる。京哉はコーヒー&煙草タイム、三本目で霧島の目を気にしつつ言う。
「忍さん、先にお風呂にどうぞ」
「ならば言葉に甘えて先に貰うぞ」
立ち上がって霧島はバスルームに向かう。見送って京哉はTVに見入った。アニメ映画の推理ものを結構面白く視聴する。内容は狙撃に関するストーリーで、実在の銃をきちんと描き分けた上に、銃弾の形で使用銃まで特定可能だったのは感心させられた。その狙撃シーンばかり何度も見ていると、十五分もしないうちに霧島がパジャマ姿で出てきた。
「髪から雫が垂れてますよ、忍さん。また寝グセがつきますからね」
「寝るまでには乾くからいい。それに明日は休日だ」
「ったく、風邪引かないで下さいよ」
頷きつつ霧島はリビングの二人掛けソファに腰掛け、ロウテーブルにノートパソコンを置いて起動する。何をするのかと京哉が眺めていると、またもオンラインゲームらしい。
「何それ、またハンターキラーですか?」
「……ん、ああ」
「結構やり込んじゃってるんでしょうか?」
「……ん、ああ」
もう異世界の住人となってしまった年上の愛し人に京哉は溜息だ。いつの間に手に入れたのか、霧島は専用のコントローラまで接続してのめり込んでしまっている。
そのコントローラが入っていた箱を取り上げて京哉は眺めた。製造元は国内でもかなり大手のリライ事務という会社である。事務と名がつくが扱うのは事務用品ばかりでなく、こういったゲーム関係の機器から兵器まで、手広く製造・販売しているので有名だった。
箱を置いてアニメ映画の来週分を録画セットし、立ち上がって宣言する。
「ゲームは三十分だけですからね。お風呂入ってきます」
もう返事もないのに再び溜息をつきながら京哉はバスルームに向かった。洗面所で眼鏡を外し、服を脱いでスラックス以外の衣服を洗濯乾燥機に入れる。スイッチを入れておいてバスルームでシャワーを浴びた。警察官にしては長めの髪を洗い、躰をボディソープで泡立てる。薄いヒゲも剃って一気に泡を流し、バスタブに溜めてあった湯に浸かった。
昨夜はこのバスルームで霧島に攻め抜かれて……などと思い出して独り赤くなり、湯あたりする前に上がる。バスタオルで拭いドライヤーで髪も丁寧に乾かすと寝室で下着とパジャマを身に着けた。パジャマは黒いシルクサテンで霧島とお揃いである。
リビングに出て行くと霧島はまだゲームに熱中していた。
キッチンでグラスにジンジャーエールを注いで半分ほど飲み、注ぎ足してリビングに戻るとロウテーブルに置いてやる。だが霧島はまるで気付かない。
一時間経過しても霧島は無言でピコピコやっていて、京哉は徐々に不機嫌になる。
ゲーム如きに嫉妬するのも大人げないと思って我慢していたが、二時間も経つともう抑えきれずに立ち上がって寝室に向かった。ダブルベッドにダイヴするとブルーの毛布を引き被って目を瞑る。すると幾らもしないうちに霧島が部屋に入ってきた。
だが気配を感じながら京哉は知らんふりだ。しかし毛布から出した右腕を取られ、人差し指を温かく柔らかなもので包まれると、さすがに無視できなくなる。
目を見開くと霧島は京哉の指を口に含んでいた。温かな口内に包まれ、舐めねぶられて京哉はごく官能的な感触に身を震わせる。それに霧島からは清潔感のある上質な香りがしていた。愛用のトワレはペンハリガンのブレナムブーケだ。京哉も大好きな香りなのだが、機捜隊長殿は『現場に匂いを残せない』という理由で滅多につけてくれない。
けれど行為の時だけは香らせてくれて、今では京哉が欲しいという無言の意志表示だと互いに認識し合っている。それでも京哉だって羞恥心くらい持ち合わせていた。
「ちょ、昨日もあんなにしたのに今日もですか?」
「昨日は昨日だ。京哉、私だけしか知らないお前を見せてくれ」
「ゲームで撃墜されたんですね」
「なあ、京哉……いいだろう?」
やっぱり撃墜されたらしい。霧島は甘えの混じった低い声で更に京哉に迫った。
「なあ、お前の中に入りたい。目茶苦茶に掻き回して思い切り濡らしたい」
ストレートなもの言いをされ切れ長の目に湛えられた情欲が揺らめくのを見せられては、もう京哉に拒否するすべはない。身を起こして毛布を足元に除けた。
その間に霧島は潔くパジャマと下着も脱ぎ捨てて素肌を晒し、ベッドに上がっている。京哉は自分を押し倒して跨った霧島を見上げ、僅かな苦みのある柑橘系の香りを吸い込んだ。既にこの自分を欲して雄となった霧島の匂いが混じり、京哉のモードも切り替わる。
「いいですよ。貴方のものだから、好きにして」
「ああ、今日も覚悟していてくれ」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる