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第24話
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夕食の旨いカレーを食べてから二人は飲んだ。夜になってバーは盛況、カウンターだけでなく四つのテーブル席が全て埋まるほどだったが、マスターが一人で捌く。
労働のあとの一杯を求めてやってきた街の男たちの話題の主人公は、勿論二十二人斬りをした霧島と京哉である。飲んだというより彼らに飲まされたのだ。
カットグラスのストレートウィスキーを霧島が空けるたびに誰かが奢りだと言って次が置かれる。殆ど酔わない霧島と違い、京哉はショートグラスのドライマティーニを五杯飲まされたのち、マスター考案らしい紅茶のカクテルを舐めるようにして間を持たせた。
「しかし久々にスカッとしたぜ。最近ブレガーの奴ら、デカい顔でよ」
「誰彼構わず因縁つけて歩いてやがったもんな」
「あのフィオナはいい女なんだがな」
「箱入り娘が反乱起こして、最近やっと屋敷の外に出られるようになったって噂だ」
「あれはいい目の保養だが、ついて回る手下がロクでもないんだよな」
「それもこの美人二人が片付けてくれた。本当に助かったぜ」
「半端じゃねぇ腕だな、その若さで。もう一杯どうだい。マスターおかわりだ!」
夜も更ける頃になって隙を見つけて逃げ出した二人は三階の部屋に上がった。
「腹がちゃぽちゃぽだ。京哉お前、顔が赤いぞ」
「少し、酔ったかも知れません」
霧島が窓を開けて夜風を入れた。マスターに持たされた水差しから冷水をグラスに注いで、ベッドに腰掛けた京哉に渡してやる。
一気に半分ほども空けた京哉はスーツのジャケットを脱ぎ、ショルダーホルスタごと銃を外すとゆらりと立ち上がった。
「先にシャワー浴びてきていいですか」
「もう少し醒めてからの方が良くないか?」
「大丈夫ですって。お先に頂きます」
心配ではあったがバスルームは非常に狭く二人同時に使用できない。霧島は京哉のドレスシャツのボタンを外し、ベルトまで緩めてやってから送り出した。
ショルダーバッグから出した下着をかごに入れた京哉は、ぬるめの設定にしてシャワーを浴びた。シャンプーで少々長めの髪を丁寧に洗い、躰のすみずみまでボディソープで泡立てる。オイル混じりの硝煙は落ちづらいので手を抜かず、擦り落とし湯で洗い流した。
バスルームを出てバスタオルで身を拭うと、硝煙臭さも抜けてすっきりとする。
寝間着として置かれていた薄いガウンと下着を身に着け、部屋に出て行くと霧島と交代だ。霧島の下着とガウンにバスタオルを揃えてかごの中に入れておく。椅子に腰掛けると撃ちまくってしまった愛銃の手入れをしているうちに霧島は出てきた。
組み上げてフルロードにしたシグ・ザウエルP226をベッドのヘッドボードにある棚に置く。既に霧島も手入れを終えたらしく同じ銃が同じ所に置いてあった。
洗面所で手を洗って戻るなり霧島の腰に腕を回す。頬を押しつけた。さらりとした髪を優しく撫でられながら、薄いガウン越しに引き締まった腹筋を感じて頬を擦りつける。
「猫みたいだな」
「ニャオ。猫は忍さんを所望です」
「ではお猫様、どうぞベッドへ」
誘われて霧島の腰に回した腕を外すとベッドに腰掛ける。霧島は立ったまま、着たばかりのガウンの紐を解き合った。互いに袖を抜かせ下着も取り去ると横になって抱き合う。
「ああ……ん、んっ……気持ちいい」
慣れた肌がしっとり馴染み、それだけで京哉は呼吸が浅く速くなった。上になった霧島の重みが安堵をもたらす。ついばむようなキスを何度もされているうちに段々深くなり、京哉は霧島の温かく柔らかな舌をねだった。
差し出されて唾液ごと吸い上げる。唇から頬へ、頬から耳へと移動した霧島の唇から熱い吐息が吹き込まれた。
「京哉……京哉、愛している。お前だけだ」
「僕も愛してる。でもどうしよう、愛しすぎて怖いかも」
「大丈夫だ、京哉……私はお前を絶対に裏切らない」
「一生同じ長さ生きてる、そう誓った僕の言葉も?」
「当然だ。私はお前との一生に価値を見出した。お前がいないと私はもう……」
霧島の唇は京哉の首筋から鎖骨を往復し、温かな舌でねぶり上げている。手はきめ細かい肌をやや荒っぽく愛撫していた。
労働のあとの一杯を求めてやってきた街の男たちの話題の主人公は、勿論二十二人斬りをした霧島と京哉である。飲んだというより彼らに飲まされたのだ。
カットグラスのストレートウィスキーを霧島が空けるたびに誰かが奢りだと言って次が置かれる。殆ど酔わない霧島と違い、京哉はショートグラスのドライマティーニを五杯飲まされたのち、マスター考案らしい紅茶のカクテルを舐めるようにして間を持たせた。
「しかし久々にスカッとしたぜ。最近ブレガーの奴ら、デカい顔でよ」
「誰彼構わず因縁つけて歩いてやがったもんな」
「あのフィオナはいい女なんだがな」
「箱入り娘が反乱起こして、最近やっと屋敷の外に出られるようになったって噂だ」
「あれはいい目の保養だが、ついて回る手下がロクでもないんだよな」
「それもこの美人二人が片付けてくれた。本当に助かったぜ」
「半端じゃねぇ腕だな、その若さで。もう一杯どうだい。マスターおかわりだ!」
夜も更ける頃になって隙を見つけて逃げ出した二人は三階の部屋に上がった。
「腹がちゃぽちゃぽだ。京哉お前、顔が赤いぞ」
「少し、酔ったかも知れません」
霧島が窓を開けて夜風を入れた。マスターに持たされた水差しから冷水をグラスに注いで、ベッドに腰掛けた京哉に渡してやる。
一気に半分ほども空けた京哉はスーツのジャケットを脱ぎ、ショルダーホルスタごと銃を外すとゆらりと立ち上がった。
「先にシャワー浴びてきていいですか」
「もう少し醒めてからの方が良くないか?」
「大丈夫ですって。お先に頂きます」
心配ではあったがバスルームは非常に狭く二人同時に使用できない。霧島は京哉のドレスシャツのボタンを外し、ベルトまで緩めてやってから送り出した。
ショルダーバッグから出した下着をかごに入れた京哉は、ぬるめの設定にしてシャワーを浴びた。シャンプーで少々長めの髪を丁寧に洗い、躰のすみずみまでボディソープで泡立てる。オイル混じりの硝煙は落ちづらいので手を抜かず、擦り落とし湯で洗い流した。
バスルームを出てバスタオルで身を拭うと、硝煙臭さも抜けてすっきりとする。
寝間着として置かれていた薄いガウンと下着を身に着け、部屋に出て行くと霧島と交代だ。霧島の下着とガウンにバスタオルを揃えてかごの中に入れておく。椅子に腰掛けると撃ちまくってしまった愛銃の手入れをしているうちに霧島は出てきた。
組み上げてフルロードにしたシグ・ザウエルP226をベッドのヘッドボードにある棚に置く。既に霧島も手入れを終えたらしく同じ銃が同じ所に置いてあった。
洗面所で手を洗って戻るなり霧島の腰に腕を回す。頬を押しつけた。さらりとした髪を優しく撫でられながら、薄いガウン越しに引き締まった腹筋を感じて頬を擦りつける。
「猫みたいだな」
「ニャオ。猫は忍さんを所望です」
「ではお猫様、どうぞベッドへ」
誘われて霧島の腰に回した腕を外すとベッドに腰掛ける。霧島は立ったまま、着たばかりのガウンの紐を解き合った。互いに袖を抜かせ下着も取り去ると横になって抱き合う。
「ああ……ん、んっ……気持ちいい」
慣れた肌がしっとり馴染み、それだけで京哉は呼吸が浅く速くなった。上になった霧島の重みが安堵をもたらす。ついばむようなキスを何度もされているうちに段々深くなり、京哉は霧島の温かく柔らかな舌をねだった。
差し出されて唾液ごと吸い上げる。唇から頬へ、頬から耳へと移動した霧島の唇から熱い吐息が吹き込まれた。
「京哉……京哉、愛している。お前だけだ」
「僕も愛してる。でもどうしよう、愛しすぎて怖いかも」
「大丈夫だ、京哉……私はお前を絶対に裏切らない」
「一生同じ長さ生きてる、そう誓った僕の言葉も?」
「当然だ。私はお前との一生に価値を見出した。お前がいないと私はもう……」
霧島の唇は京哉の首筋から鎖骨を往復し、温かな舌でねぶり上げている。手はきめ細かい肌をやや荒っぽく愛撫していた。
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