高貴なる義務の果て~楽園19~

志賀雅基

文字の大きさ
43 / 96

第43話(BL特有シーン・回避可)

しおりを挟む
 自走車椅子のハイファに付き添い、シドは特別室までゆっくり歩く。特別室は既に退院しテラ本星に向かったルドルフ=ロス支社長が使っていた部屋だった。
 もう四人部屋でなくてもよくなったのと、FC本社の意向もあって警備がしやすい部屋に引っ越したのだ。

 かといって所詮は発展途上のシャリムである。特別室といってもさほど豪華な訳ではなく、少しワイドなシングルベッドがふたつ並び、ソファとロウテーブルが配されているだけの病室だ。ただシドには有難いことに、エアカーテンで仕切られた喫煙ブースがあった。

 夕食を二人で摂ったのち、シドはやや広いバスブースにハイファを抱いて入った。

 勿論二人とも衣服は脱いで素肌同士、リフレッシャをオンにして、シドは大事にハイファを抱いたまま洗浄液を浴びる。まだ歩けないハイファは大人しく洗浄液を被りシドと一緒に熱い湯を浴びて泡を流した。

 そしてバスブースをドライモードにし、床にぺたりと座らせたハイファの長い髪まで、シドは丁寧に温風を通して乾かしてやる。その間ずっとシドの躰の中心は勃ち上がったままだったが、ハイファの躰には何の変化も起こらなかった。

 ブースから出ると下着と患者用のガウンを着せ掛け、ベッドまで抱き運んでやった。

 シド自身はいつでも動けるように綿のシャツとコットンパンツ姿、レールガンも対衝撃ジャケットも、手の届く場所に置いてある。
 時刻は二十一時過ぎ、一日が短いのでもう眠ってもおかしくない時間だ。それに今日は夜の日なので、他星人のシドたちにはずっと夜を過ごしている感覚、妙に気怠い感じがする。

 だがハイファはベッドに角度をつけて凭れたまま、じっと天井のライトパネルを見つめていた。目を見開いて何事かを考え続けているようだ。

「ハイファ、もう暗くするか?」
「……」

 こちらを見ていないハイファには聞こえていないのだ。シドはハイファの傍まで近づくと、顔を覗き込んで視線を捉え、可能な限りハッキリと発音する。

「もう寝るなら暗くするぞ……んんっ、ん!」

 ふいに意外なまでの力で服を掴まれ引き寄せられて、唇を奪われていた。
 ねじ込まれるように舌がシドの口内に侵入し、舐め回しては唾液を要求される。シドは何度も応えたのちに、痺れるくらいに舌先を吸われてから解放された。

「んっ、うっく……はあっ、ハイファ……?」
「シド……僕、こんなにシドが欲しいのに――」

 薄いガウンは細い躰のラインを露わにしている。だがハイファの身には、やはり何も変化は起こっていなかった。欲しいのに勃たないということらしい。

「そんなに気にするな、元の躰に戻れば治るさ」
「そうかな?」

 直接的に壊された部位だけでなく、聞こえない耳といい、反応しない躰といい、あらゆる処を壊されてしまったハイファの傷がどれだけ深いのかをシドは知る。

「大丈夫だ、ハイファ。治る……喩え治らなくても、俺がついてる。傍についてるからさ」
「シド……シドが欲しいよ。お願い」

 切実な声と若草色の瞳から零れた涙を見て、シドはハイファのベッドの角度を下げた。なるべく負担にならないよう最初から下衣を脱いでベッドに上がる。シドの躰の中心はもう張り裂けんばかりになって、先端を濡れそぼらせていた。

 薄い肩を跨ぎハイファの口にシドは己のものを近づける。ハイファはそれを掴むと愛しげに頬ずりし滲み出す蜜を舐め始めた。舌を潜らせて刺激され、敏感な部分に濃厚に舌を巻きつけられてシドの思考は白熱する。

 そうして口を開けるとハイファはシドを咥え込んだ。

「うっ、あ……ハイファ、ハイファ!」
「んんぅ……んん、っん……んんっ!」

 太い茎を挟み込んで赤い唇を前後させるハイファは目を瞑り行為に集中している。美しい人形の如き白い顔をして太いものを咥える姿は、何故か痛々しさを感じさせた。

 だが浅く咥えられているだけでシドはもう異常なまでに疼きが溜まるのを感じ、腰を動かさないよう堪えるだけで必死となる。

 このまま喉に放出し、衣服を引き剥がして突き入れ貫いてしまいたい思いでいっぱい、その前にシドは自ら逃れようとした。

「ハイファ、もういい……っく、ハイファ!」
「んんっ……ん、んっ、んっ……んんぅ!」

 腰を引こうとしたがハイファは掴んだまま離さない。それでもいつもの攻めとは微妙に違うのをシドは感じていた。

 そして気付く、ハイファ自身は一切欲情などしていないことに。

 ハイファはただバスブースでシドが成長させているのを見て、シドのために、シドを自分に繋ぎ止めておきたいばかりに、無理をして行為に及んでいるのだ。

「ハイファ、離してくれ……あっふ……もう、いい」
「んっ、んっ……んんぅ……っん!」

 聞こえないハイファはシドの抵抗を拒絶するように目を固く閉じたまま咥え、舌を巻きつけては唇を前後させ、そして涙を止めどなく零していた。
 そんな行為だったが攻めは巧みでシドを急激に追い詰める。いきなり背筋に突き上がってきた疼きを押し返せない。

「くうっ……ハイファ、すまん、ハイファ……あうっ!」

 幾度も身を震わせてシドは放つ。止めようもなく弾けさせたものをハイファは口の端から溢れさせていた。
 それでも喉を鳴らして飲み込んだハイファが愛しくも恋しくて、解放されるなり仰臥したままの細い躰を抱き締める。

 やっと目を開けたハイファは涙を零しながらも、不思議と静かで落ち着き払った顔つきをしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり
エッセイ・ノンフィクション
〔あらすじ〕📝🐶初めて保護犬ちゃんを迎え入れる我が家。 過去の哀しい実情のせいで人間不信で怯える保護犬きーちゃん。 初日から試行錯誤の日々と保護犬きーちゃん がもたらす至福の日々。 ◇ ✴️保護犬ちゃん達の過去・現在の実情の記述もあります🐾 ✴️日々の些細な出来事を綴っています。現在進行形のお話となります🐾 ✴️🐶挿絵画像入りです。 ✴️拙いエッセイにもかかわらず、HOTランキングに入れて頂き(2025.7.1、最高位31位)ありがとうございます🙇‍♀️

空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派
SF
『科学の魔女は、空色の髪をなびかせて宙を舞う』 高校を卒業後、亡くなった両親の後を継いで工場長となったニ十歳の女性――空鳥 隼《そらとり じゅん》 彼女は両親との思い出が詰まった工場を守るため、単身で経営を続けてはいたものの、その運営状況は火の車。残された借金さえも返せない。 それでも持ち前の知識で独自の商品開発を進め、なんとかこの状況からの脱出を図っていた。 そんなある日、隼は自身の開発物の影響で、スーパーパワーに目覚めてしまう。 その力は、隼にさらなる可能性を見出させ、その運命さえも大きく変えていく。 持ち前の科学知識を応用することで、世に魔法を再現することをも可能とした力。 その力をもってして、隼は日々空を駆け巡り、世のため人のためのヒーロー活動を始めることにした。 そしていつしか、彼女はこう呼ばれるようになる。 魔法の杖に腰かけて、大空を鳥のように舞う【空色の魔女】と。 ※この作品の科学知識云々はフィクションです。参考にしないでください。 ※ノベルアッププラス様での連載分を後追いで公開いたします。 ※2022/10/25 完結まで投稿しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...