スターゲイザー～楽園12～

第8話（BL特有シーン・回避可）

「じゃあ、遠慮なく抱くぞ。覚悟してろよ」
　耳許で囁き、耳朶を唇で挟むとハイファはそれだけで身を震わせる。

　ベッドに座り向かい合ってシドはハイファのドレスシャツのボタンを外し始めた。半ばまで外して襟元を大きくくつろげると、白くきめ細かな肌に手を這わせながら、薄い肩に噛み付くように顔を埋める。

　華奢な鎖骨から首筋のラインを何度も舐めねぶり、唇で挟んで吸い上げ、赤い印を幾つも穿った。

「あっ……ぅうん、そんなに上は……見えちゃう」
「お前の全身に俺の印を刻みつけてやりたいぜ」
「そんなことしなくても……んっ、僕は貴方のものだから……あぅんっ」

　薄い布地の上から躰の中心を掴むとハイファは躰を跳ねさせて甘く鳴く。既に成長させているそれをゆったり扱くと、痛々しい痕の残る喉を仰け反らせた。

「ああん……だめ、そんなにしないで……いや、あっ」

　中途半端に脱がされたドレスシャツが縛めとなって、座らされたままの細い躰がもどかしげに悶える。一方的に火を灯された躰を捩らせた。

「んっ、僕も……シドに触りたい……お願い」

　片手で残りのボタンを外してやるとハイファは自分で袖を抜く。自由になった手でシドの上衣を捲り上げて引き締まった腹をやや乱暴に愛撫した。

　もう一方の手は仕返しとばかりにシドの下半身を掴み、これも荒っぽく擦る。

「……うっ……あっ、く……こら、保たねぇぞ」

　互いに衣服越しの刺激に焦れったくなり一旦離れて全てを脱ぎ晒した。生まれたままの姿で抱き合うと、慣れた肌がしっとりと馴染んで安堵をもたらす。

　事件で緊張した神経が緩やかに解けてゆくようだった。

　抱き合ったままハイファがそっとシドを押し倒す。逞しい胸に愛しげに頬ずりし、舌を這わせ、色づいた胸の尖りを口に含む。
　温かな舌で転がされ、凝った突起を甘噛みされてシドは小さく呻いた。

「んっ……ハイファ……っく」

　執拗に胸を攻めながらハイファは下半身を小刻みに揺らす。二人ともに勃ち上がりきったものから蜜が溢れ腹の間で糸を引いた。軽いハイファを全身で受け止めていたシドはさらさらの金髪の感触に抑えきれない情動が湧く。

　体勢を入れ替え、細い躰を組み敷いた。右手の指に二人の先端から零れた蜜を絡めてハイファの背後を探る。潤んだ瞳で見上げるハイファは僅かに脚を開いた。

「いやに素直だな」
「だって、欲しかった、から……んっ、はぁんっ！」

　硬い蕾に挿入した指先で分け入り届く限りの奥まで擦り上げると、ハイファは高く喘ぎを洩らす。背をしならせ、自分を傷つけないようにいつも深爪して整えられた指先の動きだけに全ての意識が集約され、不規則な吐息と喘ぎを繰り返した。

「ここと、ここもだろ」
「んんっ……ふ、あっ……ああんっ！」

　片手は指を増やしてハイファをほぐし、片手では明るい金髪を撫でつけながら、シドはしがみついてくるハイファに胸が焦げるような愛しさを感じる。
　何処までも快感を与えてやりたいという想いと目茶苦茶に引き裂き征服してしまいたい欲望との狭間で揺れた。

「ああっ……んっ、もう、シド……貴方と」
「まだ早い……もう少しだ」
「んっ……いいから、入れて……して」

　今はもう大胆に躰を開いて懇願するハイファにシドの中で何かがパチンと弾ける。指を抜き、己の滾ったものを露わになった敏感な蕾に押し当てた。ほぐしきれていないそこにぬめりを塗り広げると、堪えようもなくひと息に挿し貫いてしまう。

「んんっ……あっ、あっ……はぅんっ！」
「うっ……ぁあ……きつ、い……ハイファ」

　温かく、柔らかできついハイファに包まれて、荒い吐息を数回つくと、シドは腰をスライドさせ始めた。己のものを引き出し、離れてしまう寸前で熱く太い楔をハイファに打ち込む。

　鋭い快感が二人を襲った。更にハイファの喘ぎが高くなる。

「ああん……すご、い……シド、太いよ……ああっ！」
「……んっ、すっげぇ気持ちいい……ハイファ」

　激しく抽挿入するシドも、内襞を擦られ掻き回されるハイファも、互いの躰にのめり込み、溺れきっていた。二人ともに思考は白く飛び、理性が快感に灼かれる。

　力強く腰をスライドさせ、シドはちぎれそうなくらいハイファをこじ開け続けた。ハイファも細い腰をうねらせて応えながら、絶え間ない甘い喘ぎでシドを攻める。

　やがて快感はピークの予兆を見せ、ハイファが切れ切れに訴えた。

「あっ……もう、だめ……シド、シド！」
「――俺も、一緒に……いくぞ」

　数回勢いよく突き上げると、ハイファが背に回した手が爪を立てる。

「はぁっ……ああっ、シド……はうっ！」
「くっ……ハイファ……あうっ！」

　幾度も躰を痙攣させてシドはハイファの奥深くにぶつけるように爆ぜさせた。同時にハイファも自分の腹から胸にかけて迸らせている。
　シドが手を伸ばしてティッシュを取り、白い躰を拭ってやった。ハイファは涙で滲んだ視界にシドを映す。

「シド、貴方まだ？」
「お前が色っぽすぎるからだ。覚悟してろっつったろ？」

　一度放ってなお、シドはハイファの中をいっぱいに押し広げている。ひとつになったまま、ハイファはそっと体勢を変えてうつ伏せになりシーツに上体を預けた。シドは誘われて細い腰を掴み、ゆるゆるとスライドし始める。

「いいよ、もっと激しくして……シド」
「そんなに煽るな。壊しちまう……くっ！」

　細い躰でシドを咥え込む様までも露わに見せつけたあられもない姿で、斜めに振り向いたハイファのノーブルな横顔は、瞳に零れそうな潤みを湛えていた。

　それを目にして完全に理性を吹き飛ばしたシドは思い切り突き上げ攻め始めた。

　掻き回し抉られながらハイファは喘ぎ、シーツを掴み締めて嵐のような快感に堪える。何度も何度も手繰り寄せられ、揺らされてシドに酔った。

「シド、シド……ああんっ……愛してる」
「俺もお前だけ……くそう、誰よりも大事なのに」

　躰同士を叩き付けるように深く穿たれ、貫かれて揺らされながら、ハイファは気が遠くなるような快感の中で、欲しがるだけシドに躰を差し出し続けた。

　果てしなく擦られる体内でシドの変化を感じ取る。熱いものをシドに握られた。突き上げるリズムで強く扱かれる。

「ハイファ、ハイファ……もう――」
「僕も……いく、いっちゃう……ああっ！」
「――うっく……あっ……ううっ！」

　眩暈のような快感にハイファは強く目を瞑り、開いてみると端正な顔が目の前にあった。黒い目に覗き込まれ、急に羞恥を感じて頬に血が上るのを感じる。

「ハイファお前、大胆且つ積極的だったよな」
「……言わないで。すっごい恥ずかしいかも」
「メチャメチャ良かったぜ。……大丈夫か？」
「ちょっと動けない以外は」
「声、掠れてるぞ」

　笑ってベッドから降りたシドがグラスに水を汲んできた。口移しの甘い水を何度か貰って、喘ぎ疲れたハイファの喉は満足する。

「わ、もう六時過ぎてる。寝るヒマないよ」
「だから最初に言ったじゃねぇか。動けねぇんだ。暫く横になってろ」

　出勤前にはどうせリフレッシャを浴びるのだ、着替えるまでもなく二人は素肌に毛布を被って横になった。