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第38話
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もしかしたらプラーグ政府は『反政府ゲリラを生かさず殺さず』から方針転換したのかも知れない。某大国の企みは既にその段階に入ったのだ。
そこでプラーグ政府首脳陣にとって砂の花輸出益の一部を掠め取るよりも、美味しい餌をぶら下げた……。
美味しい餌とは亡命しての悠悠自適くらいか。幾ら私腹を肥やそうが、あんな砂漠に浮いた島の中で囲まれて暮らすくらいなら西海岸で寝転んでいる方が余程いいに決まっている。
だがこんな小国の首脳陣を護る義務など某大国には通常なら無い筈だ。ならば護らなければならない秘密をプラーグ首脳陣側も持ち得ている。共有していると言った方が正解か。今まで彼らに甘い対応をしていたのがその証拠だ。
某大国とプラーグ首脳陣が共有する秘密とは何だ? そこに砂の花がどう絡む?
砂の花は必ず絡んでいる。他国に買い付けさせない理由は何だ? 逆を言えば他国は何故、砂の花を買い付けない?
そこまで考えた霧島は辿り着きそうで辿り着けないもどかしさに歯軋りしたい思いに駆られた。心配してか京哉が左腕を握っている。それでも思考に没頭していた。
機内の沈黙がハミッシュの声で破られ、霧島の思考は中断される。
「あと十五分で着く、それまで耐えてくれ――」
「機影、二時の方向三十度!」
「味方じゃない、ヴァージョンが新しい!」
パイロットとスナイパーの目で見取り、キャラハンの声と京哉の英単語が鋭く重なり合った。呼応してハミッシュは小型ヘリを急機動させ更に高度を取る。
約五秒で敵機と交差した。
ハミッシュ、チェーンガンのレリーズを押す。
毎分六百発以上の速度で三十ミリの大口径榴弾が放たれた。
二連射、命中。
敵中型ヘリは多目的榴弾にその身を引き裂かれてベージュの砂漠に墜ちていった。
「ことは終わっちまったのか……?」
レズリーが呟くうちに機は減速し降下を始める。同時に味方機の中型ヘリと小型ヘリのそれぞれ一機ずつがランディング態勢に入っているのが目に映った。
中型機にはドアガンとガナーが乗っている。小型ヘリのチェーンガンと共に地上の援護をしたらしい。状況から見て、最悪の結末は免れたようだ。
接地するなりドアを開け放したまま全員が飛び降りて駆け出した。男性用大天幕の前でジョセとアメディオが手を振っている。傍に立っているのは僅かに俯いたオルコットだ。だが、そこら中に男女が砂に血を吸わせて斃れていた。
誰もが言葉を失い、二十ミリバルカン砲でズタズタにされた彼らの悲惨な姿に目を眇める。そこでジョセが銃を取り落としハミッシュの腕に飛び込んだ。大声で叫ぶ。
「あんなに、あんなに大攻勢を楽しみにしていたのにイルマもジーンもエディもビジョルドも、オグルビーまで死んだわ! あの、あいつが裏切ったせいでね!!」
叫んで指差した。アメディオにアサルトライフルを突き付けられたオルコットを。
「何故だ、どうして分かる?」
興奮しきって涙も出せないジョセをあやすように抱き締めながらハミッシュが訊いた。アメディオがアサルトライフルの銃口でオルコットを突き、顔を歪めて答える。
「こいつの立哨中に差し入れに行ったイルマが聞いたんだよ、軍と無線で話してこっちの状況を細かく教えているのをな。お蔭で全てが軍と政府に筒抜けだ。前回俺たちが食らった掃討だけじゃない、丸焼きにされた村を軍にさしたのもこいつらしい」
「密告……本当なのか?」
「……」
たった十日ほど前にグループに加わったオルコットは無言で肯定した。
「お前は母親と妹を処刑され、政府を憎んでこちら側に来たんじゃなかったのか?」
「俺は政府も憎い。誰も庇わず母と妹を見捨てた村も……だがな、押しかけ匿われておきながら、母と妹だけを十字架にかけた反政府ゲリラが俺は憎いんだ!」
食い縛った歯の隙間から言葉を押し出し、オルコットは吐き捨てた。
皆が死者を並べて負傷者の手当てに奔走する中、ここだけ刻が針を止めたようだった。あくまで静かな口調でハミッシュがオルコットに問う。
「制裁は覚悟しているな?」
「元よりだ」
「掟だ、水筒に水を詰めろ」
「準備はできている」
「なら、行こう」
アメディオがオルコットから携帯を取り上げ、ボディチェックしてから小型ヘリの方に促した。ハミッシュとキャラハンが続く。まもなくヘリは飛び立った。
ヘリが彼方に消えるのを残された者はチラリと目をやり、すぐに作業に戻る。霧島が誰にともなく訊いた。
「裏切り者への制裁……どうするんだ?」
「砂漠の真ん中に放り出すのよ、水筒ひとつでね!」
霧島に言うとジョセは負傷者が運び込まれている男性用大天幕の中に姿を消した。
結局、死者は七名を数え、自力で動けぬ負傷者は六名に上った。けれど感傷に浸る間もなくキャンプは畳まれる。手早く用意してハミッシュたちが戻るなり移動を開始した。
「しかし真っ昼間とは、油断したな」
「それでも大攻勢前で武装してたのが幸いだったかも知れませんね」
「その大攻勢の情報も洩れたとみていいだろう」
「うーん、どうしましょうか?」
四駆の後部座席で霧島と京哉は思案していた。ドライバーはアメディオ、助手席には亡くしたオグルビーというバディの代わりに食料を積んでいる。
目を赤くしたアメディオの鼻歌も一層淋しげだ。
「参謀長ならどうするんだ?」
「当然、予定を前倒しにするしかありませんね」
「即、集合ポイントに移動で一回目の砂嵐でアタックか?」
「はい。あとになればなるほど中央は壁を厚くする。もう準備に入ってるでしょう」
「ならばクーンツたちに通信して私たちはこのままポイントに移動した方がいいな」
「じゃあ全員にメールして了解を取ります。文面だけ打って下さい」
次々と入りだした返信で四駆はにわかに指揮通信車の様相を呈する。そして各グループから了解を得た一団は一旦停止し、アタック隊のみ街方向に進路を変えることになった。
減ってしまった人員を振り分け直し、食料や水、武器や機材の載せ替えをして、街まであと三十キロというポイントに着いたのは、夜になってからだった。
第二駐屯地への陽動部隊とも途中で別れたので、人員輸送の中型ヘリと小型ヘリのそれぞれ一機ずつだけが中央撃破隊集合ポイントにランディングした。
着いてみると先に着いていたクーンツたちが迎えてくれた。食事を摂るヒマもなかった霧島たちに、嬉しい焚き火と夕食付きである。
襲撃を知るクーンツは殊更明るく言った。
「いつゴーサインの風が吹くか知れないから酒は出せないが、まあ食べてくれ」
景気づけなのか、心なしか肉片の多く入った豆のシチューを霧島と京哉も有難く頂く。氷点に向かってぐいぐい気温が下がってゆく中、熱いシチューは旨かった。
そうしているうちに他のグループからのアタック要員も集まってくる。
「ヘリパイ六名とドアガン手三名、地上が四十八名に迫撃砲三名か」
「忍さん、ここは作戦本部長として一言」
「馬鹿言え、ガラスの心臓の私にそんなことができるか。参謀長に任せる。喋ろうが踊ろうがヨシ。脱がなければ何でも構わん。私はさっさと寝る。ふあーあ」
二人が手に入れてきた第一駐屯地の見取り図や兵士の配置図などの資料を驚き眺めて、伝令の小型ヘリが飛び立つのを見送りながら、京哉は焚き火の傍で煙草を咥えて火を点ける。傍に寄り添った霧島が欠伸を噛み殺しながら呟いた。
「特別任務を与えて私たちにこれをさせたかったのか……」
「これってまさか某大国は反政府ゲリラに一斉攻勢させたかったってことですか?」
「私たち二人の動きに対して何ら妨害が入らん。それが証拠だろう?」
「それならみんなを止めなきゃいけないんじゃないですか? 向こうは最終兵器か何かを用意していて、一人残らず殺されちゃうかも知れないじゃないですか!」
「どうやって説得するつもりだ? そのまま告げれば我々二人が水筒ひとつで砂漠だぞ。それにな、おそらく某大国とプラーグ政府も『ある局面』に来ている。一か八かでも今を逃せば二度と彼らが主権を手にすることはできない、そんな気がしている」
「そうですか。なら一抜けもできないし、是が非でも成功させないと処刑もご免ですしね。でも忍さんはご自分が納得できるよう考えて動いて下さいね、僕にできる限りサポートしますから」
「ああ、頼りにしている」
その晩は何事もなく、小型天幕で霧島は京哉を抱き締めて眠った。
翌日の昼間は体力温存のため、殆どの時間をエアコンの利いた中型ヘリの機内で過ごした。武器の総点検や突入計画の最終確認も、それぞれの隊ごとにヘリ内に集まって行う。軍事衛星の解析で掃討部隊が送り込まれることも想定し、大きな天幕は建てなかった。
そして長い昼が終わって満天の星空が現れた頃、早めの夕食を摂って焚き火の傍でダベっていると、ふいに同じ突入班のレズリーが鼻をうごめかせた。
「気温が下がらねぇ。これはくるかも知れんぞ」
一緒に火に当たっていた霧島と京哉はただ寒いだけ、普段との違いなどまるで分からなかったが、その場にいたクーンツやハミッシュ、キャラハンやアメディオといったメンバーたちが顔つきを変えて頷き、一様に緊張した雰囲気をまとう。
それから約二時間後だった。風が吹き、唸りを上げ始めたのは。
砂嵐の始まり、プラーグの歴史に残る反政府武装勢力側大攻勢の始まりだった。
そこでプラーグ政府首脳陣にとって砂の花輸出益の一部を掠め取るよりも、美味しい餌をぶら下げた……。
美味しい餌とは亡命しての悠悠自適くらいか。幾ら私腹を肥やそうが、あんな砂漠に浮いた島の中で囲まれて暮らすくらいなら西海岸で寝転んでいる方が余程いいに決まっている。
だがこんな小国の首脳陣を護る義務など某大国には通常なら無い筈だ。ならば護らなければならない秘密をプラーグ首脳陣側も持ち得ている。共有していると言った方が正解か。今まで彼らに甘い対応をしていたのがその証拠だ。
某大国とプラーグ首脳陣が共有する秘密とは何だ? そこに砂の花がどう絡む?
砂の花は必ず絡んでいる。他国に買い付けさせない理由は何だ? 逆を言えば他国は何故、砂の花を買い付けない?
そこまで考えた霧島は辿り着きそうで辿り着けないもどかしさに歯軋りしたい思いに駆られた。心配してか京哉が左腕を握っている。それでも思考に没頭していた。
機内の沈黙がハミッシュの声で破られ、霧島の思考は中断される。
「あと十五分で着く、それまで耐えてくれ――」
「機影、二時の方向三十度!」
「味方じゃない、ヴァージョンが新しい!」
パイロットとスナイパーの目で見取り、キャラハンの声と京哉の英単語が鋭く重なり合った。呼応してハミッシュは小型ヘリを急機動させ更に高度を取る。
約五秒で敵機と交差した。
ハミッシュ、チェーンガンのレリーズを押す。
毎分六百発以上の速度で三十ミリの大口径榴弾が放たれた。
二連射、命中。
敵中型ヘリは多目的榴弾にその身を引き裂かれてベージュの砂漠に墜ちていった。
「ことは終わっちまったのか……?」
レズリーが呟くうちに機は減速し降下を始める。同時に味方機の中型ヘリと小型ヘリのそれぞれ一機ずつがランディング態勢に入っているのが目に映った。
中型機にはドアガンとガナーが乗っている。小型ヘリのチェーンガンと共に地上の援護をしたらしい。状況から見て、最悪の結末は免れたようだ。
接地するなりドアを開け放したまま全員が飛び降りて駆け出した。男性用大天幕の前でジョセとアメディオが手を振っている。傍に立っているのは僅かに俯いたオルコットだ。だが、そこら中に男女が砂に血を吸わせて斃れていた。
誰もが言葉を失い、二十ミリバルカン砲でズタズタにされた彼らの悲惨な姿に目を眇める。そこでジョセが銃を取り落としハミッシュの腕に飛び込んだ。大声で叫ぶ。
「あんなに、あんなに大攻勢を楽しみにしていたのにイルマもジーンもエディもビジョルドも、オグルビーまで死んだわ! あの、あいつが裏切ったせいでね!!」
叫んで指差した。アメディオにアサルトライフルを突き付けられたオルコットを。
「何故だ、どうして分かる?」
興奮しきって涙も出せないジョセをあやすように抱き締めながらハミッシュが訊いた。アメディオがアサルトライフルの銃口でオルコットを突き、顔を歪めて答える。
「こいつの立哨中に差し入れに行ったイルマが聞いたんだよ、軍と無線で話してこっちの状況を細かく教えているのをな。お蔭で全てが軍と政府に筒抜けだ。前回俺たちが食らった掃討だけじゃない、丸焼きにされた村を軍にさしたのもこいつらしい」
「密告……本当なのか?」
「……」
たった十日ほど前にグループに加わったオルコットは無言で肯定した。
「お前は母親と妹を処刑され、政府を憎んでこちら側に来たんじゃなかったのか?」
「俺は政府も憎い。誰も庇わず母と妹を見捨てた村も……だがな、押しかけ匿われておきながら、母と妹だけを十字架にかけた反政府ゲリラが俺は憎いんだ!」
食い縛った歯の隙間から言葉を押し出し、オルコットは吐き捨てた。
皆が死者を並べて負傷者の手当てに奔走する中、ここだけ刻が針を止めたようだった。あくまで静かな口調でハミッシュがオルコットに問う。
「制裁は覚悟しているな?」
「元よりだ」
「掟だ、水筒に水を詰めろ」
「準備はできている」
「なら、行こう」
アメディオがオルコットから携帯を取り上げ、ボディチェックしてから小型ヘリの方に促した。ハミッシュとキャラハンが続く。まもなくヘリは飛び立った。
ヘリが彼方に消えるのを残された者はチラリと目をやり、すぐに作業に戻る。霧島が誰にともなく訊いた。
「裏切り者への制裁……どうするんだ?」
「砂漠の真ん中に放り出すのよ、水筒ひとつでね!」
霧島に言うとジョセは負傷者が運び込まれている男性用大天幕の中に姿を消した。
結局、死者は七名を数え、自力で動けぬ負傷者は六名に上った。けれど感傷に浸る間もなくキャンプは畳まれる。手早く用意してハミッシュたちが戻るなり移動を開始した。
「しかし真っ昼間とは、油断したな」
「それでも大攻勢前で武装してたのが幸いだったかも知れませんね」
「その大攻勢の情報も洩れたとみていいだろう」
「うーん、どうしましょうか?」
四駆の後部座席で霧島と京哉は思案していた。ドライバーはアメディオ、助手席には亡くしたオグルビーというバディの代わりに食料を積んでいる。
目を赤くしたアメディオの鼻歌も一層淋しげだ。
「参謀長ならどうするんだ?」
「当然、予定を前倒しにするしかありませんね」
「即、集合ポイントに移動で一回目の砂嵐でアタックか?」
「はい。あとになればなるほど中央は壁を厚くする。もう準備に入ってるでしょう」
「ならばクーンツたちに通信して私たちはこのままポイントに移動した方がいいな」
「じゃあ全員にメールして了解を取ります。文面だけ打って下さい」
次々と入りだした返信で四駆はにわかに指揮通信車の様相を呈する。そして各グループから了解を得た一団は一旦停止し、アタック隊のみ街方向に進路を変えることになった。
減ってしまった人員を振り分け直し、食料や水、武器や機材の載せ替えをして、街まであと三十キロというポイントに着いたのは、夜になってからだった。
第二駐屯地への陽動部隊とも途中で別れたので、人員輸送の中型ヘリと小型ヘリのそれぞれ一機ずつだけが中央撃破隊集合ポイントにランディングした。
着いてみると先に着いていたクーンツたちが迎えてくれた。食事を摂るヒマもなかった霧島たちに、嬉しい焚き火と夕食付きである。
襲撃を知るクーンツは殊更明るく言った。
「いつゴーサインの風が吹くか知れないから酒は出せないが、まあ食べてくれ」
景気づけなのか、心なしか肉片の多く入った豆のシチューを霧島と京哉も有難く頂く。氷点に向かってぐいぐい気温が下がってゆく中、熱いシチューは旨かった。
そうしているうちに他のグループからのアタック要員も集まってくる。
「ヘリパイ六名とドアガン手三名、地上が四十八名に迫撃砲三名か」
「忍さん、ここは作戦本部長として一言」
「馬鹿言え、ガラスの心臓の私にそんなことができるか。参謀長に任せる。喋ろうが踊ろうがヨシ。脱がなければ何でも構わん。私はさっさと寝る。ふあーあ」
二人が手に入れてきた第一駐屯地の見取り図や兵士の配置図などの資料を驚き眺めて、伝令の小型ヘリが飛び立つのを見送りながら、京哉は焚き火の傍で煙草を咥えて火を点ける。傍に寄り添った霧島が欠伸を噛み殺しながら呟いた。
「特別任務を与えて私たちにこれをさせたかったのか……」
「これってまさか某大国は反政府ゲリラに一斉攻勢させたかったってことですか?」
「私たち二人の動きに対して何ら妨害が入らん。それが証拠だろう?」
「それならみんなを止めなきゃいけないんじゃないですか? 向こうは最終兵器か何かを用意していて、一人残らず殺されちゃうかも知れないじゃないですか!」
「どうやって説得するつもりだ? そのまま告げれば我々二人が水筒ひとつで砂漠だぞ。それにな、おそらく某大国とプラーグ政府も『ある局面』に来ている。一か八かでも今を逃せば二度と彼らが主権を手にすることはできない、そんな気がしている」
「そうですか。なら一抜けもできないし、是が非でも成功させないと処刑もご免ですしね。でも忍さんはご自分が納得できるよう考えて動いて下さいね、僕にできる限りサポートしますから」
「ああ、頼りにしている」
その晩は何事もなく、小型天幕で霧島は京哉を抱き締めて眠った。
翌日の昼間は体力温存のため、殆どの時間をエアコンの利いた中型ヘリの機内で過ごした。武器の総点検や突入計画の最終確認も、それぞれの隊ごとにヘリ内に集まって行う。軍事衛星の解析で掃討部隊が送り込まれることも想定し、大きな天幕は建てなかった。
そして長い昼が終わって満天の星空が現れた頃、早めの夕食を摂って焚き火の傍でダベっていると、ふいに同じ突入班のレズリーが鼻をうごめかせた。
「気温が下がらねぇ。これはくるかも知れんぞ」
一緒に火に当たっていた霧島と京哉はただ寒いだけ、普段との違いなどまるで分からなかったが、その場にいたクーンツやハミッシュ、キャラハンやアメディオといったメンバーたちが顔つきを変えて頷き、一様に緊張した雰囲気をまとう。
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