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34:恋人としての営み
しおりを挟む武流も裸になり、恥ずかしいという凪咲の訴えを聞いて部屋の明かりをオレンジ色の薄暗いものに切り替える。
互いに一糸纏わぬ姿で抱きしめあえば肌が触れあい、それが既に気持ちよい。
武流の手が凪咲の肌を撫で、ゆっくりと秘部へと近付いていく。指先が花芽を掠めた瞬間、凪咲の体がピクリと震えた。
「あ……」
微かな声が喉から漏れれば、それを聞いた武流の指が再び花芽を撫でる。
指先で触り方を探るように。くるくると円を描くように撫でられると下腹部に痺れるような快感が溜まり、とんとんと指先で叩かれるとそれに合わせて体が小さく跳ねる。
彼の指の動きに合わせて快感の熱が下腹部で渦巻き、己の秘部が愛液で溢れていくのが分かる。
「あっ、んぅ……、あぁ」
花芽を擦られ、時に捏ねるように強めに指先で押され、溢れた愛液を擦りつけるように撫でられる。そのたびに快感が強さを増していき、無意識に足に力が入り腰が揺れてしまう。
更には武流の指が秘部の割れ目を数度擦り、ゆっくりと押し入ってきた。自分の下腹部ゆえに見えないが、自分の秘部は武流の指をすんなりと飲み込み、彼の指の侵入を抗うことなく受け入れている。
体はすっかりと彼が与える愛撫に慣れており、圧迫感と異物感は感じる間もなくすぐさま中を擦られる快感へと変わってしまった。
「凪咲さんの中、凄く熱い……。指、増やしても平気ですか?」
「ん、平気、です……。あ、あぁ、気持ちいい……」
花芽を捏ねられ、同時に中を擦られる。
下腹部からせり上がる快感は強く、武流の問いかけに嬌声交じりのたどたどしい声で返事をするのが精一杯だ。
渦巻く快感が体中に満ちて、それどころか体からいつ弾けて溢れてもおかしくないほどに渦巻いている。体が強張り無意識に足を閉じて武流の手を挟むが、彼の指はその程度では責めるのを辞めず、それどころか更に快感をと愛撫を強めてくる。
そうしてまるで快感の先に押しやるように、花芽をぐりと強く捏ねられ、中の一番弱いところを曲げた指先で押し上げられた。
瞬間、凪咲の視界がチカチカと瞬いた。
「あっ、っ!! んぁああ!」
脳天まで駆け抜けていく快感に耐え切れず声をあげ、びくびくと体を震わせる。
声をあげた口を閉じる余裕もなく、はぁ、はぁ、と短い呼吸を数度続けた。
「……は、ぁ……あ、」
快感が強すぎるあまり、体中を暴れ回っていた波が引いていくのにも時間が掛かる。
ようやくその波が収まると今度は体から一気に力が抜け、シーツを強く掴んでいた手すらも今は力なく腕ごとシーツに沈んだ。
そんな凪咲を宥めるように武流の手が体を撫でてくる。先程までの快感を募らせる激しい動きではない、優しい動きだ。
だが優しく撫でつつも武流の手は凪咲に足を開くように促している。急かす気は無いが、この先を望んでいるのだ。
理解し、凪咲も促されるままにそっと足を開いた。彼が足の間に移動する。秘部を晒す恥ずかしさはあるが、それ以上の期待感が胸に湧き始める。
果てたばかりの疲労感はいつの間にか消え失せ、先程のような、否、先程よりも熱い快感をと心も体も求め始めていた。
「辛かったら言ってくださいね」
「はい。……んう」
武流の気遣いに頷いて返せば、それに続いて、下腹部に圧迫感が押し寄せた。
秘部に硬く熱いものが押し付けられ、徐々に入ってくる。少しずつ体の奥へと肉を押し分けて進まれる感覚に凪咲の体が震え、圧迫感で無意識に息を吐く。上手く空気を吸えずに短い呼吸を繰り返せば案じた武流が頬を撫でてきた。
「凪咲さん、落ち着いてゆっくりと息をしてください。辛かったら一度抜きますから」
「ん、平気です……。大丈夫、だから……」
武流の首に腕を回し、ぎゅっと抱き着く。
耳元で「全部入れて」と告げるのは彼の熱がまだ入りきっていないことが分かっているからだ。
それを聞いた武流が生唾を飲んだのが分かった。凪咲を気遣って慎重に挿入していたのだろう、そこに先程の凪咲の言葉なのだから、煽られているように感じたのかもしれない。「凪咲さん……」と名前を呼んでくる声は切羽詰まった男の色気をはらんでおり、彼の瞳に宿っていた熱が強まった気がする。
彼の体に僅かに力が入ったのが触れる肌越しに伝わってくる。ぐっと体重を掛け、それと同時に熱を更に奥へと押し込んでくる。
「あっ! は、ぁ……!」
思わず声をあげて武流の体に強くしがみつく。
「動きますね……」
「……ん、う……あっ、あぁ、……っ!」
中に押し込まれた熱がぐりと奥を擦り、かと思えば一度引き抜かれ、再び中へと押し入る。
最初は凪咲の体を慣らすように緩やかに動きを繰り返し、その動きが次第に早くなっていく。武流の手が凪咲の腰を掴みさらに動きは荒々しくなり、中を抉る熱の動きも激しさを増していった。
「あぁっ! んぅ、ふぁ、ああ!」
奥を強く押されれば鈍く響くような快感が、引き抜かれれば中を擦られるもどかしさに似た快感が、ひたすら下腹部に溜まっていく。
激しく揺さぶられる動きすらも快感の波を後押しするかのようで、呼吸のために開けた口からは甘い声ばかりが溢れる。息も絶え絶えに武流の名前を呼び「気持ち良い」と訴えれば、武流も呼吸を乱しながらも自分もだと返してくれた。
その声も、彼が快感を得ているということも、凪咲の中で快感へと変わる。
「凪咲さん、もっと気持ちよくなってください」
武流が譫言のように囁き、次いで彼はゆっくりと身を起こした。
片手で凪咲の腰を掴み、そして片手は凪咲の下腹部をそっと撫で……、ぬるりと花芽に指先で触れた。
「あっ、んぁあ!」
瞬間、凪咲の体中にビリビリと痺れるような快感が走り抜けた。
中を擦られる快感とは違う強く鋭い快感。思わず凪咲の体がびくびくと跳ね、それが刺激になったのか武流が微かに息を呑んだ。
だが彼は手での刺激を緩めることはなく、自ら腰を打ち付けて雄々しい熱で凪咲の中を責め、片手では花芽を捏ねて更なる快感を与えてくる。
彼自身も快感に翻弄されかけているからか腰の動きも荒く、花芽を弄る指の動きにも容赦がない。親指の腹で愛液を塗りつけ、捏ね、指先で挟むようにして小さな花芽を揉む。
「ああぁ! だめ、それ……、強くて、気持ちいのが強くて、もう……!!」
激しい快感に身悶えながら限界を訴える。
それを聞いても武流は快感を与えることを止めず、それどころか凪咲の限界を誘うようにと動きを激しくさせた。
肌がぶつかる音と、溢れた愛液がたてる卑猥な水音が室内に続く。だが激しい快感に声をあげる凪咲の耳には既に入っておらず、今はもうされるがままに悶えてあられもない声をあげるだけだ。
「駄目、もう私……、あぁっ、あっ、ひうぅ……いっ……!!」
体中を巡っていた快感の大波が頭の中にまで流れ込み、果てる直前の激しい衝動が体も意識も全てを飲み込む。
「いく」とさえ言えない。体に力が入り目の前が白く瞬く。
「は、っあ、あぁ! んぁぁあっ!!」
まるで電気が弾けたかのような感覚に、凪咲はあられもない声をあげて果てた。
「あ……、んぅ……ふぅう……」
体中を駆け巡った快感の波が一気に弾け、次いでその余韻が後追うように体を満たしていく。
まるで体を優しく撫でられているような感覚。優しく柔らかい愛撫のような余韻に鼻に掛かった声を出し、くったりと体の力を抜いた。
足の間に割り込むように身を寄せていた武流もまた荒い呼吸をしており、そっと体を放すと同時に凪咲の中に埋めていた熱を引き抜く。少し気だるげに前髪を掻き上げる仕草は男なのに妙な色気を感じさせ、「凪咲さん」と呼ぶ声は艶めかしく掠れている。
「凪咲さん、愛してます……。俺と結婚してください」
愛の言葉を告げながら武流が身を寄せ、優しく抱きしめてくる。
触れる肌が熱い。その心地良さに凪咲もまた彼の背に腕を回して抱きしめて返した。もちろん返事は「はい」だ。
まだ残る快感のせいで甘い声での返事になってしまって少し恥ずかしいが、返事を聞いた武流は嬉しそうに表情を綻ばせた。
密事の最中のぎらついた男の顔とは違う。だがこれもまた武流らしい表情だ。
愛しさが胸に湧き上がり、抱きしめ返す腕に更に力を入れる。
幸せで、幸せだからこそもっと触れたい。抱きしめ合ったまま「私も愛してます」と告げれば彼が嬉しそうに笑ってキスをしてきた。
深く、この幸せを分かち合うようなキス。軽く唇を放して息を吸い再び唇を重ねる。
そんなキスの最中に凪咲がぱちくりと目を瞬かせたのは、抱きしめ合い触れていた下腹部に違和感を覚えたからだ。
なにか、熱く硬いものが触れている……。
先程までは無かった感覚。現れた、というよりは、触れていたものが硬くなったような……。
これは、と凪咲が武流を見つめれば、気付いた彼が気まずそうに瞳を逸らした。頬が赤くなっている。
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