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第三章 武器は"情報"と"連携"
59.第二の王族
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59.第二の王族
「魔獣ギドラスの牙。カトブレパスの角。
魔獣アラサラウスの爪。
あれらが森で落ちているものだとは驚きですわ」
怒りを顔に隠さず、エリザベートが言い放つ。
その冷たさと刺々しさに大臣たちは身を縮める。
「有益なものも使えるものも無い。
確かにそう言ったな?
私も全て確認したが、どれを取っても一級品だった」
公爵夫人とは思えぬ口調で、彼女の母君がつぶやくと、
国王までが動揺のあまり目が泳いでいる。
ライザ・ローマンエヤール公爵夫人。
ストレートの黒髪を動きやすそうなショートボブに整え、
鎧を身にまとい、化粧っ気は全くないが、
大きな黒い瞳の理知的な美人だった。
誰に対しても常に冷静であり、
それは夫や娘に対しても同様だ。
日々、休むことなく淡々と任務をこなし、
国はおろか世界中を飛び回っている女性で、
”公爵よりも会えない”と言われているのだが。
国王は苦し紛れの言い訳で話を終えようとする。
「……報告に誤りがあっただけだ」
自分のせいにされそうになった大臣が焦って叫ぶ。
「鑑定した者が無能だったのです!
ご息女の成果でしたら、
大変素晴らしいものだったに違いございません!」
情けない責任転嫁は、
罪もない下級鑑定士の責任にして終わるつもりらしい。
公爵夫人は表情一つ変えずに言う。
「鑑定士にはすでに確認をとってある。
全ての物に、正しい評価を行っていた。
彼らに問題は、まったく無い」
問題があるのはお前らだ、と言外で反論したのだ。
大臣たちは逃げ場を無くし、顔を歪ませる。
そんな彼らを気にも留めず、公爵夫人は話を進める。
「では全ての品は我がローマンエヤール公爵家が買い取り
すぐに研究施設や各地の戦場に送ろう。
全ては国の利益となります。
……異存はございますか?」
てきぱきと言い切る彼女に、誰も反論はできなかった。
イライザ王妃は悔し気に眉をしかめ、
王太子は歯を食いしばって俺をにらんでいる。
国王はまだ何か言いたそうにしていたが
ドサッと椅子に座り込んで、つぶやいた。
「良かろう。結局は全て私のものということだ」
そう言って俺たちを見据える。
……この負けず嫌いめ。
横で公爵夫人が一礼する。
大臣や居並ぶ貴族が、ふぅ、と息をついた。
”ローマンエヤール公爵家は第二の王族”。
その噂はどうやら間違いないようだ。
************
部屋を出て、成果の入った箱を速やかに回収する。
悔し気にそれを見守る大臣たちに手を振り、
俺たちは宮殿を後にした。
かなり離れてから、公爵夫人がいきなり
声が漏れない魔方陣を張り、俺に向かって言う。
「レオ。剣を抜くにはまだ早い。
剣を持っていることすら、知られてはならない」
俺は無言で彼女を見た。
エリザベートも不安そうに母親を見ている。
ライザ・ローマンエヤール公爵夫人は無表情のまま
教師が指導でもするかのような口調で語った。
「殿下はこの国をまだ十分に理解していない。
それ以上に自分自身についても、だ」
確かにまだまだナゾだらけだ。
国王が、何か腹黒いことを企んでいるのは間違いない。
ロンデルシアを魔獣が襲撃した件の真犯人はこの国王だしな。
その目的はロンデルシアの国宝”勇者の剣”を奪うことだったが
大失敗に終わり、苛立っている様子だった。
しかし、奪ってどうするつもりだったのだろう?
それにイライザ王妃の思惑だ。
モテない男の思考で申し訳ないが、
彼女は何で、父ではなく母を殺さなかったのだ?
何故、好きだったはずの勇者を殺させ
憎い女を自分の側で生かしたのだ?
もし俺が二人の子どもで、
しかも二人とも生きていると知ったら……
たぶん、恐ろしいことになるな。
そもそも親父が生きていたことを世間に公表しなかった理由は
”世界が危険にさらされるから”だったのだ。
王妃イライザがたとえ世界戦争になっても
手段を選ばず親父を殺そうとするから、だと緑板に出ていた。
キースの目的を検索した時にも、
”シュニエンダール王妃の行動を抑制する”
というのがあった。
あの女が本気でキレたらやばいことになるのかもしれない。
いろいろ考え、俺は反省し、公爵夫人に向かってうなずく。
確かにあそこで国王に喧嘩を売るのは勇み足だったな。
「いろいろな事実関係を知りましたが
確かにまだ不十分ですね。
……ご介入いただき助かりました」
公爵夫人は俺の目を見ながら言う。
「まずは知ることだ。そして静かに動く。
絶対にこちらからは手出しはするな。
下手をすれば、首を取られるのはこちらのほうだぞ?」
返事をしようとして、俺は思わず目を見開く。
……そうか、そうなのか。
意味が通じたことを確認したのか、
ライザ公爵夫人は口元をほころばせた。
彼女が去ってから、俺は残されたエリザベートに言う。
「公爵家はずっと、アイツと連絡を取っているんだな」
「私には内緒で、ですけどね」
エリザベートは口をとがらせるが、目は笑っている。
母への手土産は国王の”首”にすると、俺はキースに言った。
そのことをアイツは、公爵夫妻に伝えたのだ。
************
俺たちは以前のように、俺の宮殿に集まっている。
以前と違うのは、足元にファルたちがいることだ。
「今日の議題なんだが……」
何と言い出して良いか分からず、俺は言いよどむ。
「醤油の本格製造ですよね?
メアリーがマメに、研究結果を送ってくれますし」
ジェラルドが苦笑いで首をかしげる。
「まずは王家や軍、教会に対する対策を考えないと。
絶対、何かを仕掛けてくるはずですから」
俺は首を掻き掻き、彼らに答える。
「まあ、どっちも早く考えなきゃいけないことだが、
それより前に、報告したいことがあるんだ」
「はい? なんでしょう?」
「どうしました? 王子」
フィオナとジェラルドは不思議そうだが、
エリザベートは沈黙している。
なぜかちょっと恥ずかしそうだ。
意を決して俺は話し始める。
「チュリーナの神殿で、アーログが暴れた時。
俺は急に動けなくなった」
「そういえば、いきなり攻撃をやめて
エリザベート様を追いかけて行かれましたね?」
うなずきながらそう言うジェラルド。
「あの時、体を支配していたのは俺じゃなかった」
「えっ!?」
「どういうことですか?」
俺はいったん黙り、心の中に問いかける。
おい……しかし返事はなかった。
そして顔をあげ、みんなに告げたのだ。
「あの瞬間。オリジナル・レオナルドの意識が戻ったんだ」
走っていくエリザベートを見ながら、
俺の頭の中で誰かが叫んでいた。
彼女の危機を、オリジナル・レオナルドが察知し、
それ以降、体が勝手に動き始めたのだ。
「レオナルドは幼馴染だった彼女を、
”エリー”と呼んでいたんだ。
最近は例の事情があって、距離を置いていたけどな」
俺はフィオナと目を合わせる。
彼女は悲し気にうなずき、エリザベートを見た。
聖女として祭り上げられ、困惑するフィオナを救うべく
レオナルドは教会内部に、王子の特権を使って詮索したのだが。
そこでローマンエヤール公爵家が、
俺の母親の死に関係している疑いがある、
という機密文書を見つけてしまったのだ。
それが事実なら、このまま彼女と結婚するわけにはいかない。
ただでさえ自分には悲惨な未来しか待っていないのだ。
そう考えたレオナルドは、エリザベートを解放すべく
急遽、婚約破棄を企んだのだ。
『聖騎士団 結成の祝賀会』をその場に選んだのは
王族肝煎りで結成されたこの聖騎士団を
スキャンダラスな醜聞まみれにしてやりたい、
という気持ちがあったからだ。
客観的に見ると、
最も大切なものを一番酷い形で傷つける悪手だが
それくらいレオナルドは切羽詰まっており、
”真の絶望”を感じていたのだろう。
「……私も”情報”として、それは知っていたんだけど。
成長してからは”レオ”とは呼ばなくなっていたようだし」
しかしあの時、オリジナル・レオナルドの呼びかけに、
オリジナル・エリザベートも反応したのだ。
いざ落下するという時、彼女からとっさに出た言葉は
「レオ! 来ないで!」
だった。あれはきっと、オリジナル・エリザベートだろう。
「今まで、オリジナルの意識を感じたことってあるか?」
俺の問いかけに、フィオナとジェラルドは考え込む。
「……そうですね。あえて言うなら、戦闘時でしょうか。
普段は、彼の習得した戦術や技術を用いて戦っているんですが
たまに元世界の手法を使うこともあるんです」
確かに、モンスターを狩るゲームで慣れたやり方ってのがあるな。
ジェラルドは苦笑いしながら続ける。
「そういう時、たまに激賞する言葉が浮かんでくるんです。
自画自賛なんてジェラルドらしくない、
と思って黙っていましたが」
フィオナは眉を寄せ、首をかしげる。
「私はありませんねえ……以前のように
怖くて寂しい夢を見ることはなくなりましたし。
なんか”神様に感謝します”なんて言葉が
意味もなく浮かんでくるくらいでしょうか」
「……いや、それはちょっと変じゃないか?
何でもない時に浮かんでくるような言葉じゃないぞ」
エリザベートは言いづらそうに俺を見ながら。
「私は言葉じゃなくて、感情だったわ」
そして視線を下に落としてつぶやく。
「時々ね、泣きそうになるくらい嬉しくなったり
ギュッと不安で胸が潰れそうになったり。
それはもしかすると、
エリザベートが感じていることなのかもしれないわ」
俺はうなずき、全員に向かって言う。
「オリジナルの魂……意識がどこにいったか、
ずっと気になってはいたが。
どうやらオリジナルたちは、消えもせず、
現実世界の俺たちの体に入れ替わったりもしてないようだ」
つまり彼らはずっと、
俺たちの中にいる可能性が高い、ということだ。
「魔獣ギドラスの牙。カトブレパスの角。
魔獣アラサラウスの爪。
あれらが森で落ちているものだとは驚きですわ」
怒りを顔に隠さず、エリザベートが言い放つ。
その冷たさと刺々しさに大臣たちは身を縮める。
「有益なものも使えるものも無い。
確かにそう言ったな?
私も全て確認したが、どれを取っても一級品だった」
公爵夫人とは思えぬ口調で、彼女の母君がつぶやくと、
国王までが動揺のあまり目が泳いでいる。
ライザ・ローマンエヤール公爵夫人。
ストレートの黒髪を動きやすそうなショートボブに整え、
鎧を身にまとい、化粧っ気は全くないが、
大きな黒い瞳の理知的な美人だった。
誰に対しても常に冷静であり、
それは夫や娘に対しても同様だ。
日々、休むことなく淡々と任務をこなし、
国はおろか世界中を飛び回っている女性で、
”公爵よりも会えない”と言われているのだが。
国王は苦し紛れの言い訳で話を終えようとする。
「……報告に誤りがあっただけだ」
自分のせいにされそうになった大臣が焦って叫ぶ。
「鑑定した者が無能だったのです!
ご息女の成果でしたら、
大変素晴らしいものだったに違いございません!」
情けない責任転嫁は、
罪もない下級鑑定士の責任にして終わるつもりらしい。
公爵夫人は表情一つ変えずに言う。
「鑑定士にはすでに確認をとってある。
全ての物に、正しい評価を行っていた。
彼らに問題は、まったく無い」
問題があるのはお前らだ、と言外で反論したのだ。
大臣たちは逃げ場を無くし、顔を歪ませる。
そんな彼らを気にも留めず、公爵夫人は話を進める。
「では全ての品は我がローマンエヤール公爵家が買い取り
すぐに研究施設や各地の戦場に送ろう。
全ては国の利益となります。
……異存はございますか?」
てきぱきと言い切る彼女に、誰も反論はできなかった。
イライザ王妃は悔し気に眉をしかめ、
王太子は歯を食いしばって俺をにらんでいる。
国王はまだ何か言いたそうにしていたが
ドサッと椅子に座り込んで、つぶやいた。
「良かろう。結局は全て私のものということだ」
そう言って俺たちを見据える。
……この負けず嫌いめ。
横で公爵夫人が一礼する。
大臣や居並ぶ貴族が、ふぅ、と息をついた。
”ローマンエヤール公爵家は第二の王族”。
その噂はどうやら間違いないようだ。
************
部屋を出て、成果の入った箱を速やかに回収する。
悔し気にそれを見守る大臣たちに手を振り、
俺たちは宮殿を後にした。
かなり離れてから、公爵夫人がいきなり
声が漏れない魔方陣を張り、俺に向かって言う。
「レオ。剣を抜くにはまだ早い。
剣を持っていることすら、知られてはならない」
俺は無言で彼女を見た。
エリザベートも不安そうに母親を見ている。
ライザ・ローマンエヤール公爵夫人は無表情のまま
教師が指導でもするかのような口調で語った。
「殿下はこの国をまだ十分に理解していない。
それ以上に自分自身についても、だ」
確かにまだまだナゾだらけだ。
国王が、何か腹黒いことを企んでいるのは間違いない。
ロンデルシアを魔獣が襲撃した件の真犯人はこの国王だしな。
その目的はロンデルシアの国宝”勇者の剣”を奪うことだったが
大失敗に終わり、苛立っている様子だった。
しかし、奪ってどうするつもりだったのだろう?
それにイライザ王妃の思惑だ。
モテない男の思考で申し訳ないが、
彼女は何で、父ではなく母を殺さなかったのだ?
何故、好きだったはずの勇者を殺させ
憎い女を自分の側で生かしたのだ?
もし俺が二人の子どもで、
しかも二人とも生きていると知ったら……
たぶん、恐ろしいことになるな。
そもそも親父が生きていたことを世間に公表しなかった理由は
”世界が危険にさらされるから”だったのだ。
王妃イライザがたとえ世界戦争になっても
手段を選ばず親父を殺そうとするから、だと緑板に出ていた。
キースの目的を検索した時にも、
”シュニエンダール王妃の行動を抑制する”
というのがあった。
あの女が本気でキレたらやばいことになるのかもしれない。
いろいろ考え、俺は反省し、公爵夫人に向かってうなずく。
確かにあそこで国王に喧嘩を売るのは勇み足だったな。
「いろいろな事実関係を知りましたが
確かにまだ不十分ですね。
……ご介入いただき助かりました」
公爵夫人は俺の目を見ながら言う。
「まずは知ることだ。そして静かに動く。
絶対にこちらからは手出しはするな。
下手をすれば、首を取られるのはこちらのほうだぞ?」
返事をしようとして、俺は思わず目を見開く。
……そうか、そうなのか。
意味が通じたことを確認したのか、
ライザ公爵夫人は口元をほころばせた。
彼女が去ってから、俺は残されたエリザベートに言う。
「公爵家はずっと、アイツと連絡を取っているんだな」
「私には内緒で、ですけどね」
エリザベートは口をとがらせるが、目は笑っている。
母への手土産は国王の”首”にすると、俺はキースに言った。
そのことをアイツは、公爵夫妻に伝えたのだ。
************
俺たちは以前のように、俺の宮殿に集まっている。
以前と違うのは、足元にファルたちがいることだ。
「今日の議題なんだが……」
何と言い出して良いか分からず、俺は言いよどむ。
「醤油の本格製造ですよね?
メアリーがマメに、研究結果を送ってくれますし」
ジェラルドが苦笑いで首をかしげる。
「まずは王家や軍、教会に対する対策を考えないと。
絶対、何かを仕掛けてくるはずですから」
俺は首を掻き掻き、彼らに答える。
「まあ、どっちも早く考えなきゃいけないことだが、
それより前に、報告したいことがあるんだ」
「はい? なんでしょう?」
「どうしました? 王子」
フィオナとジェラルドは不思議そうだが、
エリザベートは沈黙している。
なぜかちょっと恥ずかしそうだ。
意を決して俺は話し始める。
「チュリーナの神殿で、アーログが暴れた時。
俺は急に動けなくなった」
「そういえば、いきなり攻撃をやめて
エリザベート様を追いかけて行かれましたね?」
うなずきながらそう言うジェラルド。
「あの時、体を支配していたのは俺じゃなかった」
「えっ!?」
「どういうことですか?」
俺はいったん黙り、心の中に問いかける。
おい……しかし返事はなかった。
そして顔をあげ、みんなに告げたのだ。
「あの瞬間。オリジナル・レオナルドの意識が戻ったんだ」
走っていくエリザベートを見ながら、
俺の頭の中で誰かが叫んでいた。
彼女の危機を、オリジナル・レオナルドが察知し、
それ以降、体が勝手に動き始めたのだ。
「レオナルドは幼馴染だった彼女を、
”エリー”と呼んでいたんだ。
最近は例の事情があって、距離を置いていたけどな」
俺はフィオナと目を合わせる。
彼女は悲し気にうなずき、エリザベートを見た。
聖女として祭り上げられ、困惑するフィオナを救うべく
レオナルドは教会内部に、王子の特権を使って詮索したのだが。
そこでローマンエヤール公爵家が、
俺の母親の死に関係している疑いがある、
という機密文書を見つけてしまったのだ。
それが事実なら、このまま彼女と結婚するわけにはいかない。
ただでさえ自分には悲惨な未来しか待っていないのだ。
そう考えたレオナルドは、エリザベートを解放すべく
急遽、婚約破棄を企んだのだ。
『聖騎士団 結成の祝賀会』をその場に選んだのは
王族肝煎りで結成されたこの聖騎士団を
スキャンダラスな醜聞まみれにしてやりたい、
という気持ちがあったからだ。
客観的に見ると、
最も大切なものを一番酷い形で傷つける悪手だが
それくらいレオナルドは切羽詰まっており、
”真の絶望”を感じていたのだろう。
「……私も”情報”として、それは知っていたんだけど。
成長してからは”レオ”とは呼ばなくなっていたようだし」
しかしあの時、オリジナル・レオナルドの呼びかけに、
オリジナル・エリザベートも反応したのだ。
いざ落下するという時、彼女からとっさに出た言葉は
「レオ! 来ないで!」
だった。あれはきっと、オリジナル・エリザベートだろう。
「今まで、オリジナルの意識を感じたことってあるか?」
俺の問いかけに、フィオナとジェラルドは考え込む。
「……そうですね。あえて言うなら、戦闘時でしょうか。
普段は、彼の習得した戦術や技術を用いて戦っているんですが
たまに元世界の手法を使うこともあるんです」
確かに、モンスターを狩るゲームで慣れたやり方ってのがあるな。
ジェラルドは苦笑いしながら続ける。
「そういう時、たまに激賞する言葉が浮かんでくるんです。
自画自賛なんてジェラルドらしくない、
と思って黙っていましたが」
フィオナは眉を寄せ、首をかしげる。
「私はありませんねえ……以前のように
怖くて寂しい夢を見ることはなくなりましたし。
なんか”神様に感謝します”なんて言葉が
意味もなく浮かんでくるくらいでしょうか」
「……いや、それはちょっと変じゃないか?
何でもない時に浮かんでくるような言葉じゃないぞ」
エリザベートは言いづらそうに俺を見ながら。
「私は言葉じゃなくて、感情だったわ」
そして視線を下に落としてつぶやく。
「時々ね、泣きそうになるくらい嬉しくなったり
ギュッと不安で胸が潰れそうになったり。
それはもしかすると、
エリザベートが感じていることなのかもしれないわ」
俺はうなずき、全員に向かって言う。
「オリジナルの魂……意識がどこにいったか、
ずっと気になってはいたが。
どうやらオリジナルたちは、消えもせず、
現実世界の俺たちの体に入れ替わったりもしてないようだ」
つまり彼らはずっと、
俺たちの中にいる可能性が高い、ということだ。
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