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第四章 最高の結末
112.危険な賭け
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112.危険な賭け
私は絶対的な強制力のある”神に対する誓約”を行い、
”国王様の命には全て従う”ことを誓います。
……そう宣言した瞬間。
母と王妃は、それぞれ正反対の反応をみせた。
「エリザベート、重要な決定を急ぐのは愚かだぞ」
「さすが公爵令嬢、賢い選択だわ!」
私は王妃では無く、母を見つめながら答えた。
「”暗黒の魔女”である私は、
父に並ぶこの国の最高戦力です。
私が国王様に従う様を世界に示せば、
それだけで他国に対し十分な抑止力になりますわ」
王妃は勝ち誇った顔で母を見ながら言う。
「その通りだわ。それなら戦わずして、
あの者達を追い出すことができますわ。
ねえ、公爵夫人? 本人が望んでいるんですもの」
母は何も言わず、私を見つめている。
私がなぜそんなことを言い出したのか、分かってはいるのだ。
どんなに他国の軍が押し寄せようと、
武力でこの国を抑えるのではダメなのだ。
罪状を証明され、たくさんの交渉を重ねる、となる前に
王妃は他国との大戦争を選ぶだろうし
王家の罪があやふやなまま進軍されたとあっては
我が国民も”いきなり侵略された”と感じてしまうだろう。
”国王が魔族だった”こと明らかにするのが、
世界だけでなく国内に対しても、
この国の王族を断罪する理由として
最もスムーズで手っ取り早いのだ。
母は私を見つめ続けている。
それは厳しい訓練を行っていた昔と同じ顔だった。
私が困難な技や呪文を習得しようとしている時に見せる、
心配と信頼がせめぎ合うような表情。
そしてあの頃と同じことを、母が私に言う。
「……出来るか? エリザベート」
私もあの頃と同じように答える。
「ええ、もちろんですわ」
意味が判っていない王妃ははしゃぎながら笑う。
「そうよね、出来ますわよ!
忠誠心を見せてくれますわよねえ?
さあ! さっそく……」
「お待ちください、王妃様」
王妃が侍従に”誓約”の準備をさせようとするのを私が止める。
「今ではありません。それではたいした”効力”を持たないのです。
正直に申し上げますと、この国の発する情報は
他国にとって何の価値もございません」
「な、何を言うの?! 王家の言葉に嘘、偽りなど……」
不快さを隠さない王妃に、私はわざと悲し気な顔を作り、
これまで暴かれた嘘を挙げ連ねた。
「”この国最強の軍”である聖騎士団は、デスワームすら倒せない実力。
第二王子は公示では魔力レベル8だと公示されていたのに実際は1.
”卓越した戦闘能力を持つ”どころか魔獣退治もしたことがなかった。
その第二王子の暗殺を第三王子が謀ったというのも大嘘、
世界中が見ている前で、”王命”だと暴露されていましたわね」
屈辱と怒りに震える王妃に、私は続ける。
「そして最も罪深い嘘が、第三王子がクズで無能であるという嘘。
これはもう覆せませんわ? 世界が認めていることですから」
王妃は引きつりながらも言い捨てる。
「……でももう死んだのよ。あの王子は。
私が付けた見張りから、伝令鳥で報告があったのですから。
”大魔獣ファヴニールが黒炎を吐きだし王子に浴びせた”と。
そして”噴煙が消えた後には、ファヴニールが横たわっており
その重みで辺りの地面が崩れ、地中に落ちていった”そうよ?
それじゃあ生き残るのは無理でしょう」
黙る私に、意地悪そうに王妃は言ったのだ。
「諦めなさい。あなたの婚約者は死んだの。
パルダルの地に、大魔獣と一緒に埋まっているわ。
あら、埋葬の手間が省けて良かったわね」
私は王妃に煽り返す。
「そうでしょうか? 殺したはずの夫や、
死んだはずの妻が生きている事は
案外珍しいことではないと、ロンデルシアで聞きましたが」
何を言って……と言いかけて、王妃は硬直する。
すぐにレオナルドの父である勇者と、
母であるブリュンヒルデ様の事だと気付いたのだ。
「まさか……まさかそんな……」
王妃は瞳をゆらし、激しく動揺している。
彼女はもう、私の事も母の事も見ていなかった。
おそらく頭の中は勇者のことでいっぱいなのだろう。
「……生きている? ダンが? だってあの深い谷底に……」
呆然とした表情がいきなり悪鬼の形相に変わった。
「そんなこと、絶対に許せないっ!」
そんな王妃に向かい、私は言った。
「ともかく、この国の発表は信用性がありません。
通達するだけでは”また嘘だ”と、いつものように嘲笑されるだけです。
彼らの目の前で、実際にそれを見せないといけません!
私が王家の忠実なしもべになった、その瞬間を!」
王妃は宙をしばらく見ていた。
そして真っ白な顔に血走った目で大臣に尋ねた。
「各国が到着するのは、いつごろか?」
「はっ! おそらく2日後には……」
王妃はキッとこちらに向きなおり、宣言した。
「神、いいえ聖女王に対する誓約は二日後に行います。
他国の軍は城下までの侵入は許しますが、
王宮には断じて立ち入らせません」
反論しようとする私に、王妃は告げたのだ。
「他国の軍には魔石でその姿をお見せすれば良いでしょう。
……貴女方が第9団を晒したようにね!」
送信機能を持つ魔石が、受信用の魔石に映像や音声を送り、
大きな映写幕にそれを映し出す。
その作戦で私たちは、第二王子の暗殺失敗を世界に実況したのだ。
あの時、計画を潰された怒りを思い出したのか、
王妃は私に詰め寄りながら恐ろしい笑顔を見せて言った。
「彼らだけでなく、国民にも見せましょう。
由緒正しきローマンエヤール公爵令嬢が、
私に対し”絶対服従”を神に宣誓する姿を。
地面に頭をつけ、履物に口づけし、
どんな命にも喜んで応じる様をね!」
************
「国王には……”破魔の聖句”も効かなかったそうです」
フィオナが悲し気にうなだれる。
密かにディランがシュバイツ公爵家の伝手を使い、
”破魔の聖句”を歌える神官を王宮に潜り込ませたんだそうだ。
王の間には近づけないため、
”式典の練習”だと言い、
窓の外で聞こえるように歌ったそうだが。
窓辺へと寄って来た国王は、
しばらく無表情でそれを聞いていたが、
誰かの呼びかけに戻っていったそうだ。
その姿には全く変化が現れなかったということだ。
「仕方ないわ。国王に効かなかったのは、
おびただしい魔道具で身を包んでいるからよ。
全ての呪文を封じたり、跳ね返すものだったわ」
「”魔”の分際で”魔除け”をするなんて!」
私の言葉に、フィオナは呆れたように文句をつぶやく。
「大丈夫。まだチャンスがあるわ」
”神に対する誓約”を行うには
それらを全て取り去らなくてはならない。
そのために私は、王妃の申し出を受けることにしたのだ。
誓約を行う儀式の際、国王が全ての魔道具を外す。
そして私が誓約を行う前に、ディランが呼び寄せた神官たちが
”破魔の聖句”を歌い、国王の真の姿を暴くのだ。
グエル元・大司教の時のように。
「とはいえ、危険な賭けだな」
母が眉をしかめてつぶやく。
「ちょっとでも魔属性を見せてくれたら、
誓約は中止できるから大丈夫です」
それでも母は不安げに言う。
「もし、何の変化がなかったらどうする?」
するとフィオナが身を乗り出して言う。
「私がやります! 国王に聖呪文をぶちかまして
その場を混乱の渦に巻き込んでみせます!」
そしてフィオナは私を励ますように言う。
「万が一、宣誓しちゃっても大丈夫です。
私、イザベル伯爵夫人の宣誓だって解呪したんですから」
以前、”夫の愛人を慈しむ”という宣誓をしてしまった彼女は
さまざまな経緯を経て、すっかり反省したようだった。
フィオナはそれを、解き放ってあげたのか。
「もちろんエリザベートさんに誰も触れられないよう、
シールドもバチバチに張っておきますから。
腹が立ったら自分から触ってやればいいんです、
きっと吹っ飛びますよ!」
苦笑いする私に、フィオナは必死に続ける。
「そ、それにっ! 馬鹿な命令なんてされた時には
全員を”癒しの大暴風”で吹き飛ばしますからね!
そもそも命令出来ないように、口がきけなくなるよう……」
私はたまらずフィオナを抱きしめた。
……ありがとう。
心配してくれて、出来ることは全部やろうと頑張ってくれて。
私を強く抱き返しながら、フィオナが言う。
「異世界に転移して、ビックリしたし、大変でしたけど。
振り返ったらすっごく、楽しかったです。
……私、同性の友だちがいなかったから。
元・世界だったら、エリザベートさんにも嫌われたかも」
そう言って、フィオナは涙をこぼしながら笑った。
なんとなくは、わかる。
彼女は”恋愛体質では無いのに、何故か男性関係でトラブルが多い”、
”いつもマイペースに行動してしまう割には、人の目が気になる”
そういう周りから距離を置かれがちな
”不思議ちゃん系女の子”だったのかもしれない。
私は首を横に振り、彼女をもう一度抱きしめた。
「元・世界なら、私なんて地味で存在感なさすぎて
嫌われることすら出来なかったわ。
でも、この異世界での生活、
みんなで頑張ったわね。毎日いろんなことが起きて。
私も楽しかったわ。フィオナ、大好きよ」
胸の中が温かくなる。
レオナルドを彼女に取られると思い、
絶望していたオリジナル・エリザベート。
全てが誤解であり、レオナルドがエリザベートを
大切に想うが故だったと判明した今
彼女もきっと、フィオナのことは憎んでいないのではないか。
私の肩に顔をうずめたまま、フィオナがつぶやく。
「作戦が上手くいったとして……
私たち消えちゃうかもしれないけど……
それでもこの記憶が消えなければいいなって思います。
オリジナルのフィオナさんとエリザベートさん、
ジェラルドさんも、王子も……
ずっと仲良しでいれたらなって」
そうだね。私たちの最後の望みはそれだけだ。
オリジナルの4人がずっと、支え合える仲間でいれますように。
私は絶対的な強制力のある”神に対する誓約”を行い、
”国王様の命には全て従う”ことを誓います。
……そう宣言した瞬間。
母と王妃は、それぞれ正反対の反応をみせた。
「エリザベート、重要な決定を急ぐのは愚かだぞ」
「さすが公爵令嬢、賢い選択だわ!」
私は王妃では無く、母を見つめながら答えた。
「”暗黒の魔女”である私は、
父に並ぶこの国の最高戦力です。
私が国王様に従う様を世界に示せば、
それだけで他国に対し十分な抑止力になりますわ」
王妃は勝ち誇った顔で母を見ながら言う。
「その通りだわ。それなら戦わずして、
あの者達を追い出すことができますわ。
ねえ、公爵夫人? 本人が望んでいるんですもの」
母は何も言わず、私を見つめている。
私がなぜそんなことを言い出したのか、分かってはいるのだ。
どんなに他国の軍が押し寄せようと、
武力でこの国を抑えるのではダメなのだ。
罪状を証明され、たくさんの交渉を重ねる、となる前に
王妃は他国との大戦争を選ぶだろうし
王家の罪があやふやなまま進軍されたとあっては
我が国民も”いきなり侵略された”と感じてしまうだろう。
”国王が魔族だった”こと明らかにするのが、
世界だけでなく国内に対しても、
この国の王族を断罪する理由として
最もスムーズで手っ取り早いのだ。
母は私を見つめ続けている。
それは厳しい訓練を行っていた昔と同じ顔だった。
私が困難な技や呪文を習得しようとしている時に見せる、
心配と信頼がせめぎ合うような表情。
そしてあの頃と同じことを、母が私に言う。
「……出来るか? エリザベート」
私もあの頃と同じように答える。
「ええ、もちろんですわ」
意味が判っていない王妃ははしゃぎながら笑う。
「そうよね、出来ますわよ!
忠誠心を見せてくれますわよねえ?
さあ! さっそく……」
「お待ちください、王妃様」
王妃が侍従に”誓約”の準備をさせようとするのを私が止める。
「今ではありません。それではたいした”効力”を持たないのです。
正直に申し上げますと、この国の発する情報は
他国にとって何の価値もございません」
「な、何を言うの?! 王家の言葉に嘘、偽りなど……」
不快さを隠さない王妃に、私はわざと悲し気な顔を作り、
これまで暴かれた嘘を挙げ連ねた。
「”この国最強の軍”である聖騎士団は、デスワームすら倒せない実力。
第二王子は公示では魔力レベル8だと公示されていたのに実際は1.
”卓越した戦闘能力を持つ”どころか魔獣退治もしたことがなかった。
その第二王子の暗殺を第三王子が謀ったというのも大嘘、
世界中が見ている前で、”王命”だと暴露されていましたわね」
屈辱と怒りに震える王妃に、私は続ける。
「そして最も罪深い嘘が、第三王子がクズで無能であるという嘘。
これはもう覆せませんわ? 世界が認めていることですから」
王妃は引きつりながらも言い捨てる。
「……でももう死んだのよ。あの王子は。
私が付けた見張りから、伝令鳥で報告があったのですから。
”大魔獣ファヴニールが黒炎を吐きだし王子に浴びせた”と。
そして”噴煙が消えた後には、ファヴニールが横たわっており
その重みで辺りの地面が崩れ、地中に落ちていった”そうよ?
それじゃあ生き残るのは無理でしょう」
黙る私に、意地悪そうに王妃は言ったのだ。
「諦めなさい。あなたの婚約者は死んだの。
パルダルの地に、大魔獣と一緒に埋まっているわ。
あら、埋葬の手間が省けて良かったわね」
私は王妃に煽り返す。
「そうでしょうか? 殺したはずの夫や、
死んだはずの妻が生きている事は
案外珍しいことではないと、ロンデルシアで聞きましたが」
何を言って……と言いかけて、王妃は硬直する。
すぐにレオナルドの父である勇者と、
母であるブリュンヒルデ様の事だと気付いたのだ。
「まさか……まさかそんな……」
王妃は瞳をゆらし、激しく動揺している。
彼女はもう、私の事も母の事も見ていなかった。
おそらく頭の中は勇者のことでいっぱいなのだろう。
「……生きている? ダンが? だってあの深い谷底に……」
呆然とした表情がいきなり悪鬼の形相に変わった。
「そんなこと、絶対に許せないっ!」
そんな王妃に向かい、私は言った。
「ともかく、この国の発表は信用性がありません。
通達するだけでは”また嘘だ”と、いつものように嘲笑されるだけです。
彼らの目の前で、実際にそれを見せないといけません!
私が王家の忠実なしもべになった、その瞬間を!」
王妃は宙をしばらく見ていた。
そして真っ白な顔に血走った目で大臣に尋ねた。
「各国が到着するのは、いつごろか?」
「はっ! おそらく2日後には……」
王妃はキッとこちらに向きなおり、宣言した。
「神、いいえ聖女王に対する誓約は二日後に行います。
他国の軍は城下までの侵入は許しますが、
王宮には断じて立ち入らせません」
反論しようとする私に、王妃は告げたのだ。
「他国の軍には魔石でその姿をお見せすれば良いでしょう。
……貴女方が第9団を晒したようにね!」
送信機能を持つ魔石が、受信用の魔石に映像や音声を送り、
大きな映写幕にそれを映し出す。
その作戦で私たちは、第二王子の暗殺失敗を世界に実況したのだ。
あの時、計画を潰された怒りを思い出したのか、
王妃は私に詰め寄りながら恐ろしい笑顔を見せて言った。
「彼らだけでなく、国民にも見せましょう。
由緒正しきローマンエヤール公爵令嬢が、
私に対し”絶対服従”を神に宣誓する姿を。
地面に頭をつけ、履物に口づけし、
どんな命にも喜んで応じる様をね!」
************
「国王には……”破魔の聖句”も効かなかったそうです」
フィオナが悲し気にうなだれる。
密かにディランがシュバイツ公爵家の伝手を使い、
”破魔の聖句”を歌える神官を王宮に潜り込ませたんだそうだ。
王の間には近づけないため、
”式典の練習”だと言い、
窓の外で聞こえるように歌ったそうだが。
窓辺へと寄って来た国王は、
しばらく無表情でそれを聞いていたが、
誰かの呼びかけに戻っていったそうだ。
その姿には全く変化が現れなかったということだ。
「仕方ないわ。国王に効かなかったのは、
おびただしい魔道具で身を包んでいるからよ。
全ての呪文を封じたり、跳ね返すものだったわ」
「”魔”の分際で”魔除け”をするなんて!」
私の言葉に、フィオナは呆れたように文句をつぶやく。
「大丈夫。まだチャンスがあるわ」
”神に対する誓約”を行うには
それらを全て取り去らなくてはならない。
そのために私は、王妃の申し出を受けることにしたのだ。
誓約を行う儀式の際、国王が全ての魔道具を外す。
そして私が誓約を行う前に、ディランが呼び寄せた神官たちが
”破魔の聖句”を歌い、国王の真の姿を暴くのだ。
グエル元・大司教の時のように。
「とはいえ、危険な賭けだな」
母が眉をしかめてつぶやく。
「ちょっとでも魔属性を見せてくれたら、
誓約は中止できるから大丈夫です」
それでも母は不安げに言う。
「もし、何の変化がなかったらどうする?」
するとフィオナが身を乗り出して言う。
「私がやります! 国王に聖呪文をぶちかまして
その場を混乱の渦に巻き込んでみせます!」
そしてフィオナは私を励ますように言う。
「万が一、宣誓しちゃっても大丈夫です。
私、イザベル伯爵夫人の宣誓だって解呪したんですから」
以前、”夫の愛人を慈しむ”という宣誓をしてしまった彼女は
さまざまな経緯を経て、すっかり反省したようだった。
フィオナはそれを、解き放ってあげたのか。
「もちろんエリザベートさんに誰も触れられないよう、
シールドもバチバチに張っておきますから。
腹が立ったら自分から触ってやればいいんです、
きっと吹っ飛びますよ!」
苦笑いする私に、フィオナは必死に続ける。
「そ、それにっ! 馬鹿な命令なんてされた時には
全員を”癒しの大暴風”で吹き飛ばしますからね!
そもそも命令出来ないように、口がきけなくなるよう……」
私はたまらずフィオナを抱きしめた。
……ありがとう。
心配してくれて、出来ることは全部やろうと頑張ってくれて。
私を強く抱き返しながら、フィオナが言う。
「異世界に転移して、ビックリしたし、大変でしたけど。
振り返ったらすっごく、楽しかったです。
……私、同性の友だちがいなかったから。
元・世界だったら、エリザベートさんにも嫌われたかも」
そう言って、フィオナは涙をこぼしながら笑った。
なんとなくは、わかる。
彼女は”恋愛体質では無いのに、何故か男性関係でトラブルが多い”、
”いつもマイペースに行動してしまう割には、人の目が気になる”
そういう周りから距離を置かれがちな
”不思議ちゃん系女の子”だったのかもしれない。
私は首を横に振り、彼女をもう一度抱きしめた。
「元・世界なら、私なんて地味で存在感なさすぎて
嫌われることすら出来なかったわ。
でも、この異世界での生活、
みんなで頑張ったわね。毎日いろんなことが起きて。
私も楽しかったわ。フィオナ、大好きよ」
胸の中が温かくなる。
レオナルドを彼女に取られると思い、
絶望していたオリジナル・エリザベート。
全てが誤解であり、レオナルドがエリザベートを
大切に想うが故だったと判明した今
彼女もきっと、フィオナのことは憎んでいないのではないか。
私の肩に顔をうずめたまま、フィオナがつぶやく。
「作戦が上手くいったとして……
私たち消えちゃうかもしれないけど……
それでもこの記憶が消えなければいいなって思います。
オリジナルのフィオナさんとエリザベートさん、
ジェラルドさんも、王子も……
ずっと仲良しでいれたらなって」
そうだね。私たちの最後の望みはそれだけだ。
オリジナルの4人がずっと、支え合える仲間でいれますように。
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