裏稼業探偵

アルキメ

文字の大きさ
上 下
3 / 61
case1 監視された部屋

幕間 夢

しおりを挟む



 夢を見た。

 短い夢だった。

 そこは小さなプレハブ小屋で、中には子供が三人いた。

 十歳くらいの男の子が一人。そして女の子が二人、どちらも五、六歳くらいだった。

 寒いのか、三人は身を寄せ合うようにしていて。

 そして三人とも、腹を空かせて衰弱していた。

 出入口の扉は外から鍵をかけられ、小屋から出ることはできなかったのだ。

 彼らがいくら泣き叫び、助けを呼んでも、そこから出してはもらえなかった。

 そうして何日かが過ぎ、ようやく救助の手が差し伸べられる。

 ……女の子の一人は、衰弱がひどく、助からなかった。

 ――それは、あの日からずっと冬吾の心中で根を張り続けている、暗い記憶の断片だった。
しおりを挟む

処理中です...