愛言葉を贈らせて〜謎めいてる彼女の甘い罠〜

愛宮

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第一章『告白ゲーム(藤堂朔視点)』

*4*犬猫の戯れ①*

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冬祭りは想像通り、カップル多めの賑わいを見せていた。

「藤堂君ってワンコ気質ですよね。ちょっと親切にすれば、すぐ尻尾を振って懐いちゃうと言うか」

屋台で買った今川焼きを食べてる彼女。
そんな彼女から不意に本日二回目のワンコ発言をされた。
正直、心外だ。
今日彼女に付き合ったのは、確かに親切にされたお礼でもあるが、仕返し心の配分の方が多い。

「じゃあ、杉原さんは、ニャンコってとこですか?美味しいご飯を貰っている間は喉を鳴らして甘えるけど、要件が終えたら、そっぽ向いてどっか行っちゃう気まぐれニャンコ」
「どうでしょうね」
「否定しないのかよ」
「では藤堂君、ニャンコな私は、貴方の何を美味しいと思って喉を鳴らしてるとお考えですか?」
「どんなクイズだよ。そうだな、見た目とか?」
「自分で言いますかそれ。確かにイケメンさんではあると思いますけど、でも不正解」
「出会った当初、写真で一目惚れとか言ってませんでしたかね?」
「そんな事言いましたっけ?」
「言いました。で、正解は?」
「今はまだ教えてあげません。そのうちに、ね」

『杉原さん、駄目だよ。俺の事が好きなら、此処は喜ぶ所だよ』

俺がさっき彼女の何らかしらの企みに気づいてる発言をしたからか、彼女はあえて「そうだ」と俺に念押しして教えて来た。
自分はご馳走欲しさの猫だと、食べ終えたら素直にお別れするつもりだ、と。
今川焼きを美味しそうに頬張る杉原さんは可愛いが、飄々とした策士な一面に憎ったらしさを覚えてしまう。

「あ~~~お姉様!!」

突然、俺と彼女の間に割り込み、彼女の腕にしがみ付く少女。
杉原さんは慌てて、今川焼き最後の一口を呑み込んでいた。

「奇遇ですねお姉様!いや運命に違いありません!」
「え、阿澄さん?」
「今日は眼鏡なんですね。知的感が増してとてもお似合いです。お姉様の愛らしい魅力が更に惹き立ってます」

彼女に熱烈アピールをかます元気娘の登場に、俺は二、三歩下がってしまった。
そんな俺に、元気娘は勝ち誇った様な視線を向けて小さく笑う。

「お姉様、私と一緒にお祭りを回りませんか?」
「でも阿澄さんもお友達を来ているのでは?」
「友よりお姉様優先です!」

「こらっ阿澄!!」

また別角度から、こちらに投げかけられた女性の声。
その声達は、慌てて元気娘に近づき、杉原さんから元気娘を引き離していた。
察するに、杉原さんと同じ四葉女の生徒なのだろう。
どことなく、元気娘も含め上品さと凛々しさが垣間見える。

「申し訳ありません会長!会長の姿見つけた途端、こちらの静止も聞かず走り出してしまって」
「私はお姉様とお祭りを楽しむの」
「あの阿澄の事は気にせず、会長はどうぞ、その、彼氏さんとお祭りを楽しんで下さい」
「そう?ではお言葉に甘えてそうさせて貰いますね。それと、私は元、会長ですよ」

淑やかで穏やかな言葉遣いで、丁寧に会話する杉原さん。
おそらく、四葉女仕様での彼女。
杉原さんは、まだ駄々を捏ねようとしている元気娘の頭を優しく撫でる。

「またね、阿澄さん。新学期に」
「はい、お姉様」

足元からとろける元気娘を、友人達が咄嗟に支えていた。

「行こ、藤堂君」
「あぁ」

杉原さんは、流れる仕草で俺の手を取る。
そのまま人混みの中へと。

「随分、人気者の様で。俺に対する敵対心が凄く伝わって来た」
「阿澄さんは良い子よ、ちょっと暴走癖があるだけで。以前ね、私、男の人に監禁されそうになった事があったから、それで余計に男の人に対する警戒心が強くなってるんだと思う。私を守ろうとしてくれてるだけで阿澄さんに悪気はないの、阿澄さんが失礼な態度とっちゃったの私のせいだから許してあげて」
「別に怒ってないよ。てか、さらっと爆弾発言しないで貰えるかな、監禁って聞き逃して良い響きじゃないからな」
「四葉女のお嬢様ならそう珍くもないわ。私はきっと人違いで監禁されそうになっただけだろうし。前にも話したけど、私の家は一般家庭で身代金催促された所でお金なんてないしね」

監禁目的は、金だけが目的とは限らない。と言う事を彼女は知らないのだろうか。
これは、元気娘が心配の余り、男を近づけさせたくないと思うのは当然な気がしてきた。

彼女が繋いでいた手を離そうと力を緩める。
彼女の監禁未遂話を聞いたからだコレは。
過保護の感情が湧くのは仕方のない事だ。
俺は、彼女の手を改めて握り直した。
どうしたの?と言わんばかりに、不思議そうな目が俺を見上げてくる。

「猫が迷子にならないように」
「・・・にゃあ」

呆れ笑いでひと鳴きされた。
彼女も、そっと、俺の手を握り返して来た。


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