愛言葉を贈らせて〜謎めいてる彼女の甘い罠〜

愛宮

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第一章『告白ゲーム(藤堂朔視点)』

*4*犬猫の戯れ②*

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「お兄さん、どお?ひんやり肝試し体験していかないかい?」

人混みの中、適当に巡っていると、目が合った呼び込みの兄ちゃんに不意に声を掛けられ、足を停めた。
なんだ?ひんやり肝試しとは?
疑問に思っていると、迷子防止で手を繋いでいた杉原さんから説明が入る。

「恋慕小岳で毎年クリスマスイブ限定で行われている肝試しの事です。その昔、身分違いで親に結婚を反対された恋人が、12月24日、夜にお互いの家を抜け出し、恋慕小岳の奥にある寺に出向き願いを唱えた所、神様が舞い降り、恋人の願いを聞き入れてくれたとか何とか。そんな言い伝えから、12月24日に寺でお参りできた恋人同士は幸せに慣れると言われてるんです。言い伝えにあやかり、24日の夜に恋慕小岳を訪れる恋人が少なからず居る事から、安全の為と、どうせなら金儲けしようと町内の人が考えたのが、このひんやり肝試し何です」

長い説明、有難うございます。
俺もここの町内で育った人間だ、恋慕小岳は俺も勿論知っている。小岳と言う名の迷宮森だが。
ただ、そんな言い伝えがあり、言い伝えに便乗したイベント悪巧みがあるなんて知りもしなかった。だが疑問がある。

「恋慕小岳に寺なんてあったか?」

恋慕小岳は小学生の頃、学校行事で訪れた事が何度かあるが、寺なんて存在しただろうか。
まぁ迷宮森だ。何処かには存在するのかもしれない。

「そうなんです、今だにそのお寺の場所は分かっていないんです。だからロマンチックなんじゃないですか、本物の恋人にしか探し出せないお寺だと。でも、お寺を探すって言うのがこのひんやり肝試しの軸ってだけど、実際は、決められたルートを恋人同士がいちゃいちゃしながら歩き絆を深めるって言うものなんですけどね。肝試しって言うだけあって、所々で吃驚させられたりもするみたいですよ」
「へぇ詳しいね。もしかして杉原さん、ひんやり肝試しは誰かと体験した事あるとか?」

長舌に説明するものだから、彼女の過去の経験によるものなんじゃないかと思い、好奇心から少し悪戯に聞いてみる。
ムギュッと頬を優しく抓られる。
何で?

「生意気な態度な子にはお仕置きです」
「・・・で、質問の答えは?」
「ご想像にお任せします。ですが、そうですね、藤堂君が私の告白に応えてくれると言うのなら、お教えしてもいいですよ」

彼女は、俺が彼女の告白の応じない事を自負している。
つまり、俺には何一つ教えるつもりはない、と言う事なのだろう。

彼女の冷たい手が、頬から静かに離される。


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