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番外編
本日のお悩み『妻がヤバい』
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ウルバーノは困惑していた。学生時代の友人と久しぶりに酒場へ飲みに来たのに、相手がずっと浮かない顔をしているからだ。
理由は、下戸の友人が二杯目の酒を半分くらい飲んだところで、ポツポツと明かされ始めた。
「今度、またグィナから使節団が来ることになってる」
「うん、二年に一回やってるアレでしょ、教会が国ごと監査するみたいなやつ」
「そう。和平条約で取り決めたことが、ちゃんと守られてるかの確認。……って言っても、最近はほとんど向こうの観光旅行だったし、こっちは教会付きが中心になって接待するだけだったんだけど」
「うん」
次に来る言葉はなんとなく予想がついた。
「……今年はチェステの件があったから、そんなわけにも行かなさそうでさ。使節団の人数も増えるし、観光どころじゃなくて、魔術に関するそれこそ監査も入るらしくて」
「うん、知ってる」
去年の夏の大事件は、春が近づく今になっても記憶に新しい。特に、自分たち“同窓生”にとっては。
でも、友人の懸念は仕事が増えることだけではないだろう。だったらもっとあっけらかんと『坊主の相手がめんどくせぇ』とはっきり言うだろうから。
疑問は、続いた言葉でようやくウルバーノにもわかるようになった。
「それの当日対応にさ、うちのが、増援で駆り出されるらしいんだ」
「あ、なるほど」
うちの、の意味は、聞かなくてもわかった。
新婚の、あの気の強い奥方のことだ。
友人が、学生時代から心密かに――自分と、今ここにはいないもうひとりの友人しか察していなかったが――思い続けてきた、ものすごく身分が高い、そして身分以上に気位が高い、あの奥方のことだ。
「奥方、使節団とのやり取りに立ち会ったことないんだっけ?」
「ある。二年前。でもそんときはデブが一緒だったから」
「舅のことデブって呼ぶのよせよ、本人の前でも出るぞ」
「もう呼んだことある」
「まじかよ……」
「別に、今さら。……そう、前は良かったんだ、曲がりなりにも保護者がそばにいて、誰も勝手ができなかった」
「今回、奥方は単独で使節団に対応ってこと? 人手足りないから?」
友人は青い目を伏せて、そう、と頷いた。
「使節団のサルヴァンテ視察に同行するらしい。護衛と案内の責任者として」
「責任者……そりゃ心配だね」
使節団には教会組織のトップもいるだろう。向こうはロディリアの魔術師にいい感情を持っていないだろうから、彼女が気持ちよく仕事を遂行できるとは限らない。
そのとき、友人妻がどんな態度をとるか。
――結婚式の夜には突然眼の前で夫に決闘を申し込み、嵐の夜には既に捕縛されていたヴァレンティノの横面を思いっきり殴ったあの奥方が。
「それは、まあ、事前に言っておくしかないだろ。立場を考えて、って」
「立場……立場なぁ。自覚はあると思うんだが」
歯切れ悪くぼやいて、ロレンツィオがまたグラスを煽った。視線がテーブルの上をさまよう。だいぶ回ってきてるようだ。
「ロレンツィオが代われないの?」
「……俺はチェステの嫡子と同窓だったし、オルテンシア様の側近ってところも、向こうには印象が良くないってさ」
「印象……なら、奥方のがヤバくない?」
「ヤバいよ。だって相手はグィナの聖職者だぞ」
憂鬱そうだった友人の声に、新たに苛立ちが乗っかったのを、ウルバーノは感じ取った。
「表向きとはいえ、禁欲だか清貧だかをモットーに掲げて、結婚もしないでお祈りばっかしてる奴らだぞ」
「うん」多分お祈りしかしてないなんてことはないだろうが、言いたいことはわかったので頷く。
「そいつらがはるばる海を渡って、疲労と警戒心を伴って上陸してくるんだぞ」
「うん」ピリピリしてるだろうな、と想像すると、こっちまで気が滅入ってくる。
「そのとき最初に挨拶して、王宮まで案内するのがまずうちの、あいつなんだぞ」
「ヤバいね」しみじみと同意した。
「ヤバイよ。ほとんど独身で、男所帯だぞ」
「うん……うん?」
独身で男所帯。プライドが高い、ということだろうか。ヤバいな、プライドのぶつかり合いになるな。
――なるか?
「そんな奴らが精神的にも肉体的にもへばってるところで、うちのが、殿下や陛下によくよく言い聞かせられたあいつが、ようこそおいでくださいましたって出迎えるんだぞ」
「…………うん」
「夜会とは違って、流行りよりは清楚系の、あんまり露出のないドレスで……水色とか白とかを基調にした格好で」
「…………………おう」
「ただでさえくそ閉鎖的な環境から観光先として有名なこの島にきて、船からも降りられて、開放感最高潮のところであの女。陛下や大臣たちとの格式張った面会や、パンドラたちとの魔術に関するバチバチの質疑応答が終わって、じゃあちょっと外見に行くかって羽伸ばせるタイミングでまたあの女。あのちまっとした体でせかせか歩きながら、得意げに街の案内とかをあいつがするわけで」
「……………………あの」
「完全に目の保養枠じゃん」
ウルバーノは黙った。
「なんだよ今回接待どころじゃないとか言いながら、もう明らかに、接待要員じゃねぇかあいつ。リカルドも俺と同じような理由で裏方にしか使えないからって、だからってそんな色恋営業みたいな、かりにも伯爵夫人をなんだと思って」
「ロレンツィオ……ロレンツィオ、おい!」
友人が黙る。ウルバーノは内心脱力しながら、きわめて神妙な顔で告げた。
「……君の妻は、たとえ第一印象が清楚系お嬢様でも、しゃべりだしたら雌ドラゴンだかんな」
「め、雌ドラゴン!?」
素っ頓狂な声を出した友人に、ウルバーノは深く頷いた。彼の心配を除き、その勘違いを正すために。
「どう考えても、上の判断は若くて可愛い女の子でお使者のご機嫌取ろうってんじゃなく。何をしでかすか分からなくても、ロレンツィオもリカルドも使えない以上、フェリータ様に行ってもらうしかないっていう、苦渋の決断だとしか思えないから」
絶句したままの相手に、ウルバーノはさらに言い募る。
「まさか、本気で、最後まで無垢で清らかなお嬢様魔術師で通せると思ってたのか? 無理だろ、いくら短期間しか一緒にいないといっても、絶対無理。言っとくけど人妻だからって意味ではないぞ。……なんなら最初の挨拶の時点で誰かにビンタ食らわさないか心配したほうがいい。だってあのフェリータ様だぞ?」
「……っそうだよあのフェリータだよ! 基本顔しか取り得がない!」
突如、何かのスイッチが入ったように勢いよくグラスをテーブルに叩きつけ、大きな声を出した友人を傍らに、ウルバーノは周囲を見渡す。まだ客の少ない店内で、カウンターの向こうの店主と目が合う。少し手を上げて謝意を示した。
「でも、顔が、取り柄なんだよ!!」
友人は血を吐くように叫び、頭を抱えて嘆いた。ウルバーノは目を閉じて呆れた。そう来たか。
「なあ、ロ」
「疲労困憊のときに、あいつのふくっとした輪郭とかなっがいピンクのまつげとかくりっとした目とか見て、あの声でちょっと気を遣った一言とかかけられたら! 女慣れしてない坊主どもなんて、瞬殺だろうが!!」
「ロレ」
「性格悪いのなんて百も承知だよ、でもあの顔、顔だぞ!! だんだん納得してくるんだよ、そりゃこの顔で生まれてきたら、周りがこんなふうに育てるよなって!! そうするともうこいつ一人が悪いわけじゃないってわかってくるし、なんだかんだで根は筋が通ってるし、なんならある地点までくると性格の歪みが可愛げに見えてくるからっ、」
「ロレンツィオ・カヴァリエリ!」
軍隊よろしくフルネームで一喝すると、友人は我に返ったように口を噤んだ。ウルバーノはその手から酒のグラスを奪い、チェイサーのグラスを握らせた。
「……おまえがものすごく奥さんを好きなのは、分かったから」
「別に好きじゃない」
「まじかよそこ否定するの? いやでも、真面目な話」
自分のグラスに手酌で酒を注ぎながら、ウルバーノは噛んで含めるようにゆっくり聞かせた。
「あの人は確かに可愛い。みんな言ってる。顔は可愛いって。スタイルもいい。よっぽどスリムな女にこだわるやつじゃなきゃ、みんな一度は……とにかくいいって言ってる」
みんな一度はあれやこれや妄想してる、とはさすがに旦那の前で言う話じゃないので、割愛する。言いたいことは「でもな、」の後だった。
「……じゃあ、恋愛関係になりたいかって言ったら、とても考えられないってのも満場一致だったからな?」
その瞬間、ガタッと椅子が揺れる音が店内に響いた。信じられないものを見るように目を丸くする友人に、ウルバーノは怯まない。
「だって、たいっていの男は、あの言動でドン引くから。使節団だって扇片手に鼻で笑われながら『海を渡ってはるばるご苦労さま。まあみすぼらしい格好。遭難でもしました?』なんて言われたら第一印象の可愛さなんて木っ端微塵になるだろうよ」
「……でも、あの顔だぞ!?」
「か、顔に対する信頼が篤いな……。確かに可愛いけど、それを凌駕する性格してるじゃん。夫として心配すべきは、嫁さんが狙われるかもってことじゃなくて、嫁さんがやらかすかもってところであれよ」
「……いや、でも、でも、あの巨乳だぞ!?」
「胸よりでかいあの態度」
ぴしゃりと言ってやれば、相手は言葉を失った。確かに、と口だけ動いたようにも見えた。
ウルバーノは心を鬼にした。
どうか、誰もこの会話を当人に告げ口しませんように。心の中で強く願いながら、重々しく口を開く。
「はっきり言う。顔だって、この国一番の美女かと言われたらそこまでではない。人によっては、オルテンシア様の彫刻で作ったみたいな顔をこそ絶世の美女だって言うやつもいるし、なんなら顔だけなら国の女の誰もリカルドに敵わないってぶっちゃけてるやつもいるし、俺なんか、ヴァレンティノの手前言えなかったけどフィリパ様みたいな控えめで品がいい方のほうが、いかにも深窓の貴族令嬢って感じで好ましかった」
言い切ると、友人も放心状態というか、ようやく落ち着いてきたようだった。視線はまだ動揺するように揺れていたし、片手は額を抑えつつも、反論は出てこなかった。
「……そう、なのか?」
一息ついて頷いて、それからウルバーノは笑いが込み上げてくるのを感じていた。
不思議なものだ。少し前まで、仲間内でもっとも彼女を悪し様に言うのは目の前の友人だった。ウルバーノから見るとそれは隠したい本心を誤魔化す鎧にしか見えなかったので、内心複雑なものだったが。
酒の力とはいえ、ここまで素直に気持ちを吐露できるくらいには、友人の胸のつかえは下りていたのだ。
「ま、おまえが奥さん大好きなのがわかって良かった」
「別に大好きじゃない」
「まだ否定すんのかい」
学生時代の嘘をまだ続けようとする意地は何なんだよと呆れつつ、ウルバーノは調子良く友人の背中を叩いた。
「安心しなって。パッと見『おっ』って目の色変える奴はいたとしても、本気で口説こうとする人なんてそうそういないよ。それこそ相手は聖職者だし」
「……そうか」
「なんだかんだ、性格が穏やかな女性がいいってみんな思ってるよ。あの人は妄……観賞用美人。おまえとかリカルドみたいなやつは、世では猛者って分類されてる」
特に『フェリータ→オルテンシア』にシフトしたリカルドは、『向上心のある猛獣ハンター』と囁かれているが、ここでは関係ないのでウルバーノはまた割愛した。
「確かに、あいつの性格の悪さなんて俺が一番良く知ってる」
ぽつりと呟く友人に、ウルバーノは今日何度目かも分からなくなりながら深く頷く。
「……相手の痛みなんてわからないような言動を素で繰り返すし、自分のやりたくないこと、言いたくないことは『察してくれないなんて愚図』って態度でいるし、早く言っておけってことを悪気なく黙っておいて後から騙し討みたいに打ち明けるし、控えめに言ってもだいぶクソ女だ」
「そんなに?」
「そうだな、考えすぎだったな」
友人が安心したように口元を緩めていき、それがさらに苦笑いに変わっていく。
あんまりな手のひら返しで反応に困っていたウルバーノも、つられるように肩の力を抜いた。酒で湿らせた口も軽くなる。
「そう、杞憂。よく言うだろ、妻が思うほど夫はモテないって。逆も然り。そりゃいなくはないけどね、フェリータ様みたいな気位たっかい女の子が好きっていう男も。それこそ、おまえとか」
「だから好きじゃないって」
「ヴァレンティノとか」
「……え?」
「え?」
「えっ?」
「え?……あっ」
「えっ!?!?」
***
夜中。
寝台の上のロレンツィオは、伏せていた身をゆっくり起こすと、自らの体躯の下で仰向けで転がる妻にじっと視線を注いだ。
「フェリータ」
「……?」
「満足したか?」
息を整えようと胸を上下させていた体がこわばり、とろんと力なく開いていた赤い目が、恥ずかしそうに逸らされる。
言いたくないことを言わずに『察してくれないなんて愚図』という態度を貫く彼女なりの健気な肯定だと知っているから、ロレンツィオはまた抱きしめ直して素肌の首筋に顔を埋めた。自分の半分しか幅のなさそうな腕が応えようと、よじよじと背に這い上ってくる。
こんなに可愛いのに、ほとんどの男にはそれがちっとも伝わらないらしい。
いや、別に伝わらなくていい。盗られるかも、という心配は、杞憂ならそれでいい。
杞憂なら。
「……来月、使節団が来るだろ」
閨で仕事の話なんかするべきじゃないと知りつつ、ロレンツィオはつい口にしていた。急に話を変えられて戸惑ったのか、フェリータの頭がロレンツィオの顔の方に向き直った。
「……ん」
短い肯定の返事。昼間に聞いた嫌味と同じ声なのに、今は弱々しく掠れていた。
色っぽいと思う。肌と一緒に髪を撫でてやりながら、男はそのことを噛み締めた。
初めて会ったときは、正真正銘、穢れを知らない無垢な乙女だったのに、ここ数ヶ月でこんな色気を出すようになった。
――とはいえ、気の強さは初対面の頃とさほど変わっていない気もする。
(……そう、気が強いんだよな)
友人の呆れた声が脳裏によみがえる。
「……使者に、あんま喧嘩売るようなこと言うなよ」
「はぁ……? 当たり前でしょうに、国の名前を背負った仕事なんですから」
そのあっけらかんとした返事に、ロレンツィオも胸の内のもやもやとしたものが晴れていくのを感じた。なんだか、とても滑稽な心配をしていたような気がする。
「そうだな、頑張れよ」
「言われなくとも。それに、使節団にはね、前回の訪問時にも会ったことある人がいるの。聖職者だけど、感じのいい方でしたから、あんまり気に病まないで」
ロレンツィオが思わず息だけで笑うと、くすぐったかったのか、顎の下で華奢な肩が揺れた。
「そういえば、あんたジジイ受けいいもんな。アロンソとか」
同年代の交友関係が乏しい妻だが、職場の人間には仕事好きの若手としてたいそう可愛がられている。気が強い、なんて欠点は、彼女の着任より前に彼女の父親が先に慣らしておいたおかげか、(皮肉にもロレンツィオ以外からは)あまり不満の声も出てこない。年齢差と保護者の目もあって、夫目線で周りの下心を心配したこともない。
少し、気にし過ぎた。そう結論付けた男の耳に、いつもよりゆったりとした話しぶりの妻の声が心地よく届く。
「ええ。その人は、あなたとおんなじくらいのお年でしたけれど」
「……へぇ」
ロレンツィオの声の調子が、少し、変わった。
それに気づかず、フェリータはいつもよりぼんやりとした様子で、もにょもにょと話し続けた。事後の夫はいつも優しいからと、なんの屈託もなく。
「最初はね、お互い魔術師と聖職者ですから、ちょっと敵対的だったんですけれど。ただ、向こうもまだ神学校を出たばかりだったらしくて、使節団内でも雑用が多かったみたい。わたくしもパパみたいに高位聖職者の方とはあんまり話さなかったから、その方のご用件には主にわたくしが対応してて。それでかしらね、使節団が帰られる頃にはちょっと打ち解けましたの」
「……」
「その人も、二年経つ間にグィナの中でもずいぶん出世して、今回の使節団では代表使者のお一人だそうよ。だからね、今回の応対係にも直々にわたくしのことを指名してくれたみたい。そう、言い忘れてましたわ。この前あなたが宿直だった日にお手紙が来ててね、わざわざお土産に何がいいかと聞いてくださったものだから」
「フェリータ」
それまでの相槌よりずっと低い声に、フェリータが「なぁに?」ときょとんと問い返す。ロレンツィオは背に回した腕に力を込め、柔らかな体を抱きしめた。
周りから、隠すように。
ほら見ろ。
「そいつ、なんて名前だ?」
全然杞憂じゃねぇだろうが。
理由は、下戸の友人が二杯目の酒を半分くらい飲んだところで、ポツポツと明かされ始めた。
「今度、またグィナから使節団が来ることになってる」
「うん、二年に一回やってるアレでしょ、教会が国ごと監査するみたいなやつ」
「そう。和平条約で取り決めたことが、ちゃんと守られてるかの確認。……って言っても、最近はほとんど向こうの観光旅行だったし、こっちは教会付きが中心になって接待するだけだったんだけど」
「うん」
次に来る言葉はなんとなく予想がついた。
「……今年はチェステの件があったから、そんなわけにも行かなさそうでさ。使節団の人数も増えるし、観光どころじゃなくて、魔術に関するそれこそ監査も入るらしくて」
「うん、知ってる」
去年の夏の大事件は、春が近づく今になっても記憶に新しい。特に、自分たち“同窓生”にとっては。
でも、友人の懸念は仕事が増えることだけではないだろう。だったらもっとあっけらかんと『坊主の相手がめんどくせぇ』とはっきり言うだろうから。
疑問は、続いた言葉でようやくウルバーノにもわかるようになった。
「それの当日対応にさ、うちのが、増援で駆り出されるらしいんだ」
「あ、なるほど」
うちの、の意味は、聞かなくてもわかった。
新婚の、あの気の強い奥方のことだ。
友人が、学生時代から心密かに――自分と、今ここにはいないもうひとりの友人しか察していなかったが――思い続けてきた、ものすごく身分が高い、そして身分以上に気位が高い、あの奥方のことだ。
「奥方、使節団とのやり取りに立ち会ったことないんだっけ?」
「ある。二年前。でもそんときはデブが一緒だったから」
「舅のことデブって呼ぶのよせよ、本人の前でも出るぞ」
「もう呼んだことある」
「まじかよ……」
「別に、今さら。……そう、前は良かったんだ、曲がりなりにも保護者がそばにいて、誰も勝手ができなかった」
「今回、奥方は単独で使節団に対応ってこと? 人手足りないから?」
友人は青い目を伏せて、そう、と頷いた。
「使節団のサルヴァンテ視察に同行するらしい。護衛と案内の責任者として」
「責任者……そりゃ心配だね」
使節団には教会組織のトップもいるだろう。向こうはロディリアの魔術師にいい感情を持っていないだろうから、彼女が気持ちよく仕事を遂行できるとは限らない。
そのとき、友人妻がどんな態度をとるか。
――結婚式の夜には突然眼の前で夫に決闘を申し込み、嵐の夜には既に捕縛されていたヴァレンティノの横面を思いっきり殴ったあの奥方が。
「それは、まあ、事前に言っておくしかないだろ。立場を考えて、って」
「立場……立場なぁ。自覚はあると思うんだが」
歯切れ悪くぼやいて、ロレンツィオがまたグラスを煽った。視線がテーブルの上をさまよう。だいぶ回ってきてるようだ。
「ロレンツィオが代われないの?」
「……俺はチェステの嫡子と同窓だったし、オルテンシア様の側近ってところも、向こうには印象が良くないってさ」
「印象……なら、奥方のがヤバくない?」
「ヤバいよ。だって相手はグィナの聖職者だぞ」
憂鬱そうだった友人の声に、新たに苛立ちが乗っかったのを、ウルバーノは感じ取った。
「表向きとはいえ、禁欲だか清貧だかをモットーに掲げて、結婚もしないでお祈りばっかしてる奴らだぞ」
「うん」多分お祈りしかしてないなんてことはないだろうが、言いたいことはわかったので頷く。
「そいつらがはるばる海を渡って、疲労と警戒心を伴って上陸してくるんだぞ」
「うん」ピリピリしてるだろうな、と想像すると、こっちまで気が滅入ってくる。
「そのとき最初に挨拶して、王宮まで案内するのがまずうちの、あいつなんだぞ」
「ヤバいね」しみじみと同意した。
「ヤバイよ。ほとんど独身で、男所帯だぞ」
「うん……うん?」
独身で男所帯。プライドが高い、ということだろうか。ヤバいな、プライドのぶつかり合いになるな。
――なるか?
「そんな奴らが精神的にも肉体的にもへばってるところで、うちのが、殿下や陛下によくよく言い聞かせられたあいつが、ようこそおいでくださいましたって出迎えるんだぞ」
「…………うん」
「夜会とは違って、流行りよりは清楚系の、あんまり露出のないドレスで……水色とか白とかを基調にした格好で」
「…………………おう」
「ただでさえくそ閉鎖的な環境から観光先として有名なこの島にきて、船からも降りられて、開放感最高潮のところであの女。陛下や大臣たちとの格式張った面会や、パンドラたちとの魔術に関するバチバチの質疑応答が終わって、じゃあちょっと外見に行くかって羽伸ばせるタイミングでまたあの女。あのちまっとした体でせかせか歩きながら、得意げに街の案内とかをあいつがするわけで」
「……………………あの」
「完全に目の保養枠じゃん」
ウルバーノは黙った。
「なんだよ今回接待どころじゃないとか言いながら、もう明らかに、接待要員じゃねぇかあいつ。リカルドも俺と同じような理由で裏方にしか使えないからって、だからってそんな色恋営業みたいな、かりにも伯爵夫人をなんだと思って」
「ロレンツィオ……ロレンツィオ、おい!」
友人が黙る。ウルバーノは内心脱力しながら、きわめて神妙な顔で告げた。
「……君の妻は、たとえ第一印象が清楚系お嬢様でも、しゃべりだしたら雌ドラゴンだかんな」
「め、雌ドラゴン!?」
素っ頓狂な声を出した友人に、ウルバーノは深く頷いた。彼の心配を除き、その勘違いを正すために。
「どう考えても、上の判断は若くて可愛い女の子でお使者のご機嫌取ろうってんじゃなく。何をしでかすか分からなくても、ロレンツィオもリカルドも使えない以上、フェリータ様に行ってもらうしかないっていう、苦渋の決断だとしか思えないから」
絶句したままの相手に、ウルバーノはさらに言い募る。
「まさか、本気で、最後まで無垢で清らかなお嬢様魔術師で通せると思ってたのか? 無理だろ、いくら短期間しか一緒にいないといっても、絶対無理。言っとくけど人妻だからって意味ではないぞ。……なんなら最初の挨拶の時点で誰かにビンタ食らわさないか心配したほうがいい。だってあのフェリータ様だぞ?」
「……っそうだよあのフェリータだよ! 基本顔しか取り得がない!」
突如、何かのスイッチが入ったように勢いよくグラスをテーブルに叩きつけ、大きな声を出した友人を傍らに、ウルバーノは周囲を見渡す。まだ客の少ない店内で、カウンターの向こうの店主と目が合う。少し手を上げて謝意を示した。
「でも、顔が、取り柄なんだよ!!」
友人は血を吐くように叫び、頭を抱えて嘆いた。ウルバーノは目を閉じて呆れた。そう来たか。
「なあ、ロ」
「疲労困憊のときに、あいつのふくっとした輪郭とかなっがいピンクのまつげとかくりっとした目とか見て、あの声でちょっと気を遣った一言とかかけられたら! 女慣れしてない坊主どもなんて、瞬殺だろうが!!」
「ロレ」
「性格悪いのなんて百も承知だよ、でもあの顔、顔だぞ!! だんだん納得してくるんだよ、そりゃこの顔で生まれてきたら、周りがこんなふうに育てるよなって!! そうするともうこいつ一人が悪いわけじゃないってわかってくるし、なんだかんだで根は筋が通ってるし、なんならある地点までくると性格の歪みが可愛げに見えてくるからっ、」
「ロレンツィオ・カヴァリエリ!」
軍隊よろしくフルネームで一喝すると、友人は我に返ったように口を噤んだ。ウルバーノはその手から酒のグラスを奪い、チェイサーのグラスを握らせた。
「……おまえがものすごく奥さんを好きなのは、分かったから」
「別に好きじゃない」
「まじかよそこ否定するの? いやでも、真面目な話」
自分のグラスに手酌で酒を注ぎながら、ウルバーノは噛んで含めるようにゆっくり聞かせた。
「あの人は確かに可愛い。みんな言ってる。顔は可愛いって。スタイルもいい。よっぽどスリムな女にこだわるやつじゃなきゃ、みんな一度は……とにかくいいって言ってる」
みんな一度はあれやこれや妄想してる、とはさすがに旦那の前で言う話じゃないので、割愛する。言いたいことは「でもな、」の後だった。
「……じゃあ、恋愛関係になりたいかって言ったら、とても考えられないってのも満場一致だったからな?」
その瞬間、ガタッと椅子が揺れる音が店内に響いた。信じられないものを見るように目を丸くする友人に、ウルバーノは怯まない。
「だって、たいっていの男は、あの言動でドン引くから。使節団だって扇片手に鼻で笑われながら『海を渡ってはるばるご苦労さま。まあみすぼらしい格好。遭難でもしました?』なんて言われたら第一印象の可愛さなんて木っ端微塵になるだろうよ」
「……でも、あの顔だぞ!?」
「か、顔に対する信頼が篤いな……。確かに可愛いけど、それを凌駕する性格してるじゃん。夫として心配すべきは、嫁さんが狙われるかもってことじゃなくて、嫁さんがやらかすかもってところであれよ」
「……いや、でも、でも、あの巨乳だぞ!?」
「胸よりでかいあの態度」
ぴしゃりと言ってやれば、相手は言葉を失った。確かに、と口だけ動いたようにも見えた。
ウルバーノは心を鬼にした。
どうか、誰もこの会話を当人に告げ口しませんように。心の中で強く願いながら、重々しく口を開く。
「はっきり言う。顔だって、この国一番の美女かと言われたらそこまでではない。人によっては、オルテンシア様の彫刻で作ったみたいな顔をこそ絶世の美女だって言うやつもいるし、なんなら顔だけなら国の女の誰もリカルドに敵わないってぶっちゃけてるやつもいるし、俺なんか、ヴァレンティノの手前言えなかったけどフィリパ様みたいな控えめで品がいい方のほうが、いかにも深窓の貴族令嬢って感じで好ましかった」
言い切ると、友人も放心状態というか、ようやく落ち着いてきたようだった。視線はまだ動揺するように揺れていたし、片手は額を抑えつつも、反論は出てこなかった。
「……そう、なのか?」
一息ついて頷いて、それからウルバーノは笑いが込み上げてくるのを感じていた。
不思議なものだ。少し前まで、仲間内でもっとも彼女を悪し様に言うのは目の前の友人だった。ウルバーノから見るとそれは隠したい本心を誤魔化す鎧にしか見えなかったので、内心複雑なものだったが。
酒の力とはいえ、ここまで素直に気持ちを吐露できるくらいには、友人の胸のつかえは下りていたのだ。
「ま、おまえが奥さん大好きなのがわかって良かった」
「別に大好きじゃない」
「まだ否定すんのかい」
学生時代の嘘をまだ続けようとする意地は何なんだよと呆れつつ、ウルバーノは調子良く友人の背中を叩いた。
「安心しなって。パッと見『おっ』って目の色変える奴はいたとしても、本気で口説こうとする人なんてそうそういないよ。それこそ相手は聖職者だし」
「……そうか」
「なんだかんだ、性格が穏やかな女性がいいってみんな思ってるよ。あの人は妄……観賞用美人。おまえとかリカルドみたいなやつは、世では猛者って分類されてる」
特に『フェリータ→オルテンシア』にシフトしたリカルドは、『向上心のある猛獣ハンター』と囁かれているが、ここでは関係ないのでウルバーノはまた割愛した。
「確かに、あいつの性格の悪さなんて俺が一番良く知ってる」
ぽつりと呟く友人に、ウルバーノは今日何度目かも分からなくなりながら深く頷く。
「……相手の痛みなんてわからないような言動を素で繰り返すし、自分のやりたくないこと、言いたくないことは『察してくれないなんて愚図』って態度でいるし、早く言っておけってことを悪気なく黙っておいて後から騙し討みたいに打ち明けるし、控えめに言ってもだいぶクソ女だ」
「そんなに?」
「そうだな、考えすぎだったな」
友人が安心したように口元を緩めていき、それがさらに苦笑いに変わっていく。
あんまりな手のひら返しで反応に困っていたウルバーノも、つられるように肩の力を抜いた。酒で湿らせた口も軽くなる。
「そう、杞憂。よく言うだろ、妻が思うほど夫はモテないって。逆も然り。そりゃいなくはないけどね、フェリータ様みたいな気位たっかい女の子が好きっていう男も。それこそ、おまえとか」
「だから好きじゃないって」
「ヴァレンティノとか」
「……え?」
「え?」
「えっ?」
「え?……あっ」
「えっ!?!?」
***
夜中。
寝台の上のロレンツィオは、伏せていた身をゆっくり起こすと、自らの体躯の下で仰向けで転がる妻にじっと視線を注いだ。
「フェリータ」
「……?」
「満足したか?」
息を整えようと胸を上下させていた体がこわばり、とろんと力なく開いていた赤い目が、恥ずかしそうに逸らされる。
言いたくないことを言わずに『察してくれないなんて愚図』という態度を貫く彼女なりの健気な肯定だと知っているから、ロレンツィオはまた抱きしめ直して素肌の首筋に顔を埋めた。自分の半分しか幅のなさそうな腕が応えようと、よじよじと背に這い上ってくる。
こんなに可愛いのに、ほとんどの男にはそれがちっとも伝わらないらしい。
いや、別に伝わらなくていい。盗られるかも、という心配は、杞憂ならそれでいい。
杞憂なら。
「……来月、使節団が来るだろ」
閨で仕事の話なんかするべきじゃないと知りつつ、ロレンツィオはつい口にしていた。急に話を変えられて戸惑ったのか、フェリータの頭がロレンツィオの顔の方に向き直った。
「……ん」
短い肯定の返事。昼間に聞いた嫌味と同じ声なのに、今は弱々しく掠れていた。
色っぽいと思う。肌と一緒に髪を撫でてやりながら、男はそのことを噛み締めた。
初めて会ったときは、正真正銘、穢れを知らない無垢な乙女だったのに、ここ数ヶ月でこんな色気を出すようになった。
――とはいえ、気の強さは初対面の頃とさほど変わっていない気もする。
(……そう、気が強いんだよな)
友人の呆れた声が脳裏によみがえる。
「……使者に、あんま喧嘩売るようなこと言うなよ」
「はぁ……? 当たり前でしょうに、国の名前を背負った仕事なんですから」
そのあっけらかんとした返事に、ロレンツィオも胸の内のもやもやとしたものが晴れていくのを感じた。なんだか、とても滑稽な心配をしていたような気がする。
「そうだな、頑張れよ」
「言われなくとも。それに、使節団にはね、前回の訪問時にも会ったことある人がいるの。聖職者だけど、感じのいい方でしたから、あんまり気に病まないで」
ロレンツィオが思わず息だけで笑うと、くすぐったかったのか、顎の下で華奢な肩が揺れた。
「そういえば、あんたジジイ受けいいもんな。アロンソとか」
同年代の交友関係が乏しい妻だが、職場の人間には仕事好きの若手としてたいそう可愛がられている。気が強い、なんて欠点は、彼女の着任より前に彼女の父親が先に慣らしておいたおかげか、(皮肉にもロレンツィオ以外からは)あまり不満の声も出てこない。年齢差と保護者の目もあって、夫目線で周りの下心を心配したこともない。
少し、気にし過ぎた。そう結論付けた男の耳に、いつもよりゆったりとした話しぶりの妻の声が心地よく届く。
「ええ。その人は、あなたとおんなじくらいのお年でしたけれど」
「……へぇ」
ロレンツィオの声の調子が、少し、変わった。
それに気づかず、フェリータはいつもよりぼんやりとした様子で、もにょもにょと話し続けた。事後の夫はいつも優しいからと、なんの屈託もなく。
「最初はね、お互い魔術師と聖職者ですから、ちょっと敵対的だったんですけれど。ただ、向こうもまだ神学校を出たばかりだったらしくて、使節団内でも雑用が多かったみたい。わたくしもパパみたいに高位聖職者の方とはあんまり話さなかったから、その方のご用件には主にわたくしが対応してて。それでかしらね、使節団が帰られる頃にはちょっと打ち解けましたの」
「……」
「その人も、二年経つ間にグィナの中でもずいぶん出世して、今回の使節団では代表使者のお一人だそうよ。だからね、今回の応対係にも直々にわたくしのことを指名してくれたみたい。そう、言い忘れてましたわ。この前あなたが宿直だった日にお手紙が来ててね、わざわざお土産に何がいいかと聞いてくださったものだから」
「フェリータ」
それまでの相槌よりずっと低い声に、フェリータが「なぁに?」ときょとんと問い返す。ロレンツィオは背に回した腕に力を込め、柔らかな体を抱きしめた。
周りから、隠すように。
ほら見ろ。
「そいつ、なんて名前だ?」
全然杞憂じゃねぇだろうが。
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