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第一章 始まり
1 ダンジョン発見
しおりを挟む今日もいい天気だ。青い空をみあげながら平和をかみしめた。目の前には大きな穴もとい悩みはあるが・・・
俺の住む北海道で大きな地震があった。幸いにも俺の家には、被害はほとんどなかった。だが、電気や水が止まったのには驚いた。
『節電・節水なんだかんだ』で、一週間くらいしてようやく日常生活に戻った。
俺の名は、神崎達也、27歳、容姿性格ともにごくごく平凡な独身男、彼女なし、家で農業と畜産をしている、といっても母と俺の二人きりでやっている小さな田畑と少数の牛と鶏の畜産をして生活している。大きな町には車で60分、隣近所でも車で10分はかかる北海道の田舎に住んでいる。一年前、父が亡くなった。俺は一人っ子なので母親をひとりにさせられないという理由で、東京のブラック企業だった貿易会社をさっさとやめて実家に戻った。なんとか実家の稼業もなれてきたところに、今度の地震で大騒ぎだったがようやく生活も落ち着いてきた。
まあ俺は某ブラック会社勤めのおかげで少しくらいライフラインが不自由でも生きていく自信はあるが。
いつものように、牛や鶏の世話をし、畑仕事を終わらせた。小さな農家なので種まきや収穫時期以外はわりと暇で、今の時期はほとんど半日で終わってしまう。
ダラダラしていたら、母親から放置状態の裏山の草刈りを命令された。
しぶしぶ裏山に行ったら、俺の背丈より高い藪というか森になっていた。
さすが大自然。
とりあえず、人が通れるくらいの幅の草を刈って直進していった。
草刈り機がなかったら、あきらめていただろう。
順調に機械で刈りながら進んでいくと、突然、10メートル位のサークル状の草原にでた。
中央には横穴らしきものを大きな岩が突起し囲んでいた。俺は、恐る恐る近寄って行った。
横穴の出入口は人が二人くらい通れる程広く中をのぞくと真っ暗で奥は深そうだ。まさか地震の影響かと思いあたりを見渡したが地面に亀裂はない。
倒れた樹木もみあたらない。謎の穴のまわりはきれいに刈られた芝生が生い茂っている。
森の中にぽっかり広場のように整地された空間になっていた。
ますます、首をかしげる。
俺は、近くにあった適当な枝をひろい、穴の中になげてみた。何の音もしない。
森にいって石をみつけ、それも穴の中になげた。
何の音もしない。
いやいや、おかしいだろう。
普通かべや地面にあたる音がするだろう。
まっすぐな洞穴?地面には草でも生えているのか?
なぜか、うちの樹林に不思議な空間と謎の洞穴がある。考えてもわからない。
とりあえず草狩りの続きでもするかと、草刈り機の電源を入れた瞬間。
洞穴から半透明の青色の丸い物体が飛び出してきた。俺は、びっくりし思わず草刈り機を振り回した。
偶然にも物体をふたつに切ってしまった。ふたつに分かれた物体が地面に落ちた。
飛び出してきたし、動いているから生き物だよな。バレーボールくらいの大きさで半透明青色、中が透けている。鉈でつついてみるとゴムみたいに弾力がありやわらかい。クラゲみたいだが、山にクラゲがいるのか?帰ったら、ネットで調べてみようなどと思っていたら、ふたつに分かれた山クラゲは少しずつ近づくように動き出した。巨大なめくじ?いやミミズの仲間か?気持ち悪い。
よくみると、片方の半透明の中に黒い石のようなものが動き回っているのがみえる。
俺は、それに向かって鉈をふりおろした。あたらない?もう一度ふりおろした。
石がよけてる?なんだこれ? ばかにされたようでくやしい。
気がつくと息が上がるくらい鉈を何回もふりおろしていた。
ようやく、鉈で黒い石が壊れるとぷるぷるしていた山クラゲが動かなくなった。
すると、どこからか「ブー」という音が聞こえた。
???
そして山クラゲの死体?は光の粒子になりそのまま地面に消えていった。
そのあとには青色の水晶みたいな丸い石があった。
死体が水晶になった?
不気味だが、もの凄くきれいだから拾っとこう。
今日は疲れたから帰ろう。
早めに帰ったら、母親に仕事しろと怒られた。
俺は洞穴があったことや謎の生き物に襲われたといったら、言い訳のつくり話だと思われ笑われた。
少し傷ついた。
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