気づいたら、幼馴染が好きでした。

あさ

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その後の2人。1

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俺たちが想いを通じ合ってから1週間。アレから、晴れて恋人同士となった俺らだが、これといって恋人らしいことは出来ていない。


祐希はバスケ部に所属していて、しかもエースとして頑張っている。あの日は大切な練習試合があったらしく、本当は部活に行かなければ行けなかったのに無断で欠席したから顧問の先生に怒られたらしい。
それから毎日朝練、放課後も遅くまで残って練習しているため、俺との時間がとれないと嘆いていた。
べ、別に寂しいとかそういうんじゃない。ただ、付き合ってから恋人らしいことしてないから、ちょっとしてみたいなぁーなんて思ってたり。


はぁー。と大きなため息を漏らす。
こんなんじゃダメだよな!祐希だって頑張ってるんだ、俺も我慢しないと!




「んで、なんかあったのか?佐野と。」



「.........!!!」


誰か話しかけてきたからビックリした。しかも祐希のこと聞いてくるなんて、余計に心臓跳ねたわ...


声の主を確認しようと後ろを見ると、そこに立っていたのは、俺と祐希の共通の友達でもある田邊と廣瀬だった。ちなみにさっきしゃべりかけてきたのは田邊だ。


「なんだ...。田邊か」


「なんだとはなんだ。」


少しムッとしている田邊に、さっきの気持ちが和らいだ気がした。


「おい蒼!俺のこと忘れてないよな!?」


今しゃべったのは廣瀬。少し寡黙で世話焼きな田邊とは反対でおしゃべりで少しバカな廣瀬は、田邊と同じ中学だったらしい。最初は俺と田邊の席が前後だったことから田邊と仲良くなったんだけど、そこに祐希も仲に入りだして更には祐希の隣の席だった田邊の友達、廣瀬も入ってきて今じゃ4人で仲良くしてる。


俺もあまりしゃべる方じゃないから、田邊と仲良くなるところがあったけど、田邊と廣瀬の仲の良さはみんな不思議がってる。でも、田邊は世話焼きで結構廣瀬に構ってるし、廣瀬も廣瀬で田邊のこと頼ってるから、良い仲だと思うんだ。



「ふふっ、忘れてないよ。廣瀬」


「なんだ。元気そうだな。佐野と何かあったのかと思ったが、勘違いだったか?」


「えっ、、、!!」


「あれ?蒼どしたの?顔赤いけど...あっ!やっぱり祐希となんかあったのか?亮の言う通りだな!」


ちなみに亮は田邊の下の名前だ。廣瀬は拓海だ...。いや、そんな事どうでも良くて、


「な、なんで!わかった!!?」


「いやぁ~だって、ねぇ」


「あぁ、そんなに佐野のことで頭いっぱいです。みたいな顔してたらなぁ」


「え!!そんな顔、してないって!!!田邊はともかく、バカ廣瀬になんで分かるのさ!!」


「ひどっ!!!」


「廣瀬はバカなのは否定しないが、結構分かりやすかったぞ。」


「亮!!!お前まで!!
うわーーん、拓海くん泣いちゃうよォおお」


なんて泣き真似する廣瀬はほっといて、、


「......うん。最近、部活で忙しくてあんまり話すことないなーなんて...。」


「そうか。喧嘩してるわけじゃないんだな。




.........恋人だからこその悩みってことか。」


...


......


...............




「へっ!?」


えっ!?え、?えぇえええええええ!


今の俺は、目ん玉が飛び出て零れ落ちそうなくらいビックリした顔をしているだろう。
それほどビックリした。


「な、な、なんで、恋、恋人って、、知ってるんだ!?!」


いや、さっきから驚いてばかりなんだが。これじゃ心臓がいくつあっても足りないよ


「いや、なんでって言われても、お前ら前から両想いだっただろ。」


「そうそう、しかもこの間2人でズル休みしたときから付き合いだしたよね!」


「ひ、廣瀬まで知ってんの!...その通りだけど......」


まさか、友人の2人に知られてたなんて思わなかった。でも、2人はなんとも思わないのかな、友達が付き合ってて。しかも男同士だし...


「2人は、なんとも思わない?その...俺らが付き合ってて...」


「ああ。そりゃ前から知ってたからな。今さら付き合い始めても、やっと付き合ったか。って感じだ。」


「もー、ホントにだよ。やっと付き合ったかーってね!なんかもう親の気持ち!」


「いや、そっちじゃなくて!
ほら、男同士だろ...?気持ち悪い、とか。」


「??なんで気持ち悪いんだ?付き合うとか、好きとかそれ以前に大切な友達のこと、気持ち悪いなんて思わない。」


「田邊......!」


「そうだぞ蒼~!俺も、亮もお前たちのこと応援してんだからな!」


「廣瀬......!2人とも、ありがとう...!」


2人の言葉に心がジワーっと暖かくなった。うぅ。大切な友達を持つことが出来て良かった!!!涙が出てきそうだ、、、!


「...で??もっと深い悩みなんだろ?さっき言ってたのより!俺らの仲なんだからさ、この際何言われても引かねぇよ!ほら、言ってみ!」


ひ、ひろせぇええええ
今感動してたとこなのに、さっきの感情がガラガラと崩れていく。


「廣瀬...初めて良い奴だと思ったのに...」


「...え!?今までどんなやつだと思ってたの!!?」


「はぁ...まぁそれは置いといて、ホントはな、付き合い始めてから恋人らしいことしてないなーっと思って...」


「「恋人らしいこと?」」


「うん。ほら、俺ら小さい頃から一緒だからさ、なんかその延長?みたいな。幼馴染から抜けれてない気がするんだよね。実際付き合う前とそんな変わってないし...」


「あー...確かにお前ら、付き合う前から距離近かったもんな。いつも一緒だし。」


「あ!俺いい事思いついた!やっぱ恋人らしいことって言ったら最後はコレだよな!!」


...なんだろう。嫌な予感がする。


「...なんだよ。」


「キ!ス!...ほら、キスだよキス!」


「お、おまっキスだなんて!!」


キスなんて、早すぎるわ!!!そんなの恥ずかしすぎて出来るわけねぇ!


「...確かに。お前らもう恋人らしいことはしてきたんだろ?なら後はキスだけだ。」


「~~っ!田邊まで!!」


「いや、キスだけとは言わず、セッ「廣瀬!!!!」......」


もう、なんなんだよ!2人して!!!俺がしたいのはそういうんじゃなくて...いや、したくないわけじゃない、けど...


「はぁ~...出来るわけねぇだろ」ボソッ




「ん~?何が出来ないの蒼~?」








「!!!...祐希!!!」



今1番来て欲しくないやつが来てしまった。しかも、俺らが話してたこと聞かれたか?


「あっ、祐希ぃ遅せぇよ~何してたんだよ!」


「廣瀬...バスケ部の集まりって行ってたろ。


それで、蒼なんの話をしてたんだ?」



いやいやいや、今お前廣瀬と話してたじゃん!なんで話戻すんだよ!!


「い、いやぁ~そのぉ、、」


祐希の謎の威圧感に押されタジタジしてしまう。いや、俺はっきり言わないとダメだ!


「こ、恋『キーンコーンカーンコーン』...あっ」


...せっかく言おうとしたのに、チャイムに邪魔された...


「やっべぇ、次の授業、数学じゃん!キドセンに叱られる!早く座るぞ、祐希!」


次の授業は数学、学校一怖いと言われる木戸先生の授業だ。みんなが席に着こうとガタガタしだした。
本題は話せないにしろ、これだけは言っておかないと、と祐希に声をかけた。


「祐希!部活、もう一段落着いたよな?今日一緒に帰ろう!」


周りはガヤガヤしていたから聞こえていないか心配になったけど、祐希は聞こえていたようだ。
嬉しそうににっこり笑った後、


「わかった」


と言った。声は聞こえなかったけど、口の動きで分かった。


俺も嬉しくなった。早く放課後にならないかな。



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