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第2部
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それからポッドと一緒にこの国を見て回った後、眠らされた人々を見に行くことにした。城の一角に、この国の人たちが集められ、妖精たちの魔法によって眠らされていた。部屋には等間隔でベッドが置かれてあり、寝顔は皆、穏やかだった。こうやって眠らされることは、この人たちにとっては不満だろうか。この人たちの意見を聞くこともなく、勝手に眠らせておいて起きた時、怒るだろうか。
「この国が攻め込まれることはあるのかな?」
「大丈夫だ。この国は残った妖精たちが守る。ここで眠っている人間たちも守る。それは約束したから安心してほしい」
「うん……」
私のやっていることは正しいのだろうか。
勝手に決めて、勝手に眠らせて、勝手に国を出て。本当にこれでいいんだろうか。という考えがでてくる。ポッドや他の妖精たちが手助けしてくれるから、ここまで大きなことが出来る。国民を眠らせて、国を封印して、王様を探す旅に出ることになるなんて、以前の私だったら信じられないだろう。今も、あんまり現実味がなくて、こうして眠っている人たちの顔を見ることしかできない。
「もう夜が明けるな」
「うん……」
太陽が少しだけ顔を覗かしてる。
いつのまにか、空が明るくなっていた。
「出発の準備をしようか」
「うん……」
私は、城を後にして家へと向かった。出発の準備は出来ていたし、服も着替えてあるからあとは、ごはんを食べて、出かけるだけだった。
家に帰ると、妖精たちが用意してくれたであろう食事が湯気を立てた状態で机に置いてあった。
「いただきます」
ポッドと朝食を食べる。パンと穀物の甘いスープ。それから小さなサラダが用意されていた。
こうして、この家で食事をとれるのも今日で最後だ。次はいつこの国に帰れるか分からない。部屋を見渡し、「この家も見納めだね」とつぶやいた。
「寂しいのか?」
「少しね。次は、いつここに帰ってこれるのかなって思って」
「そんなに気張らなくても大丈夫だ。エミリアが望めば、いつでもここに帰ってきていいんだから」
「そうなの?私てっきり王様を見つけるまで帰ってきちゃいけないのかと思った」
「なんでそうなるんだ……。あぁ。だから国を見て回りたいとか、眠りについた人たちの顔を見たいって言ったのか」
「うん。だって、帰ってくるのいつになるか分からないから目に焼き付けておこうと思って……違うの?」
「泊まる場所とかどうすると思っていたんだ?」
「適当なところに泊まるのかなって」
お金なら、聖女候補の時やパン屋で働いたときのお金が少し残っていたから、それを使って宿をとろうと思っていたのだけど、ポッドの言葉を聞くと、どうやら違うらしい。
「この国が攻め込まれることはあるのかな?」
「大丈夫だ。この国は残った妖精たちが守る。ここで眠っている人間たちも守る。それは約束したから安心してほしい」
「うん……」
私のやっていることは正しいのだろうか。
勝手に決めて、勝手に眠らせて、勝手に国を出て。本当にこれでいいんだろうか。という考えがでてくる。ポッドや他の妖精たちが手助けしてくれるから、ここまで大きなことが出来る。国民を眠らせて、国を封印して、王様を探す旅に出ることになるなんて、以前の私だったら信じられないだろう。今も、あんまり現実味がなくて、こうして眠っている人たちの顔を見ることしかできない。
「もう夜が明けるな」
「うん……」
太陽が少しだけ顔を覗かしてる。
いつのまにか、空が明るくなっていた。
「出発の準備をしようか」
「うん……」
私は、城を後にして家へと向かった。出発の準備は出来ていたし、服も着替えてあるからあとは、ごはんを食べて、出かけるだけだった。
家に帰ると、妖精たちが用意してくれたであろう食事が湯気を立てた状態で机に置いてあった。
「いただきます」
ポッドと朝食を食べる。パンと穀物の甘いスープ。それから小さなサラダが用意されていた。
こうして、この家で食事をとれるのも今日で最後だ。次はいつこの国に帰れるか分からない。部屋を見渡し、「この家も見納めだね」とつぶやいた。
「寂しいのか?」
「少しね。次は、いつここに帰ってこれるのかなって思って」
「そんなに気張らなくても大丈夫だ。エミリアが望めば、いつでもここに帰ってきていいんだから」
「そうなの?私てっきり王様を見つけるまで帰ってきちゃいけないのかと思った」
「なんでそうなるんだ……。あぁ。だから国を見て回りたいとか、眠りについた人たちの顔を見たいって言ったのか」
「うん。だって、帰ってくるのいつになるか分からないから目に焼き付けておこうと思って……違うの?」
「泊まる場所とかどうすると思っていたんだ?」
「適当なところに泊まるのかなって」
お金なら、聖女候補の時やパン屋で働いたときのお金が少し残っていたから、それを使って宿をとろうと思っていたのだけど、ポッドの言葉を聞くと、どうやら違うらしい。
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