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第四話「巣立ちの時は近い」
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ソファに座っていた3人は、美虎が屋敷でよく世話になっていた組員だった。
「煉兄、西尾兄!胡蝶姐さん!」
「美虎嬢!」
3人は美虎に駆け寄ると、
「大丈夫でありんしたか?」
紫色の着物を着て、長い金髪を花魁風に結って簪を差している女性が胡蝶姐さんだ。
目尻に赤いアイシャドウを塗り、形のいい唇には、人を食ったんじゃないかと思うほど赤い口紅を指している。
着物も少し崩して着ているのだが、自堕落というよりも少し色っぽく見えるように計算されていて、組の中でも女性というよりも男勝りな性格で、部下も数人持っていた。
「少し、お疲れのようですね」
自分の顎に手を当て、医者のように美虎の顔を覗き込むのは、西尾兄だ。
黒髪のウルフヘアで常にブランド物のスーツを着て、ふわりとくどくない程度に香水の香りを漂わせている。
スーツにも皺ひとつない。慎重で几帳面な性格なため、参謀をやっていた。尚虎にも信頼されていたほどだ。
「無事で良かったっす」
真っ赤な髪で左目を隠していて、年中甚平を着ているのは、煉兄だ。
すぐ頭に血が上りやすく、胡蝶姐さんによく叱られている。が、あまり知られてないが地位は胡蝶姐さんや西尾よりも高い。だが、それを鼻にかけて自慢することもなく、いつも笑みを浮かべている。
何も考えていないようにいつもヘラヘラしているが、で、実のところ、常に状況を判断して「次、どう動くべきか」と考えているため、組ではよく『陽気なジキルとハイド』と良く呼ばれていた。
「煉兄が仲間になるとは思わなかったなぁ…逃げると思ってた」
「そんな尚虎さんの顔に泥塗るような真似、出来ねぇっすよ」
「わっちも逃げんせんわ。尚虎さんに顔むけ出来んことはしんせん」
「俺も同意見です。尚虎さんにはお世話になりました。それで、美虎嬢」
「美虎嬢が新しい『小鳥遊組』の頭になるんですか?」
西尾兄が柄にもない珍しく心配そうな声で言う。
「それは…ちょっと迷ってて」
「やってみなさいな」
サッとライターを取り出した煉から火を借りて、細長い煙草に火をつけ、細長い紫煙を吹く胡蝶姐さん。
その姿は、まるで愛憎蠢く遊郭で、待ちに待った間夫に艶やかな笑みを向ける花魁のようだった。
「尚虎さんにはお世話になりんした。今度は、わっちらが頑張る順番でありんす。『小鳥遊組』のためならこの腹掻っ捌いて死ぬ覚悟もありんす。と言うことで…」
胡蝶姐さんが着物の胸元を、はだけさせて、美しい蝶の刺青を見せた。
「あとは、美虎嬢の気合いが固まるのを待つだけだわいなぁ」
ニッと笑っていう胡蝶姐さんのその笑顔は、いくつもの死戦を超えた人間の顔だった。
「煉兄、西尾兄!胡蝶姐さん!」
「美虎嬢!」
3人は美虎に駆け寄ると、
「大丈夫でありんしたか?」
紫色の着物を着て、長い金髪を花魁風に結って簪を差している女性が胡蝶姐さんだ。
目尻に赤いアイシャドウを塗り、形のいい唇には、人を食ったんじゃないかと思うほど赤い口紅を指している。
着物も少し崩して着ているのだが、自堕落というよりも少し色っぽく見えるように計算されていて、組の中でも女性というよりも男勝りな性格で、部下も数人持っていた。
「少し、お疲れのようですね」
自分の顎に手を当て、医者のように美虎の顔を覗き込むのは、西尾兄だ。
黒髪のウルフヘアで常にブランド物のスーツを着て、ふわりとくどくない程度に香水の香りを漂わせている。
スーツにも皺ひとつない。慎重で几帳面な性格なため、参謀をやっていた。尚虎にも信頼されていたほどだ。
「無事で良かったっす」
真っ赤な髪で左目を隠していて、年中甚平を着ているのは、煉兄だ。
すぐ頭に血が上りやすく、胡蝶姐さんによく叱られている。が、あまり知られてないが地位は胡蝶姐さんや西尾よりも高い。だが、それを鼻にかけて自慢することもなく、いつも笑みを浮かべている。
何も考えていないようにいつもヘラヘラしているが、で、実のところ、常に状況を判断して「次、どう動くべきか」と考えているため、組ではよく『陽気なジキルとハイド』と良く呼ばれていた。
「煉兄が仲間になるとは思わなかったなぁ…逃げると思ってた」
「そんな尚虎さんの顔に泥塗るような真似、出来ねぇっすよ」
「わっちも逃げんせんわ。尚虎さんに顔むけ出来んことはしんせん」
「俺も同意見です。尚虎さんにはお世話になりました。それで、美虎嬢」
「美虎嬢が新しい『小鳥遊組』の頭になるんですか?」
西尾兄が柄にもない珍しく心配そうな声で言う。
「それは…ちょっと迷ってて」
「やってみなさいな」
サッとライターを取り出した煉から火を借りて、細長い煙草に火をつけ、細長い紫煙を吹く胡蝶姐さん。
その姿は、まるで愛憎蠢く遊郭で、待ちに待った間夫に艶やかな笑みを向ける花魁のようだった。
「尚虎さんにはお世話になりんした。今度は、わっちらが頑張る順番でありんす。『小鳥遊組』のためならこの腹掻っ捌いて死ぬ覚悟もありんす。と言うことで…」
胡蝶姐さんが着物の胸元を、はだけさせて、美しい蝶の刺青を見せた。
「あとは、美虎嬢の気合いが固まるのを待つだけだわいなぁ」
ニッと笑っていう胡蝶姐さんのその笑顔は、いくつもの死戦を超えた人間の顔だった。
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