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憎しみと戦争
しおりを挟む無様に敗北した魔族の面々は、重苦しい空気に包まれている…。
統べる者を失った魔王軍は、頭をもがれた蛇の如く弱体化し、多くの魔族が殲滅された。
全滅、皆殺しを回避したいが為、白旗を上げて和平交渉に臨んだ結果、クラッシュ・ライオット側から魔王ランガード・シームの身柄を要求された。
魔王は行方不明だと言ってはみたものの、此までの経緯もあって当然ながら信じては貰えず、3日間の猶予を与えられた。
呪い(まじない)師アーチ・エネによる占い、キャミィ・ソウルによる召喚術で小谷 日影を召喚し、魔王ランガード・シームの身代わりとして差し出して何とか急場をしのいだ…。
あれから数時間が経過しているが、城外には見張りであろうクラッシュ・ライオット騎士団が20人ほど待機している。
「…アイツ等まだ居やがる」
「俺達、よほど信用されてないんだな」
「そりゃそうだろ。いきなり領地内に城構えて、侵攻して、戦争フッかけたんだ。身代わりとは言え、魔王を差し出すだけで赦して貰えたんだ。ストラマス・コーリングは寛大だ」
「寛大というより、お人好しだろ」
「案外、偽物って気付かれないものだな」
「まあ、魔王様は姿を自由に変えられるからなぁ」
「しかし、魔王様の身代わりになったガキには笑ったな」
「ボクは小谷 日影ですぅ。魔王なんかじゃないんですぅ!って鼻水垂らして泣いてやがんの」
重苦しい空気を少しでも和らげようと談笑する男達に、キャミィ・ソウルは「黙れ」と一喝した。
魔王不在の現在…。魔王軍参謀キャミィ・ソウルがこの地域では実質の最高位に中る。卓越した魔術に加え、白兵戦に於いても魔王ランガード・シームに次ぐ高い戦闘力を誇る。
「1歩間違えれば皆殺しになるところだったんだ。テメェ等ヘラヘラしてる場合じゃないんだよ」
「こ、此れからどうします?人間に逆らわず、この地で大人しくやって行くんですか?」
「ここに留まれば迫害が始まるだけだ…。私等が何万人の人間を殺したと思ってるんだ。王国としては手を出してこなくても、このまま平穏無事に済むわけがないだろう」
「民衆が暴徒化してきたところで、我等に敵うまい。返り討ちにしたら良いんじゃねぇの?」
「テメェ等は、本っっっ当にバカだな!そんな事やってみろ?騎士団が直ぐに殲滅に来るだろうが!!」
「外にはコンバートの野郎が居座ってやがるしなぁ…」
「刑が執行されて戦争が終結するまで、1歩も出るなと言わんばかりだ」
騎士団長サンディ・ニスタ
副騎士団長コンバート・ロック
魔導師団長ホワイト・クラップ
この3人の飛び抜けた戦闘力が戦局を大きく変えた。
「…あの3人さえ居なければなぁ」
「とくにサンディ・ニスタは化け物だったな」
痛々しく残っている剣傷を撫でる配下の会話に、ため息をついたキャミィ・ソウルが口を挟む。
「アイツはマジで化け物だ。魔王様がサンディ・ニスタの眼を潰した時に、呪いをかけたから戦力を下げられた。おかげで少しは戦えたんだ。全開のアイツは…魔王ランガード・シームより強い」
「ただの人間が…」
「アイツはただの人間じゃない。発する神霊力の次元が違う。魂が違う。前世か前前世かは不明だが、神か熾天使の血族に中る奴だろう」
「コンバート・ロックも…ですか」
「奴は人間だが、身体能力と魔力、才能に恵まれた奴だ。人間の高みを遥かに越えてるから、昇華してるかもな。ホワイト・クラップの魔力レベルも人間が到達出来るレベルじゃない。あんな化け物が3人も居るとはな…。アーチ・エネ様のお告げ通り、小国だが舐めてかかってはいけなかった…」
この世界では、鍛練により人間の高みを超えた者に、神や精霊から“昇華”という祝福が与えられる。
祝福を受けた者は戦闘力が上昇する。与える者によって祝福の効果も差があり、神と精霊では雲泥の差がある。
人間も高位の者が、下位の者もしくは親交のある者に対して祝福を与える事が出来る。
ランガード・シーム率いる魔族達が、クラッシュ・ライオットに侵攻したのは魔王同士の覇権争いが背景にあった。
魔王と同じ地域に生息する魔族は、基本的に全員が配下となる。徹底的な弱肉強食で、魔王を殺した者が新たな魔王にもなれる。面倒事を嫌うキャミィ・ソウルはこの戦争に気乗りはしなかったが、魔王の命令には基本逆らえない、逆らわないのが通例となっている為、戦争に参加するしかなかった。
魔王ランガード・シームは未だ行方知れず…。
呪い師のアーチ・エネが行く末を占った結果、此処に留まるのは危険という啓示も出ている為、此処に留まる必要はもうないだろう。寧ろ一刻も早く此処から撤退したい。キャミィ・ソウルはそう考えていた。
「魔王様が失踪して2ヶ月経つ…。これ以上此処に留まる必要もないと思うが、お前等はどうしたい」
「わ、我等も…同意です。アンダーグラウンド・キングダムに戻りましょう」
アンダーグラウンド・キングダム(通称UK)…。かつて魔族を迫害し尽くし、魔女狩りと称した非道な迫害が行われた国の跡地に建国された魔族の国。
「…外はアイツ等が見張ってるから、地下通路から脱け出すか…。」
キャミィ・ソウルの言葉を聞いた配下の魔族達は安堵したように頷いて見せた。
「何処へ…行くつもりだ」
城内に響いた聞き憶えのある重苦しい声…。その声の主が煙のように現れた途端、皆に緊張が走る。
肩くらいまである紫色の髪、狡猾で卑怯を現すような吊り上がった眼、薄ら笑いを浮かべる口元…。
プライドだけは誰よりも高く、自分の非を認めない。
在るのは圧倒的な強さによる恐怖…。
誰も望まない支配者の帰還。
傲慢な暴力性から滲み出る圧力が、キャミィ・ソウルを始めとする魔族達の心拍数を加速させる。
「魔王…様」
「何処かへ…失踪したのだと」
「ずうっと此処に居たさ…。気配を消してな。お前等がどう戦うのかを見てみたくてな」
ずっと居た?お前等がどう戦うのか見てみたかった?
サンディ・ニスタとコンバート・ロック2人に追い込まれて、劣性になるや否や逃げるように戦場から消えたにもかかわらず…。その後どれほど大変な目に遇ったか…。苛つきはしたが、真っ向勝負で立ち向かったところで敵わない為、キャミィ・ソウルは口を噤んだ。
殺伐となった空気の中、1人の魔族が怖ず怖ずと言葉を紡ぐ。
「魔王様…。我々は…負けたんです。アンダーグラウンド・キングダムに戻りましょう」
「UKに…戻るだと?」
「クラッシュ・ライオットに勝ち目は無いですよ」
動揺した様子でそう口にした男の首を、ランガード・シームは素手で斬り飛ばした。血飛沫を上げた生首が宙を舞い、主を無くした胴体が力なく崩れる。
己の右手に付着した血液をペロリと舐めながら、ランガード・シームは周囲に更なる圧力をかける。
「他に何か言いたい者は?」
コイツは直ぐに命を奪う。
自分に異を唱える者を。
自分の気分を阻害した者を。
思いどおりにする為に見せしめで殺す。
人間でも同胞でも関係なく殺す。
コイツの気分で何人もの魔族を殺された。
コイツに振り回されて、何万人もの魔族が犠牲になった…。
何でも力で押さえつけるくせに、旗色が悪くなると真っ先に居なくなる。
これで何度目だ。こんなクズに逆らえない事が甚だ悔しい…。
心拍数の上がったキャミィ・ソウルは “ もう殺るか ” という衝動に駆られたが、視線の先に居たアーチ・エネが首を横に振った為、動くのをやめた。
ランガード・シームは、ヘラヘラと笑いながらキャミィ・ソウルの肩に手を置く。
「そんなに睨むなよ。悪かったよ。腑抜けた事を言うから殺しただけじゃないか。お前は違うだろう?参謀長キャミィ・ソウルよ。私の不在の間、よくやってくれた。身代わりを差し出し、仲間達を救ってくれた。感謝しているよ」
薄っぺらい言葉で取り繕うのも相変わらずだ。自分には利用価値がまだ在るということか。殺されないだけありがたいと思えと言っているようにも聞こえる。
馬鹿馬鹿しくて応える気にもならないが、コイツの強さと恐怖は本物だ…。今在る命を繋ぎ、その機を伺うのが上策なのかとキャミィ・ソウルは気持ちを落ち着かせることにした。
「明日は身代わり魔王の処刑だな」
「…そう…ですね」
「明日の処刑こそが我等の勝機なのだ。刑が執行され、勝鬨を上げたその時…。処刑台に集った民衆共が訪れた平和に喜びを分かち合い、歓喜に打ち震え、涙を流すだろう…。兵士共も歓声を上げて感極まるだろう。クラッシュ・ライオット国民の多くが集結し、最も油断し、最も安堵する…。その瞬間こそが我等の勝機なのだ」
「…何を…するつもりですか」
「刑が執行された5分後に、10m級の魔物30体、ゾンビ30体を解き放つんだ…。キャミィ・ソウル。お前の召喚術でな」
「…そんなに大量の魔物は召喚は出来ても、制御は出来ません」
「制御など要らぬ。本能のままに暴れさせればよいのだ。巨大な魔物に蹂躙され、翻弄される最中、ゾンビに気づく者が何人居る?民衆が1人噛まれればあとは無限に広がるだろう。幸福の絶頂から、ものの数分で絶望に墜ちるのだ。民衆と兵団がゾンビ化すれば、クラッシュ・ライオットは勝手に墜ちる」
「…し、しかし…魔王様」
「なんだ…参謀長キャミィ・ソウル。出来ぬとは言うまいな」
「魔王様…お待ちくだされ。此処に留まるのは危険だと、お告げに出ておりますのじゃ。UKに撤退するのが最善ですじゃ」
「呪い師アーチ・エネ」
「は、はい」
「貴様の呪い(まじない)は、外れてばかりだな…。こんな小国など楽勝だと言ったのは貴様だ」
「…私は…小国ですが侮ってはならないと…」
「…侮ってはいなかった。そうだろう?アーチ・エネ。私が侮っていたとでも…言いたいのか?」
「…いえ、そんな事は…」
「この城に居た5000ほどの魔族が死んだのは、全て貴様の責任だ」
責任転嫁にもほどがある。魔王が戦線離脱した為に劣勢になったと言うのに。侵攻に前向きじゃなかった者達に “ あんな小国など楽勝だろう ” と、圧をかけたのも他でもない魔王ランガード・シームだ。
酷く狼狽えるアーチ・エネに詰めよったランガード・シームは、強靭な腕を振り上げて鉈のように振り下ろした。
左肩から右脇腹にかけて身体は裂け、無残に崩れる肉体からは多量の血液と臓腑が散らばる。
「…キャミィ…様………お告げの…通り……に…」
「アーチ様!!!」
「…キャミィ・ソウル。明日の正午だ…。良いな?」
崩れ堕ちたアーチ・エネの身体を抱えるキャミィ・ソウルは、力無く震える声で「…畏まりました」と応えた。
「事が済むまで貴様等は此処で待て。全てが終わればクラッシュ・ライオット城はおろか、この領土全てが我等の物だ」
勝ち誇ったような高笑いをした魔王ランガード・シームは、煙のように消えた。呪い師アーチ・エネの亡骸を抱えて涙を溢すキャミィ・ソウルに、配下の魔族達は誰1人として声をかけられなかった。
そんな魔王ランガード・シームの謀など露知らず、クラッシュ・ライオットは明日の処刑を以て戦争の終結だと安堵した空気に包まれており、城内の大広間では一足早めの宴が開かれていた。
3年間に渡る惨劇が終焉を向かえる…。緊張感から解放されて笑う者、涙を溢す者、再び訪れるであろう平穏に皆が祝杯を上げている。
兵団の中心でケラケラと笑い声を上げ、浴びるほど酒を呑んでいる魔道士団長ホワイト・クラップに、呑みすぎじゃないかと若き国王ストラマス・コーリングは声をかける。
「大丈夫ですよ。この程度のお酒は水と変わりません」
「サンディは」
「サンディちゃんは、宴が始まって直ぐに居なくなっちゃいましたよ」
「…そうか。まだ浮かれる気分には到底なれんだろうな」
「…ヴィル君の事は…兵団全員が残念に思ってます」
3年間に渡る戦争の犠牲はあまりにも大き過ぎた。その中にはサンディ・ニスタの実弟ヴィル・ニスタも居た。
博愛に満ち、誰からも好かれていた。この国に産まれ育ったニスタ姉弟は、ストラマス・コーリングとは幼少の頃からの仲だ。
最大の功労者である騎士団長サンディ・ニスタは早々にその場を離れ、自室にて少々の酒を嗜み、夜空に浮かぶ満月を仰ぐ…。頬を伝う涙が月明かりに反射して哀しげな煌めきを宿す。
「…漸く終わるよ。…ヴィル」
己の油断から左眼を失い、大幅な戦力低下の呪いをかけられた。護れた命をたくさん失った…。実弟ヴィル・ニスタの死は悔やんでも悔やんでも悔やみ切れない。皆の前で気丈に振る舞っていても、自室に戻ればヴィルの事ばかりが頭の中を駆け巡る。
“ 姉上のように強く在りたい ”
その気持ちが強すぎた為に、引くことを知らず立ち向かうヴィル・ニスタ…。
クラッシュ・ライオット騎士団は “ 死んでも敵の喉笛を噛み千切れ ” というのを信条としている。その言葉通りいつもギリギリの戦いをする弟に、無謀と勇気を履き違えるなと何度も説いた。
「姉上は心配症だな。俺は不死身だから死なないよ」
笑いながら言っていた矢先の出来事だった。
幾度目かの侵攻による戦火の最中、キャミィ・ソウルを含む幹部数人に阻まれるサンディ・ニスタ、コンバート・ロックを飛び越えて魔王ランガード・シームに挑んだ。
卓越したヴィル・ニスタの剣技を嘲笑うように一蹴したランガード・シームは、その腕を掴んで引き千切った。悶絶するヴィル・ニスタの胴体を踏み潰し、臓府が飛び散る。
「やめろぉおおお!!!」
叫びを上げるサンディ・ニスタの前で、ランガード・シームは高笑いしながらヴィル・ニスタの身体を真っ二つにした。
鮮血を迸らせて絶命に至る最期の言葉は “ 姉上、ごめん ” だった。
悔しくて、悔しくて、涙が枯れるほど泣いた。喉が枯れるほど叫んだ。
ヴィル・ニスタ亡きあと、騎士団の士気は鬼気迫る物となり、魔王ランガード・シームをあと1歩のところまで追い詰めた。
“ この一太刀で貴様を殺す ”
サンディ・ニスタの剣が止めを刺す瞬間に、魔王ランガード・シームは煙のように消えて失踪した…。その後も戦場に於いて姿を見せることはなく、クラッシュ・ライオットは畳み掛けるように魔族を殲滅し、白旗を上げさせた。
追い詰めた魔族側を代表して、参謀長キャミィ・ソウルから書状が届いた。無条件降伏という内容に対してクラッシュ・ライオット側は、魔王ランガード・シームの引き渡しを提示。それに応じるという内容だった。
民間人を含む何万人もの人間を理不尽に殺戮し、旗色が悪くなったら和平交渉など許されない。騎士団長サンディ・ニスタもそうだが、身内を殺されている者は多く居る。魔族は徹底的に殲滅し、この地から排除するべきだという声が圧倒的だった。
「魔族と和平交渉など馬鹿げている」
静寂の玉座の間にサンディ・ニスタの怒声が響き渡った。
そこに居合わせた副騎士団長コンバート・ロック、魔道士団長ホワイト・クラップも同様に頷いた。
「奴等を殲滅しても別の魔族がまた襲ってくるかも知れない。少しでも歩み寄れる魔族が居るのなら、和平を結んで終わりに出来ないだろうか。全てを許せとは言わない…。だが、魔族にも幼子は居る。未来の為に憎しみを飲み込んでほしい」
「私とて全ての魔族が憎いわけではない!!ランガード・シーム!あの男だけは!!あの男だけはこの手で殺さなければ、ヴィルの魂が浮かばれない!!」
「…ヴィルが…本当に、そう願うと思うか。サンディ…」
ヴィルは強く在りたいと願ってはいたが、飽くまでも護る為の強さ…。誰にでも優しく、誰からも好かれ、笑顔を絶やさない人物だった。
殺し合わずに済むというのなら、騎士団で初めに剣を収めるのはヴィルだろう。
ストラマス・コーリングは、ヴィルを実の弟のように可愛がっていた。
国民が、兵士が、亡くなる度に歯を食い縛り続け、気丈に振る舞っていたストラマス・コーリングが皆の前で泣き崩れたのは、ヴィルが亡くなった時だけだった…。
仇を討ちたい。ランガード・シームを殺したい気持ちは私と同じだ。それでも…和平交渉に応じ、魔族を赦すと言うのか。
ストラマス・コーリングは玉座から降り、土下座で懇願した。その姿を見たサンディ・ニスタの瞳から溢れる涙が食い縛った口許へと伝う…。
握りしめた拳からは血液がポタポタと滴り落ちていく。
その一滴一滴が怒りと哀しみを現すように…。
「…ヴィルは…ヴィルなら…。騎士団の中で、最初に剣を収めるだろう…。…ストラマス。我々は貴方の意思に従う…」
和平交渉の場に於いて、少年に姿を変えて拘束されたランガード・シーム、それを拘束していたキャミィ・ソウルの2人を目の前にしたときは、バラバラに斬り刻みたい衝動に駆られた…。
「姉上は強過ぎるし、気も強いから嫁の貰い手が無いな」
「大きなお世話だ。私より弱い男など問題外だ」
「じゃあ、サンディ。お前より強ければいいのか?」
「…そ、それは…最低限…そうだろう。…女として…護ってほしいし…」
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「けっ…結婚…」
「おい、サンディ。顔真っ赤だぞ」
「五月蝿い!!五月蝿い!!」
「けどお前強すぎるからな。もはや人類との結婚は無理だな。わっはっは」
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弟ヴィル・ニスタと王位継承前のストラマス・コーリングとの何でもない日常のやり取りを思い返した。
憎しみと戦争
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「…ヴィル。お前を…護りきれなくて…ごめん…」
呪われた左眼に刻まれた666の数字が恨めしい。明日の処刑でランガード・シームが絶命となれば呪いは消えるが、護れなかった命に対する自責の念は消えることはない…。
サンディ・ニスタの部屋の奥から聞こえる啜り泣く声…。国王ストラマス・コーリングは、その部屋の扉を叩くことは出来ず、静かに自室へと足を向けた。
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