羅刹

私刑

　私の娘は14歳でこの男に犯され、その後自ら命を絶った。
　この男の罪は強制性交等では無い、私から見れば殺人罪。
　死刑に値する、、、、

　男は私の中に精を放ち、安心して寝ている。
　コイツを探し出すのにどれだけの時間を費やした事か。
　犯罪者だろうとプライバシーは守られる。
　「あっ、まだ出てくる、、、」
　私はベット横のティッシュを数枚とり、股間を拭いた。
　横には全裸で熟睡する男。
　私の中に2回も射精し、満足したのか？それとも、酒に混ぜた眠剤が効いたのか。
　あの娘はコイツに襲われ、処女を奪われた。そればかりか、犯罪者の精子で妊娠していた。
　妊娠初期だった為、中絶はできたものの、娘の心には消えないキズが残った。

　私は、娘よりも苦しい思いをしたかった。
　娘は一回射精された、、、私は２回犯罪者の汚い遺伝子を受け入れよう。

　私は、今からこの男に私刑を下す。
　理由はどうあれ許される事では無い。
　償いは、刑務所内で娘との思い出を胸に生きていくこと。

　私はカバンから裁縫セットを取り出した。娘が小学校で使っていたものだ、、、その中から糸を取り出し、男の陰茎と陰嚢の根本に巻きつける。
　ユックリと、少しずつ力を込めながら、、、、
　数十回巻き付けた頃には血液は遮断され、むくみを帯びるカタマリ。
　次に、布切りハサミを取り出した。
　亡き娘は、このハサミで布を切ったであろう。
　男の陰部を縛り上げた糸。
　娘はこの糸で、幼いながらに必死に布を縫い上げ、母の日に小物入れをプレゼントしてくれた、、、、それは、今でも使っている。
　
　こんな状況でも熟睡する男。
　私は血が苦手だ、、、、コレを切ればどうなるかは容易に想像出来た。
　だからこそ、キツく止血をした。
　次に、キッチン用の保存パックをソレに被せる。
　切り取った後に、ソレを残していく訳には行かない。
　万が一、接合されてしまったら、、
　
　念の為に、シーツの端を引っ張り男の足に巻き付け結んだ。
　急所を切られた男が動けるとは思わないが、何があるか分からない。
　ベット脇に落ちていたタオルを丸めて男の口にねじ込む。
　息苦しそうに鼻で息をしているが、男は起きない。

　私は意を決し、鬱血してドス黒くなっている陰茎と陰嚢に布切りハサミを当てる。そして保存パックを被せて左手で思いっきり握り引っ張る。
　同時に右手で握りしめたハサミを一気に閉じた。
　失敗した？そう思うほどにあっけなかった、、、、
　しかし、私の左手にはパック越しに男のイチモツがあった。

　私は荷物を取るのも忘れ、急いでホテルを後にした。
　ホテルに近い川に、パックの中にあるカタマリを投げ捨てた、、、、

　後日、私は収監された。
　男は生きていたらしい、、、、
　しかし、私に言わせればアイツは男では無い、、、私が男である証を切り取ったのだから。
　毎日の様に、用をたしながら後悔するだろう。一生苦しむだろう、、、

　私の報復は終わった。
　もう死んでもいい、、、はやく娘と会いたい。
　しかし、私は妊娠していた。
　犯罪者。否、娘を死に追いやった男の子供を、、、

　散々悩んだあげく、堕胎する事が出来なかった。
　私は女の子を出産した、、、
　亡き娘と同じ歳になった。
　私は、この娘の笑顔に安らぎを感じ生きている。

　それが、私刑を行なった私への本当の罰なのかもしれない........