桜の木に寄り添う

恐怖心

電話で外に出たヒロキくんは、戻って来なかった。

「こんな酔っぱらい、私一人じゃ無理だよ。どこ行ったんだよー。」

私は電話をかけた。

「もしもし、どこ？酔っぱらいの相手、私一人じゃ無理ー。」

「ごめん、今は戻れない。そのままにしとけ。」

あっという間に切られた。

誰に会いに行ったのかは、すぐにわかった。

ーーーーー安西宅にて。

「お前、何してるんだ！」

安西さんは、意識がない状態だった。

俺は、慌てて救急車を呼んだ。

ピーポーピーポー

病院に着き、しばらくして目を覚ました。

「ヒロ。来てくれたのね。」

「お前はバカか！」

睡眠薬を少し多く飲んだらしい。

「意識が飛んだら、来てくれると思ったの。やっぱりきた。」

「次はもう来ない。最低だ。」

「じゃ、次はなつみちゃんに。」

「脅してるのか。」

「見てればわかるわ。」

「あいつに何かしたら、お前を許すことは二度とこない。」

「それならそれでいいわ。あなたの記憶の中にいれば。何もなかった事になんてできない。あなただけ、幸せにはさせない。」

「でも、あいつは関係ない。」

「こそこそ会ってたんだから、関係ないなんて言わせない。待ってなさい。」

「お前どうかしてるよ。」

「いいから、もう帰って！」

「お前とは二度と会うことはない！」

バタンッッ！！！！！


あの女、最低だ。
俺のせいで、もし何かあったら。
そう思うと恐怖心でいっぱいになった。


暗い中、公園のベンチに座った。

近くでジョギングしていたよっちゃんがベンチに座っているヒロキに気付いた。