それでも君はまた恋をする

美容室

　それは、私が高校生の時の事だった。
　私は、その時はまだメガネをかけて周りの子からしたら、地味な方だったから長かった髪をバッサリ切ろうと思い美容室へ向かった。

「 いらっしゃいませー 」
　美容室は、私にとってお洒落な人達が働いてるイメージがあって、人見知りの私には緊張する場所だった。
　だから、入るのも気合いもある程度、必要な空間。

　気合いを入れた私は、バッサリ切ることを決めて美容室へ入った。

　やっぱり受付の女性は綺麗な人で私とは全然違う風に見えてしまう。

「 あのー。カットで…… 」

　私がそう言うと、その女性は満面の笑みで対応し、大きな鏡の前にある椅子へと移動する。

　その次の瞬間、めちゃくちゃイケメンの男性が近寄ってきた。
「 今日どのくらい切ります～？ 」

　この人が私の髪の毛を切るんだ……

　男性とろくに会話もしていない私は緊張度が増してしまう。

「 バッサリと切ってください！」

　その言葉だけを用意していた私は、それだけは簡単に言うことができた。

　はぁ……
　私の心の中はため息でいっぱいだった。

　シャンプー台へ移動し、シャンプーを終えたあとはもう何も喋ることができず、気づいたら眠ってしまっていた……

　髪の毛を切る音がとても心地良かったのかもしれない。

　しばらくしてその男性が私に声をかける。

「 終わったよ！」

　私はどのくらいの時間眠ってしまっていたのだろうか。
　そう言われ、鏡を見た瞬間……

　それは私だけど私じゃなかった……