それでも君はまた恋をする

月乃結海

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恋の魔法

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 ……これ。私なの!?
 髪の毛だけで、こんなにも変わってしまうものなのか。
 自分じゃないみたい。信じられない。
 夢を見ているみたいで、頭がフワフワしている。

「 終わったよ~ 」
 そう彼は私に言い、自慢気な顔をしていた。

 私の心が読めてしまったのだろうか。
 鏡を見ているうちに、なんだか訳の分からない恥ずかしさが襲いかかる。

 私は慌てて、お会計を済ましその場を去った。

 歩いてる途中も、部屋に帰ってからも、あの彼の笑顔が忘れられなかった。
 また会いたくなる魔法にでもかかってしまったのだろうか。

 私はかけていたメガネを外し、気づいたらコンタクトに変えていた……
 自然と彼の好きそうな人に近づこうと思った。

 これが恋の魔法なんだ。
 でもその時の私は、全く気づいてなかったんだ。

 この後、傷つく結果が待っていることを……

 その彼は、私にとって初恋だったから。
 次の日学校に行き、みんなの反応が前とは変わっていった。

 やっぱり、あの人凄い!!
 私がこんなに変われるんだもん。
 その後の私は、性格が明るくなるとともにどんどん恋の魔法にかかっていった。
 
 私は美容室にしばらく通い続け、やっとその彼と仲良くなり始めていた。

「 りえちゃん、今度どこか行こうよ! 」

 デートのお誘いだった。
 その時の私は、恋の魔法にかかっていたためすぐに引き受けてしまう。
 物凄く嬉しくて、私の心の中は飛び上がっている。

 周りも全く見えていない。そんな状態になってしまっていた。

 大人になった今は、なんであの時もっと慎重に動けなかったのだろうと最近になって思い始める。

 そしたら……傷つかずにいたかもしれないのに。

 私には得意な事などないし。自慢出来ることも無い。
 その彼だけは、私を褒めてくれたんだ。
 誰かに認められたかった私は、とても心地よかった。

 私は私でいられる。そんな気がしていたんだ。

 この時までは……
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