【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

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1章 異世界に召喚されました

16話 スキルの取得

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 あれから2時間後。

 どうやら私はスキル振りに熱中してたらしい。
 気が付けば夜になってしまっている。

 私はスキルを振り終わると、そのままごろんと横になった。

 ゲームの世界に来てから7日。

 あまりにもいろいろな事がいっぺんにおこりすぎて、考える暇もなかったけれど。
 
 私は元の世界に帰る事ができるのだろうか?
 わりと難易度は高いと思われる。
 だってゲームの世界から300年経過してしまっているということは、ゲームと日本時間は全く一緒だったので日本でもそれだけ経過してしまっているというわけで。
 日本に帰ると同時に過去にも戻らなければならないのだ。
 難易度高すぎないか?ひょっとして帰る方法がないというパターンも覚悟しておかなければいけないかもしれない。
 日本に帰るだけなら方法はあるかもしれないが、流石に300年後の日本は無理だ。
 死亡扱いになっているだろうから、戸籍もお金も何もない状態からスタートだし。
 日本でそれは流石に辛い。職にすらつけないし、家だって借りられるかわからない。
 そんな状態の日本に帰るくらいならこっちの世界に残ったほうがましだろう。
 
 センテール王国に捕まっていた3人の話によると、あの3人もはじめは帰る方法を探してはいたらしい。
 けれど、誰に何を聞いてもさっぱりで、そのうちにあの国の国王に騙されて捕まってしまったのだとか。

 そういった意味では私が最初に出会えたのがコロネで運がよかったとも言える。
 ゲーム化された時の記憶があり、こちらの世界に精通しているのだ。
 時々変態になるという事を除けば、本当に頼りになる仲間だろう。

 そしてもう一つ――あのピンク色髪魔女っ子ラファ。
 女神がどうのこうの言っていたが、いろいろ何かを知っていそうな言い方だった。
 私が生きていると知れば、また襲ってくるのだろうか?
 その時は油断せずに今度こそ、とっ捕まえてやろうと思う。
 てか忙しすぎて忘れていたが、あいつ人殺してるんだよな。マジで。
 一応死体は石化してきたが、後で生き返らせてあげないといけないかもしれない。

 てか、あのモロッコの国の領主は大丈夫なのだろうか?
 殺されたりしてしまっているのだろうか?
 私が慌ててベットから起き上がれば

 トントンと扉が叩かれる。

「誰だっ!?」

 つい、私が身構えて問えば

「コロネです。……何かありましたか?」

 と、私の警戒した声を不思議に思ったのかコロネが扉をそのまま開くのだった。

 △▲△

「はい、あの領主でしたら無事です。
 私も念のため、彼らには監視をつけていますので」

 私が慌ててあの三人について質問すれば……
 リリ用にもってきた食事を机の上に置くと、コロネがにっこり微笑みながらそう言った。

「よかった。てっきりラファに殺されたかと」

「私の個人的推測でしかないのですが、しばらくは大丈夫かと。
 恐らくですが……善政を行う領主が素行の悪いプレイヤーに殺されるということに意味があるのだと思います」

「女神の狙いはプレイヤーの評判を下げまくりたいってことか?」

「はい。猫様もこちらの世界に来てからの、プレイヤーの評価はご存知でしょう?」

「ああ、うん。ろくでもなかった」

 と、私がぽりぽり頭をかく。
 確かに女神が意図的にプレイヤーの評価を下げにきてるというのなら、あの評価も納得できる。

「それにしても、あの少女ですが……名はラファで間違いありませんか?」

 コロネに問われ、私は頷いた。
 鑑定したので間違いない。

「前から噂には聞いていましたが本当に存在していたのですね」

「噂?」

「はい。まずプレイヤーがこの世界に来るようになったのは、20年前。
 ある小国が大国より優位にたとうと異世界より勇者を呼び出したことからはじまります。
 その呼び出した勇者というのがプレイヤーでした」

「へぇ、じゃあプレイヤーがこの世界にきたのはわりと最近なんだ」

「はい。
 この世界にプレイヤーが来る方法は私の知る限り、二種類あります。
 ひとつは女神と呼ばれる存在に召喚されたプレイヤー。
 もう一つはこちらの世界の住人の手によって間違ってゲームから召喚されたプレイヤーの二種類です。
 そして問題なのは「女神に召喚されたプレイヤー」がこの世界を牛耳ろうとしていることです」

「えええ。そんな事をしているのか?」

「ええ。既にこの世界最大の人間領であるアケドラル帝国は女神に召喚されたプレイヤーの手に落ちています。
 そしてラファもまた女神に召喚されたプレイヤーの一人と言われていました。
 この世界に間違って召喚されたプレイヤーの中で自分たちの脅威……女神に逆らい、邪魔になりそうな存在を消しているという噂があります。
 あくまでも噂でしかなかったので、私も目にした時は驚きましたが」

「んー。じゃあ自分は驚異になりそう認定されて殺されそうになったって事か?」

「ええ、恐らくは。
 センテール王国に残ったプレイヤーはいまだ何もされていないところを見ると、どうやらそれほど危険視はされていないようですね」

「ああ、そっか。それならいいんだ」

 言って私は胸をなでおろす。
 にしても、世界征服を企むとか酷いことしてるなプレイヤー。
 圧倒的な力をもって現地人を制圧しようとするなんて、プレイヤーが毛嫌いされてるのも仕方ないのかもしれない。
 全く関係ないのに一緒に毛嫌いされる自分にはいい迷惑だけれど。

「それにしても流石猫様!他のプレイヤー達の心配までなさるとは!
 なんと心の広い!このコロネ!感服いたしました!」

 何故か大仰に称え出すコロネに私はため息をついて

「そのモード面倒くさいからなしで」

 と真顔で言えば

「はい。気を付けます」
 
 と、真顔で返される。
 うん。調整できるなら助かる。


 △▲△


「それで、結界が破れた理由はわかったのか?」

 コロネの館の食堂で、食事をつつきながら、私が聞いた。
 今はコロネと二人で食事をとっているのだ。リリちゃんはいまだ寝たままである。
 ちなみに食事はゲーム時のレシピがそのまま普及しているらしく、普通に日本食だった。

「いえ、それが……まったくわからないのが現状でして」

 コロネの話によれば、この世界は5ヶ所に神々の結界が張られた場所がある。
 そこにはもれなく凶悪な魔物が住み着き、今回結界が破れてしまったカルネル山脈もその一つだった。
 結界のある地域には聖樹と言われる神々の力を宿した木が存在し、その聖樹を取り囲むように神殿が建てられ、その神殿からエルフ達が祷りで魔力を注ぐことによって神々の結界は維持し続けているらしい。
 今回の魔物の襲撃では砦よりも後ろにあったため、聖樹も神殿も無事とのこと。
 本来、聖樹になにか異常があれば、神殿の神官達が何か気づくはずなのだが……。

「誰一人、異常に気づかないばかりか、結界が破れた今でさえ、何が起こったのか把握してないのが現状です。

 そこで、大変申し上げにくいのですが……猫様のお力を貸していただいても宜しいでしょうか?」

 と、コロネ。
 うん。手伝うのは別に構わない。
 いや、こっちだってもしかしたらそもそも元の世界に戻る方法が存在しないという可能性だってあるのだ。
 なるべく世界が平和な状態であってくれたほうがありがたいし。

「でも手伝うって何を手伝うんだ?
 結界なんちゃらは自分まったく知識はないんだが」

 そう。レベル200がカンストの時点ではエルフの領土へは行けなかった。
 その為、結界関連に関しては、なんとなく強そうな魔物をエルフが封じてるくらいの知識しかない。

「スキルの【鑑定】で一度聖樹がどのような状態なのか見ていただきたいのです。
 こちらの世界ではスキルを行使できる者がプレイヤーしかおりませんので。
 プレイヤーの中でも私の知る限り【鑑定】をお持ちなのは猫様だけです」

 と、コロネ。

「へ?マジで?こっちの人スキル使えないのか?」

「はい。こちらの世界の住人はそもそもステータス画面が開けませんから……。
 もし仮にプレイヤーの方のようにスキルポイントを取得しているとしても、スキルを得る事ができません」

「あー。なるほど。やっぱりだめなのか。
 でもそうなると魔法とかはどうやって取得するんだ?」

「主に呪文書です。
 ダンジョンでドロップする宝箱から手に入ります」

「へー。ダンジョンだと宝箱がドロップするんだ?
 今まで敵を倒しても宝箱なんて落とさないからないのかと思ってた」

「はい。宝箱がドロップするのはダンジョンのみです。
 ダンジョンでは魔物の死体が消えて宝箱がドロップする仕組みです。
 ダンジョンだけはゲーム時の仕様がそのまま残されているようですね。
 そもそもゲーム化前はダンジョンなど存在しませんでしたから」

「え?そうなのか?」

「はい。
 ゲーム化前は、魔物がアイテムを落とすこともありませんでした」

「へぇ、そうなんだ」

 この世界を元に戻した神様が、ダンジョンなんてゲーム化前はなかったんだからそのままゲーム化の仕様残しちゃえばいいよね✩
 なんて考えなのだとしたら、この世界を元に戻した神様って物凄くいい加減なのかもしれない。

 に、してもスキル覚えられないのかー。
 スキルあるなしは戦闘で全然違うんだけどなぁ。
 コロネもリリちゃんも強くする計画だったのに。
 それにリリちゃんになんて言おう……。
 スキル取得楽しみにしてたのになぁ。


 私は憂鬱な気持ちでため息をつくのだった。
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