105 / 187
2章 人間領へ行くことになりました
23. 風邪
しおりを挟む
マルクさんの話によれば、コロネの病気はエルフ特有の疲れからくる風邪なのだそうだ。
エルフが人間領土にくるとごく稀にかかる事があるらしい。
風土の違いからくるものなのか気疲れからくるものなのかは今だわかっていない。
エルフの医者しか治療できないらしく、エルフ領から医者を連れてこないといけないとのこと。
相談した結果、マルクさんとアルファーとリリの3人で行くことになった。
マルクさんは医者を連れてくるの地理がわかっているので必須。
リリちゃんはマルクさんを背負って瞬間移動で移動するので必須。
アルファーは、念のために二人の護衛。
竜型のときに襲われたら苦戦するので護衛も必要だし。
で、結局私一人残ることになったのだ。
出かけていく3人を見送ってベッドで寝ているコロネの方に視線を戻せば、かなり顔色が青白くなってしまっている。
ゼェゼェと苦しそうに息を吐いているが……意識はないようで時折、苦しそうにうめいていた。
たぶん、かなり無理をしていたのだろう。
レオンの件も気持ちの整理がつく暇もなく、内政に追われ、そこにきて、レプリカ疑惑が確信に変わってしまったのだ。
精神的ショックもよほどのものだったのかもしれない。
魔法で部屋の温度を上げつつ、毛布でくるんでやってはいるがそれでも寒いのかコロネの身体は震えていた。
私が布団をかけなおしてやれば、意識が戻ったのか
「………猫様…」
コロネがそっと目をあける。
「ああ、悪い起こしちゃったか?」
私が言えばコロネは力なく微笑んで
「………いえ。大丈夫です。
申し訳ありません」
と目を細めた。それでもその手は震えていて、唇は真っ青だ。妙に痛々しい。
何かしてあげたいが、結局何もしてあげれない。
ポーションは効かないらしいし、日本の風邪の知識で動脈を冷やすとかもしては絶対ダメとのこと。
基本的に身体の構造が同じに見えるし所々似通ってはいるが最終的には全然違うのだ。
マルクにはひたすら身体を温めるしか手はないと聞いている。
それでもその手をとれば、寒い所にいるのではないかというくらい冷たくて。
自分で発熱できないから布団も暖まらないのかな?
湯たんぽとかがあればいいのにな。
流石にゲームキャラが風邪を引くということはないのでその手のアイテムは何ももってないし。
なんとかコロネをあったかくしてやれないかな?
寒い所で身体をぽかぽかにするアレンジ魔法は使えたので、自分の身体だけならあったかくできるんだけど。
あ、そうだ。
「コロネ、ちょっと隣いいか?」
「……はい?」
私がコロネの布団にそのまま潜り込めば、コロネが驚いた顔になる。
にしても、コロネまじ冷たい。
布団の中にいるのが嘘じゃないかってくらい冷たい。
コロネの身体自体が発熱してないから布団も暖まらないらしい。
ぽかぽかになる魔法で自分の身体を発熱して布団をいい感じにあっためてやる。
「……ね、猫様?」
しどろもどろになるコロネに、
「ほら、もっと身体くっつけて。たぶん自分で発熱できないから暖まらないんだろ。
私が温めてやるから」
「……ですが……」
すこし顔を赤くしてアワアワするコロネに
「いいから少しは人に甘えとけ」
言って抱き寄せれば、コロネはこちらの顔をチラリと確認したあと
「………はい」
と、大人しく私の胸に顔をうずめた。
今だガチガチと震えてるコロネの背中をさすってやれば気持ちがいいのか、少しウトウトしだす。
普段のコロネならもっと、猫様と寝るだなんて!とか抵抗しそうなものだが、今は抵抗する力もないくらいつらいっぽい。
マルクさんに睡眠の魔法をかけていいか聞くべきだったな。
ぐっすり眠れれば治るかもしれないのに。
ウトウトしては時々怯えたように身体がびくりと震えるコロネの背中を撫でてやれば、やっと眠れたようで、スヤスヤと寝息がきこえてきた。
まぁ、あの洞窟の中でのことも話したい事もあるけれど、風邪が良くなるまでは封印したほうがいいな。
思い出したらまたハイ状態になって行くとかいいかねないし。
変態になると風邪すら吹き飛ばしそうだ。
や、吹き飛ばしてくれた方がいいのかも?
などと考えながら私はコロネの背中をさするのだった。
リリ達が医者を連れてくるのはそれから5時間程あとだった。
結局。リリ達が連れてきた医者に見てもらえば、やはり風邪とのこと。
症状にあわせて薬を処方してくれるとのことで、薬をもらい、ウトウトしているコロネに飲ませ、ベッドで寝かせる。
睡眠作用のある薬なのでぐっすり眠れるとのこと。
ただ、帰ってきたリリが、リリもコロネと猫と寝るーとそのままベッドに潜り込み、ぺったりと三人で寝ることになった。
うん。しかしリリちゃん。
この場合コロネにくっつくもんじゃないのだろうか。
いや、まぁ、風邪気味のコロネにリリちゃんの腕枕をしろとは流石に言えないが。
何故かリリちゃんとコロネの二人に腕枕をして寝る羽目になる。
うおーなんだ。
何両手に花(?)状態。いや、片方おっさんだけど!
これ結構きついんだけど!?
アルファーに大変ですね。
と同情されたが、助けてくれる気はないらしく見張りがありますから!と物凄い爽やかな笑顔でマルクさんにくっついてどこかへ行ってしまった。
逃げたなあいつ。
結局スヤスヤ寝だしたコロネとリリちゃんを起こすのは可哀想だと変な格好で寝る羽目になるのだった。
次の日。自由の効かない体制で寝たため身体が痛む事になるのは言うまでもない。
エルフが人間領土にくるとごく稀にかかる事があるらしい。
風土の違いからくるものなのか気疲れからくるものなのかは今だわかっていない。
エルフの医者しか治療できないらしく、エルフ領から医者を連れてこないといけないとのこと。
相談した結果、マルクさんとアルファーとリリの3人で行くことになった。
マルクさんは医者を連れてくるの地理がわかっているので必須。
リリちゃんはマルクさんを背負って瞬間移動で移動するので必須。
アルファーは、念のために二人の護衛。
竜型のときに襲われたら苦戦するので護衛も必要だし。
で、結局私一人残ることになったのだ。
出かけていく3人を見送ってベッドで寝ているコロネの方に視線を戻せば、かなり顔色が青白くなってしまっている。
ゼェゼェと苦しそうに息を吐いているが……意識はないようで時折、苦しそうにうめいていた。
たぶん、かなり無理をしていたのだろう。
レオンの件も気持ちの整理がつく暇もなく、内政に追われ、そこにきて、レプリカ疑惑が確信に変わってしまったのだ。
精神的ショックもよほどのものだったのかもしれない。
魔法で部屋の温度を上げつつ、毛布でくるんでやってはいるがそれでも寒いのかコロネの身体は震えていた。
私が布団をかけなおしてやれば、意識が戻ったのか
「………猫様…」
コロネがそっと目をあける。
「ああ、悪い起こしちゃったか?」
私が言えばコロネは力なく微笑んで
「………いえ。大丈夫です。
申し訳ありません」
と目を細めた。それでもその手は震えていて、唇は真っ青だ。妙に痛々しい。
何かしてあげたいが、結局何もしてあげれない。
ポーションは効かないらしいし、日本の風邪の知識で動脈を冷やすとかもしては絶対ダメとのこと。
基本的に身体の構造が同じに見えるし所々似通ってはいるが最終的には全然違うのだ。
マルクにはひたすら身体を温めるしか手はないと聞いている。
それでもその手をとれば、寒い所にいるのではないかというくらい冷たくて。
自分で発熱できないから布団も暖まらないのかな?
湯たんぽとかがあればいいのにな。
流石にゲームキャラが風邪を引くということはないのでその手のアイテムは何ももってないし。
なんとかコロネをあったかくしてやれないかな?
寒い所で身体をぽかぽかにするアレンジ魔法は使えたので、自分の身体だけならあったかくできるんだけど。
あ、そうだ。
「コロネ、ちょっと隣いいか?」
「……はい?」
私がコロネの布団にそのまま潜り込めば、コロネが驚いた顔になる。
にしても、コロネまじ冷たい。
布団の中にいるのが嘘じゃないかってくらい冷たい。
コロネの身体自体が発熱してないから布団も暖まらないらしい。
ぽかぽかになる魔法で自分の身体を発熱して布団をいい感じにあっためてやる。
「……ね、猫様?」
しどろもどろになるコロネに、
「ほら、もっと身体くっつけて。たぶん自分で発熱できないから暖まらないんだろ。
私が温めてやるから」
「……ですが……」
すこし顔を赤くしてアワアワするコロネに
「いいから少しは人に甘えとけ」
言って抱き寄せれば、コロネはこちらの顔をチラリと確認したあと
「………はい」
と、大人しく私の胸に顔をうずめた。
今だガチガチと震えてるコロネの背中をさすってやれば気持ちがいいのか、少しウトウトしだす。
普段のコロネならもっと、猫様と寝るだなんて!とか抵抗しそうなものだが、今は抵抗する力もないくらいつらいっぽい。
マルクさんに睡眠の魔法をかけていいか聞くべきだったな。
ぐっすり眠れれば治るかもしれないのに。
ウトウトしては時々怯えたように身体がびくりと震えるコロネの背中を撫でてやれば、やっと眠れたようで、スヤスヤと寝息がきこえてきた。
まぁ、あの洞窟の中でのことも話したい事もあるけれど、風邪が良くなるまでは封印したほうがいいな。
思い出したらまたハイ状態になって行くとかいいかねないし。
変態になると風邪すら吹き飛ばしそうだ。
や、吹き飛ばしてくれた方がいいのかも?
などと考えながら私はコロネの背中をさするのだった。
リリ達が医者を連れてくるのはそれから5時間程あとだった。
結局。リリ達が連れてきた医者に見てもらえば、やはり風邪とのこと。
症状にあわせて薬を処方してくれるとのことで、薬をもらい、ウトウトしているコロネに飲ませ、ベッドで寝かせる。
睡眠作用のある薬なのでぐっすり眠れるとのこと。
ただ、帰ってきたリリが、リリもコロネと猫と寝るーとそのままベッドに潜り込み、ぺったりと三人で寝ることになった。
うん。しかしリリちゃん。
この場合コロネにくっつくもんじゃないのだろうか。
いや、まぁ、風邪気味のコロネにリリちゃんの腕枕をしろとは流石に言えないが。
何故かリリちゃんとコロネの二人に腕枕をして寝る羽目になる。
うおーなんだ。
何両手に花(?)状態。いや、片方おっさんだけど!
これ結構きついんだけど!?
アルファーに大変ですね。
と同情されたが、助けてくれる気はないらしく見張りがありますから!と物凄い爽やかな笑顔でマルクさんにくっついてどこかへ行ってしまった。
逃げたなあいつ。
結局スヤスヤ寝だしたコロネとリリちゃんを起こすのは可哀想だと変な格好で寝る羽目になるのだった。
次の日。自由の効かない体制で寝たため身体が痛む事になるのは言うまでもない。
0
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛
タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。
しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。
前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。
魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる