5 / 85
世界終わろう委員会
理解してない
しおりを挟む
「一体、なんて送ったんですか?」
困惑しながら尾張さんのスマホに視線を送る。
「べ、別に普通に謝っただけなのだけれど」
珍しくオロオロと所在無さげにしている尾張さんはちょっと涙目になっていた。
「・・・・・・かわいい。じゃなくて、あの、メッセージ見せてもらってもいいですか?」
「え、ええ」
どうやら、僕の失言は聞こえていなかったようで、尾張さんはスマホを見せてくれる。
そこには、こう書いてあった。
『この前は、ごめんなさい。すこし配慮にかける発言だったわ。学校のテストは授業を聞いていれば、特に問題なかったから。貴女がテストに向けて、とても努力していたなんて、知らなかったの。でも、紀美丹君に貴女の努力の事を聞いて、本当に悪い事をしたと思っているわ。テスト前は、みんな勉強しているものなのね。とても反省しているわ。今度からは、猫動画じゃなくて、兎動画を見るわ』
なるほど。
「尾張さん。貴女って人は」
「?」
キョトンとするな。
「全く理解してないじゃないですか!」
「失礼ね。ちゃんと、反省しているわ。つまり、椎堂さんは私がテスト前に努力をしなかった事を怒っているのでしょう? だからちゃんと、いつも見ている猫の動画ではなく、兎の動画を見て見聞を広めようとしてるじゃない」
尾張さんは、まったく悪びれた様子もなく、自らの発言内容にも疑問を持っていないようだった。
「いや、テスト勉強してください」
「完璧に理解している事を繰り返すなんてただの怠慢じゃない」
正論で返された。おかしい。今責められるべきは僕ではなく、尾張さんのはずなのに。
「いやというか、椎堂さんが怒っているのは、たぶんそこじゃないと思います」
「えっ?」
何を言っているのか理解できないといった顔をする尾張さん。
「いや、えっ? じゃなくて」
本当にわかっていないのかこの人。
「この文章だと、椎堂さんのへし折ったプライドをさらに粗塩で揉んでるようなものじゃないですか」
僕の指摘に尾張さんは唇を尖らせながら不満を露わにするように、
「プライド・・・・・・。また、プライドね。みんな、そんなにプライドが大事なのかしら」
くだらないわ。と呟く。
「実力の伴わないプライドなんて、吹けば飛ぶようなものを何故わざわざ守ろうとするのかしら」
そんなものに囚われて他人に当たっても、なんの意味もないのに。
そう吐き捨てる尾張さんは、寂しそうにならないスマホをジッと見つめ続けていた。
困惑しながら尾張さんのスマホに視線を送る。
「べ、別に普通に謝っただけなのだけれど」
珍しくオロオロと所在無さげにしている尾張さんはちょっと涙目になっていた。
「・・・・・・かわいい。じゃなくて、あの、メッセージ見せてもらってもいいですか?」
「え、ええ」
どうやら、僕の失言は聞こえていなかったようで、尾張さんはスマホを見せてくれる。
そこには、こう書いてあった。
『この前は、ごめんなさい。すこし配慮にかける発言だったわ。学校のテストは授業を聞いていれば、特に問題なかったから。貴女がテストに向けて、とても努力していたなんて、知らなかったの。でも、紀美丹君に貴女の努力の事を聞いて、本当に悪い事をしたと思っているわ。テスト前は、みんな勉強しているものなのね。とても反省しているわ。今度からは、猫動画じゃなくて、兎動画を見るわ』
なるほど。
「尾張さん。貴女って人は」
「?」
キョトンとするな。
「全く理解してないじゃないですか!」
「失礼ね。ちゃんと、反省しているわ。つまり、椎堂さんは私がテスト前に努力をしなかった事を怒っているのでしょう? だからちゃんと、いつも見ている猫の動画ではなく、兎の動画を見て見聞を広めようとしてるじゃない」
尾張さんは、まったく悪びれた様子もなく、自らの発言内容にも疑問を持っていないようだった。
「いや、テスト勉強してください」
「完璧に理解している事を繰り返すなんてただの怠慢じゃない」
正論で返された。おかしい。今責められるべきは僕ではなく、尾張さんのはずなのに。
「いやというか、椎堂さんが怒っているのは、たぶんそこじゃないと思います」
「えっ?」
何を言っているのか理解できないといった顔をする尾張さん。
「いや、えっ? じゃなくて」
本当にわかっていないのかこの人。
「この文章だと、椎堂さんのへし折ったプライドをさらに粗塩で揉んでるようなものじゃないですか」
僕の指摘に尾張さんは唇を尖らせながら不満を露わにするように、
「プライド・・・・・・。また、プライドね。みんな、そんなにプライドが大事なのかしら」
くだらないわ。と呟く。
「実力の伴わないプライドなんて、吹けば飛ぶようなものを何故わざわざ守ろうとするのかしら」
そんなものに囚われて他人に当たっても、なんの意味もないのに。
そう吐き捨てる尾張さんは、寂しそうにならないスマホをジッと見つめ続けていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
12年目の恋物語
真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。
だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。
すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。
2人が結ばれるまでの物語。
第一部「12年目の恋物語」完結
第二部「13年目のやさしい願い」完結
第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中
※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
君が見た春をもう一度
sika
恋愛
高校時代、ひとつの誤解で離れた二人。
十年後、東京で再会した彼女は、もう誰かの「恋人」になっていた。
置き去りにした想い、やり直せない時間、そしてそれでも止まらない心。
恋と人生のすれ違いを描く、切なくも温かい再会ラブストーリー。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる