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世界終わろう委員会
非公式な会合
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翌日の放課後。尾張さんによって不法占拠された元文芸部の部室に手紙で呼び出された。
「あら、いらっしゃい。時間通りに来るなんて殊勝な態度ね。紀美丹君」
「・・・・・・この手紙どういうつもりですか?」
一枚の便箋を尾張さんに突きつける。
「私、基本的に無償の善意って信用してないのよ」
「だからって、これはないでしょう」
几帳面に折りたたまれた便箋には教科書のお手本のように綺麗な文字で、
『あなたのスマホは預かった。返して欲しければ、旧文芸部部室まで午後5時まで、来られたし。尾張 恋』
と書いてあった。
「一体いつのまに持っていったんですか! 肌身離さず持っていたはずなのに!」
尾張さんは薄く微笑むと、
「乙女には、秘密が一杯なのよ」
とだけ言うと、どこからともなくスマホを取り出す。
「何が秘密ですか! 僕のスマホさっさと返してください!」
「まだだめよ。まずは、私の相談を聞いてもらうわ」
尾張さんは、口元に指先を触れさせる。
「それが、相談者の態度ですか! そんな態度なら、僕もう帰りますよ!」
「あら、良いのかしら。スマホ返さなくても」
尾張さんは、僕の怒りをはらんだ態度にも余裕の表情でそう返す。
「別にスマホが無くても死なないですし」
そっぽを向きながらそう嘯く。
「ゲーム依存症の紀美丹君らしからぬ発言ね」
「誰がゲーム依存症ですか! ゲームなんていつだって辞められますよ!」
そういうと、踵を返してドアまで歩きだす。
「ログインボーナス」
ドアに伸ばしていた手が止まる。
「良いのかしら。連続ログイン記録更新するのでしょう?」
頬を嫌な汗が伝う。
「どうして・・・・・・知っているんですか?」
「言ったでしょう? 乙女には秘密があるものなのよ。ただ、一つだけ忠告させてもらうと、暗証番号、誕生日はやめた方が良いと思うわ」
ゆっくりと、後ろを振り向く。
「見たんですか? スマホの中」
尾張さんはただ薄く微笑んでいた。
「わかりました。もう、どうにでもしてください」
「わかってくれて、嬉しいわ」
そういう彼女は、傍目からは天使のような笑顔で、僕には悪魔のように見えた。
「それで、相談ってなんなんですか?」
不貞腐れたような態度で質問する。
「椎堂鷲見さん。知ってるわよね」
「知ってますよ。尾張さんがブロックされた、学年2位の彼女ですよね」
せめてもの意趣返しに付け加える必要性のない情報を混ぜる。
「・・・・・・えぇ。その椎堂さんであってるわ」
そう言った時の尾張さんは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「彼女がどうしたんですか?」
尾張さんは、言い辛そうな顔をしながら本題を告げる。
「・・・・・・仲直りしたいのよ」
「無理だと思います」
結論が出るのは早かった。
「このスマホどうしようかしら」
「僕に任せてください!」
結論を覆すのも早かった。
「そう言ってくれると思っていたわ」
卑怯な。スマホを人質にするなんて。
悔し紛れに睨みつけると、尾張さんは底の見えない微笑みを浮かべていた。
「あら、いらっしゃい。時間通りに来るなんて殊勝な態度ね。紀美丹君」
「・・・・・・この手紙どういうつもりですか?」
一枚の便箋を尾張さんに突きつける。
「私、基本的に無償の善意って信用してないのよ」
「だからって、これはないでしょう」
几帳面に折りたたまれた便箋には教科書のお手本のように綺麗な文字で、
『あなたのスマホは預かった。返して欲しければ、旧文芸部部室まで午後5時まで、来られたし。尾張 恋』
と書いてあった。
「一体いつのまに持っていったんですか! 肌身離さず持っていたはずなのに!」
尾張さんは薄く微笑むと、
「乙女には、秘密が一杯なのよ」
とだけ言うと、どこからともなくスマホを取り出す。
「何が秘密ですか! 僕のスマホさっさと返してください!」
「まだだめよ。まずは、私の相談を聞いてもらうわ」
尾張さんは、口元に指先を触れさせる。
「それが、相談者の態度ですか! そんな態度なら、僕もう帰りますよ!」
「あら、良いのかしら。スマホ返さなくても」
尾張さんは、僕の怒りをはらんだ態度にも余裕の表情でそう返す。
「別にスマホが無くても死なないですし」
そっぽを向きながらそう嘯く。
「ゲーム依存症の紀美丹君らしからぬ発言ね」
「誰がゲーム依存症ですか! ゲームなんていつだって辞められますよ!」
そういうと、踵を返してドアまで歩きだす。
「ログインボーナス」
ドアに伸ばしていた手が止まる。
「良いのかしら。連続ログイン記録更新するのでしょう?」
頬を嫌な汗が伝う。
「どうして・・・・・・知っているんですか?」
「言ったでしょう? 乙女には秘密があるものなのよ。ただ、一つだけ忠告させてもらうと、暗証番号、誕生日はやめた方が良いと思うわ」
ゆっくりと、後ろを振り向く。
「見たんですか? スマホの中」
尾張さんはただ薄く微笑んでいた。
「わかりました。もう、どうにでもしてください」
「わかってくれて、嬉しいわ」
そういう彼女は、傍目からは天使のような笑顔で、僕には悪魔のように見えた。
「それで、相談ってなんなんですか?」
不貞腐れたような態度で質問する。
「椎堂鷲見さん。知ってるわよね」
「知ってますよ。尾張さんがブロックされた、学年2位の彼女ですよね」
せめてもの意趣返しに付け加える必要性のない情報を混ぜる。
「・・・・・・えぇ。その椎堂さんであってるわ」
そう言った時の尾張さんは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
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「・・・・・・仲直りしたいのよ」
「無理だと思います」
結論が出るのは早かった。
「このスマホどうしようかしら」
「僕に任せてください!」
結論を覆すのも早かった。
「そう言ってくれると思っていたわ」
卑怯な。スマホを人質にするなんて。
悔し紛れに睨みつけると、尾張さんは底の見えない微笑みを浮かべていた。
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