13 / 85
世界終わろう委員会
幕間:初デート前半
しおりを挟む
気怠げな放課後。夕暮れに照らされる旧文芸部室。少女がボソッと零した。
「明日、付き合ってくれない?」
「喜んで!」
一も二もなく飛びつくように返事をする僕に、
「なにか、勘違いしてない? ちょっと買いたいものがあるから、付き合ってほしいだけよ?」
さらりと身をかわすように窘める少女。
「喜んで・・・・・・」
まあ、知ってたけどね。
翌日、学校とは違う彼女の私服に想像を膨らませつつ、期待に胸を躍らせる。
駅前の時計塔の下で待っていると、彼女が、待ち合わせ時間ちょうどに来た。
「あら、存外、時間に正確なのね」
そんな、何気ない言葉が気にならない程度には、僕はその現実に衝撃を受けていた。
「・・・・・・尾張さんもね」
やっとの事で搾り出した台詞は、つまらないおうむ返しで、しかし、それもいたしかたないと思う。
彼女は、何故か上下ともいつも通りの学校指定の制服であった。
「あの・・・・・・」
「なにかしら? なにか文句でも?」
少女は、肩にかかる長い髪を手で払う。その仕草は自然と周囲の人々の視線を集める。
「いや、制服・・・・・・」
落胆を隠しきれない僕に対して、
「世界で一番美しい顔と肉体を持つものにとって、最もその美を輝かせる服装は何だと思う?」
「少なくとも、尾張さんが今着てるものではない事は確かだと思います」
返答を聞いてか、聞かずか、わからぬうちにすぐさま帰ってきた答は、
「全裸よ」
「それは、服装じゃない」
つい言葉遣いが荒くなってしまった。
「最も、美しいものを隠してしまう服なんてものは、結局邪魔なだけなのよ」
やれやれと肩をすくめる少女。
「だからって、その服装はどうなんですか?」
ジト目で少女の顔を見つめる。
「服なんて、どれも同じよ。だったら、着心地が良いものを選ぶのが当たり前じゃない」
「いや、まあ、そうかもしれませんけど、もう少し、お洒落に気をつけても良いんじゃ?」
呆れながら呟く僕に、
「それは、ここで、全裸になれという事かしら? とんだ変態ね」
肩をかき抱き、数メートル離れる少女。
「言ってないですよね⁉︎」
周囲の視線が先ほどとはまた違った意味合いを持ち始めている気がする。
「そんなことより、行くわよ」
そういうと彼女は、制服のまま、すたすたと先をいってしまうのだった。
まあ、良いけどね。別に、期待なんかしてなかったし。
「それで、今日はなにを買いに来たんですか?」
二人連れだって歩きつつ、質問する。
その質問には答えず、少女は語り出す。
「知ってる? 来月、百年に一度っていわれてる流星群がくるのよ?」
流星群?
「ハレー彗星しかり、流星と世界の終わりは切っても切り離せないわよね」
少女は、一人うんうんと頷く。
「はあ、それでなにを買いに来たんですか?」
二度目の質問にこちらを振り向きながら、
「テントよ」
と答える。
「テント? 望遠鏡とかではなくて?」
「望遠鏡で流星群みてどうするのよ。どうせなら、流星群に近い場所で終わりを迎えたいじゃない?」
呆れたようにこちらを見るも、すぐさま、見えない星を眺めるように空を見上げる。
どうやら、流星群がきたら、世界が終わるということになっているらしい。
「まあ、世界は終わらないですけど、流星群は見てみたいですね」
少女は、前半を聞き流して、
「だから、山に行くのよ」
笑顔で振り返る。
「明日、付き合ってくれない?」
「喜んで!」
一も二もなく飛びつくように返事をする僕に、
「なにか、勘違いしてない? ちょっと買いたいものがあるから、付き合ってほしいだけよ?」
さらりと身をかわすように窘める少女。
「喜んで・・・・・・」
まあ、知ってたけどね。
翌日、学校とは違う彼女の私服に想像を膨らませつつ、期待に胸を躍らせる。
駅前の時計塔の下で待っていると、彼女が、待ち合わせ時間ちょうどに来た。
「あら、存外、時間に正確なのね」
そんな、何気ない言葉が気にならない程度には、僕はその現実に衝撃を受けていた。
「・・・・・・尾張さんもね」
やっとの事で搾り出した台詞は、つまらないおうむ返しで、しかし、それもいたしかたないと思う。
彼女は、何故か上下ともいつも通りの学校指定の制服であった。
「あの・・・・・・」
「なにかしら? なにか文句でも?」
少女は、肩にかかる長い髪を手で払う。その仕草は自然と周囲の人々の視線を集める。
「いや、制服・・・・・・」
落胆を隠しきれない僕に対して、
「世界で一番美しい顔と肉体を持つものにとって、最もその美を輝かせる服装は何だと思う?」
「少なくとも、尾張さんが今着てるものではない事は確かだと思います」
返答を聞いてか、聞かずか、わからぬうちにすぐさま帰ってきた答は、
「全裸よ」
「それは、服装じゃない」
つい言葉遣いが荒くなってしまった。
「最も、美しいものを隠してしまう服なんてものは、結局邪魔なだけなのよ」
やれやれと肩をすくめる少女。
「だからって、その服装はどうなんですか?」
ジト目で少女の顔を見つめる。
「服なんて、どれも同じよ。だったら、着心地が良いものを選ぶのが当たり前じゃない」
「いや、まあ、そうかもしれませんけど、もう少し、お洒落に気をつけても良いんじゃ?」
呆れながら呟く僕に、
「それは、ここで、全裸になれという事かしら? とんだ変態ね」
肩をかき抱き、数メートル離れる少女。
「言ってないですよね⁉︎」
周囲の視線が先ほどとはまた違った意味合いを持ち始めている気がする。
「そんなことより、行くわよ」
そういうと彼女は、制服のまま、すたすたと先をいってしまうのだった。
まあ、良いけどね。別に、期待なんかしてなかったし。
「それで、今日はなにを買いに来たんですか?」
二人連れだって歩きつつ、質問する。
その質問には答えず、少女は語り出す。
「知ってる? 来月、百年に一度っていわれてる流星群がくるのよ?」
流星群?
「ハレー彗星しかり、流星と世界の終わりは切っても切り離せないわよね」
少女は、一人うんうんと頷く。
「はあ、それでなにを買いに来たんですか?」
二度目の質問にこちらを振り向きながら、
「テントよ」
と答える。
「テント? 望遠鏡とかではなくて?」
「望遠鏡で流星群みてどうするのよ。どうせなら、流星群に近い場所で終わりを迎えたいじゃない?」
呆れたようにこちらを見るも、すぐさま、見えない星を眺めるように空を見上げる。
どうやら、流星群がきたら、世界が終わるということになっているらしい。
「まあ、世界は終わらないですけど、流星群は見てみたいですね」
少女は、前半を聞き流して、
「だから、山に行くのよ」
笑顔で振り返る。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました【完結】
日下奈緒
恋愛
10年付き合った恋人と別れ、恋に臆病になっていた30歳の千尋。そんな彼女に、取引先で出会った御曹司・神楽木律が突然のプロポーズ。「交際0日で結婚しよう」なんて冗談でしょ?──戸惑いながら始まった新婚生活。冷めた仮面夫婦のはずが、律の一途な想いに千尋の心は少しずつほどけていく。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる