世界終わろう委員会

初瀬四季[ハツセシキ]

文字の大きさ
18 / 85
世界終わろう委員会

前提がおかしい 

しおりを挟む
「そもそも、私が死んでいるっていう前提で話を進めるのやめてくれないかしら」

 尾張さんは両手を組んで、自らの現状に対する認識に対して意を唱える。

「だって、事実として死んでますよ?」

「じゃあ、なんであなたは、私に触ったり、話したり出来るのよ」

 僕の胸元に人差し指を突きつけてくる。
 それを言われると、ぐうの音も出ない。

「多分プラズマがどーのこーのして、なんかそこはかとなくいい感じになった結果、尾張さんに触れるんだと思います」

「全く意味がわからないわ」

 僕の即興で考えた適当な理論は一瞬で両断される。

「奇遇ですね。僕もです」

 尾張さんがジト目で僕を見つめる。
 仕方ないじゃないか。わからないものはわからないのだ。

「そもそも、尾張さんこの頃、家に帰った記憶あります?」

「・・・・・・ないわね」

 僕の質問に対して、首を傾げながら答える。

「今日の昼ごろの記憶は?」

「・・・・・・」

 ですよね。

 それもそのはずである。現在僕が認識している限り、尾張さんが出現するのは、夕暮れから早朝の間、しかも、学校内でしか見かけていない。

 さらに言えば、僕以外に認識している人に会ったことがない。

「いえ、やっぱり納得できないわ。若年性の健忘症なのかもしれないじゃない」

「それはそれで問題ですけどね」

 まあ、本人が納得しようがしまいが、どちらにしろ亡くなっている事実はひっくり返らない。

「じゃあ、ちょっと実験してみましょう」

 事実はひっくり返らないが、尾張さんが自覚することで何かが変わる可能性もある。

「実験?」

「尾張さんが、その辺を歩いてる生徒に声をかけて、その生徒が振り向かなければ、あなたは幽霊です」

 尾張さんは、やれやれと肩をすくめると、まるで既に必勝の策を思いついたとでもいったような顔をする。

「いいわよ? その程度、余裕で振り向かせてあげるわ」

 尾張さんは悠然と歩きだすと、ドアを抜けて廊下へ出る。

「無理だと思うけどなぁ」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました【完結】

日下奈緒
恋愛
10年付き合った恋人と別れ、恋に臆病になっていた30歳の千尋。そんな彼女に、取引先で出会った御曹司・神楽木律が突然のプロポーズ。「交際0日で結婚しよう」なんて冗談でしょ?──戸惑いながら始まった新婚生活。冷めた仮面夫婦のはずが、律の一途な想いに千尋の心は少しずつほどけていく。

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

処理中です...