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世界終わろう委員会
結局
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通算十五人。
尾張さんの、呼びかけを完全スルーした生徒の人数である。
「これで決定ですね。尾張さんは、幽霊です」
実験の終了を告げる僕に対して、
「まだよ、まだ、単純に私が嫌われているだけという可能性が残っているわ」
往生際悪く待ったをかける。
「自分で言ってて悲しくなりません?」
尾張さんは何やらぶつぶつ呟きながら、現実から目を背けている。
そして、廊下を歩く男子生徒に声をかける。
「ねぇ、尾張さん本当にそこにいるの?」
尾張さんの勇姿を見守る僕に、椎堂さんが話しかけてくる。
「いますよ? 今は、自分の存在証明を必死になってしているところです」
あ、またスルーされた。
椎堂さんは、何やら考えるそぶりを見せながら、
「忙しそうなところ悪いんだけど。私、尾張さんに聞いてみたい事があるんだけど?」
「なんですか?」
男子生徒にスルーされても諦めず別の女子生徒に話しかけ始める尾張さん。
それに変わって、先を促す僕に対して、慎重に言葉を選びながら発言する椎堂さん。
「尾張さんは、亡くなったわけだけれど、死因は、その、他殺なわけじゃない?」
涙ぐましい努力にも関わらず全く気付かれていない。尾張さんは肩を落としながら去っていく女子生徒に手を伸ばしかけてやめる。
椎堂さんは、僕に配慮してなのか言いにくそうに続ける。
「だとすると、尾張さんをその、殺害した直接の犯人がいるんだよね?」
じゃあ、尾張さんは犯人を知ってるはずじゃない? と、椎堂さんは言った。
たしかに、そうだ。彼女を殺した犯人を彼女自身が目撃している可能性はある。しかし、
「たぶんですけど、覚えてないと思います」
僕のその言葉に椎堂さんは疑問符を浮かべる。
「尾張さん、この一ヶ月くらいの記憶ないみたいなんですよね」
最初に出会った時、僕の事を覚えていなかった事から考えて抜けている期間はそれくらいだろう。
「・・・・・・たしか、紀美丹君と尾張さんが仲良くなったのって、先月ぐらいからよね?」
「まあ、そうですね。その前からクラスは一緒でしたけど、話すようになったのは、最近です」
椎堂さんは呆れたような顔で僕を見る。
「つまり、あなた、ほぼ、初対面の尾張さんの幽霊に話しかけたってこと?」
「僕は、初対面じゃないです。尾張さんは、そうかもしれなかったですけど」
正直、僕の事を忘れられていたのは、かなりショックだった。
しかし、尾張さんの対応にはほとんど差はなかったので、いつもの調子で話しかけてしまっていた。
仲良くなっても態度が変わらないのが良いことなのかはともかく。
「とんだ、プレイボーイだね紀美丹君」
「プレイボーイって死語じゃないですか?あと、違います」
話しかけてきたのは、尾張さんです。と言うと、
「・・・・・・プレイガール」
「その言葉は、意味が違うと思います」
僕の訂正を受けて、首を傾げながら、
「ビッチ?」
とあんまりな評価を下す椎堂さん。
「それは、ちょっとひどくないですか?尻軽くらいにしてあげてください」
「ねぇ、聞こえてるのだけど?」
僕達の会話を聞いて、ジト目をしている尾張さんは、どうやら、生徒へのアプローチを諦めたようであった。
尾張さんの、呼びかけを完全スルーした生徒の人数である。
「これで決定ですね。尾張さんは、幽霊です」
実験の終了を告げる僕に対して、
「まだよ、まだ、単純に私が嫌われているだけという可能性が残っているわ」
往生際悪く待ったをかける。
「自分で言ってて悲しくなりません?」
尾張さんは何やらぶつぶつ呟きながら、現実から目を背けている。
そして、廊下を歩く男子生徒に声をかける。
「ねぇ、尾張さん本当にそこにいるの?」
尾張さんの勇姿を見守る僕に、椎堂さんが話しかけてくる。
「いますよ? 今は、自分の存在証明を必死になってしているところです」
あ、またスルーされた。
椎堂さんは、何やら考えるそぶりを見せながら、
「忙しそうなところ悪いんだけど。私、尾張さんに聞いてみたい事があるんだけど?」
「なんですか?」
男子生徒にスルーされても諦めず別の女子生徒に話しかけ始める尾張さん。
それに変わって、先を促す僕に対して、慎重に言葉を選びながら発言する椎堂さん。
「尾張さんは、亡くなったわけだけれど、死因は、その、他殺なわけじゃない?」
涙ぐましい努力にも関わらず全く気付かれていない。尾張さんは肩を落としながら去っていく女子生徒に手を伸ばしかけてやめる。
椎堂さんは、僕に配慮してなのか言いにくそうに続ける。
「だとすると、尾張さんをその、殺害した直接の犯人がいるんだよね?」
じゃあ、尾張さんは犯人を知ってるはずじゃない? と、椎堂さんは言った。
たしかに、そうだ。彼女を殺した犯人を彼女自身が目撃している可能性はある。しかし、
「たぶんですけど、覚えてないと思います」
僕のその言葉に椎堂さんは疑問符を浮かべる。
「尾張さん、この一ヶ月くらいの記憶ないみたいなんですよね」
最初に出会った時、僕の事を覚えていなかった事から考えて抜けている期間はそれくらいだろう。
「・・・・・・たしか、紀美丹君と尾張さんが仲良くなったのって、先月ぐらいからよね?」
「まあ、そうですね。その前からクラスは一緒でしたけど、話すようになったのは、最近です」
椎堂さんは呆れたような顔で僕を見る。
「つまり、あなた、ほぼ、初対面の尾張さんの幽霊に話しかけたってこと?」
「僕は、初対面じゃないです。尾張さんは、そうかもしれなかったですけど」
正直、僕の事を忘れられていたのは、かなりショックだった。
しかし、尾張さんの対応にはほとんど差はなかったので、いつもの調子で話しかけてしまっていた。
仲良くなっても態度が変わらないのが良いことなのかはともかく。
「とんだ、プレイボーイだね紀美丹君」
「プレイボーイって死語じゃないですか?あと、違います」
話しかけてきたのは、尾張さんです。と言うと、
「・・・・・・プレイガール」
「その言葉は、意味が違うと思います」
僕の訂正を受けて、首を傾げながら、
「ビッチ?」
とあんまりな評価を下す椎堂さん。
「それは、ちょっとひどくないですか?尻軽くらいにしてあげてください」
「ねぇ、聞こえてるのだけど?」
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