世界終わろう委員会

初瀬四季[ハツセシキ]

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世界終わろう委員会

また明日 

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 流星群? と、疑問符を浮かべている尾張さんを後目に、椎堂さんが発言する。

「そういえば、来るらしいね。流星群」

「えぇ、椎堂さんも知ってたんですね」

 少し意外だった。

「まぁ、ニュースで見たから」

 そこまで、興味はないわ。と、どうでもよさそうに言う。

「ロマンがないですね」

「現実主義なだけだよ」

 素っ気ない態度の椎堂さんに、ついつい反応してしまう。

「流星群は現実ですよ?」

「落ちてくる星を見たって、どうなるわけでもないじゃない」

 リアリストはこれだから。

「世界が終わるかもしれませんよ?」

「ありえないよね」

 一蹴される。まぁ、僕もそれには同意だが。しかし尾張さんは、

「聞き捨てならないわね」

 と、椎堂さんに噛み付く。

「ハレー彗星しかり、流星は世界の終わりと切り離せないわ」

 そんな反論はしかし、椎堂さんには聞こえていない。

「尾張さん、聞こえてないです」

「・・・・・・歯痒いわね」

 そう言ったあと、なにやらスマホを取り出して、メッセージを打ち始める。

 しばらくして、椎堂さんのスマホが鳴る。
 椎堂さんは、それを一瞥すると、

「確かにハレー彗星は、天変地異の前触れって言われてたけど、結局世界は終わらなかったよね」

 と、に向けて言う。

 それを聞いた尾張さんは、それは周期がずれていただけよ。と、さらに反論をメッセージで送る。

 それに対して、椎堂さんがさらに反論する。

「あの、尾張さん?」

「今、忙しいから話しかけないでもらえるかしら、紀美丹君」

 尾張さんは、スマホから顔を上げないまま、僕の問いかけに応える。
 その間もスマホを操作する指を忙しく動かしている。

「えぇ・・・・・・」

 先程の返事がまだ聞けてないんですが。

「あの、椎堂さん?」

 送られてくるメッセージに目を通しながら、反論している椎堂さんに声をかける。しかし、

「ちょっと黙ってて」

「はい」

 どうやら、二人の世界に僕が入り込む余地はないようである。
 こんな時は、スマホゲームにかぎるなぁ。

 寂寥感を抱きながら、やり尽くしたアプリを開く。
 相変わらず、更新はされていなかった。

「・・・・・・はぁ」

 その僕のため息は、二人の気に触ったようで、

「ため息なんか吐いてると幸せが逃げるよ紀美丹君?」

「そんな迷信はありえないんじゃないのかしら? 椎堂さん?」

 と、いうように、二人の口喧嘩ならぬ討論は、僕を挟んでいつまでも続けられるのだった。

 それからしばらくあと、精神的に疲れ切った僕は真っ白な灰になっていた。

 このまま、風に飛ばされて土に帰るのかと現実逃避し始めた時、ようやく二人の討論は終わったようで、椎堂さんは、

「それじゃあ」

 と言って通学鞄を肩に掛け直すと、帰路につこうとしていた。
 尾張さんは、そんな彼女に、

「また明日」

 と言うと、薄く微笑するのだった。

 聞こえるはずのないその言葉を、しかし、椎堂さんは、

「また明日」

 と繰り返して、歩き出していった。

 その後ろ姿は、どこか憑物がとれたような。そんな風に見えた。
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