世界終わろう委員会

初瀬四季[ハツセシキ]

文字の大きさ
59 / 85
世界終わろう委員会

そういうもんだろ

しおりを挟む
 少女達のやりとりをジッと見ていた男は、ウンウンと頷きながら、

「イイハナシダナァ」

 と、棒読みで呟く。それに銀髪の女性が呆れたような顔をして返す。

「あなた、空気を読むって言葉知ってる?」

「おいおい、空気を読むことに関して俺の右に出る奴はいないぜ? むしろ空気を読みすぎて学生時代に空気と化した俺からしたら、今の若者たちは空気をもっと読むべきだと思うね」

 男が、屁理屈を並べながら老害のような事を言い出す。

「あなたが、空気になっていた事は否定しないけど、それって空気を読まなすぎた結果ハブられてただけよね」

「俺の輝かしい思い出を悪く言うのはやめてもらおうか。そういう白雪さんだって、空気読まなかった結果そんな状態になっちゃったくせに~」

 男のそんな茶化すような発言に、銀髪の女性は、

「あなた、そういうところよ? デリカシーって言葉をその鳴らないスマホで調べてから発言しなさい?」

「俺のスマホが鳴らないのは仕様です。別に友達がいないからとかじゃないです。それに、鳴らないのは白雪さんも一緒じゃないですかねぇ?」

 男は、ちょっと傷ついたみたいな顔をした後に、反撃とばかりにそう返す。

「それは違うわね。私スマホ持ってないもの」

「おっくれってるー! この情報化社会でスマホじゃないなんて、それもはや、旧人類ってやつなんじゃないですかねぇー?」

 男は鬼の首を取ったとばかりに、言葉を続ける。銀髪の女性は、それに対して、

「知ってる? 文明が進化するほど、人類は退化していくのよ? 今のあなたのようにね」

「・・・・・・うぇ~い」

 男は、先程までの勢いはどこへ行ったのか、酒が切れ二日酔いになったパリピのような声を上げると、気分を切り替えようと、

「まあ、これで一件落着だな。うん。よかったよかった」

 と呟く。それに、女性が食ってかかる。

「あなた、本当に今すぐ死んでくれないかしら」

「嫌です」

 男はキッパリという。

「俺は、これからも他人を食い物にしてこの人生という名の大海原を渡っていくんだ‼︎」

「死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね」

 その呪詛はいつのまにか、女性だけではなく、周囲の十数人全員が男に向けて放っていた。

「生きる!」

 男は、そう叫ぶと、

「俺は白雪に会うためなら絶対に死なん! そして、何度でも殺す! それが俺のジャスティス!」
 
「何がジャスティスよ! どんな理由があろうと人を殺していいわけない!」

 女性の責めるようなその声に、

「大切な一人のためなら赤の他人がどうなったって構わない。何を犠牲にしてもどうでもいい。人間ってそういうもんだろ?」

 男のその発言に、

「そんなこと」

 と口籠る女性。それに少女が被せるように言う。

「それは違うわね」

 その毅然とした態度に男は興味を惹かれたのか、少女の方を見る。

「私は、彼が私に会うために他の人を殺したら彼の事をきっと嫌いになるもの」

 少女は、意識のない少年を見ながら続ける。

「それに、自分個人の意見を人間の総意みたいにいうのって嫌いなのよ。それはあなた個人の意見じゃない」

 男は、それを聞くと。ハッと馬鹿にしたように笑う。そして、

「そりぁそうだ」

 とだけ呟いて、背中を向けて歩き出す。
 それに十数人の影が引きずられるようについていく。

 いつのまに連絡したのか、遠くから、救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

君が見た春をもう一度

sika
恋愛
高校時代、ひとつの誤解で離れた二人。 十年後、東京で再会した彼女は、もう誰かの「恋人」になっていた。 置き去りにした想い、やり直せない時間、そしてそれでも止まらない心。 恋と人生のすれ違いを描く、切なくも温かい再会ラブストーリー。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

処理中です...