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世界終わろう委員会
消えたはず
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「あの、椎堂さん。離してもらってもいいですか?」
「どうして?」
椎堂さんは、僕の様子に、不思議そうな顔をする。
「いえ、なんか、尾張さんが・・・・・・」
「尾張さん? 成仏したんでしょう?」
椎堂さんは、確認するように質問する。
「してないわね」
「してませんでした」
僕と、尾張さんの声が重なる。椎堂さんのスマホのバイブレーションがなる。
椎堂さんは、ポケットからスマホを取り出すと画面を見つめる。そして、
「ちょっと用事思い出したから帰るね」
と、頬を赤く染めながら、病室を出ていく。
「なんて、送ったんですか?」
「秘密」
尾張さんはニヤニヤしながら、椎堂さんが走り去っていったドアの方を見る。
「尾張さん」
「なによ」
尾張さんは悪びれた様子もなく、こちらを見る。
「成仏したんじゃなかったんですか?」
「してなかったわね」
尾張さんはなんて事もないような顔をしながら、そうのたまう。
「説明を! 説明を要求します!」
「知らないわよ。私だって」
尾張さんは、そっぽを向きながら口を尖らせつつ答える。
「あんな! 今にも! 成仏します! みたいな事言ってたのに! なんで普通に現れてるんですか! 僕の悲しみを返してください!」
恥ずかしさと怒りと嬉しさとそれらがないまぜになったような感情に振り回されながら、尾張さんに食ってかかる。
「紀美丹君はすぐ泣きすぎなのよ」
尾張さんが、事もあろうに僕を泣き虫扱いしてくる。
「泣いてないです‼︎ 目から透明な血液が出ただけです‼︎」
「人はそれを涙と言うのよ」
ぐぬぬ。と僕が歯噛みする横で、先程まで椎堂さんが使っていた椅子に尾張さんが腰掛ける。
「そもそも、あの時消えたじゃないですか! 普通に出てこれるなら、なんでいったん消えたりとかしたんですか? 嫌がらせですか?」
「別に好きで消えたわけじゃないわ。紀美丹君が私を認識できなくなったのよ」
そのせいで、どれだけ大変だったか。と尾張さんが続ける。
「認識ってどういうことですか?」
「どうやら、私が実体をもつには、誰かに認識される必要があるみたいなのよね」
尾張さんは、椎堂さんが生けていった花瓶の花に触れながら呟く。
花は彼女の指先で弄ばれ花粉が床に落ちる。
「まるでシュレディンガーの猫の気分だわ」
「それはちょっと違うのでは?」
猫を箱の中に入れ、毒ガスを注入した時、箱の中の猫が生きているか、死んでいるか。観測者が認識するまでは二つの可能性が確定されない。
そんな思考実験を持ちだしながら、
「同じよ。私が猫で紀美丹君が観測者。貴方が私を認識する時だけ存在して、認識できないと、存在が消える」
世界の不条理を呪いたくなるわね。そんな事を呟き、花弁をちぎる。
「それって、遠回しに僕の側に原因があるって言ってます?」
「原因というか、私を認識する要因を貴方が経験してるのよ」
「どうして?」
椎堂さんは、僕の様子に、不思議そうな顔をする。
「いえ、なんか、尾張さんが・・・・・・」
「尾張さん? 成仏したんでしょう?」
椎堂さんは、確認するように質問する。
「してないわね」
「してませんでした」
僕と、尾張さんの声が重なる。椎堂さんのスマホのバイブレーションがなる。
椎堂さんは、ポケットからスマホを取り出すと画面を見つめる。そして、
「ちょっと用事思い出したから帰るね」
と、頬を赤く染めながら、病室を出ていく。
「なんて、送ったんですか?」
「秘密」
尾張さんはニヤニヤしながら、椎堂さんが走り去っていったドアの方を見る。
「尾張さん」
「なによ」
尾張さんは悪びれた様子もなく、こちらを見る。
「成仏したんじゃなかったんですか?」
「してなかったわね」
尾張さんはなんて事もないような顔をしながら、そうのたまう。
「説明を! 説明を要求します!」
「知らないわよ。私だって」
尾張さんは、そっぽを向きながら口を尖らせつつ答える。
「あんな! 今にも! 成仏します! みたいな事言ってたのに! なんで普通に現れてるんですか! 僕の悲しみを返してください!」
恥ずかしさと怒りと嬉しさとそれらがないまぜになったような感情に振り回されながら、尾張さんに食ってかかる。
「紀美丹君はすぐ泣きすぎなのよ」
尾張さんが、事もあろうに僕を泣き虫扱いしてくる。
「泣いてないです‼︎ 目から透明な血液が出ただけです‼︎」
「人はそれを涙と言うのよ」
ぐぬぬ。と僕が歯噛みする横で、先程まで椎堂さんが使っていた椅子に尾張さんが腰掛ける。
「そもそも、あの時消えたじゃないですか! 普通に出てこれるなら、なんでいったん消えたりとかしたんですか? 嫌がらせですか?」
「別に好きで消えたわけじゃないわ。紀美丹君が私を認識できなくなったのよ」
そのせいで、どれだけ大変だったか。と尾張さんが続ける。
「認識ってどういうことですか?」
「どうやら、私が実体をもつには、誰かに認識される必要があるみたいなのよね」
尾張さんは、椎堂さんが生けていった花瓶の花に触れながら呟く。
花は彼女の指先で弄ばれ花粉が床に落ちる。
「まるでシュレディンガーの猫の気分だわ」
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そんな思考実験を持ちだしながら、
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