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世界終わろう委員会
幽霊をみるために
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尾張さんは、銀髪の女性から聞いたという話をしてくれた。
その話が真実であるなら、どうやら尾張さんを観測する条件は人の死を目撃する事らしい。
「だから、貴方がまた私を見ることが出来るようになったのは、水城くんーー彼の死が要因になっているということね」
シャクだけど。と尾張さんが付け足す。
彼女のその発言には概ね同意する。
しかし、水城が僕たちのキューピット役になっているという現状を、一番嫌がるとしたら、それもまた水城本人なのではないだろうか。
「触れるもの皆、破滅させる破滅姫の名前は伊達じゃないですね」
「破滅姫ってなによ?」
尾張さんが、小首を傾げながらそう聞いてくる。
「え? 知らなかったんですか? 尾張さんクラス内では破滅姫って呼ばれてたんですけど」
「それ、私の事だったの⁉︎」
尾張さんが、珍しく驚愕している。
僕も最初はなんで彼女が、そんな不名誉な渾名で呼ばれているのか気になって話しかけたところがあるからな。
今となっては懐かしい思い出である。
「そういえば、紀美丹君の経験の相手。二度目は水城くんだけど、最初は誰だったの?」
驚愕から立ち直ったのか、尾張さんが質問してくる。
「初めての相手は誰だった? みたいな聞き方しないでください」
しかし、最初の相手ってーー人が死ぬ瞬間を見るだなんて、そんな経験していただろうか。
この数週間いろんなことがありすぎて、記憶を引き出すのに苦労する。
「あ。そういえば、線路に飛び込み自殺した人みてました」
そうか。全くの偶然だったけど、あれを見たから尾張さんが見えるようになったのか。
そう考えると、あの瞬間は分岐点だったのかもしれない。
尾張さんに出会うか、もしくは僕が死ぬか。
つくづく生の有り難みを実感する。
「ーーちょっと待ってください。この理論でいくと、もしかして尾張さん。また見えなくなるんですか?」
「どうやら、気づいてしまったようね? 紀美丹君。残念だけど、貴方が私を認識できる期間には時間制限があるわ」
やれやれ、と尾張さんが大仰に肩をすくめる。
「どれくらいなんですか?」
僕はゴクリと唾を飲み込む。
「さあ? 私に聞かれても知らないわ」
肩透かしをくらう。
「知らないんですか⁉︎ 全てを知っている黒幕感だしてたのに!」
尾張さんは、悪びれもせずに、
「そもそも、サンプルが少なすぎて分析すらできないし、こんな非科学的な状況で絶対なんてありえないわよ」
「それはそうですけど」
でも、と尾張さんは僕の相槌を聞いた後に続ける。
「紀美丹君。現状貴方には三つの選択肢があるわ」
尾張さんが、指を3本たてて言う。
「一つ目、このまま私を諦めて、私が見えなくなるのを待つ」
尾張さんが、指を一本折り曲げる。
「悲しいけれど、貴方が私を諦めれば、こんな事で悩む必要性すらなくなるわ」
「その選択肢はあってないようなものですね」
僕のその発言に、少し照れた様子を見せながら、
「二つ目、他人を殺めて私と生きる」
と言い、二本目の指を折り曲げる。
「これはオススメしないわね。私は紀美丹君が人を殺してしまったら、きっと貴方のことを好きなままではいられないと思うから」
僕は右手を見つめながら呟く。
「僕にはどうやら、誰かを殺す才能はないみたいですので、それもないですね。それに、嫌われたくはないですから」
傷に巻かれた包帯をさする。
「三つ目、人の死を目撃する仕事に着く」
尾張さんが最後の指を折り曲げる。
「貴方、終末医療に携わるか、外科医になりなさい」
「その目的でついた外科医には診断して欲しくないですね。患者としては。藪医者じゃないですか」
僕の嫌そうな顔をみながら、尾張さんは、それもそうね。と頷くのだった。
その話が真実であるなら、どうやら尾張さんを観測する条件は人の死を目撃する事らしい。
「だから、貴方がまた私を見ることが出来るようになったのは、水城くんーー彼の死が要因になっているということね」
シャクだけど。と尾張さんが付け足す。
彼女のその発言には概ね同意する。
しかし、水城が僕たちのキューピット役になっているという現状を、一番嫌がるとしたら、それもまた水城本人なのではないだろうか。
「触れるもの皆、破滅させる破滅姫の名前は伊達じゃないですね」
「破滅姫ってなによ?」
尾張さんが、小首を傾げながらそう聞いてくる。
「え? 知らなかったんですか? 尾張さんクラス内では破滅姫って呼ばれてたんですけど」
「それ、私の事だったの⁉︎」
尾張さんが、珍しく驚愕している。
僕も最初はなんで彼女が、そんな不名誉な渾名で呼ばれているのか気になって話しかけたところがあるからな。
今となっては懐かしい思い出である。
「そういえば、紀美丹君の経験の相手。二度目は水城くんだけど、最初は誰だったの?」
驚愕から立ち直ったのか、尾張さんが質問してくる。
「初めての相手は誰だった? みたいな聞き方しないでください」
しかし、最初の相手ってーー人が死ぬ瞬間を見るだなんて、そんな経験していただろうか。
この数週間いろんなことがありすぎて、記憶を引き出すのに苦労する。
「あ。そういえば、線路に飛び込み自殺した人みてました」
そうか。全くの偶然だったけど、あれを見たから尾張さんが見えるようになったのか。
そう考えると、あの瞬間は分岐点だったのかもしれない。
尾張さんに出会うか、もしくは僕が死ぬか。
つくづく生の有り難みを実感する。
「ーーちょっと待ってください。この理論でいくと、もしかして尾張さん。また見えなくなるんですか?」
「どうやら、気づいてしまったようね? 紀美丹君。残念だけど、貴方が私を認識できる期間には時間制限があるわ」
やれやれ、と尾張さんが大仰に肩をすくめる。
「どれくらいなんですか?」
僕はゴクリと唾を飲み込む。
「さあ? 私に聞かれても知らないわ」
肩透かしをくらう。
「知らないんですか⁉︎ 全てを知っている黒幕感だしてたのに!」
尾張さんは、悪びれもせずに、
「そもそも、サンプルが少なすぎて分析すらできないし、こんな非科学的な状況で絶対なんてありえないわよ」
「それはそうですけど」
でも、と尾張さんは僕の相槌を聞いた後に続ける。
「紀美丹君。現状貴方には三つの選択肢があるわ」
尾張さんが、指を3本たてて言う。
「一つ目、このまま私を諦めて、私が見えなくなるのを待つ」
尾張さんが、指を一本折り曲げる。
「悲しいけれど、貴方が私を諦めれば、こんな事で悩む必要性すらなくなるわ」
「その選択肢はあってないようなものですね」
僕のその発言に、少し照れた様子を見せながら、
「二つ目、他人を殺めて私と生きる」
と言い、二本目の指を折り曲げる。
「これはオススメしないわね。私は紀美丹君が人を殺してしまったら、きっと貴方のことを好きなままではいられないと思うから」
僕は右手を見つめながら呟く。
「僕にはどうやら、誰かを殺す才能はないみたいですので、それもないですね。それに、嫌われたくはないですから」
傷に巻かれた包帯をさする。
「三つ目、人の死を目撃する仕事に着く」
尾張さんが最後の指を折り曲げる。
「貴方、終末医療に携わるか、外科医になりなさい」
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僕の嫌そうな顔をみながら、尾張さんは、それもそうね。と頷くのだった。
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