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第9話
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安部の攻撃を、膝を折って避けた彰一は、がら空きになった顎へと、立ち上がる勢いすら利用して頭突きを当てる。たたらを踏んだ安部は、その場にひざまづき、彰一を仰いだ。鼻が血で塞がっているので、自然と口での呼吸になってしまう。大きな攻撃には、肺にある空気を吐き出す必要がある。今の安部には、到底、不可能な話だ。
「こ......殺すのか......?この......この私を......」
一声一言ごとに、顎と鼻に鋭利な痛みが走る。それでも、安部は休息の時間を要した。一呼吸さえ入れられれば、深傷を負っている彰一に対し、逆転の可能性もある。そして、もう一つの理由を悟られぬよう、安部は声を大きくした。
「それは本当に君が望んだことなのですか!?」
後退りながら、安部はそう訴えるも、彰一は更に一歩を踏み出す。
「待て!頼むから待って下さい!銃も捨てます!話をしましょう!」
銃を投げ捨てた安部は、両手を挙げたまま、涙目で言った。
武器を投げたのは、これ以上の乱暴を望む自虐行為のようにしか、彰一には思えなかった。構わずに、また一歩を踏み出す。
「貴方が人殺しになることを、貴方の仲間は望んではいないはずです!ここまで生き延びたからには、相応のことを行ってきたのでしょう!?罪は償える!だからこそ、これ以上に罪を重ねる......」
「......うるせえよ」
安部の声を遮ったのは、彰一の蹴りだった。
どうにか防ぎはしたものの、丸太を打ち付けられたような衝撃に、安部は仰向けに倒れた。
「口振り聞いてると......アンタ、もともとそういう人間なんだろ?神って奴にも先に会えるんだろ?なら、伝といてくれよ……俺の家族を死なせやがったら、ぶん殴ってやるってよ」
彰一の視界を覆う黒が、飛躍的にその範囲を広げた。
発熱、吐き気、眩暈、頭痛、そして、悪寒。すべてに苦痛があり、もう、自分がどうやって立っているのかも曖昧になっている。
血を流しすぎた。怪我を負いすぎた。それでも、彰一が奥歯を擦りきらすほどの痛苦に耐えられるのは、仲間への思いの強さだけだった。
「わ......私には、強い仲間がいます......共に......共に闘いましょう......そうすればきっと......この地獄も......」
彰一の背後で、ベギン、と何かが捻木れたような音が響く。
死者の侵入を阻んでいたシャッターが、持ち上がろうとしていた。もともと四人が入る為に、下部がレールを外れていたので、脆くはなっていた。しかし、これは、安部の予想よりも早い。
互いに命のリミットが着実に迫っている。
「黙れよ......」
「何故......何故わからないのですか!この世界に長く居ればいるほど、心が歪む!それがなぜ分からないのですか!」
両手を床に着けたまま、上半身をあげた安部は、後ろ手になった状態で叫ぶ。
「きっと生き残れる!そして、平和な世界を共に築きましょう!子供が目を閉じれば、平和がある!そんな世界を!」
「目を閉じなきゃ見えない平和なんざ......興味ねえよ......」
「こ......殺すのか......?この......この私を......」
一声一言ごとに、顎と鼻に鋭利な痛みが走る。それでも、安部は休息の時間を要した。一呼吸さえ入れられれば、深傷を負っている彰一に対し、逆転の可能性もある。そして、もう一つの理由を悟られぬよう、安部は声を大きくした。
「それは本当に君が望んだことなのですか!?」
後退りながら、安部はそう訴えるも、彰一は更に一歩を踏み出す。
「待て!頼むから待って下さい!銃も捨てます!話をしましょう!」
銃を投げ捨てた安部は、両手を挙げたまま、涙目で言った。
武器を投げたのは、これ以上の乱暴を望む自虐行為のようにしか、彰一には思えなかった。構わずに、また一歩を踏み出す。
「貴方が人殺しになることを、貴方の仲間は望んではいないはずです!ここまで生き延びたからには、相応のことを行ってきたのでしょう!?罪は償える!だからこそ、これ以上に罪を重ねる......」
「......うるせえよ」
安部の声を遮ったのは、彰一の蹴りだった。
どうにか防ぎはしたものの、丸太を打ち付けられたような衝撃に、安部は仰向けに倒れた。
「口振り聞いてると......アンタ、もともとそういう人間なんだろ?神って奴にも先に会えるんだろ?なら、伝といてくれよ……俺の家族を死なせやがったら、ぶん殴ってやるってよ」
彰一の視界を覆う黒が、飛躍的にその範囲を広げた。
発熱、吐き気、眩暈、頭痛、そして、悪寒。すべてに苦痛があり、もう、自分がどうやって立っているのかも曖昧になっている。
血を流しすぎた。怪我を負いすぎた。それでも、彰一が奥歯を擦りきらすほどの痛苦に耐えられるのは、仲間への思いの強さだけだった。
「わ......私には、強い仲間がいます......共に......共に闘いましょう......そうすればきっと......この地獄も......」
彰一の背後で、ベギン、と何かが捻木れたような音が響く。
死者の侵入を阻んでいたシャッターが、持ち上がろうとしていた。もともと四人が入る為に、下部がレールを外れていたので、脆くはなっていた。しかし、これは、安部の予想よりも早い。
互いに命のリミットが着実に迫っている。
「黙れよ......」
「何故......何故わからないのですか!この世界に長く居ればいるほど、心が歪む!それがなぜ分からないのですか!」
両手を床に着けたまま、上半身をあげた安部は、後ろ手になった状態で叫ぶ。
「きっと生き残れる!そして、平和な世界を共に築きましょう!子供が目を閉じれば、平和がある!そんな世界を!」
「目を閉じなきゃ見えない平和なんざ......興味ねえよ......」
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