魔王様の執着から逃れたいっ!

クズねこ

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魔王様の執着から逃れたいっ

魔王様‥‥‥! 魔王に仕える使用人 side

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魔王様――魔王とは、最も強く、魔族の中でも最も魔力の多い存在に与えられる称号だ。その名にふさわしく、今代の魔王様は史上最強と言われている。

冷酷で、感情を表に出さず、常に無表情。昔から城に仕える私たち使用人にさえ、微笑みを向けることはなかった。その圧倒的な力と存在感に、誰も逆らえず、ただ従うのみだ。

しかし、そんな魔王様にもお気に入りが存在するという。

その名は、ユキ様――。だが、私たちはまだ一度もユキ様を見たことがないため、全て“らしい“話に過ぎない。

魔王様はユキ様に関して、厳しい約束を設けていた。私たち使用人に関わるのは、そのうち二つ――約束の三と四だろう。

三、魔族はユキに危害を与えてはならず、近づいてもいけない。
四、魔王はユキの安全を保証するためには、何をしても良い。

この二つ。

危害とは具体的に何を指すのか、近づいてはいけないとはどの程度なのかは、はっきり示されていない。全て魔王様の独断と判断に委ねられているのだ。

だから、私たちはユキ様にできる限り近づかず、ただ存在することに徹している。影のように、見守るだけ――それが私たちの役割だ。

歴代の魔王様にも、お気に入りはいたらしい。聞くところによると、魔力が多ければ多いほど、その執着心も強くなるのだという。そして、もしお気に入りがそばからいなくなったら、魔王様は壊れてしまうこともある、とも。

今のところ、魔王様は大丈夫だろうと思う。だが、ユキ様を城に閉じ込めて、もう五ヶ月にもなる――。あの魔王様である。

きっとユキ様のために、あらゆる手を尽くしているのだろう。それでも、少し心配になってしまう自分がいる。

そんな折、さっき、城が妙に騒がしかった。何事だろうと耳を澄ますと、どうやら魔王様とユキ様が外に出られたらしい。その上、ユキ様の顔まで拝見したという噂が耳に入った。

ユキ様は、とても美しいらしい。

私たちと同じ男性とは思えないほど中性的で、凛とした雰囲気を持つという。
なるほど、魔王様がお気に入りにするのも納得がいく――。

ああ、私も一度でいいから拝見したかったな。でも、いつか魔王様が結婚なさる日まで、お預けなのだろうか。その日が来るまで、想像するしかない――。

そんなことを考えていると、突然、魔王様が城内を駆け抜けて戻ってこられた。
その勢いに、使用人一同は息を飲む。いつもは威風堂々としたオーラを纏っている魔王様が、今は小さく見えるほど焦っている。

まるで……心の芯から不安に駆られているようだ。

「ユキが、いない……。どうして? ユキには、魔法をかけておいたはずなのに……。なのに、いない。どこにいるの、え、どこにいるの? セバス」

「はい、魔王様」

「ユキを探せ。見つけ次第、俺に報告せよ。これは、全魔族に通達するように」

「しかし、ユキ様のお姿を拝見したことのある者は少ないのではないでしょうか……?」

「そうか。ならば、ユキの写真を渡す。それを広めろ」

「かしこまりました」

「一刻も早く頼む。俺も全力で探す――。じゃ」

魔王様はそう告げると、再び急ぎ足で去っていった。その姿に、使用人たちは皆、驚きを隠せなかった。普段、どんなに急いでも落ち着いた歩調を崩さない魔王様が、全力で駆け抜ける姿など、見たことがないからだ。

私たち使用人も、すぐに動き出さざるを得なかった。全魔族に命じられた通り、ユキ様の捜索を開始する。城内、城外、どこを探しても、魔王様が見つけられなければ、私たちが見つけられるはずもない――。だが、魔王様のため、そして全魔族のために、ユキ様を探さなければならない。

急ぐ。一刻も早く。

ユキ様が無事であることを確認するまでは、手を止めるわけにはいかない。魔王様のあの焦燥した表情を思い出すだけで、胸の奥が締め付けられる。ユキ様は、魔王様の心の支えであり、全てなのだ。

使用人たちは声を掛け合い、城のあらゆる場所を目を皿のようにして探す。庭園、塔、倉庫、執務室――どこもかしこも隈なく探す。その間にも、魔王様は全魔族に命令を下し続け、焦りを隠すどころか、その勢いは増すばかりだ。

「ユキ様……無事でありますように」

心の中で祈る。

どれだけ強大な魔王様であろうと、今はユキ様を見失ったことにより、感情が表に出てしまっている。その様子を目の当たりにして、私たちも焦る。

ユキ様は本当にどこにいるのだろう。使用人たちは全力で探しながらも、頭の中では、魔王様が心配で仕方がない。あの無表情の魔王様が、こんなにも不安に駆られる姿は、初めて見た。

城の中のあらゆる者が、一瞬たりとも手を休めることはできない。魔王様のため、ユキ様のため、全魔族のため――。

しかし、どれだけ探しても、ユキ様の姿はまだ見えない。このままでは、魔王様の心配は収まらない。使用人たちもまた、必死になればなるほど、焦燥感が募るのだった。
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