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修 行(2)
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五日目、バケツはさらに増やされ十個となった。
しかし、魔力量が多いこともあり要領を掴んだエルンにとってはそれほど難しくはなかった。
この量は、すでに自分の体重を大きく超える重さとなっていた。
「その水球を頭の上へ持っていけ」
「頭の上?」
エルンにはその意味がわかった。気を抜けば水が落ちてびしょ濡れになるわけだ。
エルンは直径数十センチまで成長した水球を頭上へと移動させた。
「そのまま、昼まで耐えろ」
「昼まで? それは……」と思った瞬間、水球はエルンの頭に落下した。
全身びしょ濡れだ。
「水は自分で運んで来い。風邪をひかぬようにな」
ガルディはそんな様子を遠くから見ていた。
毎日ぶらぶらしているようだけれど、時々剣を振る。
エルンと屋敷の警備を買って出たようだ。これほど心強い警備員はいない。
エルンは練習を繰り返した。バケツに水を汲み直し、再び水球を頭上へ。
しばらくは順調だ。しかし、時間が経つと水球が暴れ始める。
やがて球体が崩れ、頭へと落下する。
「少し休んだらどうだ、エルン」と水を運ぶエルンにガルディが声を掛ける。
「ダメです。この疲れた時に集中力を持続させないと……」
「なるほど……さすがだ。その考え方は見習わなければ」
ガルディはその姿を見守った。
エルンはガルディに言わなければいけないと思っていたことを思い出した。
「ガルディさんにお礼を言うの忘れてました」
「お礼? なんだ?」
「ゾフィー先生が言ってました。僕を死なせたらを八つ裂きにするって脅されたって。それほんと?」
「あの女、余計なこと言いやがるな」
「ありがとう、ガルディさん」
「何でもねえよ」
「あの時、僕は死んでたかもしれないんです。今、生きてるのはガルディさんのおかげです」
「俺が迂闊だった。連中があそこまでするとは思わなかった。そこまで考えなければいけなかった。エルンを危険な目に遭わせた。すまなかった」
「謝らないでください。僕はガルディさんと出会えたことを本当に良かったと思ってます」
「良かった?……生まれて今日まで、そんなこと言われたのは始めてだ」
ガルディの目頭が潤んだようだった。
「あれ、ガルディさん泣いてる?」
「バカヤロー。ヴォルフガルドの戦士が泣くわけねえだろ。泣くときは戦いに敗れたときだけだ」と言いながらガルディは顔を背けた。
「あれっ」
「バカヤロー。食っちまうぞ」
ガルディはエルンを抱え上げて振り回した。水しぶきが飛んだ。
翌日、エルンは熱を出した。
水を頭から浴びて風邪をひいたのだ。
「今日は休め。お前なら一日休めばよくなる。頑張りすぎだ」とゾフィー。
「はい……じゃあそうします」
エルンは素直に従った。自分でも少し頑張りすぎたかもしれないと思った。
ゾフィーは数十種類の薬草を入れたスープを作ってくれた。
祖母から教わったという魔女秘伝の万病に効くスープだとのこと。
すごく苦かった。
ピーマンの100倍くらいだ。
二度と飲みたくない。
「だったら二度と風邪をひかないことだ」とゾフィーに言われた。
ガルディは「うまいうまい」と言いながら何杯もお代わりをした。
スープのおかげか、エルンの風邪は翌日にはすっかり良くなり、水球の訓練を再開することとなった。
一日休んだせいか、水球の安定度は格段に良くなった。
その状態で半日持続させることができるようになった。
しかし、魔力量が多いこともあり要領を掴んだエルンにとってはそれほど難しくはなかった。
この量は、すでに自分の体重を大きく超える重さとなっていた。
「その水球を頭の上へ持っていけ」
「頭の上?」
エルンにはその意味がわかった。気を抜けば水が落ちてびしょ濡れになるわけだ。
エルンは直径数十センチまで成長した水球を頭上へと移動させた。
「そのまま、昼まで耐えろ」
「昼まで? それは……」と思った瞬間、水球はエルンの頭に落下した。
全身びしょ濡れだ。
「水は自分で運んで来い。風邪をひかぬようにな」
ガルディはそんな様子を遠くから見ていた。
毎日ぶらぶらしているようだけれど、時々剣を振る。
エルンと屋敷の警備を買って出たようだ。これほど心強い警備員はいない。
エルンは練習を繰り返した。バケツに水を汲み直し、再び水球を頭上へ。
しばらくは順調だ。しかし、時間が経つと水球が暴れ始める。
やがて球体が崩れ、頭へと落下する。
「少し休んだらどうだ、エルン」と水を運ぶエルンにガルディが声を掛ける。
「ダメです。この疲れた時に集中力を持続させないと……」
「なるほど……さすがだ。その考え方は見習わなければ」
ガルディはその姿を見守った。
エルンはガルディに言わなければいけないと思っていたことを思い出した。
「ガルディさんにお礼を言うの忘れてました」
「お礼? なんだ?」
「ゾフィー先生が言ってました。僕を死なせたらを八つ裂きにするって脅されたって。それほんと?」
「あの女、余計なこと言いやがるな」
「ありがとう、ガルディさん」
「何でもねえよ」
「あの時、僕は死んでたかもしれないんです。今、生きてるのはガルディさんのおかげです」
「俺が迂闊だった。連中があそこまでするとは思わなかった。そこまで考えなければいけなかった。エルンを危険な目に遭わせた。すまなかった」
「謝らないでください。僕はガルディさんと出会えたことを本当に良かったと思ってます」
「良かった?……生まれて今日まで、そんなこと言われたのは始めてだ」
ガルディの目頭が潤んだようだった。
「あれ、ガルディさん泣いてる?」
「バカヤロー。ヴォルフガルドの戦士が泣くわけねえだろ。泣くときは戦いに敗れたときだけだ」と言いながらガルディは顔を背けた。
「あれっ」
「バカヤロー。食っちまうぞ」
ガルディはエルンを抱え上げて振り回した。水しぶきが飛んだ。
翌日、エルンは熱を出した。
水を頭から浴びて風邪をひいたのだ。
「今日は休め。お前なら一日休めばよくなる。頑張りすぎだ」とゾフィー。
「はい……じゃあそうします」
エルンは素直に従った。自分でも少し頑張りすぎたかもしれないと思った。
ゾフィーは数十種類の薬草を入れたスープを作ってくれた。
祖母から教わったという魔女秘伝の万病に効くスープだとのこと。
すごく苦かった。
ピーマンの100倍くらいだ。
二度と飲みたくない。
「だったら二度と風邪をひかないことだ」とゾフィーに言われた。
ガルディは「うまいうまい」と言いながら何杯もお代わりをした。
スープのおかげか、エルンの風邪は翌日にはすっかり良くなり、水球の訓練を再開することとなった。
一日休んだせいか、水球の安定度は格段に良くなった。
その状態で半日持続させることができるようになった。
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