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修 行(1)
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リンダ商会は当分の間、ゲルダに任せることになった。
ゲルダは口上手で商売に関しては安心して任せられるが、以前の悪い癖だけが心配だ。
学校へはゾフィーを通じて休学届けを出してもらった。
ゾフィーのヒーリングのおかげもあってエルンの傷は日に日によくなり、十日もたつとほぼ元の状態に戻った。
最後のヒーリングにゾフィーが部屋へ来たときエルンは素直な気持ちを伝えた。
「先生、ありがとうございます。先生のヒーリングのおかげですっかりよくなりました」
「私のヒーリングのせいじゃないかもしれんぞ」
「どうしてですか? もちろんここまで連れてきてくれたガルディさんにも感謝してます」
「ガルディはお前の意識がない四日間、付きっきりで看病していた。私がヒーリングを行っているときも横にいて私を睨んでいた。そのとき言われたよ。エルンを死なせたらお前を八つ裂きにしてやるって。だから私も必死だった。死にたくねえからな」
ゾフィーは口元を固くしたまま笑った。
「そうだったんですか。ガルディさん、時々豹変しますから、僕も怖いと思うことがあります。ガルディさんにもちゃんとお礼を言っておきます」
そう言えば、借りた十万デリラをまだ返してないことを思い出した。早く返さねばと思った。
そして、みんなに守られたことが嬉しかった。
ひょっとすると前の世界でも知らないところで守られていたのかな?
前世がちょっと懐かしく思えた。
「もう大丈夫だ。明日から修行を始める」
「修行ですか? 何の?」
「お前、魔法使いだろ。魔法の修行に決まってるだろ」
「僕は今のままでも……」
「ダメだ。お前はもっと高みを目指さなければいけない。あんな学校で遊んでいる場合じゃない。お前だけ特別授業だ」
「はあ……」
学校の雰囲気も好きだったが、もっと上を目指せるのであればそれもいいかと思った。
とりあえずやれるだけやってみようと思った。前世では思いもよらなかった心境の変化だ。
「お前、浮遊魔法が使えるんだってな。ティナとやりあったとき見せたそうじゃないか」
「ええ……それが、あの時は確かに飛んだんですが、その後、何度やってもちょっとしか浮かないんです。しかもすぐに落ちちゃうんです。どうしてあの時できたんだろう?」
「人間はいざとなった時、特別な力が出ることがある。たぶん、それだ……では、そこから始めるとするか」
翌日から修行が始まった。しかし、それはいたって簡単なものだった。
ゾフィーはエルンを座らせ、その前に水の入ったバケツを置いた。
「この水を操作魔力で持ち上げろ」
「持ち上げるだけでいいんですか? 結構簡単ですけど」
エルンは神経を集中するとバケツに魔力を向けた。
バケツはふわりと浮いた。
「違う。水だけを持ち上げろ」
「水……だけですか?」
エルンは困惑した。
水には形が無いので、それを持ち上げるには水の形を整えなければいけない。形を整えながら持ち上げるとなると微妙で、しかも均一な力加減が必要となる。つまり、高度な魔力操作が必要となるわけだ。
エルンはようやくこの訓練の重要性がわかった。
エルンは水だけに魔力を向けた。しかし、水は水滴となって上に向かうだけでまとまらない。しまいには分散して飛び散ってしまう。
見かねたゾフィーが手本を見せた。
目の前のバケツの水が塊となって持ち上がったかと思うときれいな球体を造った。
水晶玉のような透き通った水の玉となった。
エルンは息を呑んだ。太陽の日差しを受けて輝いた。
「うわー、きれいだ……水晶玉みたいだ」
ゾフィーが魔力を切ると、水はバシャとバケツへ落ちた。
「これをできるようにしろ。重要なのは集中力と制御だ」
そう言い残すとゾフィーはその場を離れた。
エルンはそれから言われたように水を持ち上げる練習を始めた。
一度に大量の水を操作するのは難しいのでまずは少量から。
半日ほどで拳くらいの水球を作れるようになった。
夕方には球体にはならないまでもバケツの水をまとめて持ち上げるまでになった。
ゾフィーはそれを見て呆れた。普通ならそこまでできるのに十日はかかるはずなのだが……。
二日目の夕方にはバケツの水をほぼ球体とするまでになった。
三日目になるとバケツの数が増やされた。バケツは三つとなった。バケツ三つ分の水を操るのはやはり難しかった。
しかし、それも四日目にはできるようになった。
ゲルダは口上手で商売に関しては安心して任せられるが、以前の悪い癖だけが心配だ。
学校へはゾフィーを通じて休学届けを出してもらった。
ゾフィーのヒーリングのおかげもあってエルンの傷は日に日によくなり、十日もたつとほぼ元の状態に戻った。
最後のヒーリングにゾフィーが部屋へ来たときエルンは素直な気持ちを伝えた。
「先生、ありがとうございます。先生のヒーリングのおかげですっかりよくなりました」
「私のヒーリングのせいじゃないかもしれんぞ」
「どうしてですか? もちろんここまで連れてきてくれたガルディさんにも感謝してます」
「ガルディはお前の意識がない四日間、付きっきりで看病していた。私がヒーリングを行っているときも横にいて私を睨んでいた。そのとき言われたよ。エルンを死なせたらお前を八つ裂きにしてやるって。だから私も必死だった。死にたくねえからな」
ゾフィーは口元を固くしたまま笑った。
「そうだったんですか。ガルディさん、時々豹変しますから、僕も怖いと思うことがあります。ガルディさんにもちゃんとお礼を言っておきます」
そう言えば、借りた十万デリラをまだ返してないことを思い出した。早く返さねばと思った。
そして、みんなに守られたことが嬉しかった。
ひょっとすると前の世界でも知らないところで守られていたのかな?
前世がちょっと懐かしく思えた。
「もう大丈夫だ。明日から修行を始める」
「修行ですか? 何の?」
「お前、魔法使いだろ。魔法の修行に決まってるだろ」
「僕は今のままでも……」
「ダメだ。お前はもっと高みを目指さなければいけない。あんな学校で遊んでいる場合じゃない。お前だけ特別授業だ」
「はあ……」
学校の雰囲気も好きだったが、もっと上を目指せるのであればそれもいいかと思った。
とりあえずやれるだけやってみようと思った。前世では思いもよらなかった心境の変化だ。
「お前、浮遊魔法が使えるんだってな。ティナとやりあったとき見せたそうじゃないか」
「ええ……それが、あの時は確かに飛んだんですが、その後、何度やってもちょっとしか浮かないんです。しかもすぐに落ちちゃうんです。どうしてあの時できたんだろう?」
「人間はいざとなった時、特別な力が出ることがある。たぶん、それだ……では、そこから始めるとするか」
翌日から修行が始まった。しかし、それはいたって簡単なものだった。
ゾフィーはエルンを座らせ、その前に水の入ったバケツを置いた。
「この水を操作魔力で持ち上げろ」
「持ち上げるだけでいいんですか? 結構簡単ですけど」
エルンは神経を集中するとバケツに魔力を向けた。
バケツはふわりと浮いた。
「違う。水だけを持ち上げろ」
「水……だけですか?」
エルンは困惑した。
水には形が無いので、それを持ち上げるには水の形を整えなければいけない。形を整えながら持ち上げるとなると微妙で、しかも均一な力加減が必要となる。つまり、高度な魔力操作が必要となるわけだ。
エルンはようやくこの訓練の重要性がわかった。
エルンは水だけに魔力を向けた。しかし、水は水滴となって上に向かうだけでまとまらない。しまいには分散して飛び散ってしまう。
見かねたゾフィーが手本を見せた。
目の前のバケツの水が塊となって持ち上がったかと思うときれいな球体を造った。
水晶玉のような透き通った水の玉となった。
エルンは息を呑んだ。太陽の日差しを受けて輝いた。
「うわー、きれいだ……水晶玉みたいだ」
ゾフィーが魔力を切ると、水はバシャとバケツへ落ちた。
「これをできるようにしろ。重要なのは集中力と制御だ」
そう言い残すとゾフィーはその場を離れた。
エルンはそれから言われたように水を持ち上げる練習を始めた。
一度に大量の水を操作するのは難しいのでまずは少量から。
半日ほどで拳くらいの水球を作れるようになった。
夕方には球体にはならないまでもバケツの水をまとめて持ち上げるまでになった。
ゾフィーはそれを見て呆れた。普通ならそこまでできるのに十日はかかるはずなのだが……。
二日目の夕方にはバケツの水をほぼ球体とするまでになった。
三日目になるとバケツの数が増やされた。バケツは三つとなった。バケツ三つ分の水を操るのはやはり難しかった。
しかし、それも四日目にはできるようになった。
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