神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空

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グラッドシュタットへの帰還

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 四人がビューロを連れてヘルツブルクまで戻ると、そこからグラッドシュタットまで馬車を頼んだ。
 そこまで戻る途中でもはっきりと感じ取ることができた。間違いなく平穏な空気となっていた。
「すべてはこいつのせいだったわけだ」とガルディがビューロの脇腹に蹴りを入れた。
 ビューロは呻き声を上げた。
 アウッ、ウウウウウ……
「ダメですよ。大事な捕虜なんですから」
 しかし、グラッドシュタットに戻ってきてその様子が変わっていることに一行は目を見張った。
 破壊や襲撃の跡が、いたる所で見られた。
「何があったんだ?」
 ガルディが街の人に訊いた。
「あんたら知らんのかね。四日ほど前、アンデッドや魔族が押し寄せて街を襲ったんだ」
「それでどうなった?」
「魔法衛兵隊が来て退治し始めたころ、急にアンデッドが消え、魔族が引き返した。魔法衛兵隊によって魔法が解けたのかね」
「二日前か?」
「そうだね、そのころですね、ガルディさん」
 二日前というのは納得できた。
 ビューロを捕らえたころと一致する。
 一行はその足で役所へと向かった。
 二階の保安局を訪れると受付に突き出した。
「この人を捕らえましたので引き渡そうと思います」
「誰かしら、その人?」
 受付のマチルデが首を傾げた。
「隣国の魔法使いビューロさんです」
 その言葉で、周囲が騒然とした。
「ビューロを捕まえただと」
 一人の戦士らしい大柄な男がエルンの前に駆け寄った。
「この方はどなたですか?」
 エルンはマチルデに聞いた。
「この方は魔法衛兵隊ツァウバーガルデのラウネス隊長よ」
 グラッドシュタットの治安を守るために派遣されてきたとのこと。
 ラウネスは縛られた男の顔をまじまじと見た。
「おい、坊主。こいつはビューロじゃねえ。こんな顔じゃねえ。俺はな使節団として隣国へ行ったことがある。その時に会ったこともあるが、もっとシュッとしたイケメンだった。こいつとは似ても似つかねえ顔だ。嘘を吐くとただじゃすまんぞ」
「いえ、それはガルディさんとバヒムさんがボコボコに……」
「……私はビューロですよ。ご無沙汰ですね、ラウネス隊長」
 それを聞いたラウネスは眉を顰めたままじっとその男の顔を見ていた。
「ガルディと言うのは……」と見回した。
 そして視線を止めた。
「俺だけじゃねえよ、バヒムもだ……何だよ、その目は……しょうがねえだろ。みんな命がけで戦ったんだぞ。多少の行き過ぎは大目に見てもらわんと」と言いながらもガルディはラウネスから目を逸らした。
「まあ、いい。後々、国王から褒美が出るだろう。期待して待ってろ」
 ガルディとバヒムの顔が歓喜の笑みに変わった。

「ツァウバーガルデの噂は聞いています。すごい精鋭部隊だそうですね」
「そうか、そんなふうに聞いてるか」
 ラウネスはまんざらでもない様子で胸を張った。
「王都の方はどのような状態なんですか?」
 エルンが心配して状況を聞いた。
「あちらでも状況は悪化している。我々もすぐに戻らんといかん。しかし、なぜ、こちらの街ではアンデッドたちが急に無力化したのか、それがわからん」
 エルンはその理由を説明した。
 洞窟の中の魔法陣のこと。
 ビューロを捕まえた経緯。
「そうか、お前がエルンか。姉から聞いてるぞ」
「お姉さんですか?」
「ああ、ゾフィーだ。姉の屋敷にいるんだろ。俺はラウネス・フォン・シーラッハ。お前を見つけたとき、姉は喜んでいたぜ。魔法師の巨大な原石を見つけたって」
「そうだったんですか。そんなことを……」
「しかし、こいつのせいだったか。エルン、お手柄だ」
 ラウネス隊長によれば、王都エルヴァルドではアンデッドだけではなく巨竜ブルツァールも暴れ回っているとのこと。
 ビューロが言っていた通り、魔族、アンデッドを操っているのはビューロだけではないこともわかった。
 他にもその魔法を扱う魔法使いが存在することになる。
「まずは、操っている魔法使いを突き止めることです。そのことを伝えてください」
「分かった。だが、どうやって突き止めればいい?」
「簡単です。この人に聞けばわかります」
「確かに聞けば分かるかもしれんが……喋ってくれるだろうか」
 ラウネスはビューロに視線を向けた。
「ガルディさんに任せましょう」
「バルターだ。バルター・マッケンゼン。魔法省の副大臣だ」
 ガルディに睨まれただけでビューロは喋り出した。
「どこにいる?」とガルディが続けて質問をする。
「たぶん、王都の西の森ナハトヴァルトの小屋に数人の魔法使いとともにいるはずだ」
「それが嘘だったら、首を引きちぎるぞ」
「好きにしたらいい……ああ~……終わりだ」とビューロは項垂れた。
「それが真実であれば恩赦が与えられるかもしれん。苦しまずに死ねる断首くらいにはしてもらえるかもしれん。俺が掛け合ってやってもいい」
「お願いします。ラウネス隊長」
 ビューロは俯いた。

 情報はフォーゲルによって直ちに王都へと知らされた。

「この街は、ほぼ危機を脱した。これからは保安局の騎兵隊だけで治安は維持できるはずだ。我々は明日、王都へ戻るが、お前たちも来るといい。報奨金がもらえるぞ」
「俺たちを利用する気だな」
 そっぽを向いたままガルディが言った。
「別に無理にとは言わん。活躍次第では報奨金の上乗せもあるかもしれん」
「俺は行くぞ」とバヒム。
「あたしも」とアル。
「何だよ、お前ら。じゃあ、俺も行くしかねえじゃねえか」
「じゃあ、みんなにはもう少し付き合ってもらうことにします」とエルン。

 一行は一度ゾフィーの屋敷へ戻ると、報告しつつ一日を過ごした。
「フォーゲルから伝言は聞いてもらえましたか?」
「ああ、聞いた。しかし、ビューロを捕らえたことには驚いた。あいつはアーディの弟子で右腕といわれる魔法使いだ。特殊な魔法を使う事に長けている。バルター・マッケンゼンも同様。手ごわい魔法使いだが、魔法衛兵隊にも優秀な魔法師がいる。そいつらに任せることだ。何もかも背負い込むことはない。ただ、ブルツァールが暴れているというのは気になる。ブルツァールを操っているのはバルターではない。おそらく大魔法使いアーディだろう。アーディは、おそらくこの国へは潜入してはいない。バルターを倒してもブルツァールは駆除できまい」
「つまり、ブルツァールは誰かが直接退治しなければならないということですか」
 ゾフィーはエルンに向いて頷いた。
「ブルツァールに弱点はありますか?」
「私は知らん」
 ゾフィーは空しく首を横へ振った。

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