エロゲー主人公に転生したのに悪役若様に求愛されております

雪平@冷淡騎士2nd連載中

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商売人

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リール村とは、のどかで小さい俺の生まれ故郷だ。

俺が居なくなったのに、騒ぐ事もなくゆっくり時間が過ぎていく。
賞金首ハンターをしていると、一日二日帰らない事は珍しくないからな。
両親は今この村にいないし、心配してくれるのは幼馴染みくらいだろうか。

それに俺は強いから、心配していないという事なのかもしれない。
俺は安心して眠れる場所があればそれでいい。

メガネの男はズレたメガネを直していた。

「それじゃあ僕はここで」

「そんな慌てる事ないだろ、お茶くらい出すよ」

「えっ、いやいや!そんなお構いなく!!」

遠慮しているような感じではなく、嫌がっているような態度だった。
そんなに嫌なのか?一人暮らしとはいえ、結構片付いているけど…
物をあまり置いていないと言われたらその通りだけど…

そんなに嫌なら無理に家に呼ぶわけにはいかない。

「村まで運んでくれてありがとうな」と言うと「ぼ、僕の方こそ助けてくれてありがとうございます!」と頭を下げていた。
そんな頭を下げる事じゃないし、お互い助け合ったでいいと思う。

それにしてもワープのアイテムか、またいつあんな事が起きるか分からないからな俺も用意しとこうかな。

そんな事を考えていたら、メガネの男のリュックが開いていたのか中身が勢いよく地面に落ちた。
慌てすぎだろ、そんなに帰りたかったのか?

しゃがんで掻き集めるように物をリュックに入れていた。
俺も手伝おうと思い、専門道具らしきものを手に取る。
商売人なのか、いろんなアイテムがある中変なものもあった。

眼球がいっぱい詰められた瓶や、腐敗した手など…売れなさそうなものがあった。
まさか、人間の……とか言わないよな。

「君、この目って人間の…」

「ち、違います!これは魔物の………あ」

明らかにしまったと言いたげに口を押さえていた。
可笑しいとは思ってた、何故魔物の巣にほとんど丸越の人間がいたのか。

魔物の体の一部は薬として出回る事がある。
加工して、魔物の状態異常攻撃の治癒薬として売っている商売人がいる。
魔物の体の一部だから、普通の弱い人では手に入れる事が難しく高値で取引されている。
たまに賞金首ハンターへの依頼でそういうのがあるが、俺は受けない。

だいたい受けるのは人間に危害を加えた魔物だけだ。
ほとんどの魔物が危害を加えた魔物なんだが、私利私欲のために魔物をバラバラにして売るような奴は好かない。

状態異常の治癒薬も俺は草から自分で作っている。
魔物に頼りたくないのもあるが、薬にするとはいえ純粋に魔物を喰らうなんて気持ちが悪い。

商売人を睨むと、肩をビクつかせていた。

「このためにあんな危険なところに行ったのか?俺がいなかったら死ぬところだったんだぞ!」

「だ、だって…ハンター達は僕達の依頼を受けてくれないし、自分で取るしかないだろ!!それで死んでも飢え死にするよりマシだ!」

こういう物を売る商売人は賞金首ハンター達にも嫌われている。
だからって、命を簡単に投げ捨てるなよ。

魔物の体の一部を売らなくても、他にいくらでも稼ぐ事が出来るだろ。
……お願いだから、俺が助けた命をもう無駄にしないでくれ。

その気持ちはメガネの男に届く事なく、俺の手から専門道具を強引に奪いリュックを背負った。
もう、会う事はなさそうだが無事に何処かで生きていてくれよ。

走り去る背中を見つめながらそう思った。

リール村に入ると、俺に気付いた街の人達に挨拶された。
賞金首ハンターとして有名とはいえ、まだリール村でだけだ。
いつかゲームのように冒険に出かけて、いろんな世界を見てみたいな。

家の近くに行くと、見覚えがある後ろ姿が見えた。
あれは、俺を置いて逃げた臆病者じゃないか。
ドアの前でウロウロとしていて、後ろから肩を戦いた。

びっくりして、後ろに振り返り…その顔は恐怖で歪んでいた。
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