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パーティー
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夜になり、俺とシリウスは人形の店に向かった。
夜だと薄暗いどころか真っ黒で何も見えない。
シリウスは見えているのかシリウスの服の袖を掴んで誘導される。
城でパーティーが始まっているから、城が輝いていた。
明るいな、凄い装飾品がされているな。
今からここに行くのか、シリウスは明るいところが苦手なのか宿屋の窓から見える装飾品だらけの城を見て眉を寄せていた。
「シリウス、パーティー会場では大人しくしろよ」
「……善処する」
「絶対だからな、分かったか?」
「…………あぁ」
シリウスの袖から手を握ってそう言ったら、肩が震えていた。
…なんか、笑ってる?俺変な事は言ってないけど…
シリウスは「可愛い」と言って、俺の頬に触れていた。
可愛いって…かっこいいんだから、可愛くない!
ムスッとしながら、シリウスに引かれて歩く。
夜だからか小さなむき出しの豆電球だけで薄暗い店内が見えた。
ドアを開けると、待ってましたと言わんばかりに歓迎ムードな店主と人形達がいた。
「出来たか」
「えぇ、シリウス様の好みに合えばよろしいのですが」
「ありがとう、お礼は後ほどレオナルドに届けさせる」
「いえいえ、私の服をシリウス様が着てくださるだけで幸せですから」
店主は本当に嬉しそうにしていて、俺達を店の中の試着室に案内した。
狭い一人用の試着室、何故か俺とシリウスは二人で入っていた。
俺にそういうつもりはない、俺が先に着替えていいと言ったから試着室に入っただけだ。
俺の後ろからシリウスが当たり前のように入ってきた。
閉められたカーテン、狭い試着室に男が二人…窮屈だ。
店主も流石に変だと思うと思ったが、店主は服の事しか考えていないのか最後に閉まるカーテンの向こうでニコニコ笑っていた。
「シリウス、分かってると思うが一人用の試着室だが」
「…何人入っても変わらないだろ」
「いやいや変わるだろ!シリウス…もしかして大勢に着替えてるところ見せている性癖でもあるのか?」
「俺の裸はレインにしか見せない」
「……そうですか」
シリウスは俺がいるから入ったらしい、意味が分からない。
シリウスの前でストリップするみたいでなんか嫌だな。
そう思っていたら、シリウスが先に服を脱ぎ出した。
俺がもたもたしている間にも上半身が裸になり、店主が作った上質なシャツに袖を通す。
俺もシリウスに遅れないように、上着を脱いだ。
パーティーはもう開いているのを忘れてた、早く着替えないと…
服を着たが、こういうかしこまった服を着る事がなくてこれで合ってるのか分からない。
俺は白い正装で、シリウスは黒い正装を着ていた。
しかし、変なネクタイがありどうやって着るのか分からない。
広げて見てみると、シリウスがネクタイを俺から取り結んでくれた。
「…ありがとう」
「行こう」
服を着替え終わり、店主達に見送られながら城に向かって歩き出す。
城の前に二人の門番がいて、当然門番達はチケットを出すように言ってきた。
しかし、俺達はチケットがない…チケットがないと入れない…普通は…
シリウスは門番の肩を掴んで、ジッと門番の目を見つめる。
門番の瞳からだんだん光が消えていき、虚ろになる。
もう一人の門番に同じ事をすると、手から力が抜けていた。
「「どうぞお入り下さい」」
「レイン、エスコートする」
「自然でいいって、それより…大丈夫か?あの人達」
「暗示だから解けても掛かった記憶がない、長い暗示ではないから大丈夫だ」
俺達は門番の横を通り過ぎて、城の中に入った。
会場にはいろんな人達がいて、俺達はあまり目立ってなくて良かった。
…目立つならシリウスの顔くらいだろうな、横のシリウスを見ると涼し気な顔をしていた。
美味しそうな色鮮やかな食事に気を取られていたら、急に電気が消えた。
ザワザワと騒ぐ人達に、俺も驚いて手探りでシリウスを探す。
シリウスの手を見つけて握る、いったいこれからなにが起きるんだ?
少ししたら会場の奥だけスポットライトが当てられて、そこにいたのは真っ白な髭の王冠を被った王様がいた。
彼がこの国の王様なのだろうか、なにか話しているが長い話だな…とだけ思っていた。
今、会場が暗いから会場を出て玉座に向かうなら今しかないな。
シリウスの手を少し引っ張って「抜けるのは今がいいんじゃないか?」と言った。
しかし、何故かシリウスの手がいつもよりゴツい気がするが何故だ?
会場はすぐに明るくなり、俺はシリウスを見て口を開けて呆然とした。
そこにいたのはシリウスとは全く似ていない顔がゴツい男が俺を見てニヤニヤ笑っていた。
間違えた…し、シリウスは何処に行ったんだ!?
夜だと薄暗いどころか真っ黒で何も見えない。
シリウスは見えているのかシリウスの服の袖を掴んで誘導される。
城でパーティーが始まっているから、城が輝いていた。
明るいな、凄い装飾品がされているな。
今からここに行くのか、シリウスは明るいところが苦手なのか宿屋の窓から見える装飾品だらけの城を見て眉を寄せていた。
「シリウス、パーティー会場では大人しくしろよ」
「……善処する」
「絶対だからな、分かったか?」
「…………あぁ」
シリウスの袖から手を握ってそう言ったら、肩が震えていた。
…なんか、笑ってる?俺変な事は言ってないけど…
シリウスは「可愛い」と言って、俺の頬に触れていた。
可愛いって…かっこいいんだから、可愛くない!
ムスッとしながら、シリウスに引かれて歩く。
夜だからか小さなむき出しの豆電球だけで薄暗い店内が見えた。
ドアを開けると、待ってましたと言わんばかりに歓迎ムードな店主と人形達がいた。
「出来たか」
「えぇ、シリウス様の好みに合えばよろしいのですが」
「ありがとう、お礼は後ほどレオナルドに届けさせる」
「いえいえ、私の服をシリウス様が着てくださるだけで幸せですから」
店主は本当に嬉しそうにしていて、俺達を店の中の試着室に案内した。
狭い一人用の試着室、何故か俺とシリウスは二人で入っていた。
俺にそういうつもりはない、俺が先に着替えていいと言ったから試着室に入っただけだ。
俺の後ろからシリウスが当たり前のように入ってきた。
閉められたカーテン、狭い試着室に男が二人…窮屈だ。
店主も流石に変だと思うと思ったが、店主は服の事しか考えていないのか最後に閉まるカーテンの向こうでニコニコ笑っていた。
「シリウス、分かってると思うが一人用の試着室だが」
「…何人入っても変わらないだろ」
「いやいや変わるだろ!シリウス…もしかして大勢に着替えてるところ見せている性癖でもあるのか?」
「俺の裸はレインにしか見せない」
「……そうですか」
シリウスは俺がいるから入ったらしい、意味が分からない。
シリウスの前でストリップするみたいでなんか嫌だな。
そう思っていたら、シリウスが先に服を脱ぎ出した。
俺がもたもたしている間にも上半身が裸になり、店主が作った上質なシャツに袖を通す。
俺もシリウスに遅れないように、上着を脱いだ。
パーティーはもう開いているのを忘れてた、早く着替えないと…
服を着たが、こういうかしこまった服を着る事がなくてこれで合ってるのか分からない。
俺は白い正装で、シリウスは黒い正装を着ていた。
しかし、変なネクタイがありどうやって着るのか分からない。
広げて見てみると、シリウスがネクタイを俺から取り結んでくれた。
「…ありがとう」
「行こう」
服を着替え終わり、店主達に見送られながら城に向かって歩き出す。
城の前に二人の門番がいて、当然門番達はチケットを出すように言ってきた。
しかし、俺達はチケットがない…チケットがないと入れない…普通は…
シリウスは門番の肩を掴んで、ジッと門番の目を見つめる。
門番の瞳からだんだん光が消えていき、虚ろになる。
もう一人の門番に同じ事をすると、手から力が抜けていた。
「「どうぞお入り下さい」」
「レイン、エスコートする」
「自然でいいって、それより…大丈夫か?あの人達」
「暗示だから解けても掛かった記憶がない、長い暗示ではないから大丈夫だ」
俺達は門番の横を通り過ぎて、城の中に入った。
会場にはいろんな人達がいて、俺達はあまり目立ってなくて良かった。
…目立つならシリウスの顔くらいだろうな、横のシリウスを見ると涼し気な顔をしていた。
美味しそうな色鮮やかな食事に気を取られていたら、急に電気が消えた。
ザワザワと騒ぐ人達に、俺も驚いて手探りでシリウスを探す。
シリウスの手を見つけて握る、いったいこれからなにが起きるんだ?
少ししたら会場の奥だけスポットライトが当てられて、そこにいたのは真っ白な髭の王冠を被った王様がいた。
彼がこの国の王様なのだろうか、なにか話しているが長い話だな…とだけ思っていた。
今、会場が暗いから会場を出て玉座に向かうなら今しかないな。
シリウスの手を少し引っ張って「抜けるのは今がいいんじゃないか?」と言った。
しかし、何故かシリウスの手がいつもよりゴツい気がするが何故だ?
会場はすぐに明るくなり、俺はシリウスを見て口を開けて呆然とした。
そこにいたのはシリウスとは全く似ていない顔がゴツい男が俺を見てニヤニヤ笑っていた。
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