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第20話
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翌朝。着替えを済ませ、用意された朝食を食べ終えると、侍女から先代国王との謁見があると告げられた。なにせ、絶望と思われていた陛下にようやく王妃となりうる女性が見つかったとのことで、すぐにでも一目会いたいとの先代国王及び先代王妃が望まれたらしい。
そうして身支度を整えられ、衣装も正装へと着替えていく。…その衣装が何故準備されているのかと聞けば、以前私の騎士服を制作する際に取った採寸のデータが残っているらしく、それを元に製作しろ…と陛下が厳命を下されたそうな。
ああそうですかと虚ろな目で着替えていく私。そして、着替え終えた私の部屋を訪れたのはもちろん陛下。最初に姿を現した際には一瞬目を瞠り、硬直していたが、その硬直が解けると今度は不満そうな顔に変わる。なんとも面白いと思ったのは秘密。
「…行くぞ」
差し伸べられた手。その手が何を意味するかは分かるけれど、どうにも素直にその手に自分の手を乗せることに気が進まない。
「……はい」
なので、その手に小指だけを乗せる。それに周囲が怪訝な表情を浮かべるも、陛下だけはその意図を察し、苦笑した。
小指だけをその大きな手で包み込むと、まるで幼子の手を引くかのようにゆっくりと柔らかくエスコートされる。当然、小指だけを引っ張れば痛いので、さっと私の腰にも手を回し、私の体全体をエスコートしてくれる。
実はこれ、『グリエ』の頃に我儘で加減を利かせられない殿下のためのエスコート指導術の一環。小指だけを掴んでも相手に痛みを感じさせずエスコートさせることができれば、エスコートとしては完ぺきになれると『グリエ』が考案したものだ。もっとも、そのエスコート相手役にさせられたのも『グリエ』なのだが…
そうして、小指一本からでも陛下は完ぺきなエスコートを見せた。傍目から見れば小指しか握っていない異様な光景だけれど、その小指から痛みは伝わってこない。強く握る過ぎることも無く、指の関節を無視して引っ張られることも無い。とてつもなく気を使わなければこのエスコートはできない。
そうして、ようやく先代国王と先代王妃との面会を済ませた。16年ぶりに拝見した陛下は、やはり記憶の中にある姿よりは老いて見えた。しかし隠居してもなお元国王としての威厳は損なっておらず、正面に対すればその存在感に圧倒される。一方、先代王妃は記憶の中の姿そのままといった印象だった。16年前も年齢の割には少し幼く見えたが、今ではなおさらそれが際立つ。先代国王と並ぶ姿は、言っては悪いが親子ほど見た目に違いがある。これで実年齢は2つしか離れていないのだから驚きである。
面会では、ようやく陛下の王妃となるものが見つかったとのことで二人共大喜びだったが、如何せん歳の差が気になったようだ。
陛下31歳。
私…16歳。
年齢差無く結婚した二人からすると、この親子ほどの年の差はいくら宣託といえど気になるようだった。それに対し、陛下は「問題ない」と言い切り、私は「精一杯頑張ります」と無難に。
が、こっそり親衛隊の誰かが先代国王と先代王妃に耳打ちすると二人とも大爆笑。…何を耳打ちしたのかは後でしっかり聞き出すことだけは決めた。
それは陛下も同じだったようで。
「お前、さっき何を言った?」
と、帰り道すがらその親衛隊を壁に追い詰め問いただす。もちろん陛下だけではなく私も。二人に壁際に詰め寄られ、その圧に負けてぽつりと呟く。
「とってもお似合いのお二人ですよ。追いかけっこして城中の人間に呆れられるぐらいに…って」
…後の処理は陛下に任せて私は宛がわれてる部屋に戻った。陛下に引きずられていく彼に憐みは感じない。
それからは、本格的に王妃となるべく準備が始まった。王妃が決まったという方は王宮内のみならず国中に伝わっていった。国民もあきらめかけていた懸念事項だっただけにその喜びようは大層なものだった。
私も一旦実家に戻ると、両親から何からとにかく祝福の言葉。そして、すぐさま王妃となるべくそのための教師が急遽呼び集められ、徹底教育が開始させられた。基本的な政治知識はあれど、王妃となるとさらに必要な知識が異なる。そのため、半年ほど屋敷に閉じこもる生活となった。
その間、陛下との手紙のやり取りがあった。陛下から手紙が届くと母などは愛されているなどと舞い上がっていたが、その内容は実に色気の無い物。…あの、私の襲撃事件についてのことだ。あの後、生き残った兵士に尋問を続け、ようやく得られた証言が『やんごとなき身分のお方からの、勅命である』とだけ。実際にそのやんごとなき身分の方と対面したのはあの隊長だけだったらしく、そしてその隊長は火事で焼死した。そして、その生き残った兵士たちは口々に私を『陛下をたぶらかした悪女』だと思い込んでいることだった。これも隊長から聞かされた、やんごとなき身分の方の言葉らしい。
しかも、その悪女という言い分は、『王妃不在に悩む陛下の心の弱みに漬け込み、若さと体を使って陛下を篭絡した許しがたき悪女』と。…実際、これについては市井でもその噂が出回っている。というのも、私が女性ながらに特例で騎士団に入り、わずか半年で親衛隊入り。その後神殿で王妃として選ばれたという、私の経歴が流布されていたのだ。
侯爵家の力を使い、騎士団入り。そのまま陛下に近づき、親衛隊というより近いポジションに付く。そのまま距離を詰め…ということらしい。そのせいで、私を『王妃には相応しくない』とする市民や貴族もいる。
まったくもって誤解もいいところなのに、下手な弁解もできない。これに、陛下は考えがあると言い、大丈夫だと手紙にはつづられていた。…一抹の不安を覚えたけど、今の私にできることは、淡々と王妃となるべく準備を整えるだけ。その言葉を信じて待つことにした。
そして半年後。ついにその『考え』が伝えられた。その考えを知ったとき、私は頭を抱えた。
侯爵家の馬車に乗り、私は一路王都へと…そして、『考え』がある場所へと向かっていた。その場所とは…闘技場。
なんてことはない、私が騎士、そして親衛隊と成ったのは実力からだと知らしめるために、年に一度開かれる闘技大会に参加しろというものだった。
闘技大会は年に一度、腕に覚えのある貴族の子息や兵士、あるいは王族が参加する由緒ある大会だ。優勝者には賞金と国内最強の戦士という名誉が授与される。
もちろん闘技大会のことは知っていたが、半ば見世物でもあるそれには私はもちろん、『グリエ』も参加したことはなかった。なにせ私の剣は戦うための剣ではなく、勝つための剣。一撃決殺を信条とする、相手の急所を突く剣は、見世物には程遠く、派手さも無い。
それに、護衛のための剣と割り切っていたので、わざわざ競うという考えがなかったのもある。
闘技大会では殺しは禁止とされている。なので、使われる剣は刃を潰した模擬剣だ。それでも、例年何名かの重傷者は出ている。そして、ここ数年の覇者は陛下だ。
王妃教育で屋敷に閉じこもったと言っても、身体を動かすことは欠かさなかった。特に、『グリエ』の愛剣が手元に戻ってからは、その剣を私に馴染ませる必要があった。
あの事件は解決していない。いつまた、襲撃されるわからないのだから。
そして、この大会の終了後に私を正式な王妃として公表する手筈となっている。その時に何か仕掛けてくるのではないか。私と陛下はそう見ている。この半年は驚くほど何もなかった。襲撃事件は両親も知るところで、屋敷の護衛は倍に増えた。けれど、私にはあの用意周到かつ強権を持つ犯人相手に、意味があるようには思えなかった。かつて伯爵家を皆殺しにしてみせた犯人。該当する相手は絞り込んでいるのに、明確な証拠がないままなのがもどかしかった。
「シセリア」
馬車から闘技場へと降り立ち、案内の下に進んでいると突然名を呼ばれた。その聞き覚え尾のある声に、呼ばれた方向に顔を向けると影が降ってくる。それが人だと気づいた瞬間、反射的にその影を避けた。
「…何故避けた?」
その人は未来の夫にしてこの国の国王、キラルド陛下だった。空を切ったその両腕が、私という対象を失い、間抜けな格好で止まっている。避けた私に、陛下は大層ご不満な様子を顔に出した。
「失礼。人に抱き着かれて良い思い出がありませんので」
言外にお前に抱き着かれると後が面倒なんだと言い放つ。それに気づいていただけたようで、睨みつけられた。
「…腕は落ちていないだろうな?」
露骨に話を逸らしてきた。
「後でご確認ください」
実際のところ、屋敷では屋敷の護衛を務めるものたちしか相手がおらず、その護衛たちも騎士ほどの実力者ではなかったので、多少勘が鈍っているかもと思うところはある。それは、この大会の中で呼び起こせばいいかと考えている。
私の言葉に、陛下はにやりと口角を上げた。
「いいだろう。後でじっくり確かめてやる」
覇者であり続けている陛下は、自信のある笑みを浮かべた。…いろいろやられっぱなしなので、ちょうどいい。その笑みを、泣き叫んで謝らせてやる。
「ええ、じっくりと確かめさせてあげます」
微笑んだけれど、自分でもわかるくらいに場がおどろおどろしくなっている。そんな、未来の夫婦のやりとりに陛下の護衛のあきれ顔だ。
陛下と別れ、そのまま案内に導かれていくとまずはトーナメント表を確認することとなった。…見事に、陛下と私は両端だった。陛下と闘うためには、決勝まで勝ち進むことが絶対条件。けれど、そう簡単にはいかなさそうだ。ほかの参加メンバーには見覚えのある名前がちらほら。騎士や親衛隊も参加している。見覚えのない名前は兵士だろうか?
団長の名前もあった。順当にいけば陛下と準決勝で当たる。
(二人の戦い……見たいような見たくないような)
陛下が覇者となっているということは、陛下が勝っているということだ。しかし、絶対は無い。万が一、陛下が負けるようなことがあったら…
そうして身支度を整えられ、衣装も正装へと着替えていく。…その衣装が何故準備されているのかと聞けば、以前私の騎士服を制作する際に取った採寸のデータが残っているらしく、それを元に製作しろ…と陛下が厳命を下されたそうな。
ああそうですかと虚ろな目で着替えていく私。そして、着替え終えた私の部屋を訪れたのはもちろん陛下。最初に姿を現した際には一瞬目を瞠り、硬直していたが、その硬直が解けると今度は不満そうな顔に変わる。なんとも面白いと思ったのは秘密。
「…行くぞ」
差し伸べられた手。その手が何を意味するかは分かるけれど、どうにも素直にその手に自分の手を乗せることに気が進まない。
「……はい」
なので、その手に小指だけを乗せる。それに周囲が怪訝な表情を浮かべるも、陛下だけはその意図を察し、苦笑した。
小指だけをその大きな手で包み込むと、まるで幼子の手を引くかのようにゆっくりと柔らかくエスコートされる。当然、小指だけを引っ張れば痛いので、さっと私の腰にも手を回し、私の体全体をエスコートしてくれる。
実はこれ、『グリエ』の頃に我儘で加減を利かせられない殿下のためのエスコート指導術の一環。小指だけを掴んでも相手に痛みを感じさせずエスコートさせることができれば、エスコートとしては完ぺきになれると『グリエ』が考案したものだ。もっとも、そのエスコート相手役にさせられたのも『グリエ』なのだが…
そうして、小指一本からでも陛下は完ぺきなエスコートを見せた。傍目から見れば小指しか握っていない異様な光景だけれど、その小指から痛みは伝わってこない。強く握る過ぎることも無く、指の関節を無視して引っ張られることも無い。とてつもなく気を使わなければこのエスコートはできない。
そうして、ようやく先代国王と先代王妃との面会を済ませた。16年ぶりに拝見した陛下は、やはり記憶の中にある姿よりは老いて見えた。しかし隠居してもなお元国王としての威厳は損なっておらず、正面に対すればその存在感に圧倒される。一方、先代王妃は記憶の中の姿そのままといった印象だった。16年前も年齢の割には少し幼く見えたが、今ではなおさらそれが際立つ。先代国王と並ぶ姿は、言っては悪いが親子ほど見た目に違いがある。これで実年齢は2つしか離れていないのだから驚きである。
面会では、ようやく陛下の王妃となるものが見つかったとのことで二人共大喜びだったが、如何せん歳の差が気になったようだ。
陛下31歳。
私…16歳。
年齢差無く結婚した二人からすると、この親子ほどの年の差はいくら宣託といえど気になるようだった。それに対し、陛下は「問題ない」と言い切り、私は「精一杯頑張ります」と無難に。
が、こっそり親衛隊の誰かが先代国王と先代王妃に耳打ちすると二人とも大爆笑。…何を耳打ちしたのかは後でしっかり聞き出すことだけは決めた。
それは陛下も同じだったようで。
「お前、さっき何を言った?」
と、帰り道すがらその親衛隊を壁に追い詰め問いただす。もちろん陛下だけではなく私も。二人に壁際に詰め寄られ、その圧に負けてぽつりと呟く。
「とってもお似合いのお二人ですよ。追いかけっこして城中の人間に呆れられるぐらいに…って」
…後の処理は陛下に任せて私は宛がわれてる部屋に戻った。陛下に引きずられていく彼に憐みは感じない。
それからは、本格的に王妃となるべく準備が始まった。王妃が決まったという方は王宮内のみならず国中に伝わっていった。国民もあきらめかけていた懸念事項だっただけにその喜びようは大層なものだった。
私も一旦実家に戻ると、両親から何からとにかく祝福の言葉。そして、すぐさま王妃となるべくそのための教師が急遽呼び集められ、徹底教育が開始させられた。基本的な政治知識はあれど、王妃となるとさらに必要な知識が異なる。そのため、半年ほど屋敷に閉じこもる生活となった。
その間、陛下との手紙のやり取りがあった。陛下から手紙が届くと母などは愛されているなどと舞い上がっていたが、その内容は実に色気の無い物。…あの、私の襲撃事件についてのことだ。あの後、生き残った兵士に尋問を続け、ようやく得られた証言が『やんごとなき身分のお方からの、勅命である』とだけ。実際にそのやんごとなき身分の方と対面したのはあの隊長だけだったらしく、そしてその隊長は火事で焼死した。そして、その生き残った兵士たちは口々に私を『陛下をたぶらかした悪女』だと思い込んでいることだった。これも隊長から聞かされた、やんごとなき身分の方の言葉らしい。
しかも、その悪女という言い分は、『王妃不在に悩む陛下の心の弱みに漬け込み、若さと体を使って陛下を篭絡した許しがたき悪女』と。…実際、これについては市井でもその噂が出回っている。というのも、私が女性ながらに特例で騎士団に入り、わずか半年で親衛隊入り。その後神殿で王妃として選ばれたという、私の経歴が流布されていたのだ。
侯爵家の力を使い、騎士団入り。そのまま陛下に近づき、親衛隊というより近いポジションに付く。そのまま距離を詰め…ということらしい。そのせいで、私を『王妃には相応しくない』とする市民や貴族もいる。
まったくもって誤解もいいところなのに、下手な弁解もできない。これに、陛下は考えがあると言い、大丈夫だと手紙にはつづられていた。…一抹の不安を覚えたけど、今の私にできることは、淡々と王妃となるべく準備を整えるだけ。その言葉を信じて待つことにした。
そして半年後。ついにその『考え』が伝えられた。その考えを知ったとき、私は頭を抱えた。
侯爵家の馬車に乗り、私は一路王都へと…そして、『考え』がある場所へと向かっていた。その場所とは…闘技場。
なんてことはない、私が騎士、そして親衛隊と成ったのは実力からだと知らしめるために、年に一度開かれる闘技大会に参加しろというものだった。
闘技大会は年に一度、腕に覚えのある貴族の子息や兵士、あるいは王族が参加する由緒ある大会だ。優勝者には賞金と国内最強の戦士という名誉が授与される。
もちろん闘技大会のことは知っていたが、半ば見世物でもあるそれには私はもちろん、『グリエ』も参加したことはなかった。なにせ私の剣は戦うための剣ではなく、勝つための剣。一撃決殺を信条とする、相手の急所を突く剣は、見世物には程遠く、派手さも無い。
それに、護衛のための剣と割り切っていたので、わざわざ競うという考えがなかったのもある。
闘技大会では殺しは禁止とされている。なので、使われる剣は刃を潰した模擬剣だ。それでも、例年何名かの重傷者は出ている。そして、ここ数年の覇者は陛下だ。
王妃教育で屋敷に閉じこもったと言っても、身体を動かすことは欠かさなかった。特に、『グリエ』の愛剣が手元に戻ってからは、その剣を私に馴染ませる必要があった。
あの事件は解決していない。いつまた、襲撃されるわからないのだから。
そして、この大会の終了後に私を正式な王妃として公表する手筈となっている。その時に何か仕掛けてくるのではないか。私と陛下はそう見ている。この半年は驚くほど何もなかった。襲撃事件は両親も知るところで、屋敷の護衛は倍に増えた。けれど、私にはあの用意周到かつ強権を持つ犯人相手に、意味があるようには思えなかった。かつて伯爵家を皆殺しにしてみせた犯人。該当する相手は絞り込んでいるのに、明確な証拠がないままなのがもどかしかった。
「シセリア」
馬車から闘技場へと降り立ち、案内の下に進んでいると突然名を呼ばれた。その聞き覚え尾のある声に、呼ばれた方向に顔を向けると影が降ってくる。それが人だと気づいた瞬間、反射的にその影を避けた。
「…何故避けた?」
その人は未来の夫にしてこの国の国王、キラルド陛下だった。空を切ったその両腕が、私という対象を失い、間抜けな格好で止まっている。避けた私に、陛下は大層ご不満な様子を顔に出した。
「失礼。人に抱き着かれて良い思い出がありませんので」
言外にお前に抱き着かれると後が面倒なんだと言い放つ。それに気づいていただけたようで、睨みつけられた。
「…腕は落ちていないだろうな?」
露骨に話を逸らしてきた。
「後でご確認ください」
実際のところ、屋敷では屋敷の護衛を務めるものたちしか相手がおらず、その護衛たちも騎士ほどの実力者ではなかったので、多少勘が鈍っているかもと思うところはある。それは、この大会の中で呼び起こせばいいかと考えている。
私の言葉に、陛下はにやりと口角を上げた。
「いいだろう。後でじっくり確かめてやる」
覇者であり続けている陛下は、自信のある笑みを浮かべた。…いろいろやられっぱなしなので、ちょうどいい。その笑みを、泣き叫んで謝らせてやる。
「ええ、じっくりと確かめさせてあげます」
微笑んだけれど、自分でもわかるくらいに場がおどろおどろしくなっている。そんな、未来の夫婦のやりとりに陛下の護衛のあきれ顔だ。
陛下と別れ、そのまま案内に導かれていくとまずはトーナメント表を確認することとなった。…見事に、陛下と私は両端だった。陛下と闘うためには、決勝まで勝ち進むことが絶対条件。けれど、そう簡単にはいかなさそうだ。ほかの参加メンバーには見覚えのある名前がちらほら。騎士や親衛隊も参加している。見覚えのない名前は兵士だろうか?
団長の名前もあった。順当にいけば陛下と準決勝で当たる。
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