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アレックス
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ファティマが体の汚れを落とし、私服に着替えてくるのを待ってから、2人は屋敷の周りを散策しに出かける事となった。
その間に、セバス・ダンの計らいでルカにピクニック用の昼食を用意してもらった。
アレックスは準備万端で屋敷の中央部にある玄関の前でファティマを待つ事にした。
その待っている間、アレックスの心はドキドキと鼓動が早くなり、そわそわして落ち着かなかった。何十年も昔の熱い思いが、まるで昨日のやうに体の奥底から蘇ってくる。
『まさか、シェヘラに瓜二つの娘と出会うとは・・・』
ファティマ・・・彼女の手に触れた瞬間。色は違えど、シェヘラと同じ肌の感覚がゾクゾクとアレックスの脳裏を騒つかせる。
そんな時、ファティマが東棟の自室から出てきて、玄関に現れた。
青い質素なドレスを着た若い娘は、黒い豊かな髪を下ろし、三つ編みにしていた。それが豊かな胸の谷間へと流れている。
「お待たせしました」
ファティマは、一礼をする。
アレックスは、ふとおもう。この娘は、多分特権階級の出身なのではないかと・・・。なぜなら、初めてあった時から、どの仕草も全て美しく。そして知的であったからだ。
なぜ彼女は、こんな所で庭師のをしているのだろうか?
そんな疑問を抱きながら、ファティマの手を取った。そしてアレックスは、夕方まで出かけることをセバス・ダンに告げると、セバス・ダンは、
「かしこまりました」
そう言って、深々と頭を下げた。
アレックスとファティマは、まず薬草を見て回った。そして、ファティマがとても優秀な庭師であり、薬師である事も分かった。そして、屋敷の裏手にある丘に着くまでの間。ファティマの生い立ちに話が及んでいた。
ファティマは、元々海を渡った南の国の姫君であった。しかし、父王が亡くなると同時に叔父が国王となり、母親は叔父の側室として迎えられた。その時、母親が条件として出したのが、ファティマを母方の親戚の元に行かせる事だった。
しかし、母方の親戚は、ファティマの血統を利用して、どこかの王族に勝手に嫁がせようとした。その事に気が付いた乳母が、ファントリアの血が流れていた人で。コッソリとファティマを連れて海を渡って。1年半ほどかけてこのファントリアにたどり着いたのだとか。
「旅の疲れから、乳母は亡くなりましたが、お陰で色々な事を教わりました。その一つが薬草の知識で。それで、こちらのお屋敷をお建てになる時、薬草を育てる者を探してあると聞いて。」
ファティマは、少し歳には合わない様な。影のある笑い方をしたが、すぐに表情をパッと明るくして笑う。
「でも、ここでの暮らしは、とても楽しいのです。皆さんよくしてくださいますから。」
ファティマは、丘の上の平らな巨石の所までくると、アレックスが持ってきた籠を受け取った。そして手際よく中身を広げていく。アレックスのは、そのすぐ近くに腰を下ろした。
「今度は、旦那様の番ですわ。」
ファティマは、屈託無い笑顔で用意した飲み物をアレックスに手渡そうとした。
「旦那様は、とても素敵な方で。お話では、60歳近い方だと聞いていましたのに。どう見ても40歳前半にしか見えませんわ。」
ファティマは、蜜色の瞳をキラキラと輝かせる。
アレックスは、その瞳を見つめたままファティマの手から飲み物を受け取らず、そのまま褐色の手を掴んだ。
「あっ!?」
ファティマは、小さく声を漏らした。そしてその手から飲み物が入ったカップを落とす。蜜色の瞳が驚きの色をたたえて見開かれる。
その瞳には、大人の色気をその紫の眼に満たし、銀の長い髪が日の光を浴びる、神話の神々の様に神々しい男がいた。
一瞬、その美しさに見惚れてしまったが、ファティマは、すぐに視線を逸らした。
「旦那様、どうかお手をお放し下さい・・・」
しかし、アレックスは、手を放してはくれなかった。紫色の瞳が悲しい色を浮かべ、ファティマの美しい横顔を映し出す。そして、低くウットリとする声で耳元に囁く。
「昔、君によく似た人に心を奪われた。その心は今も尚、私を捉えて離さない。ファティマ、君は肌の色こそ違えど、声も姿も。その美しくい蜜色の瞳の色も瓜二つ・・・」
アレックスは、そう言うと、ファティマの腕をぐいっと引っ張った。
「あっ!」
ファティマが再び小さな声を漏らす。 それと同時に、ポスンっと、ファティマがアレックスの胸の中に収まった。
「この何十年もの間、私は約束の代償を失ったまま生きてきた。それも定めと思い、今まで生きてきた。」
アレックスは、愛しく、そして優しくファティマを抱きしめ、黒髪を撫でる。
「せめて。せめて、残された人生を、このシェヘラザードで、静かに1人暮らしていこうと。そう、思ってやってきたのに・・・」
アレックスは、ゆっくりと、ファティマの体を自分の体から離し、驚き目を見張っている蜜色の瞳を見下ろす。
「再びシェヘラザードで、君に出会ってしまった。触れてしまった・・・たとえ、神々がお怒りになろうとも・・・もう、離さないよ・・・」
そう言うと、ファティマのふっくらと赤い唇にアレックスは、口づけをした。
その間に、セバス・ダンの計らいでルカにピクニック用の昼食を用意してもらった。
アレックスは準備万端で屋敷の中央部にある玄関の前でファティマを待つ事にした。
その待っている間、アレックスの心はドキドキと鼓動が早くなり、そわそわして落ち着かなかった。何十年も昔の熱い思いが、まるで昨日のやうに体の奥底から蘇ってくる。
『まさか、シェヘラに瓜二つの娘と出会うとは・・・』
ファティマ・・・彼女の手に触れた瞬間。色は違えど、シェヘラと同じ肌の感覚がゾクゾクとアレックスの脳裏を騒つかせる。
そんな時、ファティマが東棟の自室から出てきて、玄関に現れた。
青い質素なドレスを着た若い娘は、黒い豊かな髪を下ろし、三つ編みにしていた。それが豊かな胸の谷間へと流れている。
「お待たせしました」
ファティマは、一礼をする。
アレックスは、ふとおもう。この娘は、多分特権階級の出身なのではないかと・・・。なぜなら、初めてあった時から、どの仕草も全て美しく。そして知的であったからだ。
なぜ彼女は、こんな所で庭師のをしているのだろうか?
そんな疑問を抱きながら、ファティマの手を取った。そしてアレックスは、夕方まで出かけることをセバス・ダンに告げると、セバス・ダンは、
「かしこまりました」
そう言って、深々と頭を下げた。
アレックスとファティマは、まず薬草を見て回った。そして、ファティマがとても優秀な庭師であり、薬師である事も分かった。そして、屋敷の裏手にある丘に着くまでの間。ファティマの生い立ちに話が及んでいた。
ファティマは、元々海を渡った南の国の姫君であった。しかし、父王が亡くなると同時に叔父が国王となり、母親は叔父の側室として迎えられた。その時、母親が条件として出したのが、ファティマを母方の親戚の元に行かせる事だった。
しかし、母方の親戚は、ファティマの血統を利用して、どこかの王族に勝手に嫁がせようとした。その事に気が付いた乳母が、ファントリアの血が流れていた人で。コッソリとファティマを連れて海を渡って。1年半ほどかけてこのファントリアにたどり着いたのだとか。
「旅の疲れから、乳母は亡くなりましたが、お陰で色々な事を教わりました。その一つが薬草の知識で。それで、こちらのお屋敷をお建てになる時、薬草を育てる者を探してあると聞いて。」
ファティマは、少し歳には合わない様な。影のある笑い方をしたが、すぐに表情をパッと明るくして笑う。
「でも、ここでの暮らしは、とても楽しいのです。皆さんよくしてくださいますから。」
ファティマは、丘の上の平らな巨石の所までくると、アレックスが持ってきた籠を受け取った。そして手際よく中身を広げていく。アレックスのは、そのすぐ近くに腰を下ろした。
「今度は、旦那様の番ですわ。」
ファティマは、屈託無い笑顔で用意した飲み物をアレックスに手渡そうとした。
「旦那様は、とても素敵な方で。お話では、60歳近い方だと聞いていましたのに。どう見ても40歳前半にしか見えませんわ。」
ファティマは、蜜色の瞳をキラキラと輝かせる。
アレックスは、その瞳を見つめたままファティマの手から飲み物を受け取らず、そのまま褐色の手を掴んだ。
「あっ!?」
ファティマは、小さく声を漏らした。そしてその手から飲み物が入ったカップを落とす。蜜色の瞳が驚きの色をたたえて見開かれる。
その瞳には、大人の色気をその紫の眼に満たし、銀の長い髪が日の光を浴びる、神話の神々の様に神々しい男がいた。
一瞬、その美しさに見惚れてしまったが、ファティマは、すぐに視線を逸らした。
「旦那様、どうかお手をお放し下さい・・・」
しかし、アレックスは、手を放してはくれなかった。紫色の瞳が悲しい色を浮かべ、ファティマの美しい横顔を映し出す。そして、低くウットリとする声で耳元に囁く。
「昔、君によく似た人に心を奪われた。その心は今も尚、私を捉えて離さない。ファティマ、君は肌の色こそ違えど、声も姿も。その美しくい蜜色の瞳の色も瓜二つ・・・」
アレックスは、そう言うと、ファティマの腕をぐいっと引っ張った。
「あっ!」
ファティマが再び小さな声を漏らす。 それと同時に、ポスンっと、ファティマがアレックスの胸の中に収まった。
「この何十年もの間、私は約束の代償を失ったまま生きてきた。それも定めと思い、今まで生きてきた。」
アレックスは、愛しく、そして優しくファティマを抱きしめ、黒髪を撫でる。
「せめて。せめて、残された人生を、このシェヘラザードで、静かに1人暮らしていこうと。そう、思ってやってきたのに・・・」
アレックスは、ゆっくりと、ファティマの体を自分の体から離し、驚き目を見張っている蜜色の瞳を見下ろす。
「再びシェヘラザードで、君に出会ってしまった。触れてしまった・・・たとえ、神々がお怒りになろうとも・・・もう、離さないよ・・・」
そう言うと、ファティマのふっくらと赤い唇にアレックスは、口づけをした。
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