丘の上の王様とお妃様

よしき

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丘の上の王様とお妃様 18

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  さて、何故か私は姫島 皐月嬢と、二人っきりでお茶を飲んでいた。
  何しろ、規模が小さいにしろ(私からすれば、結婚式レベルのパーティーだが...)帝国財閥や、他の企業団体のトップ・政府関係者等の出席等々のテレビで見たことのある人々の昼食会である。
  先程の婚約発表が終われば、後は私には用はないのだ。聖さんが出席者と歓談している間、私には誰も知人がいないわけで。『壁の花状態』と言うわけだ。
  そして、一人ポツンと座っている所にやって来たのが、先程紹介さたばかりの皐月嬢であった訳である。
  しかし。
「確かに環様の面影が有るわね。それにしても...あなた、そんなに空気に溶け込んで聖さんの横に立とうとでも思っていらっしゃるの⁉」
母も、かなりの美人であったのは認めるが。同じ美人でも、皐月嬢の方はかなりの『辛口』である。
  先程から、何かにつけて聖さんと釣り合わなすぎると、まるで自分が針山にでもなったようにチクチク...いや、ブスブスと、キツい言葉で私を容赦なく傷付けてくる。
  まあ、美人で、社会的にも地位と実力が有って、さらにお金持ちである皐月嬢からしてみれば当然の事かも知れないが。
「聞いていらっしゃるの⁉私、ここまで正直に自分の事を言われて、悔しがらない『可愛らしくない方』って、初めてよ?!」
  ...。
  (私もここまで言われたのは、スーパーウーマンなあなたぐらいですが?!私、あなたに何かしましたか⁉  と、聞きたいぐらいです。)
  正直な話。流石の私も、皐月嬢とお茶をしている事が辛くって。どこかで部屋に戻らせてもらいたいくらいだ。
  なのに、スーパーウーマンは、私から離れてくれない。
「...まぁ、聖さんはとてもオモテになるから、婚約したとしてもご安心されないことね。」
  やっと、皐月嬢が口をつぐんでくれた。私はホッとしてから、笑顔をして見せた。
「そうですね。御忠告感謝いたします。」
  私も、頑張ってやっとその言葉を返した。皐月嬢は、お茶を飲みながら私の事を、少し不満そうに見つめる。
「それって、木崎家の生まれつきの嫌みかしら!?本当に、そう言うところ。環様に似てますのね。」
  「母に会ったことがあるんですか?」
  思わず、私は驚いてしまった。何しろ皐月嬢...いや、皐月さんは、どう見ても私より若く見えるし。母と皐月さんが知り合いだだ言うことも今、今初めて聞いたし...不明な事だらけである。
  皐月さんは、あらっと、私を見るなり驚いたようだった。
「あら、ごめんなさい。別に隠していた訳では...ただ、あなたの勤め先が私の孫会社に当たるものだから。環さんが時々聖さんを介して私が様子を探らせていたの。」
  私は驚いた。さらに!
「で、ほら、あなた。前に変な男と付き合っていたでしょう。で、別れてからその後と言うもの、あなたからの連絡が余り無いものだから。木崎のご両親が心配してましたのよ...」
  つまり。両親は、私の都会での生活を知っていたって事!?それで心配してって事は...
「も、もしかして。私に会いに行く途中で...」
  私は胸の中がザワザワと、波立った様な気持ち悪さに襲われた。
「わ、私のために両親は事故に⁉」
  私は無自覚のまま、そう呟いた。そして、さそれは、言葉にすることで、現実身をおる。
  流石に、皐月さんはバツが悪そうにチラリと私の顔を見てから、一言そえた。
「さぁ...それはどうかと思うけれど。ただ、私がな言ったことは、事実なだけよ。あなたがどう思われようとね。聖さんが何と言っているかは知らないけれど。私の私、嘘をつくのは嫌いなの。特に親しくなりたい人には、ね。」
  そう言うと、皐月さんは、私の背中をポンと叩いた。多分、励まそうとしてくれたのだろうけれど。私には、逆に逆鱗を刺激されるような気持ちになった。
  丁度その時。
「タマちゃん⁉」
沢山のギャラリーからヤジを受けながら、聖さんが私の近くにやってきた。
  美しく飾られた庭の緑が何故か、彼とともに色あせていく。私は、遠退く意識の中で、聖さんが駆け寄ってくるのが見えた。

  
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