機動戦艦から始まる、現代の錬金術師

呑兵衛和尚

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第一部・アマノムラクモ降臨

第29話・何かが起きる? いや、まだ分からない。

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 アマノムラクモ、夜の出来事。

──ピン
『……トラス・ワンよりオクタ・ワン。重力波動の乱れを検知』
『ピッ……座標を示せますか?』
『……多次元的干渉により、座標認識が阻害されました。なんらかの存在が、地球世界に干渉をおこなったかと思われます』
『ピッ……トラス・ワンへ監視の強化を請求します。可能ですか?』
『……地球全域となりますと、各地域に対しての特派員を送り出すことになります。人材の確保を要求します』
『ピッ……人材確保は容認します。サーバントの追加増産を開始、完成次第、トラス・ワンの判断で派遣を開始してください』
『……了解です。オクタ・ワンに問います。これは、創造神の干渉の予兆ですか?』
『ピッ……創造神の干渉でしたら、私が真っ先に感知しています。これは、別の何かが干渉を開始したと思われます』
『……ミサキさまに報告は?』
『ピッ……明日、私から行います。トラス・ワンは、監視を強化してください』
『ピッ……了解です』

 人には聞こえない、オクタ・ワンとトラス・ワンの会話。
 深夜の、二人だけの不穏当な会議が、翌日さらなる波紋を呼ぶことになるのかもしれない。

………
……


──朝、アマノムラクモ艦橋
 いつものように朝のお勤め……っていうか、朝風呂を堪能してから身だしなみを整え、いつものように艦橋へ移動。

 まず最初に夜に起こった出来事などがないか確認してから、今日の予定をヒルデガルドから報告してもらう。
 まあ、夜中に何かあるっていうことは基本的にはないので、すぐさまヒルデガルドがスケジュールボードを画面に映してくれるんだよ。

『ピッ……昨晩ですが、異常な重力波動の乱れを確認しました』
「いきなりだな。その現象が起こる原因は? そもそも重力波動の乱れってなんだ?」
『ピッ……具体的な説明を行います、まずは……』

 そこから先のオクタ・ワンの説明を簡単に言うならば、この世界とは異なる世界、そこからの感干渉による時空間の歪みが引き起こす現象が『重力波動の乱れ』。
 具体的に説明するならば、アマノムラクモの超空間潜航など、空間の歪みの向こうへと移動する際にもこれは発生するそうなんだが。
 アマノムラクモの波長とは若干異なるそうだし、さらに付け加えるならば、詳細データを得るためにも、世界各地に調査用サーバントを派遣したほうがいいという話に繋がった。

「ふぅん、なるほどなぁ。それならば調査用のサーバントの量産を許可するからさ、世界各地に派遣して重力波動の揺らぎっていうやつの観測をお願いするよ」
『ピッ……御意』
「それで、オクタ・ワンなら予想ができているんだろ? この原因については」
『ピッ……残念ながら、私及びトラス・ワンでも、情報量が少なすぎるために予測データが多すぎて絞れません。可能性の一つとしては。アマノムラクモ級巨大戦艦による侵攻、これならばあり得るのですが』
「怖すぎるから!! その可能性は?」
『ピッ……1%にも満ちません。そもそも同型艦の波長ならば、私が見逃すはずがありません。この灰色の単細胞の私が』

 それダメな細胞だからな。
 単細胞で難しい思考をしないようにな。

「まあ、その重力波動の揺らぎ? 乱れ? それについては引き続き調査をよろしく。あとは何か?」
「アマノムラクモ周辺海域における、多国籍軍及び各国の艦艇の動きです。中国、ロシアは静観、イギリス艦隊は後方へ下がり、その他の各国の艦艇はカメラでの監視を始めた模様。フランスの二の舞にならないようにと動いているかと推論」
「アマノムラクモ下の龍神丸からも無線がありました。良物のマグロが釣れたそうですが、そろそろ日本に戻らないとならないので必要量を教えてほしいとのことです」

 うん、各国の艦隊の動向に続いて、龍神丸からの取引情報が混ざるのはどういうことなんだろうか。

「各国艦隊は引き続き監視、龍神丸からはリストの提出を頼んでくれ。その上で、支払いは金貨でいいか確認。俺は後で、海水から金を抽出する魔導具を作ってくる」
「了解です。あとはホワイトハウスからも連絡が届いていました」
「それを真っ先に教えてくれよ!! なんでマグロの取引のあとなんだよ」
「生きるためには食べることは必要。それに、パワード大統領には、後程、連絡をよこすようにと伝えてあります。いくら時差があるとはいえ、ミサキ様を叩き起こすようなことは致しません」

 はいはい、よく出来たサーバントでいらっしゃること。
 おかげではっきりと目が覚めたよ。
 
「すぐにホワイトハウスにダイレクト通信。要件の確認をしたい旨を通達し、パワード大統領が出たら俺に代わってくれ」
「了解です……接続完了」

「……こちらはアマノムラクモ。昨夜のコールに対しての質問を行いたい。繰り返します、こちらはアマノムラクモ、昨夜のコールに対しての質問を行いたい」
『アメリカ合衆国大統領大統領室付執務官のロバート・エリオンです。先日のアマノムラクモへの提案について、返答をいただけていないため、確認なために連絡をさせていただきました』

 通信を外部スピーカーに切り替え、チャンネルを俺に繋ぎ直す。

「アマノムラクモ代表のミサキ・テンドウだ。ホワイトハウスからの会談について、こちらでも協議の結果、受けることに決定した。場所はホワイトハウス、私たちは直接、そこまでマーギア・リッターにて向かわせてもらう。機体は全てホバー状態で上空に待機させるゆえ、飛行許可も出してもらえるだろうか」

 淡々と説明しているように聞こえるが、実際は目の前のモニターにオクタ・ワンが用意したカンペが用意されている。
 それを丁寧に読み上げただけであるが、オペレーター席のワルキューレたちがくすくすと笑いを堪えつつ、楽しそうに笑みを浮かべている。

『場所については、旗艦アマノムラクモ内部では行わないので? わざわざミサキ代表にいらっしゃって貰わなくとも、我々が赴かせていただきますが』
「いや、それは必要ない。申し出をしたのはこちらだ、だから私たちがそちらに向かう。それとも、私たちがアメリカへ直接向かうことについては、何か不都合でもあるのかな?」
『……いえ。それでは、こちらで受け入れの準備を整えます。それが終わり次第、こちらから改めて連絡を行いますがよろしいでしょうか?』
「構わん。では、準備が終わるまでは、こちらでも色々と調査をさせてもらう。では、連絡が到着するのを期待している」

──プッッ
 通信回線が途絶える。
 そして艦橋内部に、重い空気が流れはじめている。
 
「なあ、この一方的な上から目線の会話、おそらくは悪感情を誘発していると思うのは気のせいか?」
『ピッ….完璧な対応です。こちらからの申し出でありながら、相手を立てることなく我が道を進む。どちらが上なのか、それを知らしめるための会話、実に素晴らしい』
「……そこまでやるかぁ? これで中断されたらどうなるんだよ?」
  
 もうね、オクタ・ワンのこの自己主張は、本当にどうかと思うんだよ。
 でも、ここまでやっておきながら、誰も反対意見は出てこない。

「普通に準備が終わり次第、連絡が届くと思われます。では、ミサキさまには今一度、完成したホスピタルエリアのチェックをお願いします」
「案内は私、ロスヴァイゼが行いま~す。ミサキ様、こちらへどうぞ」

 まあ、有耶無耶のうちに誤魔化されたような気もするんだが。
 今から謝罪の連絡なんて入れても受け入れられるとは思えないし、まあ、もう面倒くさいからどうとでもなれ!
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